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目次
1話 終わってほしくない一戦。
まえがき、設定
こんにちは!coco☆bayです😊
颯が恭孝に片想いで、颯は恭孝を「トバさん」と呼んでいます。
恭孝は颯を「颯」と呼んでいます。
R18じゃないから安心して見てくださいね😉✨
横浜スタジアムの夕焼けは、なぜこんなにも胸を締めつけるんだろう。
ブルペンから戻ってきた中川颯は、グラブを抱えたままベンチに腰を下ろした。グラウンドには、まだ数人の選手が残っている。照明がつき始めた球場は、昼とも夜とも言えない色に染まっていて、それがまた、僕の心に霞をかける。
「颯」
その声に、鼓動が一瞬止まった。
振り向けば、戸柱恭孝が立っていた。キャッチャー道具を脱いで、汗をぬぐいながら、水のペットボトルを片手に持っている。
「お疲れ。今日、球…よかったよ。キレてた」
「……ありがとうございます、トバさん」
自然に口から出た「トバさん」という呼び方。いつもそう呼んでいる。尊敬と、少しの距離感と、触れられない想いを包んだその言葉。彼にとって、それは一番近くて、一番遠い呼び名だった。
戸柱は、そんな颯の隣に座ると、自分のペットボトルを開けて一口飲んだ。
「来週、先発あるかもな。今の調子なら、十分いけるよ」
「ほんとですか?」
「うん。まあ、油断するなよ」
軽く笑うその横顔に、颯は言いようのない感情を抱いた。何度も見てきた顔なのに、どうして今日だけ、こんなにも切ないんだろう。
——好きだ、トバさん。
僕の気持ちは、もうずっと前から胸の奥に沈めてある。でも、言うつもりはなかった。言ったところで、何も変わらないから。いや、変わってしまうのが怖いから。
「トバさんって、野球ない日は何してるんですか?」
気づけば、そんな言葉が口から漏れていた。自分でも驚くほどに、自然な声だった。
「ん? んー……釣りとか。最近はあんま行けてないけど」
「釣り……いいですね。一緒に行ってみたいな」
「はは、お前、釣りなんか興味あったっけ?」
「ないですけど……トバさんとなら、楽しいかなって」
一瞬、戸柱の動きが止まった。
颯は目を伏せた。いけない。そんなこと、言うつもりじゃなかったのに。
「……颯、お前、たまにドキッとさせること言うよな」
「え?」
戸柱はペットボトルのフタを締めると、立ち上がった。
「帰るぞ。冷える前に風呂入れ」
「……はい」
返事をして立ち上がったけれど、胸の中では嵐が吹き荒れていた。
「たまに」じゃないです。
ずっと、トバさんのことばかり考えてます。
ずっと、ずっと
怖くなるくらい大好きです。
けれど、それは言葉にできないんだ。
届かない背中を、今日もまた追いかけるだけ。
夕暮れのスタジアムに、誰にも知られない想いが、静かに降り積もっていった。
あとがき
こんな感じ。
最近涼しいですよね😺
(余談)季節の変わり目風邪ひきやすすぎあるある再発🤒
鼻炎が辛いよぉ🤧😭😭😭
雑談はさみましたが、皆さんは元気に、過ごしてくれるといいなぁと思っています!
2話 颯の恋愛相談
まえがき
こんにちは!coco☆bayです😊
君が織り成す延長戦、第2話となっています。
主には小園くん目線で描かれています。
「マジで言ってんの、それ」
夜の寮の談話室。軽くシャワーを浴びた後、中川颯は冷蔵庫から持ってきたアイスコーヒーを手に、小園健太の隣に座っていた。
「うん。僕……トバさんのこと、ずっと好きなんだ」
冷静に言ったつもりだった。けれど声の奥には、どうしようもない熱がにじんでいた。
小園は少しの間、黙っていた。
テレビでは誰も見ていないバラエティ番組が流れている。笑い声だけが、やけに遠く響いた。
「……トバさんって、戸柱さん? キャッチャーの?」
「うん」
「え、でも、だいぶ年上じゃん。俺らと10くらい違うよな?」
「わかってる。でも、関係ないんだよ、そういうの」
颯は少しだけ笑って、アイスコーヒーのフタを開けた。
「トバさんの声とか、背中とか、気づいたら追いかけてる。野球のこと以外で、あんなに誰かに憧れたの初めてで……最初は尊敬だけだったけど、たぶん、途中から違った」
「ふーん……」
小園は天井を見上げた。正直、戸惑っていた。というか、少しムカついていた自分に驚いていた。
——なんで、おれがこんなにモヤモヤしてんだよ。
恋愛相談って言うから、誰だよ相手、どうせ球場の売店の子とかだろと思ってた。そしたら出てきたのが戸柱さんで、しかも颯がこんな真面目な顔で悩んでて。
なんか、ムカつく。
「でも、言えないんだよね。言ったら関係終わっちゃいそうで」
「そっか」
小園は短く答えたあと、ペットボトルの水を飲んだ。喉が乾いてるわけでもなかったのに。
「健太はさ、誰かに片想いしたことある?」
「あるよ。……あったと思う。たぶん」
「そっか」
「……でも、今はないと思ってたけどな」
中川が「ん?」と首を傾げると、小園は視線を合わせず、苦笑いした。
「もう、そういう顔して相談すんなって」
「え?」
「なんでもない」
ソファのクッションがわずかに軋む。隣の距離は、たった数十センチ。でもその間に、何かが揺れた。
中川が戸柱に抱いている想い。
それを真剣に語る横顔を見てしまったから。
小園健太は、気づいてしまった。
——自分は今、颯のことが気になっている、と。
それが「好き」なのかどうかは、まだわからない。
でも確実に、自分の中で何かが変わってしまった。
「おれさ、颯のこと、もっとちゃんと見ようかなって思った」
「……え?」
「お前、真剣すぎて……ちょっと、ズルい」
そう言って立ち上がった小園は、ペットボトルをゴミ箱に放り投げ、背中を向けて笑った。
「じゃ、おやすみ」
「……おやすみ、健太」
颯はその背中を、戸柱とは違う意味で、見送った。
そして知らず知らずのうちに、また誰かの心を揺らしてしまっていることに、まだ気づいていなかった。
あとがき
どうでしたか?
小園くん、颯のこと気になりだしちゃいましたね〜🤭🤭🤭
これからどうなるのでしょうね?
読んでくださり、ありがとうございました!
3話 乱れる送球、乱れる気持ち。
まえがき
こんにちは!coco☆bayです😊
急にアイデア降ってきて、朝5時にBL小説書いてるプロ野球ファン…
何してんの私🤣
「颯〜、トバさんとメシ行ったってマジ?」
廊下ですれ違いざまに、ピッチャー陣の先輩が軽口を叩いた。
「え? あぁ……この前、たまたまっすよ。ブルペンで捕ってもらった後に、『行くか』って」
「いいな〜、トバさんに可愛がられて」
その会話を、ロッカーの奥で聞いていた小園健太の手が、無意識に止まった。
——また、戸柱さんかよ。
別に、颯が誰と飯に行こうが、どうでもいいはずだった。
だけど最近、やけに多い。「トバさんと〜」という会話。
笑って話す颯の横顔。
「憧れてる」って言いながら、目が真っ直ぐで、ちょっと切なげで。
そして、そんな話を聞くたびに、小園の胸の奥がきゅうっ、と痛む。
胸が締め付けられるような、お腹が痛くなるような、そんな感じ。
その痛みの名前が、だんだん分かってきてしまった。
「……おれさ、お前のそういうとこ、ほんとズルいと思う」
そう言った日の夜が、頭から離れない。
あの時はまだ、「気になってきたな」くらいだった。
けど今はもう、違う。
完全に、自分は颯を見てしまっている。
グラウンドで走る姿。
ベンチで真剣な顔してノートに何か書いてる後ろ姿。
練習後、アイスを嬉しそうに選ぶくだらない瞬間でさえも。
全部、目で追ってしまう。
そして今、また——
「健太、これ見て。トバさんが教えてくれた握り、めっちゃいいよ」
颯が隣でスマホを見せてくる。
何の気なしに差し出された距離。ほんの10センチくらい。
けど、その距離が息苦しい。
香るシャンプー、少し濡れた髪、近すぎる睫毛の影。
「……へぇ。よかったな」
なんとか笑って答えるけど、喉が乾いて、手に持っていた水をぐっと飲み干した。
「トバさんのこと、ほんと尊敬してるんだな」
「うん。……うん、たぶん、そう」
颯の声が、少しだけ曇った気がした。
——“たぶん”。
その言葉が、希望みたいに聞こえてしまった自分がいた。
(やばい)
小園健太は、ようやくハッキリと理解した。
おれは、颯のことが好きなんだ。
好きになってしまった。
片想いの相談を受けていたはずなのに、
いつの間にか、自分が片想いしていた。
そしてもっと厄介なことに、その気持ちは、日に日に大きくなっている。
——―いやいやいや、男のおれが男の颯に恋なんて。そんなのおかしい。
だっておれゲイじゃないし、普通に彼女いたことあるし(フィクションです)。
……今すぐにでも、「お前、トバさんなんかやめとけよ」って言いたい。
「俺の方を見てほしい」って叫びたい。
でもそれを言ったら、きっと関係が壊れる。
颯と仲良くしていたい。颯に悲しい思い、させたくない。裏切りたくない。
颯と気軽に話せなくなるくらいなら―――
⋯⋯⋯結ばれる可能性が、100%じゃないなら。
なら、このままの関係の方がいい。
“颯のただの友達”のままでいいよ、別に。
あとがき
最近、タメ口を開放しました。
短編カフェを始めて、はや1ヶ月ちょっと。
これからも頑張っていきます!!!
4話 異変に気づいたサブマリン
まえがき
こんにちは!coco☆bayです😊
朝に余裕があり、小説を書き、電車の中で投稿しております🌄
R18なしだし見られてもいいでしょ(よくない)
グラウンドに差し込む陽射しが、少しだけやわらかくなってきた頃。
ブルペンから戻った中川颯は、いつものように小園の横に座った。
練習終わり、2人で軽く映像チェックをするのが最近の習慣だった。
「今日のフォーム、ちょっと左足早くない?」
「……そうかも。ありがとう」
会話は、普通だった。
でも、違和感がある。
なんとなく、健太の目が合わない。
前はもっと自然に、ラフに言いたいこと言ってくるやつだったのに、最近の健太は、何か言葉を選んでるような気がする。
距離感を少しだけ、慎重に取るようになった。
そしてなにより——
「この前、トバさんと焼き鳥行ったんだ」
「……よかったじゃん」
返事が、妙に短かった。
前なら「またトバさんかよ、好きすぎ〜w」って笑ってくれたはずなのに。
今は違う。笑わない。目も合わない。
(……なんでだろ)
練習が終わって、寮に戻って、シャワーを浴びながら颯はぼんやり考えた。
(健太、なんか……怒ってる?)
いや、違う。
怒ってるというより、避けられてる。
でも、理由が分からない。心当たりもない。
ただ、1つだけ思い当たるとしたら——戸柱のことを話した時に、特に様子が変わる気がする。
そのことに気づいた瞬間、心の奥がざわっと揺れた。
(まさか……そんなこと、ないよね)
部屋に戻ると、小園は先にベッドに腰掛けてスマホをいじっていた。
中川は少し迷った末、意を決して話しかけた。
「健太、最近……なんか変だよ」
「……変?」
小園はスマホから目を離さずに答えた。
「僕、なんかした?」
その言葉に、小園の指がピタリと止まる。
数秒の沈黙のあと、小園はスマホを伏せて、中川を見た。
その視線に、感情が滲んでいた。
「してないよ。颯は……何にも悪くない」
「でも避けてるでしょ、僕のこと」
「……違う。避けてるんじゃなくて、見ないようにしてるだけ」
「え?」
「じゃないと、たぶん……おれ、颯に言っちゃうから」
その一言に、呼吸が止まった。
小園の目は、真っ直ぐだった。
逃げてない。でも、苦しそうだった。
「颯が、戸柱さんのことばっか見てるの、わかってる。でも、おれ……お前のことを見てる時間のほうが多くなってた」
「……健太……」
「相談乗ってるうちに、なんかもう、わかんなくなってきて……苦しくて………言わないで済むなら、それでよかったんだけど」
小園は立ち上がった。
「でももう、黙ってるのも、しんどいわ。はっきり言うよ」
そして、ぽつりと言った。
「おれ、颯のこと好きなのかも」
沈黙が落ちた部屋の中、エアコンの風音だけが微かに鳴っていた。
中川は、言葉を失っていた。
まさか、健太からそんなことを言われるなんて。
そんな気配、ぜんぜん意識してないつもりだったのに。
でも今思い返せば、確かに、小園はずっとそばにいた。
トバさんの話を聞いてくれて、笑って、からかって、真剣に向き合ってくれていた。
その全てが、“ただの友達”のまなざしじゃなかったことに、今さら気づいた。
「……ごめん。今すぐには……答えられない」
そう絞り出すように言った声が、自分でも驚くほど震えていた。
小園は、うっすら笑った。
「うん。知ってる。だから、急かさない」
「……」
「でも、もう嘘つかないことにした。俺、颯のことが好き。それだけ、ちゃんと伝えたかった」
そして部屋を出ていく背中を、今度は——
中川颯が、目で追っていた。
あとがき
どうなるのでしょうかね。
恐れていたけど、正直に想いを伝えた小園健太。
それに動揺する、中川颯。
そして、このシリーズの中で一番登場回数の少ない戸柱恭孝。
………どうなるのでしょうかね(2回目)。
それはさておき小園健太、ギャップ萌ええぐいですよ。
かわらしい笑顔と、投げるときの真剣な顔………
はーーーーーーーー、たまらんわぁ🤭
5話 揺れる気持ちと颯のきもち
まえがき
こんにちは!coco☆bayです😊
もう5話!自分でもびっくりです😮😮😮
本編どうぞ!
――健太のあんな顔、初めて見た。
小園健太は、いつだって明るかった。
天真爛漫で、後輩なのにどこか頼れて、口は悪いくせに、誰よりも人を見ているやつ。
そんな健太が、僕のことで苦しんでいた。
(気づいてやれなかったな……)
それが、最初に湧いた感情だった。
そして——気づけば、戸柱の姿が頭から抜け落ちていた。
翌日。
遠征に向かう新幹線の車内、中川は偶然、小園の隣の席だった。
気まずさを予感していたけれど、小園はいつも通りだった。
「……おはよ」
「おー、やっと来た。荷物上げる? ほら」
「……ありがと」
自然に接してくれることが、逆にしんどかった。
(何もなかったみたいに振る舞ってるけど、僕の方がわかんなくなってる)
「お前、寝てねえだろ。顔ヤバい」
「……寝れなかった」
「おれのせい?」
「……うん、ちょっと」
小園は「マジか」と小さく笑った。
そして、ぽつりと呟いた。
「……おれも」
その一言で、胸がきゅっと締め付けられた。
笑いながら、ちゃんと傷ついてる。
何でもないふりして、それでも期待してる。
それがわかってしまったから、余計に、心が揺れた。
(僕……戸柱さんのこと、ほんとに“好き”なのか?)
尊敬と憧れが、ずっと入り混じっていた。
確かに惹かれてた。でもそれは、距離があるからこそ生まれた感情だったのかもしれない。
そして今、こんなに近くにいる人間に告白されて、
こんなにも気持ちがざわついてるのは、なんなんだろう。
もし、健太が笑わなくなったら。
もし、健太が自分のそばから離れていったら。
もし、もし―――
僕の隣に健太がいることが、当たり前じゃなくなったら。
——それは、絶対に嫌だ。
ただの友達として失いたくないだけなのか。
それとも、自分も……。
「なあ、健太」
「ん?」
「……もうちょっとだけ、話していい?」
「もちろん」
その返事があまりにも自然で、優しくて、
中川は思わず、手元の紙コップを握りしめた。
今はまだ、答えは出ない。
でも確実に、心は動き始めていた。
トバさんへの想いに、どこか終わりが見えてきてしまった。
そしてその隣に、小園健太という“現在進行形”の想いが、静かに立ち上がってきていた。
あとがき
どうでしたか?
ついに颯の想いが揺らいできましたね⋯⋯⋯!!!
果たして颯が選ぶのは、小園健太か戸柱恭孝か………!
戸柱推しの人スマン、次も小園×中川です🙏🏻
6話 ふたつの想い
まえがき
こんにちは!coco☆bayです😊
特に言うことないです🙄
新幹線の窓の外を、景色がすごい速さで流れていく。
でも、僕の心はまだ、昨日の夜のままだ。
「なあ」
健太が、さっきから何度も僕の顔を覗き込んでくる。
気を紛らわそうとして、スマホをいじっているふりをしても、無駄だった。
「なんかさ、今日の颯、他の誰かと喋りたそうな顔してる」
「……え?」
「もしかして、戸柱さんと話したいの?」
「ん…まぁ」
そう言ってから、颯は思った。
(見てるんだな、やっぱり)
いつもそうだった。
健太は、何でもないふりして、人のことをちゃんと見てる。
「健太、さ……」
「ん?」
「僕、トバさんのこと……諦めた、のかも」
言葉にしてみると、案外すんなり口をついた。
本当は、諦めたくなかった。
トバさんには、僕が気持ちを伝えているだけ。
でも、健太は―――僕のことを、必要としてくれているって気付いた。
健太は、一瞬だけ視線を伏せて、それから小さく頷いた。
「そっか」
たったそれだけだったけど、それだけで充分だった。
無理に聞いたりしないし、押しつけもしない。
でも、ちゃんと受け止めてくれる。
そんな空気の中で、ふと、勇気が出た。
「僕さ、今もまだ……どうしたいのか、はっきりわかってない」
「うん」
「でも、今、健太がそばにいてくれるのが、うれしいのかも」
「……そっか」
健太は、そっぽを向いたまま、小さく笑った。
「じゃあ、しばらく隣にいてやるよ」
「しばらくって?」
「颯が俺のこと、いらねって言うまで」
冗談っぽい口調なのに、声の奥が少し震えていた。
それがわかってしまうから、僕は余計に胸がいっぱいになった。
「……ってか、いらないなんて言わないよ、健太のこと」
僕がそう返すと、健太はようやく僕の方を見た。
驚いたような、困ったような、でも、すごく嬉しそうな顔だった。
そういえば、昔の相談相手はトバさんだったなぁ。
どうしたら良いかな、トバさん。
僕は、どっちを選んだら良いんだろう。
「……マジでおれ、今なら試合勝てる気する」
「それは調子乗りすぎだろ」
「いや、マジで。エースなれるかも」
「てかもともとエースだろ、お前」
ふたりで笑い合った瞬間、車内の景色が少しだけあたたかく見えた。
(きっと、まだ時間はかかる。戸惑うことも、あると思う)
でも今、すぐ隣に健太がいて、僕はちゃんとそれを「嬉しい」と思ってる。
それだけは、もう間違いない。
でも、僕はトバさんがまだ好きなんだ。
もし、このまま健太と結ばれることになるなら………
……………トバさんのことも、忘れなくちゃいけないんだな。
あとがき
こんな感じです。
トバさんの登場回数少なすぎてヤバいわ
次あたりには出そうかな
7話 切ない協力、切ない気持ち
まえがき
こんにちは!coco☆bayです😊
今回こそはいますよ、トバさん。そして話もトバ目線。
小園健太と戸柱恭孝の一騎打ち?です。
ひゃあ〜〜〜〜〜〜〜!!!
遠征先のホテルの一室。
俺は、小園と同じ部屋だった。
「なぁ、小園」
「ん、どうしたんですか?」
「小園って颯と仲いいよな」
「…はい、そうっすけど」
「なんか最近、颯が俺のこと避けてる気がして」
小園の表情が一瞬、曇った気がした。
「……何か知ってる?」
「………颯側の問題じゃない?おれは何も知らないっす」
「そか。ありがとな」
颯側の問題、か。俺がなんかしちゃったとかだろうな。
「…戸柱さん、アイス選びに行ったらどうすか?」
「おう。じゃあ行ってこようかな。小園も一緒に行くか?」
「いや、大丈夫ですよ。」
「そうか。じゃ、行ってくるわぁ」
俺はそのまま、部屋を出た。
アイスを選びに行くと、そこには颯もいた。
「あ、トバさん………」
「おー、颯。風呂上がりか?」
「はい。トバさんもですか?」
「まぁ、そうだな。小園に勧められて来てみた」
「…健太、平気ですか?」
「何がだよ」
俺は思わず笑ってしまった。それを見てから、颯は答えた。
「いや、あいつ口悪いんで。愚痴とか言ってないかって」
「……大丈夫そうだぞ?普通に静か。俺とあんま仲良くないから、ちょっと気まずいのかもな」
「そうですか。よかったです」
「颯に会えなくてさみしいのかもな。小園、お前の事好きだったりして」
俺は冗談で言った。颯も笑った。
―――――颯の笑顔が少しぎこちない気がしたのは、気のせいだろうか。
「…そんなわけないでしょ」
「冗談冗談。そんじゃーな」
俺は颯に別れを告げ、部屋に戻っていった。
「⋯⋯そんなわけも、あるんですけど」
―――――颯が、誰の思いも寄らない独り言を呟いたのも知らずに。
あとがき
どうなりますかねぇ………
何も知らない戸柱が、喜ばしくも切ない………!
なんていうのは、個人の見解です(笑)
今回も、最後まで読んでくださり、ありがとうございました😊
8話 健太の恋心
まえがき
こんにちは!coco☆bayです😊
今回は、健太の心の中を詳しく書いています。
戸柱さんが、アイスを選びに行ってる間。
「…颯のこと、どうしよっかな。」
最初は、戸柱さんなんか諦めてくれ、おれを見てくれって思ってた。
でも、颯といると、颯の気持ちを知るほど、颯がどれだけ戸柱さんを好きなのか、思い知らされる気がして辛かった。
颯は戸柱さんのこと、諦めたのかもって言ってた。
でも、いつも一緒にいたからわかる。颯はまだ、戸柱さんのことを諦めてない。
だってあいつの、颯の「かも」は、「かも」じゃないから。
颯の「かも」は、本当のことだから。
そしてそれは、いつしかおれにもうつっていた。
「…戸柱さんに本当のこと、言ったほうがいいのかな。」
戸柱さんにもし、「颯の事が好きなんだ」って言ったら、きっと戸柱さんは颯のことを選ばなくなる。
でもそうしたら、颯は戸柱さんと結ばれなくなるかもしれない―――。
おれは、どうしたらいいんだろう。
ねぇ、颯。
もしあの時、颯が恋愛相談してこなかったら、どうなってたの?
もしあの時、おれが告白してなかったら、どうなってたの?
「颯⋯⋯⋯。」
おれは思わず、涙が出た。
な、颯。
……………おれが告白しなかったらきっと、本当の――――――
――――――ただの友達のままで、いれたのかもな。
あとがき
今回は少し短め。
どうですか、健太の悲しさは伝わりましたか?
今までの「君が織り成す延長戦。」シリーズを見返して、「かも探し」をしてみても、面白いかもしれないですよ!