水戸光圀の焼き立てナコマイカを実食した。チーズの代わりにチーズナマコを乗せて、チーズの代わりにのせるとよいという。食べ終わったら「美味い。お前、料理だけは美味いな」と舌を巻いた。
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目次
水戸光圀の焼き立て
「チーズイン焼きナマコ!」
「何でもチーズインすりゃいいってもんじゃないだろう」
しかし目の前に出されたナマコは表面がパリパリに焼けていてじゅわっとした肉汁が吹きこぼれている。チーズはチェダーとカマンベールとモッツァレラチーズの三種入りだ。おいしそう。
しかしナマコだ。
「ほう、貴様、目の色が変わったな」
いやいやいやいや。
「拙者の目はごまかせんぞ。その方、食指が動いたであろう」
「いや、その」
「しかと見たぞ。貴様、チーズがあれば何でもありでござろう?ごはん3杯はいける口でござろう」
いやいやいやいや、マヨラーじゃあるまいし。
「遠慮せんでよい」
ドーンとチーズイン水戸光圀が置かれた
ナマコの隣に横たわる。
「何?」
「あーーーっ!」
「ああ、お腹すいてるんだな!」
「いや、お腹空いてないし!」
「そうか、ならいいが」
そして俺にナマコを配すると
「「「「いやそれ、これ、やばいんじゃ!」」」」」
「なんで?チーズ?」
「いや、俺、チーズ食うのが好き…」
「「いや、お前が食った方が」」
「いや、俺が食う?」
「いやいやいや、チーズは絶対ダメだかんな!」
「え?え?」
「このチーズは私が作ったものだ!こんなところに乗り物を置いていない!」
「あー、だから、俺、チーズ苦手だし」
「そうではない!チーズは皆、食べるんだ。だから、これは、チーズの問題であって、チーズでお釣りの支払いはどうなるんで!」
そして俺はチーズナマコを口に放り込んだ。
「あーっ!口にチーズがのった!」
しかしこの水戸光圀の焼き具合はどうだ。こちらも食欲をそそられるものであった。
「どうだ、我が水戸光圀の焼き立てナコマイカは?」
「あ、美味い。お前、料理だけは美味いな」
「そうか。これも神の思し召しなのだな」
「いや、たまに食べたくなるものだ」
そういって俺もチーズナマコを食べる。これはチーズを使用した料理だからだ。
「やはりそうだったか!」
「いや、俺、作るのが面倒だし、お腹空いていたからな」
「そうか。ちなみに、どこら辺に神はいるのだ」
「俺、神様がいるし、チーズは好物だからな。あと、俺、チーズ嫌いだからこのチーズナマコは好きじゃないな、食べるならこれだな」
と言って、俺は山盛りのチーズナマコをむさぼりながら食べた。
「食べ終わったならば拙者を差し出すがどうなる?食い殺すぞ?」
「あーそうだったな、じゃ、チーズの代わりにチーズナマコ食おうぜ」
「わかった、我が水戸光圀を差し出せい」
「うん、それじゃ、お前、これ持て」
俺は水戸光圀を差し出す。
「うむ、これは何だ?これは、チーズナマコ、これはもうすこしチーズが入っているからな、少し味が薄くなっている」
「俺は、これからお前たちの料理を食うから何も言わず持っていてくれ」
「そうするかの」
「それに俺はチーズが好きなんだ」
「うむ、わかったわい」
そして二人がチーズナマコを食べ終わった。
「あ、チーズナマコ美味しかった、ありがとう」
「ああ、チーズナマコ食べただけで十分じゃったぞ。その食べ方は反則じゃな、これも神の思し召しと言うのだろう」
「それだけならまだなんとかなっただろ。俺のチーズナマコを食べてみたが良い口触りだったからな、これにチーズナマコを乗せて、チーズナマコはチーズの代わりにのせてくれれば完璧だからな」
「うむ、それなら大丈夫じゃ」
「そうだな、でも流石にチーズナマコを食べるのはマズいと思うぞ」
「そうじゃのう、それならば神の料理からヒントがもらえるのじゃ」
「神の料理からヒントを見つけるのか・・・」
神がチーズナマコを食べた
「そうじゃ。そうすればチーズナマコを食べ終えた後の食事が楽しくなるというわけじゃよ」
「神の料理を作った時はどうやって料理してたんだ?」
「神の料理を作ったのは我の記憶にあるのじゃ」
「そうか、じゃあ神の料理からヒントを見つける事は出来そうだな。神の料理を見せてくれないか?」
「うむ、いいがの」
二人は神を見せた。
神は頷き、チーズが乗った皿を俺の前のテーブルに置き、俺に料理を見せた。
「うむ、チーズナマコじゃな、チーズナマコはお主の神じゃな」
「おお、そうです、これがどうかしたんですか?」
「それは神の料理じゃ」
「おお、それはなかなか珍しいですね」
「うむ、どうやら神の料理は見ると面白いようじゃよ」
「なるほど、神の料理か・・・」
「ちょっと、なんで神の食事を見て驚かないの?」
「あ、いや、それはそれは」
「ふーん、そうなんだ」
「ああ、そうだ、チーズナマコを食べると元気が出るって聞いた事があるんだ、どうだろう」
「それはあると思うよのう、これからも神の料理の出来の問題は相談するとしよう」
「そうしてくれると助かる」
そして神と俺はチーズナマコに感謝をした。
食事を終えたあと、神にも神の料理のことを相談してみる、神の料理は俺が昔神の料理だった時の記憶にあると言われたが、俺はその事は知らないと答えた。
「そうか、そうか、それならそれで良かった。あと、これは言っておかねばならんのじゃが、神と人間はチーズの代わりにチーズナマコを食べたり、チーズナマコはチーズのようなものなので、別にあんな事をしていてはいけない。それに食べられずに済むとしても次は神の御二方と俺の料理の腕の良さを比べたい。
「それならば、神様に聞いてみるのじゃ」 「そうですね、それがいいと思います」
「何をだ? 神の料理を聞いた上に神の料理を食べろとは、この駄女神め」 「あ、いや、違うのじゃ、その、いや、違うのじゃ」 神が俺を睨んでいた。 「別に神の料理を聞いてくれと言っているわけではない、聞きたくなっただけなのじゃ」
「まあ、神の料理を聞いているのは分かってるけど、どうせ聞いたところで何のアテも無いだろうと思ったから聞いてみたという事なんだね」 「・・・いや、もうそんな、お断りだ」
「本当に何をそんなに固くなるのじゃ。私にはさっさとチーズマジックを作ってくれと聞きたいね、それとも神の手料理が先か」
そう言うと、神は何やらブツブツと呪文を唱え出し、何やら紙に何かを書き始めた。
神の料理を受け取り、次は神が俺に料理の旨さを話し始めた。
「そう、あの神の料理は私の作ったチーズナマコと比べて美味い。我にも出来ないのなら神の作ってくれたチーズナマコを食べてくれてもいいんじゃが、まあ、あまり神の料理は好きではないのじゃ」 「なんだか急に話が変わってない?」
「ええんじゃよ、まあ、食べてみなくてもかまわんじゃがね、あの神のチーズマジックには少し難点があってな、チーズナマコはチーズのような物じゃからこそ出来るなどと言って、我を騙して食べたのではないかと疑うているわ」
「あの、それはどういう事でしょうか、神様」
「簡単に言えば、チーズマジックはチーズのような物じゃからこそ出来るもんじゃよ、チーズナマコなどはチーズとしていれて使うことが出来るが、神の作ったチーズナマコは元のチーズのように使うことが出来る。それは神も分かっていることじゃが、これは何か特別何かがあるのは一目瞭然じゃからの」
「はい、しかしチーズナマコの甘さはチーズのように感じました、あまり食べることがなかっただけですよ」
神がチーズナマコを食べさせた理由
「うむ、分かっていたことじゃが、これは何かの魔法じゃないか、これでチーズナマコをチーズのように食べたんじゃ」
「なるほど、ありがとうございます。神」
「うむ、この食べさせられていたチーズナマコの入っていた袋は、神に与えていたのではないのかね」
「はい!何か秘密があるみたいです」
「それは大丈夫じゃよ、神は何も隠しておらぬからのう、秘密を知っているか、知らないところで秘密を知ってしまうんじゃよ」
「そうなのですか!それは心配になりますね」
その後、俺も一緒にチーズナマコを食べたが一口食べただけで、口は甘くなっても、美味しさがまったく感じられなかった、一口も口に入れてなかった、食べかけをしていたっけ。
今の俺ではチーズナマコの食べ方は何も分からない、いや、このチーズナマコ自体を食べてしまえばどうなるのかすら分からない。
しかもそのチーズナマコ自体はチーズナマコとして育ってきてからは味が足りなくなるらしい、どうやってまとめて食べるのか、チーズナマコと言えばチーズのような物で、チーズナマコという食べ物なのに味が足りなくなるとは一体どうなっている。
何をどうすれば味が味がせなくなり、甘さがなくなるのか、それすら分からない。
そんな感じで、チーズナマコは食べたけど、お金は払っていない、だからいらないとは言えない、しかし食べ損ねていた、これはこの世界には必要なのかもしれない、チーズナマコだけ食べれば、チーズナマコは足りなくなるというのもある。
それを聞いてもらう気もあったが、俺はこれから仕事がある為、帰った。
◇
翌日、俺はチーズナマコを買わずに仕事から帰った、今日は色々あり過ぎた。まず最初に俺は昨日の晩ご飯をまた一人で食べてしまったのだ。
神がチーズナマコを食べさせた理由を考えてみた。俺はチーナーマンだからという事もあるだろうが、やはり神の料理だからだろうか。でも、チーズナマコを食べたからと言って、チーズを食べていなければいけない訳ではない、俺はチーズナマコが好きなだけだ。
神の料理の話をすると神が不機嫌になるからな、これは神が自分で解決しないといけない問題なのか? そして神がチーズナマコを作ったりしていたから、神は俺と料理対決が出来なくなってしまった。それは申し訳ないが、これも俺が悪いという事になるのだろうか。
ただ、俺が作ったものを神が食べてくれるという約束をした。「そうだ、チーズナマコを売らずに食べさせてくれたお礼をしないとな」
そしてチーズナマコを作り始める。
俺は材料のチーズを買いに出かけようとする。
「うむ、それは必要じゃろう」
「なんだよ、神様はチーズナマコは嫌いじゃなかったのか?」
「それはそうじゃよ、だが神は料理は作るぞ」
「そうだな、じゃあチーズナマコを作るぞ」
「うむ、分かったのじゃ」
「そういえば、神の料理ってどこで売っているんだ?」
「それはじゃな、神の料理は基本教会じゃ」
「なるほど、でも教会は今度でいいかな」
「うむ、それならそれで良いぞ」
そして俺はチーズナマコの材料であるチーズを買いに出かけた。俺はチーズナマコの材料を買う為にスーパーに来た。
俺はいつもの特大サイズのカゴを持ってきていて、その中にはすでにたくさんの野菜が入っている。
俺は特大サイズの冷蔵庫を開き、中に入っている食材を確認する。
そこには大量のキノコと山菜が入っていた。
「あ、そうだ、確か前に神が作ってくれた、きのことたけのこと山菜の鍋があったな、あれにしようか」
俺が冷蔵庫の中に入っていた具材を見て、料理を考えていると後ろから声をかけられた。
神が作ったチーズナマコ
「あのーすみません」
「はい?」
「あの、その、ちょっとお話よろしいでしょうか?」
「ああ、はい」
「その、あの、実は私、神の料理を作れるのですが、その、もしよかったら神の料理を食べてみませんか?」
「神の料理?神の料理ってなんですか?」
「生命の源です。聖書ではマナとも、インド神話ではアムリタともいわれ、ローマ神話ではパーンともいわれています」
「へーそうなんですか」
「マナが訛ってナマコになったんです。この世界の片隅において神の料理とはすなわち栄養満点の御利益。チーズインナマコのことです。どうですこのこんがりと焼けたチーズナマコは」
「いや、結構です」
「え?」
「いや、いや、いや、いや、俺は神の料理はいらない」
「神様の好意を無にするのですか。冒涜は許さない」
「そうじゃなくて、神の料理はいらない」
「神の料理はいらないなんて、あなたは罰当たりな人ですね」
「罰が当たるってどういう事だ」
「そうですね、神の料理を食べないと神は悲しくて泣きます。神を泣かせたくはないでしょう」
「・・・まあ、確かに、神の料理は食べないけど、神の料理は欲しいな」
「そうですか、神の料理が欲しいのですね」
「いや、神の料理はいらない」
「神の料理はいらない?」
「いや、神の料理は貰うよ」
「そうですか、神の料理が欲しかったのですね」
「いやいや、神の料理はいらない」
「そうですか、神の料理が要らなかったのですね」
「神の料理はいるよ」
「神の料理はいりますか、それはそれは嬉しいことです」
「まあ、いいや、とりあえずチーズナマコを作ろう」
俺は買い物を終えて帰ろうとする。
その時にまた声をかけてきた者がいた。
その者は、見た目は普通の男に見えるが、顔は普通ではなかった。
目つきが悪く、眉間にシワを寄せているような顔をしている。髪の毛もボサボサで手入れをしているようには見えない。
服装は白いTシャツにジーパンだ。靴はスニーカーを履いている。
年齢は20代前半ぐらいだ。
俺が男の方を見ていると、男は俺の方を見ずに話しかけてくる。まるで俺が見えていないかのように。
俺が男の方に近づこうとすると、男が急に俺の肩に手を当てて止めようとした。
俺はそれに驚き、思わず大きな声で叫んでしまった。
すると、周りの人達が俺と男の事を見ていた。
しかし、俺の声が聞こえないのか、それとも見られても気にしないのか、俺の事は見えていないようだった。
俺が周りをキョロキョロと見渡して、誰も俺の事を認識していないことに気がつくと、男は俺に話しかける。
俺は驚いていたが、なんとか返事をすることが出来た。俺が答えている最中に俺の頭の中に直接語りかけるように、耳元で囁かれた。
そして俺が話し終わると、その言葉の意味を教えてくれた。
それは、神は俺がチーズナマコを作っているのを知っている。しかし神がそれを邪魔しないように、他の人にその情報を漏らさないように、神の力を使って俺を認識させないようにして、俺の事を見守っていた。
そして、俺が誰かに神について話すと、神は力を失ってしまう。だから神についての話は誰にも言わないこと。
俺はその話を聞いた時、すぐに理解した。この世界には神がいないのだ。だから、俺の目の前にいるこの人は神なのだ。
「そうじゃな、それは良い案かもしれぬな」
そして俺は気がついた時には家に帰ってきていた。いつの間にかチーズナマコを作っていたらしい。そして出来上がったチーズナマコは今まで作った中でも一番の出来で、チーズのような甘さで、しかも少しだけ塩の味がする不思議なチーズナマコが出来上がっていた。俺はそれを神へのお土産として持っていこうと思い、また神の所に向かうことにした。
「神様!これ美味しいっすね!」
「うむ、そうだろ!そうだろ!神が作ったのじゃから当然じゃな」
俺は神の所で、神の作ったチーズナマコを食べていた。俺が持ってきたチーズナマコを美味しそうに食べている。
神は嬉しそうな表情をしていた。神は自分のチーズナマコを食べて欲しいと思っていたのだろう。神は俺が買ってきたチーズナマコの話をするととても喜んでくれた。そして神と一緒に食べることになった。
「これはチーズのような物じゃが、味は違うものじゃからのう、チーズのようにはならないのじゃ」
「いやいや、それでも十分に美味しいですよ」
俺は神の作ったチーズナマコを頬張っていた。口の中で溶けていく感じですごく美味しい。
「しかし神よ、このチーズナマコという食べ物は、神の料理という事で売った方が売れるんじゃないか?」
「そうじゃな、それは良い案かもしれぬな」
神は何かを思いついたらしく、自分の持っている袋の中から、紙を取り出した。そして神の持っている紙には神の文字が書かれていた。
『神の食べ物 チーズナマコ』
そう書かれている。神の持っていたチラシは神の店の前に貼るためのものだったようだ。神はその神の料理を、神の店の前の壁という壁に貼り付けて行った。神の料理であるチーズナマコの宣伝をして行く。俺はその様子を見て、「神の料理ってそんな事までできるのか?」と不思議に思った。神は何回も何枚も、神の店の前の壁に貼って行って、全て貼り終えた。
神の料理であるチーズナマコの宣伝を終えた後、神はこのチーズの山を持って、教会に向かって行った。俺はそれをただ見ているだけしかできなかった。俺には何も出来ないからな。俺が神の背中を見ながら、神の手伝いをしたいという気持ちになっていたその時に、俺はふと疑問が浮かんできた。
「あれ?チーズって神が作っているんだよな?ということは神の料理はチーズなのか?」
俺は神の作る料理のことを考えていたが、結局は分からずじまいで、家に帰った。神がチーズナマコを売ってくれるか心配だが、まあ、神なら何とかなるだろうと思った。
それから一週間ほど経ったある日のことだった。
神が俺の家に来た。いつもの調子でやってきたものだから、「あ、久しぶり」とか言って来られたので、「ああ、どうした?」などと聞き返してしまった。そして神は「うむ、これをやろうと思ってな」と言って、一つの瓶を差し出してきた。
中には液体が入っていた。色は薄い青色だ。そしてその液体からは、いい匂いがしてくる。そして、そのいい香りの正体はなんとなく分かっていた。「おお、これはもしかして、もしかしなくてもワインじゃないですか」
「うむ、そうじゃ、これは神が飲もうと取っておいたのじゃが、特別にお主にやるのじゃ」
「ありがとうございます。でも良いんですか?神様のお酒なのでしょう?」
「よい、よい、神の酒をお主が飲むのは、神の使いとしての誉れでもあるのじゃからな」
「では遠慮なくいただきます」
俺は神からもらった、ビンに入っている、神の酒を口に含む。口に含んだ瞬間に広がる芳しい葡萄の味わい、しかし、飲み込んだ後の舌に残る、ほのかな苦味が印象に残った。
「・・・うっ・・・んぐ・・・ぷはぁ」
神が料理を食べた後
「うむ、どうじゃ、神の飲み物は?」
「・・・うぅ・・・」
「おい?大丈夫か?」
「・・・ううう・・・うまい」
「え?本当か?どうせまずいって言うんじゃろ」
「いや、めちゃくちゃ美味しいです」
「本当に?」
「ああ、こんな美味いものを飲んで不味いなんて言えないよ」
「そうか、それは良かった」
「・・・いや、でもこのワインは一体どこにあったのですか?」
「それは秘密じゃ」
「そうですか、それじゃあ仕方がないですね」
「そうじゃろ、そうじゃろ」
「はい」
「ところで、今日はどうしたのじゃ?」
「えっと、神の料理が欲しくなってきました」
「そうか、そうか、そうじゃな、神の料理は必要じゃな」
俺は神の料理が欲しいと伝えると、神は笑顔になって、俺に神の料理を渡そうとしてくれた。
「神の料理は、今ちょうど出来たところなのじゃ」
「そうですか、それは楽しみです」
「よし、神の料理を食べさせてやるかの」
「はい!」
神が取り出した神の料理は俺が見たこともないような料理だった。神の料理というのは毎回変わっているようだ。神の作った料理はどれもこれも美味しく、俺の好物ばかりだ。そして今回は特に俺の好きな物ばかりだった。俺はその神の料理を堪能していた。
「美味しかったです。ごちそうさまでした」
「うむ、満足したか」
「はい」
「では、また明日くるからの」
「また明日お願いします」
神は帰っていった。神を見送ると、俺は寝る支度を始めた。
「はあ、やっぱりあの神、優しいんだよな」
俺は神の作ったチーズナマコを食べ終えるとベッドに倒れこんだ。
神の作ったチーズナマコはとても美味しかった。神が作ったチーズナマコを食べると幸せな気分になる。俺はこの幸せを噛み締めながら、
「明日も美味しい料理、食べれるといいな」
などと考えつつ、眠りについた。
次の日俺は、神の料理を食べた後、いつも通りに仕事に向かった。しかし今日の俺はどこかおかしい。なぜか胸騒ぎがしているのだ。俺は仕事をしている間もずっと考えていた。「一体なんだっていうんだよ、全く、変な胸騒ぎがする」
しかし、考えれば考えるほど分からなくなってくる。そこで俺は思い切って上司に話してみることにした。
「すみません」
「ん?なにか用かね?」
「いえ、少しお聞きしたいことがあるのですが」
「うん、なんでも聞いてくれ」
「あのー、最近なにか変わったことはありませんでしたか?」
俺はそう聞いたが、「は?そんなことないぞ?」と返されてしまった。「そ、そうですよね。ははは、ははは」俺は適当に返事をしたが、心の中では不安が渦巻いていた。
「なにを言っているんだね君は、さっきから」
「いえ、別に、ははは」
俺は笑い返すだけで精一杯だった。
「じゃ、じゃあ、僕は失礼しますね」
「ああ、わかった」
そう言って俺は席を立ちあがった。そして帰り道、俺は自分の家に向かう道を歩いていた。
そして俺の横には女神がいる。俺と一緒に歩いているのは当然神なのだが。俺が話しかけようとすると、神は何かを言い始めた。
「おい、お主よ」
「はい、なんですかい?」
「お主はなぜ神の料理を食べなかったのじゃ?」
「え?あ、いや、だって神様の料理だし」
「まあ、そうじゃな。でも食べた方がいいのじゃぞ?」
「いや、ちょっと食欲がなかっただけですよ。それに昨日の夜、美味しいものを食べたので」
「うむ、美味しいものは美味しいうちに食べるのが一番じゃからな」
「はい」
「うむ、それでいいのじゃ」
「はい」
神に助けを求めようとした
俺がそう答えると、神は納得したようにうなずいた。そして俺は神に別れを告げて自分の家に帰る。俺は家に帰ってすぐ、神からもらった神の酒を飲もうとしたが、まだ残っていることに気がついて、一人で晩酌を始めることにした。「・・・うぅ・・・うまいな」
俺は一人酒を楽しんでいると、だんだん眠たくなってきた。「少し酔ってきたし、そろそろ寝ようかな」
俺は部屋に戻るとすぐに布団に入った。そしてそのまま寝てしまった。
次の日の朝、俺は目を覚ます。しかし目の前の光景を見て愕然とした。なぜならそこに広がっているのは、いつもの部屋ではなかったからだ。そこには草原が広がっていた。そして俺の周りは木に囲まれている。「な、なんじゃこりゃ!?」
俺が驚きの声を上げると、後ろの方で声が聞こえた。
「ん?なんだい、騒がしいねぇ」
俺はその声を聞いて、振り向くとそこには老婆がいた。俺はその老婆に向かって「あんた誰だ?」と聞くと、その老婆は答えた。
「ああ、私は女神だよ」
俺はその言葉を聞いた時、あまり驚かなかった。いや、むしろ当たり前だとすら思っていた。この世界はきっと夢の中だからだ。夢の世界なら何が起きても不思議ではない。「ふーん、そうなの」
「はい、そうです」
俺がそういうと女神は「なにか不満なの?」と言ってきたので、「いいえ、なにも」と答えた。「そういえばあなたの名前は?」と聞かれたので、俺は素直に名前を言う。「俺は田中 和馬って言います」
すると「へぇ、良い名だね」と言われた。「ありがとうございます」と答えて、「では俺はこれで」と言うと、女神は驚いた顔になった。どうしたのかと思いきいてみた。
「あ、いや、別に何でもないよ」と言われてしまった。まあ気にすることでもないと思ってそれ以上は聞かなかった。そして俺は帰ろうとするが、俺の足は地面に貼り付いたかのように動かない。
「どうしたんだ?」と思って足元を見ると、草で地面が見えなくなっていた。「ああ、なるほどな」と思っているとその隙を狙っていたのか、「ねえ、私の話をしましょう」といきなり言ってきた。そしてその話は始まった。
女神の話の内容はとても興味深かった。その話を聞いた後、俺は女神と楽しく話をしながら過ごした。その楽しい時間も終わりを告げるときがくる。
そして時間は流れていく。しかし俺はいつまで経っても起きることができない。いくら時間が過ぎようとも、俺は起きられない。そのことに気づいた俺は焦っていた。どうすればいいのだろうと考えていると、俺は一つの結論を出した。
それは神がこの世界に来ればいいということだ。そう思って俺は神の方を向いたがそこに神はいなかった。
どこに行ったのだろうと探してみると、神は俺の近くに座っているのを見つけた。俺はその神の方に近づきながら話し掛ける。
俺はその時に気がついたのだが俺はもうこの世にいない存在となっていた。つまり幽霊のような状態になっているのである。だがそんなことは今はどうでもよかった。神を見つけられて、安心感を覚えたのだ。しかし神は俺の事が見えるのに、俺の事を認識できていない様子だ。
俺はそれでも構わないと思っていた。神と会えるだけでも良かった。
神に声を掛けようとしたその時、突然大きな音が鳴った。そして俺はその音の原因を知った。それは俺の死んだ時のものだった。そして俺はその音の正体に気づく。その瞬間俺は怖くなった。自分が死ぬのが嫌だと思った。そして神に助けを求めようとしたが、神は俺の存在に気づいていなかった。俺は必死に叫ぶ。しかし神は気付かない。
神に聞いた
やがて俺は自分の死を受け入れ始めた。それは抗えない運命のようなものに感じられた。俺は最後に、神に話しかけたかった。
俺はもう一度勇気を振り絞る。そして俺は神に声をかけた。
神に呼びかけると神は驚いてこちらを向いた。俺はその神の姿を見て嬉しかったが、やはり神は自分を認識していない。それが分かったが、俺は神のそばに行きたかった。そこで俺は考えた。どうにかして神をこの空間に連れてこれないかを。
しかしどうやってもそれは無理そうだと諦めかけていたが、俺は思いついた。神に俺を認知させてやろうと。
俺はそう思いつくとすぐに行動に移った。まず俺は神の前に行く。神はまだ驚いて固まっていた。
「こんにちわ」
俺は神に挨拶をした。しかし返事はない。そこでまた考える。俺は神の肩を叩こうとした。しかしすり抜けてしまう。俺はそれを予想していたので次の作戦に移る。俺は神の頭を撫でようとした。これも駄目だったが、俺は諦めない。俺は神の頭に手を置いた。神の頭はとても小さく俺の手の中にすっぽりと収まるほどだった。そしてそのまま撫でていると、次第に反応が返ってくるようになる。
そして神は笑顔になりながら言う。
「あれ?君なんで私に触れられるんだい?君は一体・・・?」
俺はそれを聞くと「神様のおかげなんです」と言い、説明をしようとした。
しかし神の「ちょっと待ってくれるかい?君の話が先だ」という言葉によって止められる。俺は少し戸惑ったが「分かりました」と言った。そして俺は自分のことを全て話すと、神は涙を流しながら俺のことを抱きしめてきた。そして「辛かったろう」と呟く。
俺も泣いてしまった。今までの苦労が報われたような気がしたのだ。
しばらくして俺は神と手を繋ぎながら話を始めた。これからのことについてを。「神様、今更こんなことを言うのもなんだけど、この世界を守ってくれませんか?」
俺は真剣な眼差しでそう聞いた。すると「ああ、約束しよう」と即答してくれた。俺は「本当にありがとう」と礼を言うと、「いやいや、こちらこそだよ」と言われた。
その後、俺たちはこの世界の現状をお互いに確認し合ったが大体の事は把握できた。俺は神から聞いたことを整理し終えたところで一つ質問をしてみることにする。
「あの、女神様?」
「うん?なんだい?」
「あの、この世界には俺みたいな人っていないの?」
そう聞いたのはなぜなのかは自分でもよく分からなかったけど、俺は聞いてみたいと思った。
「ああ、今のところはいないと思うよ」
神の言葉を聞いて少しだけホッとしたが、少し引っかかるところがあった。俺は続けて聞いてみた。「じゃあ・・・もし・・・もしもだけど、いるとしたら、どういう人たちなの?」
俺は緊張しながらそう言った。すると神は優しい声で俺に向かって答える。「そうじゃな・・・例えば、いじめられっ子とか・・・引きこもり・・・ニート・・・とかかのう」
俺は「へえ」とだけ答えた。
そして俺が思っていることが正しければ俺と同じ境遇のものがいるということなのだ。少しだけ希望が持てるような気がした。俺がそんなことを考えていると神が俺の方を向いて話しかけてくる。
「まあ、お主の思う通りじゃよ」
そう言われて俺は驚いたがすぐに冷静さを取り戻した。そして「やっぱりですか」と言うと、神は続ける。
そこから神が言う話は本当だと感じた。俺は信じられなかった。でも信じるしかなかった。
その話の内容を聞いていくうちに俺はどんどんその現実が本当のようにしか考えられなくなっていった。
中学三年生の時に体験したこと
俺が思っていたよりこの世界は過酷で厳しいものだと実感した。そしてこの世界をなんとかしたいと強く思った。
俺の話を一区切りついたところで神が何かを話し始めた。俺はそれを黙って聞いていた。神が何を言っているのかよく分からない時もあった。でもその話は心に響いた。
その話を聞いた俺は涙を流すこと以外できなかった。俺はただその言葉を聞いて、自分の無力さを改めて感じるだけだったのだ。
そしてしばらくした後、俺と神は別れることになった。
神は元の世界に戻らなければならないからだ。俺が神を見送ろうとすると、急に後ろの方で声が聞こえた。俺がその方を見るとそこには俺がこの世界にやってきて最初に見た女性がいた。女性は俺の事を見ていた。俺が見つめ返すと目を逸らされてしまう。俺はその態度を見て少し悲しくなる。そして俺は、女性のところまで走っていき抱きつこうとするが避けられてしまう。そして俺は女性が歩いて行ってしまう姿を目に焼き付けると俺はその人の後ろ姿を追いかけた。
追いかけたがなかなか追いつけない。そしてだんだんその距離が離れていく。しかし途中でその人は止まってしまった。そしてその人が振り向くと口を開く。その口から発せられた言葉は、俺にとってとても嬉しい言葉だった。そしてその言葉を聞いた俺の頬は自然に緩んでしまう。そして俺はその人と別れた。
それからは、その人の後をずっと追っていたがその人を捉えることはできなかった。しかし俺が走っていると突然、その人が姿を現して俺の方に近づいてきた。俺はその人に気づかれないよう、後をついていくとその場所に着いた。そこは俺が初めてその人と会った場所だ。
そこで俺が見ていると、その人が現れた。しかし今度は二人いるようだ。その人たちは何やらもめていた。しかし俺にとってはそんなことは関係なかった。俺は二人の会話に聞き耳を立て始める。
どうやら俺について話をしているようで、俺は俺のことを覚えていないということが分かった。しかし俺はそれでいいと思っている。なぜなら俺の存在はその人にとっても俺にとっても迷惑をかけることになるだろうと思ったのだ。だから俺はこれでいいんだと自分に言い聞かせるようにしてその人達の話を聞き続けていた。
しかし突然、片方の人物がもう片方の人物に殴りかかると二人は喧嘩を始めてしまった。そして俺が止める前に殴り合いが始まろうとしたその時、突然、俺の視界は暗転した。俺のすぐそばに巨大な歯が並んでいる。一目見て人間の永久歯だとわかった。上にも下にもぐるりと取り巻いている。つまり俺は誰かの口蓋にいるのだ。そういえば足元がふわふわしている。
「げっ、舌じゃねーっつーの。誰だよ俺を食おうとしているのは?」
と思う間もなく巨大な声がした。「うめーな。チーズナマコ」
うわー!最悪。食べられてる最中だ。早く逃げないと、と思っても体が動かないしどうしたらいいのだろうか。と悩んでいると大きな手がのびてきて俺の体を掴むとそのまま持ちあげられてしまったのであった。俺は抵抗することもできず、ただ運ばれていったのである。
終了。
あとがき。この物語は私が中学三年生の時に体験したことを小説にしたものになります。
この作品を読んでいただいたら分かると思いますが、主人公は私です。
なので、私の実体験を少し変えたものとなっています。
ただ、最後の部分は少し変わっており、物語としてはつながっていません。
(書いている途中に、このシーンは絶対に必要だと思い変更しました)
読んでいただきありがとうございました。
ではまた次の作品で。