鳴いてしまうとタヒんでしまう黒猫。その黒猫が何度生まれ変わっても恋をしてしまう「彼」。「彼」は何度黒猫が生まれ変わろうと、なぜか目の前だが届かない距離にいた。そんな「彼」と黒猫の静かに甘い恋のお話。
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黒色の毛並みに白色を 1話
にゃあ。そう鳴くのはもう何度目だろう。
私は人生に一度しか鳴けないねこ。私のカイヌシが白い服を着て白い箱に入って花風呂に浸かれば私は鳴く。
カイヌシが入っている箱の中で。一緒に白色の棒になる。そうなるのはもう何度目?熱すぎるサウナに入るのはもう何度目?わからない。私は何度目もそうなってきた。でもその短い生涯の中で恋をした。名前も知らないあの白色の澄んだ瞳の彼をーー
「おはよう、ヨル」
カイヌシの声か。返事ぐらいはしないと。
(目をぱちぱちさせる)
「わー!返事してくれたぁ!お母さん!ヨルが!」
「はいはい。遅刻するからもういきなさい」
「はーい。ヨル、行ってきます!」
(尻尾で行ってらっしゃい)
「! もう一回言うねヨル、行ってきまーす!」
<カイヌシが行った>
はあ、疲れた…かれこれ100回はやらされた…じゃあ今日も窓に登って…あ!いたいた!今日も綺麗だな…あの顔!あの透き通った真っ白の瞳!ピンとたった耳!あのしなやかな体!はあぁぁぁぁ…あの人に一回でもいいから会ってみたいな…私は彼の名も知らないまま。まあこの恋は叶うはずないからな…
<カイヌシは…>
「あ!〇〇ちゃん!おはよう!今そっち行くね!」
「あ!まって~~はなちゃん~~!」
「え?なにが?」
**`キキー!ドシャン!___`**
「~~はなちゃん~~?~~はなちゃん~~?お願い、起きて!~~はなちゃぁぁぁぁん~~!!!うわああああ!」
「大丈夫!私はヨルに会うためにまだ…いき…て…か…え…る…から…」
<お家に戻って>
「ええ!?!?~~は~~、~~はな~~が?嘘でしょ?別の子でしょ?いやよ、嘘と言って…~~はな~~が…~~はな~~がタヒんだなんて!」
!? あの子がタヒんだ?まだいや!まだタヒにたくない!彼に想いを伝えてない!だけど…足が勝手に動く…あの子の元へ向かう。ついに着いてしまった。あの子の元に___
「よ、ヨル?ヨルだよね…?私あなたが見えない…から…最後に一度だけでいい…鳴いてくれないかな…?」
い、いや!鳴きたくない!でも喉から口に向かって何かが迫ってくる…口をこじ開けようとする。もう無理だ。息が苦しい。口を開けないと…
「にゃ…にゃあ」
ああ…ついに言ってしまった…鳴いてしまった…
「ありがとう、ヨ…__」
私は最後に名前を呼ばれなかった。つぎはどんな猫に恋をするのだろう。また彼とそっくりの猫だといいな…おやすみなさい…