月夜、クライシスと読みます!よろしくお願いします!
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目次
月夜、鎮魂 (序章)
「希沙~!バイバイ!」
「うん、じゃあね!また明日!」
私はそういって学校を出る。こっそりコンビニでアイスを買って、モグモグ食べながらマンションまで帰った。
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深夜2時。みんなが眠るころ。
ポーン、リリン……ポーン、リリン…
あ、来た来た。私はスマホを取る。
「はい。もしもし、管理人様?暁町です。はい公園ですね。分かりました、今すぐ行きます。はい、失礼します。」
私は急いでメイド服に着替えて公園に行った。そこでは、クマのぬいぐるみだったらしき黒のどろどろが動いていた。
「ねぇ、遊んで……遊んで……」
私は銀色のデバイスに指を滑らせる。
カチャカチャカチャカチャ…
デバイスが刃物に変わった。いつも通りだった。
「分かったよ。早く掃除するから。」
私はそういった。
そして、嫌味を込めて言う。
「ねえ、月が綺麗だね。」
だから、早く消えて。
こんなの、言わなくても分かるよね?
嫌味にするために、私は続きを言わない。
……ザグッ……
私がデバイスでぬいぐるみを切ると、ぬいぐるみは砂になった。
私はスカートを少し上げて、太ももに固定されたホルダーからボトルを引き抜く。
ボトルに砂を集め、キャップを閉める。町の中心の時計台の下にデバイスを当てると、空間ができた。私はそこにボトルを入れて、独り言を呟く。
「今日の分です。管理人様。」
月夜、鎮魂 (第一話)
昨夜の砂はどうなったのだろう。
そんなことは全く考えず、私はセーラー服に着替えて長く伸ばした髪にブラシを通す。
「よし。」
私が化け物になったゴミを処理する掃除人で、昨日も処理したばっかだなんてことは、誰も考えないだろう。
私がマンションを出ると、親友の由香が走ってこっちに来た。
「希沙~おっはよ~!」
「ふふっ、おはよ、由香。」
「今日一限数学だっけ。だっる。希沙、課題終わった?」
「なんとか終わった。あとで見せよっか?」
「マジで神!ありがと~!」
彼女は、昨日の私の残劇を知らない。
この平穏が、私は好きだ。
---
昼休み。お弁当を食べながら、由香が言う。
「ねぇ、希沙!帰りさ、あんみつ食べない?希沙、あそこのこしあん好きだよね?」
「いいよ!あそこのお店、好きなんだよね。」
「やった!見て、今ね、白玉&黒蜜増量キャンペーンやってるらしいよ。白と黒がてんこ盛り!」
由香が楽しそうに笑う。私は、白と黒という言葉で、無意識に自分のメイド服を思い出していた。
「ふふっ。楽しみ。黒蜜いっぱいかけようかな。」
私は机の上のスマホを見る。ここには、LINEやSNSの通知しか並ばない。
今の私は女子高生。
ここにあの方は現れない。
「だよね。希沙って、案外欲張りなんだから!」
ずっとずっと、こうして由香と笑い合いたい。
だから、私は夜、汚れを削ぎ落とす。
午後の授業が始まる。私はノートを開き、シャーペンを取った。
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私の時間は、月が綺麗で静かな夜だけだから。