シリーズ名の理由は色んな人に知ってもらいたいから。()
綺麗な綺麗な短編集です
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掉尾の晩夏
百合っぽいのありです。
夏休み、クラブで集まる生徒達。爽やかに声を掛け合って、絵を描いたりグラウンドで声を上げて試合をしたり…そんな生徒を眺めながら私は補習の為に学校に呼び出されていた。
「このままじゃ赤点どころか0点だぞ」だと。
いいじゃん別に、生真面目にそんなことやらなくたって。
教室には先生ともう一人の赤点のクラスメイト。特別仲がいい友達がいるわけでもないし、仲が悪い人がいるわけでもない。
馴れ馴れしく呼び合う仲も、いじりあう仲もない。
まあメリットもデメリットもないただのクラスメイトくらいにしか思われてない。
嫌だなぁ、としか言いようがないんだけど…
困った。変な考え事ばっかりしてたら全く進まない。
あー、やだやだ。頼る人がいないから今日もひたすら待つのか…
「ねぇ、今どの辺まで進んだ?」
明るい声でもう一人の赤点の…名前も分からないクラスメイトが話しかけてきた。
「え?あ、あぁ…5番の二問目…」
「私ほとんど終わってるからさ、教えるよ!そこ難しいし!」
「え、あぁ…うん…?」
…なんで出来てるのに赤点取ったんだ?
「5番の二問目はひっかけ問題というか…」
説明も上手いし…
「ここでつまずいただけだから…」
「まだまだ教えれるけど、教えようか?」
「じゃあ、お願いしようかな…?」
「うん!」
そうやって先生が戻ってくるまでになんとか課題を終わらせることができた。
「お前ら点数悪かったのによくできたな…これテストの難題結構集めたやつなんだけど」
「え?」
「難しいと思ったら…」
「よし、じゃあもう帰っていいぞ」
「やったああ!!」
家にさっさと帰って音楽でも聴きながらゲームしよう。
「あ、ねえ。えーっと名前が分かんないんだけど…」
「葵です」
「じゃあ葵ちゃん、一緒に帰ろうよ!」
そう言って暑さでぐったりしている私に手を差し伸べてきた。
相手は女だけど…一目惚れ、ってやつかな…?
優しく笑う彼女は、まるで今年を「非リアな私」の最後の晩夏にしてくれそうだった。
テストで裏表合計100点取りました。