何気ない日常を何気なく過ごして、私みたいな楽じゃない人生を送らないことはとっても幸せで素敵な人生だと思った。
そんな私、夢野いつきが、異世界転生したらどうなるでしょう。
もちろん、自分がやりたいことだけやって思いっきり楽しむ!まさに毎日が夏休み!
だが、私が思っていたイメージとは全く違った。
…転生先の異世界は、弱いヤツが私しかいないのですが、どうしたらいいでしょうか。
全く、人生楽に生きれるのは、大富豪くらいか…。
短編で、仕事の休み時間やまったりする時間にすっと読める作品を目指しています。
小説家になろうでも投稿しています。
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目次
夢野いつき編 私の夢は"幸せを手に入れること"でした。
広大な青い海。空を見上げれば、空のほとんどがまるで青い海のような景色が視界いっぱいに広がっている。この世界は不思議なものだ。そんな景色を今、この景色を見られない人がいる。でもそれが面白い。私はこの景色を独り占めにしたいと思ったことがある。
例えば漫画やアニメに出てくる最強の主人公が、世界を救ったりハーレム、逆ハーレム状態になったりするけれど、そんなの私は関係ないや。と、自分には絶対に起こらないことを考えてしまう。
私は極度のオタクで、よく乙女ゲームをプレイすることがある。特に好きな乙女ゲームは『初恋のピンク髪』で、その作中で出てくる主人公ちゃんのセリフ「私はあなたに幸せにしてほしいんです!」というセリフがなかなか頭の中から離れない。
ついさっきまで、友達と明日の学校の話をSNSで話していたのにも関わらず、乙女ゲームのせいか、もう話した内容は全て忘れてしまった。
道の端を下を見ながら歩いている。その道の途中で、飼い主と散歩している犬に吠えられても、私は何も動じない。世界が、私を幸せにしてくれない。私が唯一幸せと思える空間が乙女ゲームで、私がオタクモードになるにつれて、未来は幸せで包まれていると感じる。だが、ゲームを終わるとそれはもう見えなくて、まるで私の心が枯れたように涙がこぼれ落ちる。
そんな時だった。私の家に一通の手紙が届いていた。普段手紙なんて回覧板か広告しかこないから、中身を開封するのにドキドキしていた。中を開けると、招待状と書いてあった。すると、文章を見た瞬間、一気に私の体の力は抜けた。ふわふわした。そして私はそのまま、意識を失った。
夢野いつき編 この世界の男は女を舐めたいほど好きなのね!!
意識が朦朧としている。私は頭を抱えながら、立ち上がる。すると、見たこともない光景が私を待っていた。その瞬間、私は自分の目を光らせた。なんだこの世界、私は地理が苦手だからどこの国かもさっぱりだ。こんな不思議な現象が起こるのだから、もっとしっかりと勉強しておけばよかった。
だが、もちろんこの状況には、とってもびっくりしている。だが、それと同時に私の興奮は抑えられない。見たこともない絶景が私を迎え入れていれてくれている。私は長い道があったので、そこを歩くことにした。
ここは人が少ないのか、なかなか誰とも会わない。一体ここはどこだろう…と思っていた時だった。
「キミ、なかなかいい体だね!」
…え。そんなキモい発言が私の背後から聞こえた。その瞬間、背筋が凍った。私は恐る恐る後ろを振り向く。すると、防御が固そうな鉄?のアーマーを着た男の人が私に声をかけてきたのだ。まさに"騎士"って感じ…。まるで異世界に転生したような感じがして驚く。
何かのコスプレかな?重そうな剣も備えている。私は怖かったが、話しかけてみることにした。
「こ、こんにちは。」
「キミ、よければ僕の女にならないかい?」
そう言われた瞬間、私は全力であの騎士みたいな男から逃げるようにダッシュした。ななな、なんだあれは!?普通にナンパではないか!?こんな違和感ありまくりのナンパ、どこの国がやる!?そんな下品な国、見たことも知ったこともねえよ!?
ツッコミどころ満載なのだが、どうやらあの男は追ってきていないようだ。…全く、驚かせやがって。
私を抱きたいのか。
夢野いつき編 コスプレにも度がある。
無我夢中に走っていると、いつのまにか全然知らない景色に変わっていた。人も多く道を歩いている。ここら辺はよく人が多いところなのか?というか、みんな服がコスプレ。私はみんなの服をまじまじと見ることにした。
あ、あれは、魔女の服?帽子もとても大きいし、美しい黒色に思わず視線が魔女の方へいってしまう。見惚れてしまう。しかもとても大きな魔法の杖を持っている。コスプレ力がすごいと思う。
あれ、あれはもしや執事の服?しかもそこには大勢いる。みんな同じ服装で、綺麗な姿勢で何かを待っている様子。しかもズボンのポッケの中には銃もあった。玩具の銃かな。流石にコスプレにも度があるから、本物の銃なんか持っていたら犯罪だろう。…いや、日本じゃないから犯罪じゃないかもしれない。私は命の危機を感じた。
というか、あれは猫のコスプレ?随分と可愛らしい様子に自分の心も温かくなる。しかも手の爪も長くてリアル。まあコスプレにも度があるから、きっと安全な爪なんだろう…と思ったが、どうやらそれは違ったようだ。そこらへんに存在する木の幹がまるで猫の爪で引っ掻かれたような跡が紛れもなくたくさんついていたのだ。しかもそこら中にあった。
ま、まさかね。あの猫の爪なわけ…。私はそう言って、恐る恐る後ろに下がった。すると、突然声をかけられた。
「あの〜…」
私は後ろを振り向くと、そこには先ほど見ていた魔女のコスプレをした女性の方が、私に話しかけてきたのだ。先ほどの観察が気に食わなかったのかもしれない…、そう心の中で勝手に反省をしていると、魔女のコスプレの方から思わぬ言葉を言われた。
「あなたには、魔力を感じない…。正直、素質がないわね。」
どこかの漫画のセリフですか?
夢野いつき編 コスプレじゃなかったら一体なんなんだよ
突然、私は素質がないと言われた。素質がないなんて、初対面なのに失礼だと思った。この国はヤバいやつしかいないのか?さっきから、変態やコスプレ人間とか、いろいろいるが。
魔女のコスプレをした女性は、私にまた話しかけた。
「あなた、よければあたしの弟子にならない?あたしなら、どんな子でも一流の魔法使いにしてあげるわ。」
…魔法使い?コスプレ女にしようって?私はそんな甘い提案には乗らないぞ。そう思って、私は魔女の人に言い返した。
「私はコスプレはちょっと」
「え?何を言っているの?コスプレって?」
!?
こ、此奴、自分でコスプレをしているのにも関わらず、コスプレを知らないだと?流石にそれには無理がある。こんなにコスプレが流行っているのにまさか知らないなんて…
魔女がとぼけた顔で私をじっと見つめている。その顔を私はまじまじと見ていた。気まずい空気になってしまった。どうしよう。けれどコスプレは自分には合わないし。
そんなことを考えていたら、魔女が話を切り出してきた。
「コスプレって何?」
「えっと、何かになりきったり、似せたりするみたいな。」
「え?あたしは魔女になりきったりしてないわよ。」
えぇ、コスプレじゃないなら一体なんなの。まさか本当に魔法が使える魔女だったりして。いや、そんなのありえないありえない。魔女なんてこの世には存在しない架空の人物…。
だったらコスプレ以外考えられなくね。