鬼滅の刃の世界線。
原作無視の日常とか偶に任務とか……
短〜中編集を描こうかな、って心がけてはいる。
たまーにキメツ学園とか現パロとか書くかも
名前見た目固定なオリキャラ一名。
多分自カプなんだろうなって思いながらも書くよ。
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目次
軽くキャラ紹介と概要。
名前:篠原 澪(しのはら みお)
年齢:15歳
性別:女子
呼吸:水の呼吸
---
**キャラ概要**
いつも明るくて、人懐っこいタイプの子。
だけど鬼狩り時になると性格が一変、冷静で鬼に一切の情けをかけない。
いつも素早い正しい判断をしようと心がけている。
芯が強くて、一度決めた意見は曲げようとしたりしない。
すっごい義勇が好き。
義勇の継子で、義勇といる時はいっつもひっついたり甘えたりしている。
他の人の前よりも義勇と二人きりでいたり、一緒にいる時は周り関係なしにいつもより甘えている。
稽古とかもしっかり心がけていて、いつも楽しそうだとか。
無茶する事が多い。特に義勇がみているとめちゃくちゃ無理しようとする。
その結果、毎回怪我をしたりしてみんなに迷惑かけがち。
---
**見た目**
全体的には小柄で、中性的な見た目をしている感じ。
髪:淡い青銀色、インナーカラーに青黒い感じの灰色
肩までぐらいのセミロング、片目が隠れかけている
眼の色:空のような青色
身長:157㎝ぐらいの大きさ
小柄だからあまり力はないが、鋭さで鬼の首は斬れる。
---
**キャラ関係**
かまぼこ隊:炭治郎とは浅草辺りから、善逸・伊之助とは鼓屋敷辺りから一緒に行動している関係。
炭治郎→お兄ちゃん的存在。優しいなって思いながらも無茶しすぎかな……って思っている
禰󠄀豆子→すっごい可愛い妹みたいな子。鬼なのになんでこんなに優しかったりするんだろうなぁって不思議に思っている
善逸→へなへなしているけどしっかり強い事はわかっている。でもうるさかったりすぐに泣きついてくるのは困るけど常識人だよね……って考えている
伊之助→無茶しすぎじゃないかな……ってよく思っている。でも協調性あんまないから頑張って合わせて欲しいところもあるなって思っている。
---
**その他**
継子だから義勇と一緒に住んでいる。
家の中ではしっかり自分のことをしてから甘えたりしに行く。
でも義勇側から無意識に優しくされたり、意図して頭を撫でられたり褒められたりするとよくあわあわしてしまう。
作者が好き勝手書くだけ。
唯の妄想小説です🙂
稽古後の休憩。
ただのいちゃいちゃ。
こんなものが多いです基本
庭や室内に、木刀同士がぶつかり合う乾いた音が鳴り響く。
今は、義勇さんと一緒に稽古をしている最中だった。
「っ、……!」
一生懸命技を打ち込みにいってはいるけど、全く通らずに義勇さんは涼しい顔で全て捌く。
悔しくて、顔を少し歪ませながらもさらに攻撃を激しくしようとするけど、体が動いてくれない。
「お前はそれが限界か?」
義勇さんが少し厳しくそう言ってくる。
限界じゃない、って言いたいけど、言えそうにない。
「げ、…かぃな……わ……」
息がだえだえになって、段々肺に新鮮な空気が入ってこなくなってつらい。
義勇さんは少しため息をついた後、少し強めに木刀を弾いて
「休め。無理にやろうとするな」
って言って、私の持っている木刀を掴んで無理やり止める。
「っ、ごめ……な…」
急に止められたため、疲労が一気に襲ってきてその場に座り込んでしまう。
足がガクガクして、手が震える。
自分の体が限界なんだな、って体が一気に訴えてきているのが理解できた。
「立てるか?」
って優しく聞いてきてくれるけど、動けそうになくて頭を横に振る。
すると、木刀を二本持って先に縁側に向かってしまった。
でも少しすると私の元に帰ってきて、何も言わずにひょい、と急に持ち上げられて抱き抱えられる。
「ひぁっ!?」
急に抱き抱えられてしまい、変な声が漏れてしまった。
抱き抱えられたことで義勇さんの顔が近くなって、恥ずかしくなって思わず目を逸らす。
でもそれを見られていたのか、
「どうした?」
って聞かれてしまう。
「い、いえ……ただ顔が近いな、って……」
そういい、自分の顔が赤くなるのがわかった。
心音もさっきのきつかった時と同じぐらい鳴っていて、本当に恥ずかしいって感じてしまう。
「……そうか」
そのままクスッと笑った。
「っ、………」
笑った顔が角度がついてさらにかっこよくなっていて、本当に恥ずかしくなる。
いつもはこんな事ならないのに、今日はおかしいのかな…とか思いながらも歩くたびにくる微かな振動に揺さぶられる。
「わざわざすみません……」
少し申し訳なくなってしまい、ボソッと言葉を漏らす。
でも当の本人は気にしていないかのように、
「気にするな。立てなかったんだろ?」
って聞いてくるから、その通り過ぎて何も言えず黙りこくった。
そんなやりとりをしてると、縁側に着いたのか優しくおろして座らせてくれた。
ぐったりしながらも、なんとか座っている体制を保つ。
義勇さんが隣に座ってきて、ぐいっと私の頭を肩に寄りかかるように寄せてきた。
「えっ、あ…いいんですか?」
戸惑いながら聞いても、何も言ってこない。
まぁでもいいんだろうなって解釈して、体を義勇さんの方に預けた。
「……ねえねえ義勇さん」
ちょっと甘えたような声を出して、義勇さんの事を呼ぶ。
義勇さんは不思議そうにして
「なんだ?」
って聞いてくる。
義勇さんの肩にちょっと頭をぐりぐりさせながら
「……頭撫でてください」
なんて言ってみた。
ちょっと恥ずかしかったけど、少しだけ甘えたい気分だから関係ない。
少しドキドキしながら、目を瞑って待つ。
「ふふ……いいぞ」
「……!ありがとうございます!」
義勇さんの大きい手が、私の頭の上に置かれて優しく撫でる。
手からぬくもりが感じられて、すごく嬉しくなる。
足をぶらぶらさせて、手に頭をさらにぐりぐりさせてもっと、なんて甘えてみる。
それをみてかはわからないけど、撫でていた手でぐいっと体ごと寄せてきた。
「?どうしたんで……きゃっ!」
急にそのままぽす、っと膝枕をされた。
「え、ちょ……ぎゆ、さ…?」
「嫌ならやめるが……どうする?」
「嫌では、ないんですけど……でも……」
ふい、っと視線を外した。
「なら偶にはいいだろ?」
「ひ、ひゃい……」
でも特にそれ以上やってくるわけでもなくて、ただただ膝枕をしてきただけだった。
ちょっともどかしかったけど、まぁいいかなぁ……なんて考えながら身を委ねる。
ふと、ドッと2回目の疲れが襲ってきたのが感覚でわかった。
それのせいで、急にうとうとしてしまってくる。
でも寝ないようにしないと……とか思っていると、追い討ちをかけるようにまた優しく頭を撫でてきた。
「んっ、……」
本当に眠い。
そんな事を考えて、落ちてくる瞼をぎりぎり堪えながらなんとか意識を保つ。
「眠いか?」
優しい声でそう聞いてくる。
「はぃ……」
「……そうか」
少しだけ笑ったのを聞いて、安心してしまった。
その時に力が抜けてしまい、瞼が一気に閉じてきた。
縁側にいるおかげで、陽の光がぽかぽかしていて、直で当たってくるからさらに眠くなる。
そのまま、ことんと意識が落ちていった。
---
「ん、……ぁ……れ…?」
ちょっとまだぽやぽやする頭でなんとか身体を起こす。
どうやらあの後、本当に寝てしまったらしい。
義勇さんに申し訳ない事をしたな……
体には義勇さんの羽織がかけられていて、気遣いをされているのかな、とか考える。
でも耳を澄ましてみても、義勇さんらしき足音はしない。
「任務にいっちゃった……?」
だとしたら羽織置いて行っちゃったのかな……
申し訳ない気持ちになった、っていうものだ。
気づけば膝枕されて寝ていたし、その後部屋まで運ばれてさらに羽織までかけてもらった。
「……はぁ……」
今日が任務がなかった日、というのが幸いだろう。
羽織を丁寧に畳み、義勇さんの部屋に置きにいくことにした。
廊下を足音をあまり立てずに部屋まで向かう。
夜風が少し火照った身体を冷やすかの様に吹く。
それが気持ち良かった。
そんな事を思いながら歩いていると部屋の前まで着いていたので、そっと扉を開けて机の上に羽織を置いてまた部屋を出た。
……義勇さんが帰ってきたら、お昼構ってくれたお礼に鮭大根でも作ってあげようかな。
そう思い、月明かりで照らされる縁側に座ってまた夜風に当たった。
単独任務。1
言い忘れてました。
澪は同期組ほどじゃないけど五感が他の人より鋭いです。
「じゃあ任務行ってきます!」
「あぁ。気を付けろ」
義勇さんに見送られて、任務がある山に歩いて向かう。
今日はちょっと気分がいいから任務も調子は出るといいな、とか思いながらも夜道を歩く。
確か、任務内容はこの山の中にある小さな村に鬼がでた、という内容の様だ。
少し急いだほうがいいのだろうか。
鬼が出た、っていう事は死人が出ていてもおかしくないな。
そんな事を思いながら走って山まで向かうことにした。
---
「ここ……だよね……」
息を整えつつ、村の入口の手前まで歩いた。
何の変哲もない、ただ何処にでもあるような村に入る入口……の筈なんだけど。
(さっきから妙な違和感が……)
誰かから見られている、何か変なものが身体にまとわりついている。
端的に言ってしまえばそんな感覚が私の全身を覆っていた。
でも、考えていても仕方ない。
さっさと鬼を殺さないと行けないんだから。
そう思って、村に足を1歩踏み入れた。
─────瞬間、ぞわっと背筋が凍るような……そんな感覚が襲ってくる。
「!?」
刀に触れ、何時でも抜け対応できるように神経を研ぎ澄ませた。
…………でも、少し待っても何も来ない。
「気の所為……?」
気にしていても仕方ないのだろうか。
いや、もしかして今既に敵の血鬼術にハマったのだろうか。
そんなことばっか考えてしまうため、頭を振って考えを捨てる。
早く村の人に事情を聞きに行かないと……
---
おかしい。
流石にこれはおかしすぎる。
「なんでこんな人居ないの……!?」
人の気配いるかなーとか思いながら探ろうとしてもぞわぞわする感覚が来るから宛にならない。
そんな事を思いながらも歩いていると、遂に人がいるのが見えた。
腕を痛そうに抑えていて、腕を切っちゃったのかな、とか考える。
「大丈夫ですか?」
そう言って、腕を抑えて地べたに座り込んでいる女性に話しかけた。
女性は身体がぶるぶると震えていて、余程怖かったのだろうか、目には涙を浮かべている。
「腕、見せてください。止血だけします」
「はい……」
優しく言うと、女性は腕を見せてくれた。
あまり傷は深くないけど、未だ血は出ている状態だった。
腕を清潔な布で縛り、止血をしてから
「誰にやられたんですか?」
「分かりません……気付けばやられていて……」
そういって下を向く。
多分だけど、血鬼術か何かでやられたんだろう。
ふと他の方向を向くと、血痕が点と繋がって向こうに続いてることに気づく。
「……家の中にいて、絶対に出ないでください。絶対にです」
女性はこくりと頷き、立ち上がって家の中に入っていった。
それを見届けてから、私は血痕を慎重に辿って行く。
……少しだけ、血の匂いが強い気がする。
「急ぐか……」
小走りで向かっていき、向かいの角を勢いを殺さずに曲がった。
「……!!!」
鬼殺隊士が一人、血まみれになって死んでいた。
腹が裂かれていて、血が沢山溢れ出ている。
更に、顔の方向が人間では曲がれない方向に曲がっており、結構酷い。
それに、これだけ溢れ出ているんだから勿論血の匂いは酷いわけで。
「っ、……どうやって殺されたの……」
見た目だけだと、鋭利な刃物で斬られたんだろう。
だけど重要なのはそこじゃないわけで、此処から読み取れる鬼の情報が殆どないためしんどい。
──────ふと、少し後ろから気配がした。
気付かれないように柄に手をかけ、息を吸う。
「水の呼吸・壱ノ型……」
"水面斬り"
気配が一番強くなった瞬間、後ろを振り向いて背後まで歩み寄ってきていた鬼の首を斬り落とした。
気付かれていないのだろう、とでも思っていたのだろうか。
舐められたものだな、と思って鬼の崩れていく亡骸を見つめる。
ふと、違和感を覚えた。
この鬼、さっき腕を怪我していた人と服装が同じだ。
「私と同じ風に襲われて、死んだのか……?」
考えていても仕方ないな、って思ってしまった。
もう死んでいるんだし、起こったことをうだうだ考えているのも時間の無駄だろう。
それに、このさっきから気持ちの悪い感覚はさっき殺した鬼のせいじゃない。
鬼が群れている……?
考えただけで吐き気がしてきた。
「……まぁ、行くか」
そう呟いて、歩き出した。
---
さっきとは違う違和感が、また私を襲った。
幾ら歩いても、全く他の景色にならない。
小さな村なのだから、ある程度歩けば家は途切れるはずなんだ。
でも途切れなくて、ずっと無限に続いていた。
試しに角を曲がってみる。
「……!?」
おかしい。
なんで此処にも鬼殺隊士の死体がある。
しかもさっきと同じ腹の裂かれ方、同じ死に方で。
顔も全く同じだ。
少し考えて、すぐにわかった。
「血鬼術か……!!この村全体が……!!」
こりゃあめんどくさい。
多分だけどここの村自体が存在しない、或いは別空間……
そこら辺の何かだろう。
そして、固定の距離の空間から出られない様に、出口に向かおうとすると入り口に戻る……みたいな原理の空間か其処ら辺なんだろう。
多分解除方法は、無理やり此処から出て鬼を探す……しかないと思う。
さっき襲ってきた鬼自体、偽の可能性も充分ある。
………そういえば、此処の村だっただろうか。
鬼殺隊士が突然音沙汰もなく消えてしまっている、という村は。
だとしたらやばいなこれは……
此処の空間にいる限り、元凶の鬼にやられ放題だ。
「………沢山いるなこれは……」
鬼の気配が沢山する。
とにかく今は考えていても仕方がないな、と思いながら目を瞑った。
呼吸を整え、柄に触れて構えた。
瞬間、一気に気配が沢山、強くなった。
「水の呼吸・参ノ型……"流流舞い"」
滑らかな足取りで、一気に私に集中した攻撃を全て避け、一番近くにいた鬼の首を斬り落とした。
すぐさま流れる様に二体目の鬼の首を斬り、最後に残り二体の鬼の腕、首の順で斬る。
「まずい……この調子だと消耗戦になるぞこれ……」
向こうは形で鬼を生み出せるのだろう。
それか別だから私が幻覚を見ているとか……?
いやでも斬った手応えはある。
取り敢えず落ち着こう。
そう思って家の壁に手をつくと、少しだけ違和感を覚えた。
他の所に触れてみても違和感はないのだが、此処だけ何かおかしい。
どこか……少し脆い様な……
「これ……もしかして壊せるか……?」
そう呟いた瞬間、また後ろから気配がした。
しかも、今度は本当に真後ろから。
「……っ!」
刀をバッと鞘から抜き、脇腹を掠ったもののなんとか攻撃を受け止める。
脇腹からじわじわと痛みを発しているが、関係ない。
「ちょっとは考える時間をくれよな……」
一言呟き、静かに息を吸った。
---
---
一体の鬼が、くすくすと笑いながら手を軽く光らせて何かを見ている。
其処には、少し苦しそうな顔をしながら襲ってくる鬼……
いや、幻影の鬼を斬っている澪の姿があった。
「可哀想ね……ただただ消耗していくしかない子ってのは……」
そう呟いて、ふっと手の光を消した。
そのまま近くにあった他の隊士の死体を手に取り、ゆっくりと口に運んで食べ始めた─────。
深夜テンションから生まれた血鬼術。
その空間の代わりに別空間を生み出して、幻影を生み出す……みたいな。
代償としてその空間から鬼自身も出られなくなる。
でも一歩踏み入れば別空間に引き摺り込める、
そんな血鬼術を思い付いてしまいました。
単独任務。2
「っ、……これで終わりか……!?」
幾らなんでも鬼の量が多すぎるだろ。
さっき死んでいた隊士もああやって体力が削れていって、最終的に隙をつかれたのだろう。
こりゃあ本当にきつい。
というか、もしかしてだけど他の隊士達も来ていたりするのか……?
その場合、すごくやりづらくなってしまう。
私の鴉は外で待っている筈だから、もし何か違和感があれば応援を呼びに行くだろう。
「っ、しんどすぎる……」
きつすぎて、その場に座り込んでしまう。
あまりにも鬼の数が多い、しかも一体一体が割と強い。
そして何より、手掛かりが掴めたのにどうにもできないもどかしさ、っていうのがあった。
「彼処の壁、集中して突けば何か起こるか……?」
いや、それでもしんどいな。
体力が着実に減っていってるし、他に人がいた場合巻き込んでしまう可能性もある。
どうするか………
──────急に何か、他の人の気配を感じた。
それを感じて、バッと刀を持って立ち上がる。
鬼じゃない……隊士か、それか興味を持って近づいてしまった阿呆か。
どちらにしよ今の私からすればすごくだるい。
一般人の場合、守って戦わないと行けないから。
……でも幾ら構えても誰も来なかった。
気のせい、っていうやつなんだろうか。
「っ、やばいな……」
これじゃ私も他の隊士の様な死を迎える。
それだけは絶対に避けたい。
帰って義勇さんに褒めてもらいたいし……
でもうだうだ考えているだけじゃなにもできない。
死ぬ覚悟で此処の空間を出るか、それとも他の対処法を考えるか。
「……何だこれ…」
何か、さっきの鬼達とは違う……
しっかりした鬼の気配、そして何処か強い。
元凶もこの空間にいたりするのか!?
「っ、でも……」
壊して引っ張り出したほうが早いのではないか、少しだけそんな考えが頭をよぎった。
いやでも、確かに引っ張り出したほうが早いかもしれない。
死ぬ気で、出てくる鬼の攻撃を無視して、突き技を……
覚悟を決め、柄に手をかけて息を吸う。
「水の呼吸・漆の型……雫波紋突き!!」
技を繰り出したと同時に、鬼がたくさん出てきた。
でも私にはもう関係のないものだ。
鬼の攻撃が私に届こうとした直前、
─────すごい揺れと音と共に、何かが割れた感覚がした。
それと同時に、周りにいた鬼が全員ボロっと灰が崩れるように消えていった。
「消え、たよな……」
気持ちの悪い感覚が消え、少しだけ何が何処にいるかわかるようになった。
そのおかげで鬼特有の感覚の気持ち悪さが何処か……遠めの所から来ているのがわかる。
「後は殺すだけ……早く向かわないと……」
疲労で動かない脚を無理やり動かして、鬼の気配がする方に向かっていく。
いやでも、この空間が割れたことは鬼は知っている筈だし、何か仕掛けてくるだろうなってのは予想ができるけど……
「……何も無い……??」
何も無いなら何も無いでいいんだが……
未だに鬼の気配が消えない、っていうのがすごく怖い。
更に警戒を強めて歩き出そう、なんて思った時………
─────突如、背後から物凄い殺気が溢れ出ているのを感じ取った。
鞘から刀を抜き、後ろを振り返って刀を振る。
……瞬間、こっちに向かってきていた何か触手のようなものが弾かれて斬られた。
それはその場にボトボトと落ち、斬られても動き続けるため少し気持ち悪い。
「……誰だ」
一声掛けると、ゆっくりと職種のようなものが飛んできた方向から誰か歩いてきた。
人間じゃない、鬼の独特な気持ちの悪い気配。
間違いない、鬼だ。
私を空間内に閉じ込めた元凶の鬼。
「どうやってあの空間から出られたのかしか……詰めが甘かったとか?そこの貴女……どう思う?」
そう言ってにこりと不気味に笑った。
その笑顔を見ると、心底吐き気がして仕方がない。
「さぁ……どうだろうね」
刀を構えて、いつでも斬りかかれる様にする。
「あらあら……そんな敵対しなくてもいいじゃない?女の子がそんな顔しちゃ駄目でしょ?」
そう言ってゆっくりと私の方に歩いて近寄ってくる。
鬼が一歩歩み寄って来る度に、私は一歩ずつ後ろに下がっていく。
「……あんたは何が目的だ」
「目的?うーん……そうね……」
ちょっと考えるような仕草をした後、また不気味な笑みを……今度は少し企んでいるような表情になって口を開いた。
「なーんにもないわ。ただ退屈だから。貴女達みたいな人が私のことを殺しに掛かるから私も殺す、ただそれだけよ。」
そう言って懐から何かを取り出した。
私は更に腰を少し落とし、いつでも斬れる様にする。
「可愛いでしょ?これ」
手にあるのは誰かの目玉。
それを鬼は恍惚の表情を浮かべながら見つめ、私に語り始める。
「こんな瞳をしている人を探しているの。貴女じゃあないけどね。まぁでも……貴女も綺麗な瞳をしているわ」
恍惚な表情のまま、私に少し早歩きになりながら向かってくる。
これ以上話を聞いていても仕方ないな、って言うことに気付いたから息を吸った。
「水の呼吸・肆ノ型 打ち潮!!」
技を出し、斬りかかろうとする。
鬼の方も触手の様なものを出して防ごうとしていたけど関係ない。
そのまま重たい一撃で首を斬ろうとしたけど、鬼はギリギリ後ろに反るように避けたため浅い傷口ができるぐらいだった。
「ふぅん……貴女も殺そうとするのね。私は貴女にとって利があるものだと思ったのだけれど……」
ちょっと不機嫌そうな雰囲気になったことが分かった。
そのまま背中から七……八本はある触手のようなものを生やして、手には光をまとわりつかせた。
正直言って、気持ち悪い。
そのまま鬼は光を見つめながら、口を開いた。
「あらそうなの……貴女、もしかして恋する乙女かしら?」
「っ、は?」
唖然として、思わず変な声が出てしまう。
なんでバレている?
「なんでバレている?とでも言いたそうね。まぁ、そんな駄目な男より私を見ていた方が余っ程楽しいと思うのだけど……」
多分だけど、私の心の内を読まれているか、そこら辺をされているのだろう。
いや、正直読まれるぐらいだったらなんでもいい。
問題は……
「…………てめぇ……今なんつった?」
私の最愛の人を侮辱されること。
「聞こえなかったのかしら?そんな駄目な男より私を見ていた方……」
全てを聞かずに、私は首を一直線にねらっていった。
だけどこの鬼は反射神経が良いらしく、またもギリギリで回避をして即座に私の腹を貫こうとしてくる。
「…………てめぇはもう喋るな、屑」
「まぁ酷い。そんな事を言わなくたっていいじゃない?」
チッ、と舌打ちをして刀を構える。
息を吸い、技を繰り出そうとする。
「水の呼吸・参の型……」
「血鬼術……」
"流流舞"
"蛇腹毒掌"
八本の触手のようなものが私に一斉に向かってくる。
それをいなしたり斬ったりしつつ、何とか鬼の首を斬るように前に踏み込もうとする。
が、それを防ぐ様に背後を刺したりしようとしてくる。
それの繰り返しだった。
そろそろ技が途切れる、っていう時、
─────その場に大きい音と共に土埃が激しく舞った。
切り時がわからなかった。
単独任務。3(終)
土埃が段々晴れていき、鬼と澪の姿が見えるようになってきた。
そして完全に晴れ、鬼と澪が見える。
─────形勢は、直前と真逆の状態になっていた。
澪は限界が来たのか、その場にドサッと座り込んでいる。
その顔は、下を向いていた。
肩は深く斬られ血が止まらなくなっており、空間を出る前に吹っ飛ばされた際に出来た傷痕に再度攻撃を食らってしまったのか、そこからも血が流れている。
幸い、腹付近に攻撃が無いのがいいことだろう。
対して、鬼は斬られた傷をゆっくり再生しながら澪に歩いて近づいて行っていた。
顔には青筋が浮かんでおり、相当怒りが限界に達しているのがわかった。
「可哀想ねぇ……ここまで来れたのに……ねぇ?」
ゆっくりと歩いて、澪の前に立ってからしゃがみ込む。
「貴女も他の子と同じ位、愚かな子……」
そう言って少し考え込んだ後、鬼は澪の頬を掴んで無理やり視線を合わせた。
……澪の表情は、正に絶望、以外表す言葉がないぐらい暗く沈んでいた。
その表情をゆっくり見ながら、鬼は口を開いた。
「あの方に鬼にしてもらいましょう!そうすれば貴女も私と共に一緒に過ごせるわ!どうかしら?」
目を輝かせながら澪を見る。
「……」
澪は何も言わずに、ただ鬼を見つめるだけだった。
「あら、何も言ってくれないの」
まぁいいわ、と言って澪から離れる。
そして澪から顔を背け少し考え始めた。
「__水の呼吸・壱ノ型……__」
「ねぇ、貴女…………」
"水面切り!!"
鬼が振り向いたと同時に、澪が立ち上がって鬼の首を斬り落とした。
鬼は、斬られたって気付かずに最初は目を見開いていた。
が、すぐさま自身が斬られたことに気づいて更に目を見開いていた。
「馬鹿が……てめぇは早く地獄に行け」
そう言って澪は恨みを込めた目で鬼のことを改めて見つめていた。
---
---
「やっと死んでくれた……」
身体が怠い。
最初に来た時より遥かに身体が動かない、そして手足が軽く痺れているっていう感覚が襲ってくる。
多分、鬼に毒か何か盛られたんだろう。
そう考えることにした。
しんどくなって、その場に座り込む。
鬼は消えた。
これで任務は終わりだ。
「はぁぁぁ……」
ため息をついて、その場に座り込む。
多分村の中には気絶させられているだけの隊士や一般人も居るだろう。
隠が来る前にある程度探し出しておかないと……
でも如何せん身体があんまり動かない。
とりあえず鴉は飛ばしておこう……
「隠が近くにいると思う。だから呼んできて」
そういうと鴉は素直に隠がいるであろう方向に飛んで行った。
偉い子だ。
私も自分のやることをやらないと……
刀を杖代わりにして、何とか立ち上がる。
そして目を閉じ、人がいるかどうか気配を感じ取ろうと感覚を研ぎ澄ませた。
…………いるな、奥の方に。
「っ、いかないと……」
そう言ってゆっくりと歩き出した。
---
「……、だいじょ、うぶで……すか……?」
倒れている隊士に拙い言葉で声をかける。
反応はない……けど、多分生きてはいると思うから家の中から引き摺りだす。
これで全員。
「……も、限界……」
流石にもうこれ以上は動けない。
殺傷能力はないが身体が痺れるとか倦怠感が出るとか、そういう簡単な方の毒であろうものが、多分もう体に行き渡りかけているんだろう。
早く隠の人達が来て欲しい。
早く。
そんなことを思っていると、遠くから少しだけ、本当に少しだけだけど人の気配がした。
多分、隠の人達だろう。
そう思うとふっと気が抜けてしまい、その場に倒れ込んだ。
何とか保っていた意識も一瞬途切れかける。
「……や、と……きてくれ……」
その言葉を最後に私も、限界だった意識を手放した。
---
---
「ん、……あれ……」
ゆっくり目を開けると、そこはいつもお世話になっている蝶屋敷の天井だった。
そっか、私倒れて……
あの後ちゃんと、意識を失っていた人は助けて貰えたのだろうか。
一般人は居なかったことが幸いだったかもしれない、とか思いながらゆっくり身体を起こそうとする。
だけど身体に力が入らなくて、どう足掻いても立ち上がれない状況になっていた。
「……もしかしてまだ毒の効力残ってる……?」
まぁ、考えても仕方の無い事なのだろう。
ていうか、あの鬼に時間をかけすぎだな私は。
もっと負傷を少なくして動けたのではないか、そんな事ばかり考えてしまう。
よく周りからは治療のことだけを考えろ、とか言われるけど……
そんなことを考えていると、急に病室の扉がガラガラと開けられた。
「!?」
肩をビクッと跳ねさせて、誰が入ってくるだろうなんて思いながら見つめていると、しのぶさんが入ってくるのが見えた。
「しの、ぶさん……?」
私が声を上げると、目を覚ましていたことに気付いたらしく笑顔で歩いてきた。
「体調はどうですか?」
「えぇと、……身体に力が入りません……」
そういうと、少し考える風な姿を見せたあとにっこりと笑って
「澪さんは毒が回りやすい体質なので、解毒剤を打ってもまだ少し効力が残ってしまうんです。でも、それ以外は異常がないということなら大丈夫ですよ!一、二日休めば治っています!」
「……良かった……」
ほっと一息付いて、ゆっくりとするために身体から更に力を抜いて布団に潜り込んだ。
「すみません、毎回迷惑かけてしまって……」
ぽそっと呟くと、しのぶさんは少し私の頭を撫でたあと
「私は大丈夫ですよ。ですが〜……」
しのぶさんはちょっと後ろを向いて困ったような笑顔をしていた。
不思議に思ってちょっと身体を動かしてしのぶさんの横からチラッと見る。
「……え」
そこには少しだけ不機嫌そうな表情をした義勇さんが立っていた。
「冨岡さんがなんて言うかですかねぇ」
そう言ってふふっと笑う。
ちょっと待ってください笑い事じゃないです。
「えっちょっと、」
「では私は他の隊士達を見てきますので、後はお二人でゆっくりどうぞ〜」
しのぶさんはにっこり笑った後、病室を出ていってしまった。
病室に残ったのは、扉付近に寄りかかっていた義勇さんと私だけ。
「えっ、と……」
本当に何とか無理をして体を起こし、義勇さんの方を恐る恐る見る。
でも何も言ってこなくて、それが逆に怖い。
「……義勇、さ……?」
何も言わずに、ゆっくりと私の方に歩いてくる。
お、怒ってる……!?とか思って目をギュッと閉じる。
聞こえてくるのは、ゆっくり歩いてくる足音だけっていうのが怖すぎる。
「っ……」
足音が止まって、私の目の前まで来た事がわかった。
見えないよう掛け布団の中で手をギュッと握りしめる。
「はぁ……お前また無茶したな?」
ため息混じりにそう聞かれた。
「無茶はしましたけど……別に生きて帰って来てるからいいじゃないですか……」
私は下を向いたまま、小さい声で反論した。
実際そうだ。
別に私が死んでも誰も困らないし、鬼狩りで一般人を守って死ねば少しはいいだろう。
「それにっ、私が死んでも別に……!!」
思わず、バッと顔を上げて一番言いたくない事を言ってしまった。
それも……私が一番大好きな人に。
「…………は?」
義勇さん本人はというと、目を見開いてただ何も言わずに私のことを見つめてくるだけ。
有り得ない、とでも言いたいかのように。
「あっ、……今のは……聞かなかったことにし……むぐっ……!?」
全てを言う前に、手で口をグッと塞がれた。
まるでそれ以上言うな、とでも言わんばかりに。
口を塞いできた義勇さんはというと、すごく真面目な表情でこっちを見てくるだけだった。
そして少しため息をついた後、口を開いた。
「二度と俺の前でそんな事を言うな。俺がお前のことをどれだけ大事にしているか分かるか?」
そのまま少し苦しそうな表情になって、ため息をついた。
いつもとは違う義勇さんの様子に、心が痛む。
こんな事を言うつもりはなかったのに。
「俺は……これ以上、大事な人を失いたくないんだ……」
弱々しく、それだけ言われてしまった。
私の口を塞いでいた手はゆっくりと離れていって、そのまま私の右腕をキュッと、軽く掴んできた。
それだけだった。
それ以上、何も言わなくなってしまった。
「……ごめんなさい……」
何とか左腕を動かして、右腕を掴んでいる手の上に自分の手を重ねた。
そして、何も言えないまま俯いて少しだけ目に涙を浮かべた。
こんなに義勇さんが私のことを思っていてくれたなんて考えてもいなかったから。
……申し訳ない事をしたな……
ふと、腕を掴んでいた手がスルスルと下に下がっていったのがわかった。
何だろう?とか思っていると、急に手首を引っ張られ、そのまま抱き締められた。
「!?」
驚いて声も出ないでいると、耳元で義勇さんが
「……少しだけ、こうさせてくれ」
って言ってきて急に耳が真っ赤になるのがわかった。
よくよく考えれば唐突に好きな人から抱きしめられているわけだ。
なんなら、少し告白の様なものをされた後。
「えっあ……わかりました……」
肩に顔まで埋めてきて、耳に義勇さんの髪が当たって少しくすぐったい。
私は、こんな大好きな人に心配させてしまっていたんだなって事に気づいた。
「……義勇さん、」
少し、甘えた声で名前を呼ぶ。
「………どうした」
「もう少しだけ、そうしてください」
「……あぁ」
いいな、ずっとこうしていたい。
そんなことを思いながら、私は軽く義勇さんを抱きしめた。
しのぶさんの口調がよく分からない。
また切り時を見失ったから長くなった
妄想でしかない話過ぎて😳
夜の縁側。
似た様なネタだね、多分。
後短いよ。
いつもなら任務がないこの時間、すやすや寝ている筈なのに今日は妙に胸騒ぎがして寝付けなかった。
何か嫌な事を思い出したりしたっけな、とか思いながら縁側にちょこんと座る。
この時間帯の縁側は気持ちが良い。
なんせ静かに冷たい夜風がたまに吹いて、身体を少しだけ冷やしてくれるから。
それに、自分のことをしっかりと考えられるからだ。
そういえば、今日は満月だったっけか。
だから縁側が月明かりで照らされているんだな、なんて考えたりしながらもぼーっと月を見上げる。
─────ふと、背後に誰かがいる気配がした。
続いて、優しく
「……眠れないのか」
っていう義勇さんの声が聞こえてきた。
びっくりして背後を振り向くと、いつの間にか義勇さんが立っている事に気付いた。
でも、それ以上に安心感が身体中を包み込んだ。
「……少し、胸騒ぎがして……」
少し小さい声でそういうと、少しだけ笑った様な気がしたけど、その後ゆっくりと近づいて私の横に座ってきた。
しかも、肩と肩が触れ合うんじゃないか、って言える程の近さだった。
それのせいで心臓が少しうるさくなる。
……でも、心臓はうるさくなるけどそれでも落ち着くような感覚になる。
月明かりに照らされている義勇さんの横顔を見ると、胸がぎゅっと締め付けられた。
─────いつもは慣れているのに、なんで今日はこんなにドキドキするんだろう。
「っ……」
恥ずかしくて、目をふっと逸らしてしまう。
でも義勇さんからは少しだけ不思議な視線を感じただけで、何も言ってこなかった。
気付けば恥ずかしさより眠気が襲ってきて、思わず義勇さんの肩にもたれかかっていた。
自然と暖かさを感じて、安心するなって思いながら目を閉じる。
「どうした?」
義勇さんが優しくそう聞いてきた。
私は弱々しく
「うぅん……」
って言う曖昧な返事しか答えられなかった。
「……そうか」
ふと、自身の手に暖かくて柔らかい感覚が来るのがわかった。
少し眠い目を薄ら開けながら確認すると、手を重ねられているのがわかった。
義勇さんが、私の手の上に自身の手を重ねていた。
「っ、え……?」
声を小さく漏らしたが、義勇さんは何も言ってこない。
だけど、優しい視線を向けているのかなって思ってしまう。
でも暖かさを感じてしまって、何も言葉が出てこなくなった。
そのまま眠気がドッと襲ってきて、耐えていた重たい瞼が遂に降りてきた。
そして、こくんと眠りの世界に落ちてしまった。
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隣から、澪の静かな寝息が微かに聞こえてきた。
少し視線を向けてみると、気持ちよさそうな寝顔をしながら寝ている澪が見えた。
そんな澪の手は、小さくて暖かい、そして力が少し入っていることがわかった。
安心しているのか、それともまだ少し不安だったのか。
真偽は分からないが、少し可愛く見えて思わず頬が緩む。
─────おやすみ、澪。
囁くと同時に、俺は澪の手をそっと握り返した。
手を握る理由など必要なかった。
ただ、触れたくて、守りたくて、離したくなかった。
夜は静かに更け、夜風が頬を静かにくすぐった。
澪の寝息が少しだけ心地よくて、夜明けまで見守り続けた。
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「ん、……」
空がある程度明るくなった頃、私はぽやっとした頭で何とか目を開ける。
ずっと同じ体制で寝ていたのだろうか、少し身体が痛い。
……ん?同じ体制?
ふと気付き、眠ってしまう直前に重ねられていた手を見る。
それと同時に、気付いてしまった。
重ねられていただけの手は、いつのまにかしっかり握られていた。
「っ!?!?」
隣では少し襖の方に寄りかかって寝ている……というか、目を閉じている義勇さんが居た。
わざわざ縁側に居てくれたのかな、って思うのと同時に、ずっと手を握っていてくれたのかな、なんて考えてしまう。
兎に角、手を一旦離さないと……
「……っ、ぎ、義勇さっ……?」
手を引こうとすると、逆に指先の方に力を入れられて離せなくされる。
どうしよう、なんて思っていると、不意に義勇さんが
「……もう少し、いいだろう」
って、優しいような……それでいて低い声で言ってきた。
その声で胸が嬉しい気持ちでいっぱいになって、思わずぎゅっと手を握り返した。
でも心臓は鼓動がうるさくて、少しでも気持ちを落ち着かせようとふいっと視線を外した。
そんな私を見てか、
「どうした?」
って聞いてきた。
言葉に詰まりそうになりながらもなんとか、
「いや……義勇さんが綺麗で……」
まで言葉を絞り出してから気付いた。
私は何を急に言い出したんだ、という事実に。
「……そうか、」
小さくそれだけ言ったのが聞こえてきたのがわかった。
どう思っているのかな、とか思っていると急に握っていた手を優しくぐいっと引っ張られた。
「えっ、どうし……?」
義勇さんの方を向いて、不思議そうに見つめると、不意に目が合った。
ちょっとびっくりしたな、って思った次の瞬間、
─────私の手の甲に優しく口付けをしてきた。
……口付けをしてきた!?
「えっ、あ……え!?」
顔が急激に真っ赤になるのがわかった。
心臓の鼓動もあり得ないぐらいうるさくなっていて、本当に恥ずかしい。
「ちょ、っと……本当に……」
恥ずかしくなりすぎて、義勇さんの方を見れなくて視線を外した。
義勇さんが何も言ってこないのがさらに恥ずかしい。
はぁぁぁ……と息を吐いて、その場に蹲った。
「なんで急にしてきたんですか……」
ちっさい声でそう聞くと、
「……嫌だったか?」
って少し申し訳なさそうに聞いてきたから、慌てて顔を上げて訂正する。
「いや、そういう訳じゃないんですけど……」
顔を赤くしたまま、また視線を外した。
本当に恥ずかしくて、言葉が出てこない。
「じゃあどうしたんだ?」
「もう……やめてください……」
「じゃあやめるぞ?」
「うぅ……」
少しだけ涙目になりながらも、どうしたらいいか分からなくてまた手をギュッと握った。
それを見てかは分からないが、微かに義勇さんが笑ったのが聞こえてきた。
本当に顔が熱い。
夜から朝までずっと義勇さんと居れて、しかもこんな事をしてもらえて。
私は幸せなのかもしれないな。
既存キャラの視点って難しくない?
義勇はこんなキャラじゃない。
今回は本当に妄想です