女の子の等身大のきもちを、みじかい散文詩に。
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目次
恋にしかならない
ホームのあちらとこちらで
線路をはさんで向かい合った
「またね」と手をふる君
「またね」とこたえる私
そんな笑顔を見せられたら
”ともだち”になんて、なれないと思う
今なら忘れられる
今ならあきらめられる
ずっと思いながら
タイミングを計りかねてた
同じ中学に入って
同じ高校に入って
今年で最後
何度目の「またね」か分からないけれど
そんな顔を見ていたら
恋するしかないと思う
『とびら、閉まりまぁす』
滑り出した電車を見送って、ひとり
目の前がにじむ
本当は知ってる
君が私を、ちょっとだけ好きなこと
でもそれは、”ともだち”にしかならないと思う
恋にはならないと思う
どうしよう
悲しい
今なら忘れられる
今ならあきらめられる
どうしよう
もう会いたい
どうしよう
恋にしかならない
気づいちゃった
気づいちゃった
私、あなたが視界に入るだけでウキウキする
気づいちゃった
私、あなたと話すとうれしくて飛び回りたい
気づいちゃった
私、あなたを考えると笑顔になる
気づいちゃった
私、あなたといるとすごく照れくさい
気づいちゃった
私、あなたと仲のいい子が嫌い
気づいちゃった
私、あなたを見ると泣きたい
気付いちゃった
私、ずっと好きって言いたかった
何度だって、言いたかった
気づいちゃった
私、もっと早く告白すればよかった
もっと早く、気づけばよかった
ちいさな気付き
朝起きて、顔を洗って、学校に行く。
勉強して、くだらないことで笑って、家に帰る。
つまらない繰り返し。
うんざりしても、毎日は変わらない。
変わらなきゃ、と思ってた。
誰かに変えて欲しい、と思ってた。
でも、おばあちゃんは言ってた。
「あれこれ考えたって仕方ないよ。
焦ったって仕方ない。
人間はね、今日という日を過ごして、終えることができるだけで幸せなんだよ。
なんでもない、いつもそこにあるものが一番大事なんだから。
欲張っちゃいけない。
今あるものを大切にしなさい」
今日がちゃんと終わるかどうかは、だれにも分からないから。
人生はいつどうやって終わるか、だれにも分からないから。
目の前にあるものを大事にしないと、後悔するよって。
そうなんだろうか。
そうなのかもしれない。
いつもそこにあるものが突然消えてしまうって。
想像すると怖い。
放課後のおしゃべりも。
部活の君を目で追えるあの廊下も。
金曜日の配信も。
弟とのケンカも。
お母さんの甘いカレーも。
死んだら消えてしまうけれど、死なない限りはそこにある。
なくなったら怖いもの、いっぱいある。
特別じゃなくても、手放せないもの、いっぱいある。
そう思うと、今の私って結構幸せなのかも。
「みんな数え切れない宝物を持っていることに、気付いてないだけなんだよ」
そう教えてくれたおばあちゃんは、もういないけれど。
言葉は残った。
死んでも残った。
私の中に、ちゃんと生きて残ってる。
それはやっぱり、宝物なんだと思う。
小さくても奇跡に近い、幸せなんだと思う。
そのことを知ってる私って、ちょっとすごい。
知らなかった私より、だいぶすごい。
そう思ったら、変わらなきゃって焦っていた自分が小さく思えた。
今日はそんななんでもない、特別な日。