最初は読み切りでした。ですがシリーズです(?)!
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目次
暖かな風吹くさっむい日
最初は読み切りのつもりで書いたのですが、長くなってしまったのでシリーズにしました。
新しい学年で迎える新学期、
「桃色の桜が暖かな風で舞う心地よいこの日…」
マイクで話す、今日からお世話になる校長先生の声。
私は真新しい紺色のスカートの上に手を重ねて添えている。
暖かな風…って今日寒いじゃん。
絶賛反抗期中の14歳の私。
あ、ちなみに私の誕生日は4月7日と、少し早めで皆より先に14歳を迎えました。
ぱちぱちぱち~。
そんなことは置いといて。
ここは、新しい学校。
私は転校したのだ。
気持ちを切り替えて、頑張るんだ!
急に背筋を伸ばして、パイプ椅子がミシッと音を立てる。
いつの間にか校長先生の話は終わって、始業式も終わった。
窓際と女子の皆様
初めて入る教室。
白っぽい色の木で出来た椅子と机に、春風(?)を受け止めてなびく薄黄色のカーテン。
前の学校の教室も好きだったけど、この学校の雰囲気も好きだな。
私は黒板に書いてある「出席番号の書かれた席に座りましょう」という指示に従い、窓際の席に座った。
椅子と机の高さもちょうど良くて、この出会いは運命(どういう運命だよ)なのではと考える。
「きゃぁーっ!」
…っと黄色い歓声をあげたのはもちろん私ではなく。
教室の隅で集まっている女子の皆様。
真ん中には背の高い男子がいる。
さては…人気者陽キャだな。
私には縁のない話…って思ったけどちょっと気になる。
ガタッ…
ロッカーに荷物を取りに行くフリをして、その男子を囲む女子の皆様の隙間からチラっと見る。
ふー…あっ…ぁ…ぁ!?
めちゃイケメンなんだがっ!?
でも性格性格、顔じゃない顔じゃない。
「あ…もしかして君転校生?」
話しかけられた…っ!?
「えー、でも転校生って先生に連れられて来るんじゃないのぉ?」
囲んでいた女子の一人が意地悪そうな目で私をジッと見る。
「あ…っ、あの私っ…名前…っ」
「えぇ?何てぇ?」
さっきの女の子がおおげさに近づいてくる。
こ、怖い————!
「ちょっと|怜奈《れな》、びっくりしちゃうじゃんこの子」
この子呼びッ…!!
刺さるぜ…。
「名前は?僕は|実桜《みお》だよ」
みお…!
「私…さくら…です。えと、ひらがなで《《さくら》》」
「あっ、《《さくら》》入ってるの一緒だね、ちょうど春だし——あ、先生来た、じゃあね」
一緒だね…一緒だね…(エコー)。
私はドキドキしながらも急いで着席した。
白馬の王子様
帰りの用意中、また実桜くんが話しかけてくれるのでは…ってドキドキしてたものの、結局女子の皆様のご相手で忙しかったようです!
まぁ、別に良いけど(反抗期発動中)?
まぁ…明日も会えるんだし。
今日は良いんd…
「さくらちゃーん!」
白馬の王子様が来たね。
「家どこ?一緒に帰ろ!」
きゃー…もちろんです!…と言いたいんだけど、今日はお母さんが車で迎えに来てくれてるんだよね。
「ごめんなさい…今日お母さんが来てて」
「そっかぁ、じゃあまた明日ね!」
明日も車の予定だったけど、お母さんに言っとこ。
「友達と帰るから」ってね。
春が来た。
「お疲れ、さくら」
鮮やかな赤の車に乗り込むと、スーパーのエプロンをつけたお母さんがいた。
「ただいま、今日仕事あったの!?」
「まぁね、今昼休み中」
なんか、申し訳ない…。
「私すぐ仕事戻るからさくらはお昼ご飯…お好み焼き温めて食べて」
「りょうかーい」
これからお世話になる町を眺める。
新しいスタート。
春が 来た。
🔍ピートワールドとは
次の日、私は早めに歩いて登校した。
方向音痴だから、一人で行けるか不安で早く出たのもあるけど…何よりの理由は、|あの人《実桜くん》に会いたかったから。
実桜くんが早く来てなかったら意味ないんだけどね…。
ガラガラガラ…
あ…いる、二人。
実桜くんだ…!
もう一人は後姿の女の子。
まっ…まさか彼女さん!?
「あ、おはよ~…|純恋《すみれ》ほら帰って」
呼び捨て…や、やっぱり…?
「おはよぉ…あ、この子昨日先生が言ってた転校生!?」
「うん、さくらちゃんだよ」
「へぇ…あ、私は純恋!実桜の双子の妹でーす」
えぇ!双子!?
確かに、名札の名字いっしょだー!
ホッ…。
「んじゃ、私自分の教室帰るから~さくらちゃんもバイバーイ今度遊ぼーね!」
「は、はいっ!」
ガララッ…
ふぁぁあ…っ…教室に実桜くんと二人っきり…転校2日目でこんなことあって良いのっ!?
「荷物はロッカーに入れると良いよ」
「うん…!」
私は連絡ノートや筆箱をアワアワしながら出した。
そのせいで、筆箱を落として盛大に中身が出てしまった。
ジャラララッ…
私は素早くしゃがんで拾い始める。
私が少し離れたところに飛んだ消しゴムを拾おうと手を伸ばすと、消しゴムは骨ばった、白い手に持っていかれた。
私が見上げると、実桜くんがすぐそこに居た。
「わっ…?ありがとっ…!」
「はい、可愛い消しゴムだね」
かかか…可愛い…って!?
いや、私の事じゃないのは分かってるよ?
確かにこの消しゴム、ほんのりピンク色で可愛くてお気に入りだし…。
で…でもっ…。
「実桜くん、放課k…」
「おっはよー!実桜!」
「あ、|高野《こうや》おはよ~」
同クラ実桜くんの友達が来た。
「なぁなぁ、昨日の『ピートワールド』ヤバかったよな!」
「そうそう、高野新しい装備手に入れたんだっけ?」
ぴー…何?そうび?
私は家に帰って調べることにした。