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目次
こぐま はじめての冬眠
小説投稿サイトなのに子供向けのお話をつくっちゃいました
深い森の奥に、ふわふわの毛並みを持つ小さなクマの坊やがいました。名前は「こぐま」。こぐまは好奇心旺盛で、毎日新しい発見に目を輝かせていました。秋風が吹き始め、葉っぱが赤や黄色に染まり出すと、お父さんクマとお母さんクマは、こぐまに大切なことを教え始めました。
「こぐま、そろそろ冬眠の準備をする時期だよ」と、お父さんクマは優しく言いました。「冬の間、ずっと眠るんだよ」
こぐまは目を丸くしました。「ずっと眠るの?遊びに行けないの?」
お母さんクマはにっこり笑って、こぐまの頭をなでました。「そうよ。でもね、冬眠は大切なことなんだ。冬の間は食べ物が少なくなるから、体を休めて春を待つのよ。」
それから毎日、こぐまは両親と一緒に冬眠の準備を始めました。どんぐりや木の実を一生懸命集め、お腹いっぱいに食べました。お腹がぽっこりするほど食べては、「これで冬眠できるかな?」と、ちょっぴり不安そうに尋ねました。
洞穴の準備も進みました。お父さんクマが大きな枝を運び、お母さんクマが柔らかい葉っぱや苔を敷き詰めます。こぐまも小さな葉っぱをくわえて運んでいましたが、途中で眠くなってしまい、コテンと寝てしまうこともありました。
ある日、洞穴の準備がすっかり整い、外はすっかり寒くなりました。雪がちらつき始め、森全体が静けさに包まれます。
「さあ、こぐま。いよいよ冬眠だよ」とお父さんクマが言いました。
こぐまは、少しだけドキドキしながらも、両親の間に挟まるようにして洞穴の奥に入りました。ひんやりとした空気が、次第に暖かく、そして安心できる匂いに変わっていきます。お母さんクマが、こぐまの体を優しく抱きしめました。
「おやすみ、こぐま。春になったら、また一緒に遊ぼうね」とお母さんクマの声が聞こえました。
こぐまは、ウトウトとしながら、「うん…おやすみ…」と小さな声で返事をしました。両親の温もりと、洞穴の心地よい暗闇に包まれ、こぐまはすぐに深い眠りにつきました。
長い、長い冬が過ぎ、ある日、洞穴の中に暖かい日差しが差し込んできました。こぐまは、ゆっくりと目を覚ましました。
「ん…?」
隣を見ると、お父さんクマとお母さんクマも、ゆっくりと体を起こしているところでした。
「おはよ、こぐま」とお父さんクマが優しく言いました。
こぐまは、なんだか体が軽くなったような気がしました。洞穴の外からは、鳥たちのさえずりが聞こえてきます。
「春だ!」
こぐまは元気に立ち上がり、両親と一緒に洞穴から出て行きました。森は、新しい命の息吹でいっぱいです。緑の葉が芽吹き、花々が咲き始めていました。
初めての冬眠を終えたこぐまは、ちょっぴり大人になった気分でした。そして、また新しい季節を両親と一緒に楽しむことができる喜びを、全身で感じていました。
楽しんでいたただけましたか?
お子様の知りたい、学びたいという気持ち そして国語力を伸ばしていけたら良いなと思います
こぐま はじめての冒険
長い冬眠から目覚め、春の森へと飛び出したこぐまは、毎日が新しい発見でいっぱいでした。きらきらと輝く新緑の葉っぱ、優しい色とりどりの花々、そしてどこからか聞こえてくる楽しそうな鳥たちの歌。すべてがこぐまをわくわくさせました。
ある日の午後、こぐまがお父さんクマと木の実を探していると、ふと、森の奥から小さな鳴き声が聞こえてきました。「ぴい、ぴい……」それは、助けを求めるような、か細い声でした。
「どうしたんだろう?」こぐまは好奇心にかられて、声のする方へ駆け寄りました。お父さんクマも、心配そうにこぐまの後を追います。
声の主は、木の根元にうずくまっている小さな鳥のヒナでした。巣から落ちてしまったのか、まだ羽も生えそろっていません。冷たい地面で震えるヒナを見て、こぐまの胸がキュンとなりました。
「お父さん、この子、どうしよう?」こぐまは、不安そうにお父さんクマを見上げました。
お父さんクマは、そっとヒナに近づき、匂いを嗅ぎました。そして、こぐまに優しく言いました。「大丈夫だよ、こぐま。この子の親鳥がきっと近くにいるはずだ。私たちがここにいると、親鳥も近づけないかもしれない。少し離れて見守ってあげよう。」
こぐまは、心配そうにヒナを見つめながらも、お父さんクマの言う通り、少し離れた場所から様子を見ることにしました。しばらくすると、どこからともなく大きな鳥が飛んできて、ヒナのそばに降りました。それは、ヒナのお母さん鳥でした。お母さん鳥は、ヒナを優しく見つめ、何か話しかけているようでした。そして、ヒナを背中に乗せると、ゆっくりと空へと舞い上がっていきました。
「よかった!」こぐまは、思わず歓声をあげました。
お父さんクマは、こぐまの頭をなでながら言いました。「困っている仲間を助けたいと思う気持ちは大切だよ。でも、時にはそっと見守ることも、優しさなんだ。」
こぐまは、小さく頷きました。新しい命が生まれる喜び、そして、困っている仲間を思いやる気持ち。初めての冬眠を終え、心も体もちょっぴり大きくなったこぐまは、また一つ、大切なことを学んだのでした。
楽しんでいたただけましたか?
読んでくれてありがとうございました
こぐま はじめての妹
保護者様向け
季節が巡り、森は深みのある緑に包まれ、やがて涼しい風が吹き始める頃、こぐまの家に新しい変化が訪れました。お母さんクマが、いつもよりずっとお腹が大きくなっていたのです。
「こぐま、もうすぐ新しい家族が増えるんだよ」お父さんクマがそう教えてくれた時、こぐまは嬉しさと少しの戸惑いが入り混じった気持ちになりました。「家族って、誰が来るの?」
お母さんクマが優しくお腹を撫でながら言いました。「あなたはもうすぐお兄ちゃんになるのよ。」
こぐまは目を丸くしました。自分以外のクマの赤ちゃんが来るなんて、想像もしていませんでした。嬉しくてたまらない反面、ちょっぴりドキドキしました。
ある日のこと、お母さんクマが急に静かになり、お父さんクマが慌ただしく動き始めました。こぐまは少し離れた場所で、心配そうにお母さんクマを見守りました。夜が明ける頃、巣穴の奥から「ふにゃあ…」という小さな小さな鳴き声が聞こえてきました。
お父さんクマが笑顔でこぐまを招きました。巣穴の奥には、お母さんクマに寄り添うように、生まれたばかりの小さな赤ちゃんクマがいました。まだ目も開いていない、毛玉のような赤ちゃん。それが、こぐまの妹、メイでした。
こぐまはそっとメイに鼻を近づけました。温かくて、ふわふわで、とてもいい匂いがしました。メイは小さな手をぎゅっと握りしめていて、そのか弱さにこぐまの胸は温かい気持ちでいっぱいになりました。
「かわいい…」こぐまは、生まれて初めて「お兄ちゃん」になった喜びをかみしめました。
メイはすくすくと成長し、こぐまは毎日がメイのお世話で大忙しでした。初めてのハイハイ、初めてのよちよち歩き、そして初めての「にいに!」というメイからの呼びかけ。メイの成長の一つ一つが、こぐまにとってかけがえのない喜びとなりました。
こぐまは、メイの手を引いて森を散歩し、見つけたばかりのキラキラ光る葉っぱや、色とりどりの花をメイに見せてあげました。メイはこぐまの隣で、楽しそうに「にいに!」と何度も呼ぶのでした。
冬が近づき、森が冬眠の準備を始める頃、こぐまはメイと一緒に、お母さんクマとお父さんクマに寄り添い、温かい巣穴で眠りにつきました。メイができたことで、こぐまの心はさらに優しく、大きく成長していました。新しい家族と共に、こぐまはまた、たくさんの発見と喜びにあふれる日々を過ごしていくのでした。
楽しんでいただけましたか?
こぐまシリーズまだまだつづくかも?
こぐま はじめての入院
こぐまくんが入院することになりました
季節は冬になり、森は雪に覆われ、静けさに包まれていました。こぐまとメイは、温かい巣穴で寄り添い、お母さんクマとお父さんクマに見守られながら冬眠の準備をしていました。メイはすっかり大きくなり、たどたどしいながらも「にいに」とこぐまに甘えるのが大好きでした。こぐまも、そんなメイを慈しむように、いつも隣にいてあげました。
しかし、ある日のこと、こぐまは体の異変を感じ始めました。体がだるく、食欲もなく、熱っぽいのです。心配したお母さんクマとお父さんクマは、森の奥に住む賢いフクロウ先生に相談しました。フクロウ先生はこぐまを診て、首をかしげました。
「これは、少し珍しい風邪のようです。森の病院でしばらく様子を見る必要があります。」
森の病院――。それは、病気の動物たちが集まって治療を受ける場所でした。こぐまは、初めて聞くその言葉に不安な気持ちになりました。メイも、いつも元気なこぐまがぐったりしているのを見て、心配そうに「にいに…?」と小さな声で呼びかけました。
「大丈夫だよ、こぐま。すぐに元気になって帰ってこられるからね」お母さんクマが優しく抱きしめてくれました。
お父さんクマに背負われ、こぐまは雪道を森の病院へと向かいました。病院に着くと、たくさんの動物たちがいました。心配そうな顔をしたリスさん、咳をしているウサギさん、そして、寂しそうに遠くを見つめるキツネさん。こぐまは、少し心細くなりました。
病院のベッドに横になると、優しい看護師のシカさんが、温かいスープを運んできてくれました。スープを一口飲むと、少しだけ体が楽になった気がしました。それでも、夜になると、隣にメイがいないことが寂しくて、涙がポロポロとこぼれました。
「メイ…」
その日の夜、お母さんクマとフクロウ先生が面会に来てくれました。「メイがね、こぐまがいないと寂しがって、ずっと『にいに、にいに』って呼んでいるのよ。」お母さんクマの言葉に、こぐまは胸が温かくなりました。フクロウ先生は、「焦らなくていい。ゆっくり治していけば大丈夫だ」と優しく声をかけてくれました。
次の日、こぐまは少しだけ元気を取り戻しました。他の動物たちも、こぐまに優しく話しかけてくれました。リスさんは、面白い木の実の話をしてくれ、ウサギさんは、春になったらどんな花が咲くか教えてくれました。キツネさんは、遠くの山で見つけた美しい滝の話をしてくれました。
こぐまは、病院の中でも新しい発見があることに気づきました。みんな、病気で辛いけれど、お互いを思いやり、励まし合っていました。そして、何よりも、早く元気になって家に帰りたいという気持ちは、みんな同じでした。
数日が経ち、こぐまの体調はすっかり良くなりました。フクロウ先生が、「もう大丈夫だ。家に帰れるよ」と告げた時、こぐまは飛び上がるほど喜びました。お父さんクマが迎えに来てくれ、病院の動物たちに別れを告げ、こぐまは家路につきました。
巣穴の入り口が見えると、メイが待ちきれない様子で駆け寄ってきました。
「にいに!」
メイは、小さな体でこぐまに抱きつき、そのぬくもりに、こぐまの心は安らぎました。お母さんクマとお父さんクマも、こぐまの無事を心から喜んでくれました。
森の病院での経験は、こぐまにとって初めての寂しさや不安を伴うものでしたが、同時に、家族の温かさ、友達との絆、そして、何よりも健康であることの大切さを教えてくれました。こぐまは、メイの手を握りしめ、新しい冬の始まりを、家族と共に温かい巣穴で迎えるのでした。
いつも読んでくださりありがとうございます
こぐまとメイ はじめてのおつかい
今度は二人のお話です
冬の厳しい寒さが和らぎ、森に柔らかい光が差し込むようになりました。巣穴の中では、こぐまとメイが、お母さんクマが作るおいしいベリージャムの香りに包まれていました。メイはもうしっかり歩けるようになり、好奇心旺盛な小さな冒険家になっていました。
「こぐま、メイ、ちょっとお願いがあるのだけど。」お母さんクマが優しく言いました。「森の向こうにある、リスさんのパン屋さんまで行って、焼きたてのパンを買ってきてくれるかしら? お金は、この袋に入ったとっておきのドングリよ。」
こぐまは目を輝かせました。「僕とメイだけで?!」初めてのお使いに、こぐまは胸を躍らせました。メイも、こぐまの言葉に合わせるように「わーいわーい!」と嬉しそうに手を叩きました。
お父さんクマが地図を広げて言いました。「道は一本道だ。途中に大きな切り株があるから、それを目印にすれば迷わないだろう。」
「気をつけて行ってらっしゃいね。」お母さんクマが温かいハグをしてくれました。
二匹は、ドングリの入った小さな袋を手に、巣穴を出発しました。春の森は、芽吹き始めた若葉の緑と、そこかしこに咲く小さな花の香りでいっぱいです。鳥たちが楽しそうにさえずり、冬の間眠っていた森が、息を吹き返したようでした。
「にいに、あれ、きれい!」メイが指差したのは、キラキラと光る朝露をまとったクモの巣でした。こぐまは、メイの小さな手を引いて、ゆっくりと森の中を進みます。
しばらく歩くと、大きな切り株が見えてきました。お父さんクマが言っていた目印です。こぐまは「よし、この道で合ってるね」と安心しました。その時、メイが突然、道の脇にある小さな木の陰を指差しました。
「わあ、だれかいる!」
そこには、リスの女の子が、寂しそうに地面に座り込んでいました。どうやら、お母さんとはぐれてしまったようです。メイは、心配そうな顔でそのリスの女の子を見ています。こぐまは、すぐに駆け寄りたい気持ちを抑え、少し離れたところからリスの女の子に声をかけました。
「どうしたの? 迷子になっちゃったの?」
リスの女の子は、小さな体を震わせながら、か細い声で「うん…お母さんがいないの…」と答えました。こぐまは考えました。こんなに小さな子が一人では危ない。
「大丈夫だよ。僕たちが、お母さんを探すのを手伝ってあげるからね。お父さんとお母さんに、困っている子を見たら助けてあげなさいって教わったんだ。」
こぐまは、リスの女の子のそばに寄り添うように立ち止まり、メイに「メイ、ここで一緒に待っていようね」と言いました。しばらくすると、慌てた様子のリスのお母さんが、二匹の姿を見つけて駆け寄ってきました。
「ああ、よかった! 無事だったのね!」
リスのお母さんは、こぐまに深々と頭を下げました。「助けてくれて、本当にありがとう。あなたたちがいてくれて、どれほど心強かったか…。」
こぐまは照れくさそうに笑いました。リスの親子を見送ってから、こぐまとメイは再び歩き始めました。道中、川のせせらぎに耳を傾けたり、珍しいキノコを見つけたり、二匹は森の中での新しい発見に夢中になりました。
やがて、遠くから香ばしいパンの匂いがしてきました。リスさんのパン屋さんから漂ってくる、焼きたてのパンの香りです。
「にいに、もうすぐ!」メイが嬉しそうに駆け出しました。
リスさんのパン屋さんに着くと、リスさんがにこやかに迎えてくれました。「あらあら、こぐまくんとメイちゃん、ようこそ! 何のパンをお探しですか?」
こぐまは、ドングリの袋を差し出し、元気よく言いました。「お母さんからたのまれて、パンを買いに来ました! このドングリで買えますか?」
リスさんは、ドングリの袋を受け取ると、にこにこしながら言いました。「もちろんですよ! どれも焼きたてです。フワフワのハチミツパンがおすすめですよ。」
こぐまは、大きくて丸いハチミツパンを指さしました。リスさんは、そのパンを紙に包んでこぐまに手渡してくれました。パンはまだ温かく、持っているだけで幸せな気持ちになります。
「ありがとう、リスさん!」
帰り道、こぐまとメイは、焼きたてのパンを大事に抱えながら、来た道を戻ります。パンの甘い香りが、二匹の心をさらに満たします。
巣穴に戻ると、お母さんクマとお父さんクマが、心配そうに待っていました。「ただいま!」こぐまが元気に声をかけると、二匹は駆け寄ってきて、パンを見て安心しました。
「よくやったわね、こぐま、メイ!」お母さんクマが二匹を抱きしめました。
初めてのお使いは、こぐまとメイにとって、森の新しい顔を発見し、ちょっぴりの勇気と、大きな達成感を味わう冒険になりました。そして、困っている仲間を助けるという、大切な経験もできました。温かいハチミツパンに、お母さんが作ったおいしいベリージャムをたっぷり塗って、家族みんなで分け合いながら、こぐまは、また一つ、お兄ちゃんとして成長した自分を感じるのでした。
読んでくれてありがとうございました
※変なところがあったら 教えてください
こぐま はじめてのお小遣い
夏の陽射しが森の木々の間から降り注ぎ、セミの鳴き声が賑やかに響く季節になりました。こぐまは、妹のメイと森の小道を散歩していました。メイは、こぐまが見つけた珍しい夏の虫や、色鮮やかな花びらに、目を輝かせながら「にいに、これなあに?」と尋ねてきます。こぐまは、お兄ちゃんらしく、知っていることを一生懸命教えてあげました。
ある日の夕食後、お父さんクマがにこにこしながら言いました。「こぐま、君もずいぶん大きくなったね。これからは、家のお手伝いを頑張ったら、お小遣いをあげることにしよう。」
こぐまは目を丸くしました。「お小遣い?」
お母さんクマが優しく説明してくれました。「そうよ。お小遣いというのはね、自分の好きなおやつを買ったり、大切なものを買ったりできる、自分だけのお金のことよ。」
自分だけのお金!こぐまは、嬉しさと少しの戸惑いが入り混じった気持ちになりました。今まで、欲しいものがあればお父さんやお母さんに買ってもらっていましたが、自分のお金で買うというのは、なんだか特別な響きです。
次の日から、こぐまは張り切って家のお手伝いを始めました。メイのお気に入りの夏の実を集めたり、巣穴の周りの草むしりをしたり、お父さんクマの漁の手伝いをしたり。慣れないうちは失敗もありましたが、お父さんやお母さんが優しく教えてくれました。メイも、こぐまがお手伝いしている姿を見て、小さな手で真似をしようと頑張ります。
一週間が経った週末の夜、お父さんクマが小さな布の袋をこぐまに手渡しました。
「これは、この一週間、よく頑張ったご褒美だ。お小遣いだよ。」
袋の中には、ツヤツヤと光るきれいなドングリがいくつか入っていました。森の動物たちのお金は、特別な場所で見つけられる、形が良くてきれいなドングリなのです。こぐまは、生まれて初めて手にする自分のお金に、胸がいっぱいになりました。
「ありがとう、お父さん、お母さん!」
こぐまは、もらったドングリをじっと眺めました。このドングリで何を買おう? リスさんのパン屋さんの、冷たいベリージュースもいいな。それとも、森の広場で売っている、ピカピカの葉っぱの飾りも素敵だ。
メイが、こぐまの持っているドングリに興味津々で「にいに、きれい!」と指を伸ばします。こぐまは、もらったばかりのドングリを大切に握りしめながら、メイに言いました。
「これはね、僕が頑張ったご褒美なんだ。メイも、もっと大きくなったらもらえるようになるんだよ。それで、このドングリで、メイに何か買ってあげようと思うんだ!」
メイは、その言葉に、ぱっと目を大きく見開きました。「にいにが、買ってくれるの?!」と、信じられないといった様子で、小さな口をぽかんと開けています。いつも買ってもらうばかりだったメイにとって、こぐまが自分のお金で何かを買ってくれるというのは、とても驚くべきことだったのです。メイの顔には、驚きと、それから、きらきらとした期待が浮かびました。
次の週末、こぐまはお小遣いのドングリをぎゅっと握りしめ、メイの手を引いて森の広場へと向かいました。広場では、森の仲間たちが色々なものを売っています。ピカピカの石を集めたネックレス、色とりどりの鳥の羽の飾り、甘い花の蜜のお菓子。
「メイ、何が欲しい?」こぐまはメイに尋ねました。
メイは、目をキョロキョロさせながら、一つのお店に釘付けになりました。そこには、色とりどりの小さな石をひもに通して作られた、可愛らしいブレスレットが並んでいます。メイは、その中で一番小さな、水色の石のブレスレットを指さしました。
「にいに、これ!」
こぐまは、そのブレスレットを手に取り、お店のウサギさんにドングリを渡しました。初めて自分のお金で何かを買う、特別な瞬間です。
「ありがとう!」
こぐまは、嬉しそうにメイの腕にそっとブレスレットをつけてあげました。メイは、腕についたブレスレットを触りながら、満面の笑みで「わーい! にいに、ありがとう!」と、何度もこぐまに抱きつきました。
「どういたしまして、メイ。気に入ってくれてよかった!」
巣穴に戻ると、お母さんクマとお父さんクマが、心配そうに待っていました。「ただいま!」こぐまが元気に声をかけると、二匹は駆け寄ってきて、メイの腕のブレスレットに気づきました。
「まあ! メイ、そのキラキラしたブレスレットは、どうしたの?」お母さんクマが目を輝かせました。
「にいにが、お小遣いで買ってくれたの!」メイが嬉しそうに答えました。
お父さんクマは、こぐまの頭を優しく撫でました。「こぐま、よくやったな! 自分の大切なお金で、メイにプレゼントを買ってあげるなんて、立派なお兄ちゃんだ。」
お母さんクマも、こぐまをぎゅっと抱きしめました。「本当に優しい子だね。お母さんは嬉しいわ。」
初めてのお小遣いは、こぐまにとって、ただのドングリではありませんでした。それは、頑張った証であり、自分の力で何かを選び、手に入れることができるという、新しい喜びの始まりでした。そして、大切なメイのために使ったお小遣いは、何よりも温かい気持ちをこぐまの心に残したのでした。
楽しんでいただけましたか?
こぐまとメイと 狐のこんちゃん
新しい友達 こんちゃんに出会います
夏の森は、毎日が冒険でいっぱいです。こぐまとメイは、今日も新しい遊びを見つけようと、いつもの小道を歩いていました。メイは、こぐまの周りをちょこまか駆け回っています。
その時、ガサガサ!と茂みが大きく揺れ、中から小さな悲鳴が聞こえました。
「いたたた!なんだよもう!」
心配になったこぐまがそっと覗くと、そこには、茶色い毛並みのキツネの子どもが、切り株につまずいて転んでいました。片膝をさすりながら、ちょっと不貞腐れたような顔をしています。
「大丈夫?」こぐまが声をかけると、キツネの子はパッと顔を上げました。
「うるさいな! おれ、悪くないし!」
きゅっと口を結んで、いじっぱりな顔をしています。メイは、そんなキツネの子をじっと見つめています。
「怪我してるよ、血が出てる」とこぐまが言うと、キツネの子は自分の膝を見て、ようやく痛そうに顔をしかめました。
「ちぇっ…これくらい、なんともないし!」
それでも、立ち上がろうとはしません。
こぐまは、お父さんクマに教わった通り、近くにあった大きな葉っぱを取ってきて、そっとキツネの子の膝に当ててやりました。
「これでちょっとはマシになるかな」
キツネの子は、じっとこぐまの手元を見ていましたが、何も言いません。
「ねえ、お名前は?」メイが恐る恐る尋ねました。
キツネの子は、少しだけ顔を赤らめると、小さな声で答えました。
「お、おれは、こんちゃん。キツネのこんちゃん。別に、教えたくなかったけど…」
「僕はこぐま!こっちは妹のメイだよ!」
こぐまがにこやかに言うと、こんちゃんは少しだけ警戒を解いたようでした。
「こんちゃん、なんで転んじゃったの?」メイがまた尋ねます。
こんちゃんは、もじもじしながら、小さな声で言いました。
「だって…森のあっちに、珍しい木の実があるって聞いて、急いで見に行こうとしたんだ」
怪我のせいで立ち上がれないこんちゃんは、その場に座り込んだままです。こぐまとメイは、そんなこんちゃんを見て、クスッと小さな笑みをこぼしました。ちょっぴり格好つけているけど、本当は痛くて困っているのが伝わってきたからです。
それから、こぐまとメイは、こんちゃんの隣に座って、色々な話をしました。こんちゃんは、森のどこに珍しい木の実があるか、どの木の枝が一番揺れるかなど、好奇心旺盛なこんちゃんならではの面白い話をたくさんしてくれました。こぐまは、こんちゃんがいつも新しいことを見つけようとしていることに感心しました。メイは、こんちゃんの話を聞きながら、目をキラキラさせて楽しんでいました。
すっかり日が傾き、森に涼しい風が吹き始める頃、お母さんクマがお迎えに来ました。
「こぐま、メイ、そろそろおうちに帰る時間よ」
こんちゃんは、少し寂しそうに「もう帰るのか」とつぶやきました。
こぐまは、こんちゃんの膝に巻いた葉っぱを取り、「またね、こんちゃん!」と元気に言いました。
こんちゃんは照れたように顔をそむけましたが、小さな声で「…これ、やるよ」と、ポケットからツヤツヤのとっておきの木の実を一つ取り出し、こぐまに手渡してくれました。それは、こんちゃんが大切にしている、特にきれいな木の実です。
こぐまは、その木の実を大切に受け取りました。
「よし、明日は旅に出るぞ!」
こんちゃんは、まだ少し痛そうな足を気にしながらも、冒険への期待に満ちた目で空を見上げました。
初めて出会った日の「おれ、悪くないし」といういじっぱりな言葉とは裏腹に、本当は優しくて、友達思いのこんちゃん。こぐまは、新しい友達ができたことが嬉しくてたまりませんでした。メイも、こんちゃんがくれた木の実をぎゅっと握りしめて、にこにこしています。
夏の森は、こぐまとメイと、そしてキツネのこんちゃんの、新しい友情の始まりを優しく見守っているのでした
ルクス様本当にありがとうございました
こぐまとメイと おしゃれな白猫ミーコ
ともり様 ありがとうございました
夏の太陽がさんさんと降り注ぐ、ある日の午後。こぐまとメイは、森の奥にあるきらきら輝く池のほとりで、水面に映る雲の形を眺めていました。メイは、水辺に咲く小さな花を摘んで、嬉しそうに匂いをかいでいます。
その時、ふわりと甘い花の香りがして、目の前に真っ白な毛並みの猫がすっと現れました。その猫は、太陽の光を浴びてキラキラと輝く毛並みに、すらりとした手足。首には、小さな青いリボンが結ばれています。
「あら、森の中にこんなに可愛いクマのお嬢ちゃんがいるなんて、あたし知らなかったわ!」
猫はしっぽを優雅に揺らしながら、メイの前にちょこんと座り、澄んだ声で話しかけました。
「あたし、ミーコ。はじめましてよね?」
メイは、突然の美しい猫の登場に、目を丸くしてこぐまの影に隠れました。こぐまも、こんなにきれいな猫を見たのは初めてです。
「僕はこぐま。こっちは妹のメイだよ。君は…どこから来たの?」
こぐまが尋ねると、ミーコはにゃん、と可愛らしく鳴いて、得意げに言いました。
「あたしはね、森のすぐそばにある農家さんのお家に住んでるのよ。そこのね、一番の鼠取り名人って言われてるの。でもね、農家さんが忙しい時や、ちょっと退屈な時は、こうしてこっそり森に来て、お散歩してるのよ。」
ミーコはちょっぴり得意げな顔をして、自慢のつやつやな毛並みを前足で軽く整えました。
「だって、あたし、自分の可愛さには自信があるもの。それに、運動神経も抜群なのよ!」
そう言って、ひらりと身軽に木の枝に飛び乗ったり、するすると木の実の蔓をよじ登ったりして見せました。そのしなやかな動きに、こぐまとメイは感心して見入っていました。
メイは、ミーコのキラキラしたリボンに目を奪われています。
「そのリボン、きれいだね…」と、小さな声でつぶやきました。
ミーコは、メイの視線に気づくと、にこっと笑いました。
「あら、これのこと? オシャレは大好きだから、いつもとっておきのリボンをつけているのよ。」
そして、メイの顔をじっと見つめました。
「あなたも、とっても可愛いわね。まるで、あたしの小さい妹みたいだわ!」
ミーコはそう言うと、首に結んでいた青いリボンをそっと解きました。
「じゃあ、あたしのとっておきのリボンをあげちゃうわ!これでもっと可愛くなってね、特別よ!」
ミーコは、そのリボンをメイの首にそっと結んでくれました。メイの小さな首に、ミーコのリボンがとてもよく似合います。メイは、初めてもらったプレゼントに、はにかみながらも嬉しそうな顔をしました。
「ミーコ、ありがとう!」こぐまが、メイの代わりにちゃんとお礼を言いました。
ミーコは、「ふふん、どういたしまして」と、誇らしげにしっぽを振りました。
それから三匹は、森の中の面白い場所を教え合ったり、追いかけっこをしたりして、あっという間に時間が過ぎていきました。ミーコは、メイが危ない場所に近づこうとすると、さりげなく引き戻してくれたり、転びそうになるとさっと支えてくれたり、本当の妹のように優しく面倒を見てくれます。こぐまは、そんなミーコの優しい一面を知って、ますます仲良くなりたいと思いました。
夕焼けが森の木々をオレンジ色に染める頃、ミーコは「そろそろ帰らないと、農家のおじさんが心配しちゃうから」と、名残惜しそうに言いました。
「また明日、遊べるかな?」メイが尋ねると、ミーコはにっこり笑いました。
「ええ、またこっそり来るわ。秘密よ?」
そう言って、ミーコは軽やかに森の奥へと消えていきました。
こぐまとメイは、メイの首に輝く新しいリボンを見つめながら、新しい友達ができた喜びに胸を躍らせていました。森の仲間が、また一人増えた夏の日でした。
こぐまとメイと 青虫
こぐまとメイは青虫を見つけます
夏の風が心地よく吹き抜ける、ある日の午後。こぐまとメイは、森の大きな葉っぱの裏で、小さな発見をしました。それは、手のひらほどの大きさの、緑色の可愛らしい青虫でした。もくもくと葉っぱを食べる姿が、なんだかとっても愛らしいのです。
「にいに、これなあに?」メイが目を丸くして尋ねました。
「青虫だよ。きっと、大きくなったらチョウチョになるんだ」とこぐまが教えてあげると、メイは「チョウチョさん!」と嬉しそうに飛び跳ねました。
二匹は青虫を連れて巣穴に帰ると、お父さんクマとお母さんクマに話しました。「この子を飼ってあげたい!」というこぐまとメイのお願いに、お父さんクマとお母さんクマは顔を見合わせました。
「青虫は、葉っぱをたくさん食べるから、毎日新鮮な葉っぱを用意してあげなさい。そして、チョウチョになったら、広い空へ逃がしてあげるんだよ」とお母さんクマが優しく言いました。
次の日から、こぐまとメイの青虫のお世話が始まりました。毎日、青虫が食べるための新鮮な葉っぱを探しに行き、優しく虫かごに入れてあげます。青虫は、もりもりと葉っぱを食べ、みるみるうちに大きくなっていきました。
「もうこんなに大きくなったね!」こぐまは青虫が体を動かすたびに、興味津々で観察します。
メイも、「おなかいっぱい?」と話しかけながら、青虫が葉っぱを食べる様子をじっと見つめていました。
ある朝、いつものように青虫の様子を見に行くと、青虫は葉っぱの上で動かなくなっていました。そして、体の周りには、見たことのない硬い殻のようなものができています。
「にいに、チョウチョさん、壊れちゃったの?」メイが不安そうにこぐまの服を引っ張りました。
お父さんクマがそっと覗き込み、「これはね、サナギになったんだよ。もう少ししたら、この中からきれいなチョウチョが生まれてくるんだ」と教えてくれました。
それから数日後、サナギに小さなひびが入り、中からゆっくりと、美しい羽を持ったチョウチョが現れました。鮮やかなオレンジ色と黒の模様の羽は、夏の森の光を受けて、きらきらと輝いています。
「わぁ!チョウチョさんだ!」メイは歓声をあげました。
こぐまも、こんなに美しい姿になった青虫に感動して、じっと見つめていました。
チョウチョは、まだ少し体が重そうでしたが、小さな羽をゆっくりと動かし始めました。
お母さんクマが、そっと虫かごの蓋を開けました。「さあ、チョウチョさん。広い空へ飛んでいく時間だよ。」
こぐまは少し寂しそうに、メイは悲しそうな顔で、チョウチョを見つめています。
「でも、ずっと一緒にいたかったな…」と、メイが小さな声でつぶやきました。
こぐまは、メイの頭をそっと撫でながら言いました。「チョウチョさんは、空を飛ぶのがお仕事なんだ。たくさんの花を訪れて、もっともっときれいな場所に行くんだよ。」
チョウチョは、ひらひらと羽を震わせると、虫かごからゆっくりと飛び立ちました。そして、巣穴の周りを大きく一回りすると、夏の青い空へと舞い上がっていきました。キラキラと輝くチョウチョの姿は、まるで「ありがとう、さようなら」と告げているかのようでした。
こぐまとメイは、小さな体が空高く飛んでいくのを見送りました。少し寂しいけれど、自分たちが育てた青虫が、こんなに立派なチョウチョになって旅立っていくのを見て、温かい気持ちでいっぱいになりました。
夏の空には、今日も一匹の美しいチョウチョが、自由に舞っているのでした。