編集者:あちゃぱ
↓本名↓
『ただいまヤクザ、修行中!!』
火事で両親を亡くし、腕に火傷を負った少女、夕菜。
親戚の家に引き取られたが、毎日は苦しかった。
ある日、火傷の痕を見てしまった僚太にヤクザの屋敷に連れてこられる。
一見怖いヤクザだが、彼らの“家”は差別も、偏見もない、自由な世界だったー。
#ちょいグロ(かも?)、最終的には恋愛です(薄めだけど)
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目次
第一章
このお話はフィクションです。
実際の団体、お店などに関係はありません。
ちょっとグロが入るかもしれません。
今、戦いが始まる。
私が、私でいられる場所を、手に入れるために。
第二章
始まりは、いつもと同じだった。
目覚ましのセットをしわすれて、おじさんの怒鳴り声で目を覚ます。
急いで着替えて、朝ごはんを作る。
ふとスマホを見たら雨が降と書いてあり、急いで洗濯物を取り入れる。
すると、まだ沸かないだろうと思っていたお湯が沸いてしまって、大惨事になった。
それでもなんとかご飯を作り終わってぼーとしていたら、美咲ちゃんの入れていたオレンジジュースが制服の袖にかかって着替えなくてはなくなった。
そして、なんと、腕でいつも巻いている包帯を巻き忘れて学校に行ってしまったのだ。
まだ肌寒く長袖だったからよかったが、長袖のせいで着替える羽目になった。
半袖だったら、包帯がオレンジジュースまみれになることだったが。
朝からバタバタして、
山道を自転車を爆走させて学校に行った時は、もうへとへとだった。
でもお金を払ってもらっているから、授業を寝ることなんてできない。
お昼になって、お弁当を忘れたことに気がついた。
お弁当といっても、朝ごはんの残りのおにぎりだが。
学食はあるがお金がない。
お昼ご飯の時間が空いたから落ち着くためにトイレに行って戻ったら、
自分のスリッパがない。
わざとらしく、廊下の隅に置かれていた。
泥付きで。
帰りは下だがなんだか帰る気がせず、自転車でぶらぶらしていた。
ある、小さな公園を見つけた。
本当に小さくて、雑草が伸び放題。
ガタンゴトンと電車の音がする方に行くと、
奥の方に柵があった。
柵の下に、線路があって、電車が走っていた。
公園には小さな象の滑り台とベンチが、
砂まみれになって置かれていた。
「はぁ」
ベンチに座って、線路のある方を見た。
夕日が、沈み始めている。
もうすぐ暗くなってしまう。
ふと、自分の腕を見た。
何も考えず、ただ、さりげなく。
その瞬間蘇る、あの記憶。
燃え盛る炎。
人々の悲鳴。
両親の、最後に聞いた声。
「うぅ…」
涙がポロポロ出てきて、止まらない。
「会いたい…会いたいよ、お母さん!!」
「どうしたの?」
第二章 2
バッと振り返った。
聞かれていた。
誰もいないと思ったのに。
そこには、黒いパーカーを着た、若い男の人が立っていた。
「君、高校生?どうしたの?」
「…っつ!」
声が、出ない。
男の人は近づいてきて、
「ーえ」
腕の、火傷を見た。
「なっ何するんですか!?」
急いでそれをおろして隠したが、腕を掴まれた。
かなりの力で、痛い。
「これさ」
男の人が何か言っているが、聞き取れなかった。
怖い。
痛い。
嫌だ。
とたん、腕を離した。
「あっごめんね!急に掴んで!!」
「いえ…」
「で、その火傷の痕なんだけど」
なに?
何を言うの?
醜いって?
気持ち悪いって?
スカートの裾をギュッと握った。
「ウチの、代紋に似てる」
「ーへ?」
代紋?
だいもん?
ダイモン?
意味のわからない言葉だ。
家紋なら聞いたことはある。
でも、代紋ってなに?
すると突然、男の人がふふっと笑った。
「代紋ていうのは、家紋と同じ感じだよ」
「あ、そう、なんですね…」
「ねえ、君なんていうの?」
いいのだろうか。
名前を教えても。
「僕は僚太。君は?」
「夕菜…です」
名乗られたら、名乗るしかない。
「夕菜…ぴったりの名前だね」
それからしばらく、沈黙だった。
わざわざ自分まで名乗って、この人は誰なの?
「夕菜、ウチにこない?」
「へ?」
「僕の家、ヤクザなんだけど」
『僕の家、ヤクザなんだけど』
こんがらがった頭のまま車に乗せられて、僚太さんの家に向かった。
なんていうか、断れなかった。
僚太さんの、その、目が、怖かったから。
「はい、ついたよ」
「うわぁぁぁぁ!」
僚太さんの家はすごく大きかった。
中に入ると、さらに大きく感じられた。
でも、時々すれ違う人たちはみんな怖くて、ヤクザなんだってことがわかった。
「僚太」
「司さん」
僚太さんの名前を呼んだのは、金髪の、ピアス大量の、高身長の男だ。
「若と呼べと言っているだろう」
「へいへい!」
若。
聞いたことくらいはある。
次の、トップになる人のことだ。
「その子は?」
「火傷のあざがあって、ウチの代紋に似てるからうちの子じゃない?ってこと」
「〜ったく、お前はいつもいつも!」
そこからは何か話しているが、聞き取れなかった。
「おい」
急に、金髪の人に話しかけられた。
「は、はい」
「お前、今日からウチのもんな」
「はい?」
ウチのもんってどういうこと?
この、ヤクザの?
「今日は休め。客間を用意する」
「え、でも帰らないと…」
「大丈夫だよ!お友達の家に泊まってるとか、連絡しとけば」
横から、僚太さんが言ってきた。
これから私、どうなっちゃうんだろう。。。
第三章
「おい」
遠くで、声がする。
「おい、起きろ!」
起きろ?
嫌よ…。
まだ寝ていたいもの…。
「起きろ!この、バカ!!」
バ、バカ!?
「うわぁ!」
ガバッと跳ね起きた。
右には、大きな足が。
足をつたって上を見ると、金髪の人がいた。
「朝飯の時間、終わるぞ」
「へ?」
急いで着替えて、金髪の人に連れられて朝ごはんを食べに行った。
朝ごはんは大皿が長い机に並べていて、どれも美味しそう!
でもご飯を食べる前に、食堂の前に立たされた。
え!?
「今日入った夕菜だ。みな、よろしく」
「はい!!!!」
それだけ言うと、金髪の人は食堂を出て行ってしまった。
「ここおいで!」
一人で突っ立っていたら、右の机から声をかけられた。
色が濃くて、ゴツそうな人。
うわ、怖そうだな…。
おそるおそる、開けてくれた椅子に座ると、
「夕菜、俺は俊だ」
「よろしく、お願いします…」
「わかんないことあったら、なんでも聞いてな!」
「はい…」
ご飯は、本当に美味しかった。
周りは男の人たちばっかで、同じお皿突くのにちょっと躊躇ったけど、
それじゃ、食べれないしね。
でも、私の小皿にいろんなひとが「これは好きか?」ってとってくれる。
あれ。
意外と、怖くないかも…?
第三章 2
ご飯を食べ終わったら、俊さんが
「屋敷、案内するよ」
と言うため、お言葉に甘えさせてもらおう…。
「門から入って玄関の右側が、俺たちの部屋とかがある。
反対の左側が、組長や若が住んでいるところだ。玄関の奥の部屋が大広間な」
「なるほど」
思っていたよりも、作りは複雑じゃなかった。
「俺たちは全国で1万人を超える、尾田組だ。この屋敷はその本部で、三十人くらいが住んでる。
トップは尾田光組長だ。毎週月曜日の朝礼で、お目にかかることができるはず。
次が若。司さんと言って、長男だ」
「もう会いました」
「ああ、そうだったな。
次男が仁。三男が冬馬というが、冬馬さんは、俺は一度も見たことがないんだ」
「どうしてですか?」
「部屋から出てこないんだ。ご飯とかは全て若が持って行ってるらしい」
要するに、引きこもりってわけか。
にしても司さん、過保護すぎない?
屋敷をぐるっと回って、食堂に戻ってきた。
「尾田組は暴力的なことは一切しない。この街の平和と、市民の安全を第一とするヤクザグループだ」
「そ、そうなんですね…」
そんやヤクザ、いるんだ。
みんな喧嘩してるだけなのかと思ってた。
「外の仕事する外組と、屋敷のことをする内組にわかれてるけど、夕菜はどっちがいい?」
そんなの、絶対内組でしょ。
「内で」
「了解。内と外はいつでも変えれるから、変えたくなったら言ってな。
それと、内具の仕事は全部で4個あるんだ。掃除組、料理組、情報組、洗濯組だ。料理組っていうのは組長とかに出す料理で、さっきの朝ごはんとかは、当番制で作ってるんだ。どれがいい?」
「洗濯…が、楽そう」
「どうだろ?
どれも楽しいよ。
これも、いつでも帰れるからね。
じゃあひとまず、夕菜は掃除組で」
「ありがとう。俊さんはどこなの?」
「俺は内組の料理組だ」
「え、料理!?」
そんなの、絶対できないじゃん!
「うん。楽しいぜ!」
「へぇ〜」
こんなガタイといい人が料理って、面白いな。
「あの…」
「ん?どした?」
今日は私はお休みということで、部屋まで俊さんがついてきてくれた。
「僚太さんはどこにいますか?」
第三章 3
流されるままヤクザの世界に入ってしまい、ヤクザの家に住み、働くことになったが、こんなのいいだろうか。
そう考えたら、原因は僚太さんだ。
文句ひとつくらい言ってもいいだろう。
それから、家には帰らないといけない。
一旦家に帰って、おじさんを説得して、荷物をまとめよう。
「僚太?さあ?
あいつ、風来坊だから。
居場所は知ってるのは若くらいだよ」
「そうですか…」
ならしょうがない、このまま家に帰ろう。
「すまんな」
「いえ」
家に着いて、おそるおそるドアを開けた。
連絡はしたけれど、絶対に怒られちゃう。
どうやって説得しよう。
ヤクザになりました?
絶対違う。
ふと床を見ると、みたことのない靴があった。
美咲ちゃんが新しい靴でも買ったのかな、と思ったけど、
美咲ちゃんはこんなぼろそうな靴買わないし、なによりサイズが大きい。
なんとなく足を忍ばせてキッチンに近づいたら、中から声が聞こえた。
「だから、なんで夕菜が!」
え、私?
「大丈夫ですよ。彼女はもうすぐきますから」
え、誰?
それに、この声って…。