息抜き用のサブ小説その1です。
オリジナル小説です。
続きを読む
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
プロブレム・ガールズ キャラ紹介
キャラ紹介です。読み飛ばし厳禁。
・登場キャラ
①メグ 本名・結城恵瑠(ゆうきめぐる)(キラキラネームっぽくなっちゃった……)
今作の中心となる主人公。幼い頃から勉強も運動もなんでもでき、自慢ばかりしていたが、だれも振り向いてくれないし褒めてくれないことに気づき、今は影薄く過ごしている。高2くらい?
②アスカ 本名・瑞原明日夏(みずはらあすか)
影が薄く、存在感のない心優しい少女。人に迷惑ばかりかけるので、自分はいなくなったほうがいいと本気で考えている。高1くらい。
③ナナ 本名・春野名菜(はるのなな)
自分が一番可愛いと思っているナルシスト。だが、その目的は誰かに媚びを売るためでも自慢するためでもなく、自分を嫌いにならないため。それは、ある過去から来てるようで……?高3くらい。
④アイ 本名・白川愛以(しらかわあい)
幼い頃から、母親に罵声を浴びせられ、愛されなかった少女。愛されたことがないゆえに、本当の愛を見つけるため、頑張る。中2くらい。
⑤ユイ 本名・横井唯(よこいゆい)
頭も良く、成績優秀な優等生。しかし、みんなからの期待に押しつぶされそうになっている。自己嫌悪になり、自分に自信がない。中2くらい。ちなみに、アスカと同じ学校。
⑥カナ 本名・古柴叶多(こしばかなた)
ドジでおっちょこちょいな大人しい少女。そんな性格が災いしていつもみんなから文句を言われ、妨げられている。高3くらい。
頑張ります。よろしくお願いします。
プロブレム・ガールズ 1話(メグ編)
何故だろう。人に褒めてもらった記憶がない。
幼い頃から、私は「選ばれた人間」という自覚があった。
学業優秀で、スポーツも得意で、絵画コンクールで金賞をとったこともあったっけ。
とにかく器用で、周りより物覚えも早かった。何をやっても他の人より上手く上達した。
なのに、私は褒めてもらえた記憶がない。
褒められなくなればなるほど、がむしゃらに頑張った。
なのに、褒められない。
どうして?私だけ?
プロブレム・ガールズ 2話(メグ編)
幼い頃、私は何でも出来るということを鼻にかけていた。
すごいね、と言われたいがために、自慢ばかりするようになった。
〈小学生の頃〉
メグ「見て見て!すごくない?メグ、また100点とったんだ!」
そうクラスの子に自慢しては、無視され、
メグ「―――ママ、見て!メグまた100点とったよ!しかもクラスでメグだけなんだよ!」
母「……ふーん。たまたまじゃない?」
母親にも関心を持たれなかった。
でも、私は諦めなかった。
メグ「――――ママ、やった!マラソン大会で1位になった!」
ママ「そう……たまたまでしょ。」
メグ「―――ママ、テスト100点取ったよ!」
母「……ふーん。それ、毎回言うのやめてくれる?100点なんか大したことないじゃない。」
メグ「―――ママ、運動会でリレーのアンカーに選ばれたんだ!きっと、メグが速いからだよ!」
母「あっそう。バトン落としたりして他の子に迷惑かけないようにしなさいよ。」
メグ「――――ママ、私、絵画コンクールで金賞とったよ。すごくない?」
母「たまたまよ。」
メグ「――――お母さん、私が書いた書道の作品、最優秀賞だって……すごいよね?」
母「……たまたまよ。」
母の口癖は、「たまたま」だった。
私は頑張っているのに、全部「たまたま」なの……??
しかし、褒められないのは、私だけなんだと実感した出来事があった。
あれは、小学5年生の秋だった―――――
プロブレム・ガールズ 3話(メグ編)
あれは、小学5年生の秋。絵画コンクールで金賞をとったときだ。
結構大きな絵画コンクールで、授賞式は隣県のとある都市で行われた。
---
「表彰、金賞。|結城恵瑠《ゆうきめぐる》殿。あなたは、第56回――――」
とても嬉しかった。みんな拍手をしてくれた。拍手されたのなんて、久しぶりだ。
しかし……
---
授賞式の後、私は、母の元に駆け寄ったが、母は何も言ってくれなかった。
しかし、近くにいた子は――――
「すごいねー。ユウは。銀賞とって。だって、とても絵が上手だものね。」
「えー、でも、銀賞だよ?」
「銀賞でも、ママにとっては金賞よ〜」
――――私の母は、何も言ってくれなかった。
母「……さ、帰るわよ。長居しても時間の無駄。本当は、来るのなんかアンタだけでも良かったんじゃない?私だって、暇じゃないんだから……わざわざこんな遠くまで行って……」
とても、ショックだった。この頃から、何をやっても全部無駄な気がした。
でも、やっぱり私には諦めきれなかった。
いつか、母が褒めてくれると信じて。
私は、中学生になった。
メグ「―――お母さん、数学のテストで100点取ったんだ。学年で私だけだよ?」
母「ふーん。」
メグ「―――お母さん、私、期末テスト学年一位だった。だから、その……」
母「・・・・・」
無言で無視されることもあった。
もう、私は誰にも褒めてもらえないんだろうな、と実感してしまった。
プロブレム・ガールズ 4話(メグ編)
先生「さあー、この間やった物理の単元テストを返すぞー。」
「えー」「やだー」など、口々にクラスメイトの声が挙がる。
先生はそんな生徒たちの私語を制し、テストを返し始める。
先生「―――結城さん、また学年1位だよ。流石だな。」
あたしの番になると、テストを返すと同時に先生が小声でそう言った。
あたしは少し微笑み、こくりと頷いてテストを受け取り、席についた。
98点――でも、嬉しくもなんともない。
どうせ、お母さんも褒めてはくれない。
学校では、先生は褒めてはくれるものの、あまり嬉しくはなかった。
あたしは、欲しがっていたんだ。お母さんが褒めてくれることを。
お母さんじゃない人に褒められても、嬉しくはない。
だけど、お母さんは褒めてくれない。
あたしは、テストにの点数について誰とも話すことなく、小さく折りたたんで机の中にしまった。
月日は経ち、あたしはもう高校生。それももう2年生。
中学に入ると同時に、あたしは人と関わることを避けた。
人と関わると、つい自慢したくなってしまうからだ。
もう、自慢するのはやめた。
期待するのはやめた。
ただ、必要最低限のことを頑張って、普通に過ごす日々。
中学も、そんな平凡な生活を送り、あっという間に中学校生活は終わった。
高校だって同じだ。
あたしは、ただ誰とも関わることなく影薄く過ごすだけだった。
プロブレム・ガールズ 5話(アスカ編)
人生というほど、つまらないものは無い。
少なくとも、私にとっては。
人望もない。
成績も普通。
私は全く目立たない。
私は、何のために生きているんだろう。
誰のために、生きているのだろう。
今まで、誰からも必要とされた覚えはない。
友達も出来ないし、親も仕事ばかりで、私のことは後回し。
私は、誰からも必要とされない存在。
じゃあ何のために生きてるの?
誰からも必要とされない自分なんて、要らない。
プロブレム・ガールズ 6話(アスカ編)
憂鬱な気分を背負ったまま、教室の扉を開ける。
誰とも挨拶を交わさず、黙って席に座る。
周りはみんな騒がしい。
ふと、ふざけ合っていた男子が、よろけて私の机にぶつかる。
私は机の位置を元に戻す。
ぶつかった男子は謝らない。
気づいていなかったのか、それとも私だからいいだろうと思ったのか。
どちらでもいい。どうでもいい。
むしろ謝られない方が楽だ。
---
授業が全部終わり、帰る時間になる。
机からは、朝来たときから一度も離れていない。
また、一日が終わった。
誰とも話さずに終わった。
でも、家に帰ってもどうせ親はいない。
私は、いつでも独りぼっちだ。
プロブレム・ガールズ 7話(ナナ編)
「パシャ、パシャ」
「『今日のランチは購買のサンドイッチ♪』っと――――――」
パンと一緒に撮った自分の自撮り写真を、SNSにアップする。
「うわあ……また春野さん独りで写真撮ってる……」
「よく独りであんなことできるよね〜」
陰口があたしの耳にたくさん入る。
いつものことだ。構わない。
あたしの人生、他の人ばかり気にしてちゃもったいないんだから――――
フロブレム・ガールズ 8話(ナナ編)
〈十数年前〉
ナナ「あはははっ!あはははっ!わーい!ねぇねぇ、おかあさんもいっしょにあそぼ!」
母「はいはい。後でね。」
「いいわねぇ、春野さん|家《ち》のお子さんはお元気で。うちの子なんて大人しくて公園に連れてっても砂場の隅でずっと砂遊びしてるだけですから………」
母「いや……ホント、ナナは元気だけが取り柄ですからね……家でもバタバタ走り回るし……成長したら、少しは落ち着くかしら……」
「子供は遊ぶのが一番ですからね!ナナちゃんはきっと元気に育ちますよ。」
母「そうだと………良いですけど……」
〈5年後〉
「ヒソヒソ」
「ほんっとアイツムカつく!学芸会の主役、絶対美晴がぴったりだってみんな思って推薦してんのに立候補しやがって……!!」
「前から思ってたけど春野さんって空気読めないのかなぁ?空気読めない奴は木の役とかでもやってろっつーのw」
---
「ねぇ、春野さんって男子にモテようと必死にアピってるらしいよー。」
「確かに!体育で運動できますアピールすごいし、授業中も手挙げて勉強できますアピールすごいしね〜」
---
「春野さんとは関わらないようにしよう。」
---
―――私のせいでみんな迷惑しちゃったんだ………
今まで、自分に正直にして、何も考えないで生きていたけど…………
私が空気読んで黙ってみんなの顔色伺ったら、みんな困らないのかな。
忖度は嫌いだ。自分に嘘だってつきたくない。
でも、私が我慢することで、みんなが迷惑しないなら―――――――
〈さらに5年後〉
「ねぇ、春野さーん!ごめん!今日の掃除当番変わってくれないかな?ほら、私用事ができちゃって……」
ナナ「……うん!いいよ。全然。私暇だし。」
「ありがと〜!助かる~!」
ナナ(―――本当は今日、図書館行きたかったんだけど。まあいいや。今度で。)
私は、あの日から自分に仮面をつけた。
不満があっても笑うようにした。
泣きたくなっても笑うようにした。
私の幸せよりみんなの幸せの方が大事。
もう、あの頃の私みたいにはなりたくない。
――だけど、“あの本”のお陰で、私は、私の人生を取り戻すことができたのだ。