編集者:unknown
まぁぶっちゃけ最後まで書ききれるとは思ってない
続きを読む
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
禪院家の落ちこぼれ
どうやら、俺の父はどうしようもない人間だ。呪術御三家、禪院家という名家に生まれながらにして、若くして不貞の行為に及んだらしい。…そして生まれたのが、俺だ。
「貴様は我が人生の汚点だ。出ていけ。二度とその顔を見せるな。」
煩い。産ませたのはどこのどいつだ。糞親父め。
「この禪院扇、これより貴様を息子ではなく、知らぬ家の知らぬ子として扱おう。さぁ、早急に出ていけ。荷物はこちらで処分する。」
俺は5歳の時、父、禪院扇から勘当された。俺の母は、俺を産んだきり姿を見せない。俺は5歳にして、家と家族を同時に失った。
「んで?こいつ?禪院家の落ちこぼれ、不貞の子って言われて捨てられたヤツは」
俺がすべてを失ってから10年と1年が経過した。俺はすでに、禪院家という枠組みから遠く外れたために、孤児院で人生を過ごしていた。そんな折、俺の元に、目に包帯を巻き、白髪の男が姿を見せた。
「や。初めまして!僕は五条悟。呪術師だ」
呪術師。見慣れない単語に、俺は当惑した。しかし、その言葉は、奇妙な安心感を伴って俺の心に届いた。そして、それは、俺が幼いころから見えるものに関係があるのかもしれない。そう思わせた。
そこからあれよあれよという間に、俺は呪術高専という教育機関に入学した。東京校との人数につり合いを持たせるため…だったか、俺が入学したのは京都校なるところだった。しかし、俺は長年を孤児院で過ごしたため、義務教育課程の知識がまったくと言っていいほどない。かつて禪院家で受けさせられていたため、簡単な英語は理解できるが、それだけだった。
「僕は東京校の教師だからあんま口出しとかできないけど、京都校はぶっちゃけレベルがウチより低いからね。底上げ頼むよ」
「底上げ…ですか?」
俺は混乱した。当然である。己の肉体に刻まれている、術式というやつが何かすら分からないのだ。
「でも先生、俺は術式というものが何か、全くわからないんですが...」
「ん?あー、まぁ大丈夫っしょ。京都校の教師が教えてくれるんじゃない?...京都校の生徒だって、なかなかに個性的な子が多いよ」
なるほど。教えてくれるのか。ならいい。...勉強はどうするのだ、勉強は。
「あー...でも、一人だけ君と折り合い悪そうな子がいるね」
「…?」
俺と折り合い付かないやつ、だと?俺はこれまでの人生、殆どを人とかかわらずに過ごしてきた。そんな俺としがらみのある人物となれば...
「禪院家のヤツですか?」
先生は答えず、ただニヤニヤと笑っているだけだった。
「さ、そろそろ行っといで。君は今日から、呪術師だ。...期待してるよ」
その言葉を背中で受けながら、俺は呪術高専京都校の敷地に足を踏み入れた。
門をくぐり、一度振り返った。しかし、そこには先生はもういなかった。
「呪術師...か」
俺は呟き、高専へと入っていった。
扇結構好き
禪院家の落ちこぼれ #2
俺が呪術高専京都校に入学してから、1年が経過した。
勉学に励み、成績上位というほどではないが、義務教育の遅れを取り戻し、なんとかみんなに付いていく程になった。
この1年で、俺は様々な人間と交流を深めた。筋肉の塊であり、自称IQがフリーザの戦闘力な術師、東堂葵。...一応俺の先輩らしいが、どうにも実感が沸かない。俺は現在、一年生の級に在籍しており、東堂葵は2年生だ。あとは、加茂憲紀さん。...御三家、加茂家の嫡男らしい。俺はもうすでに御三家から脱却、もとい、勘当されているので反応することはないと思うが、どうしても加茂さんと話すと育ちの良さが感じられてしまう。加茂さんも2年生なので、先輩といえる。そして、西宮桃。...先輩だと聞いた時、自分の耳を疑った。…背が低かったからだ。その件で、入学初日に痛い目にあったので、1年経った今でも俺の畏怖の対象である。同級生で言えば、三輪霞。彼女は刀を使う術者だ。俺も刀を愛用するので、親近感がわく。メカ丸は、強そう。うん。単純に、暴力ならトップクラスの実力だと勝手に思っている。あと、多分メカ丸は三輪に恋している。...と思う。...特筆すべきは、禪院真衣。あの家、禪院家の娘だ。...しかも、親父の娘、つまり異母関係にある、俺と同年代というわけだ。1年前、先生が俺に言った「折り合いの悪そうな相手」とは、禪院真衣のことだったのだ。あの糞親父は、きっと娘に俺の存在を教えてないために、今日まで何の問題も軋轢もなくやってきている。...俺が関わろうとしていないだけかもしれんが。
俺は現在、2級呪術師という枠組みで活動している。1年経った今でも自分の術式が分からず、俺自身の剣技から、「抜刀」が自身の術式であると勝手に解釈している。しかし、残念ながら俺は別任務が多い。俺に実践経験を積ませるためだと歌なんとか先生は言っていたが、どうにも腑に落ちない。
しかし、俺を拾ってくれた先生の先輩ということもあって特に何も言わずに任務をこなしている。
「オイ藜、今日は放課後飯でも行かねぇか?憲紀も都合が合ったら行くってよ!」
「東堂先輩、今日はこの後任務があるので、申し訳ありません」
「んだつまんねぇなぁ。じゃあ真衣でも誘うわ」
そう言い、東堂は去っていく。ちなみに、俺自身は禪院家の出ということを知られたくないので、藜という苗字で生活している。藜 淳彌(あかざ じゅんや)これが今の俺の名前だ。
今日も単独で、2級呪霊の討伐任務がある。仕方がない。
俺は刀を携えて、高専の敷地を後にする。補助監督が待機しているため、挨拶だけして車に乗り込む。
数分後、俺は寂れた工場の跡地にいた。礼を言い、車を降りる。夕日が工場を照らし、妖しくその存在を主張する。俺は気合を入れなおし、工場へと足を踏み入れた。帳がおり、俺は刀を構える。
「おいでおおおいでおいで」「いっしょにかえろぉおおん」「ばいときついぃぃ」
呪霊のうめき声が聞こえる。次第にその呪霊の全容が明らかになる。
「いいいいらっしゃあああああいいいいい」全長は約3mほどだろうか。工場内中心に鎮座しており、宙を浮いている。
「さぁ。やろうか」俺は刀を抜く。キラリと光る日本刀に、安心感もつかの間、いきなり呪霊の術式がさく裂した!
「うぐっ…!」不意を突かれた!宙に浮いたまま攻撃された!術式はなんだ…?
「うえへへへへへうひひひひひ」またもや正体不明の攻撃が襲う。
「ちぃっ!」刀を抜き応戦するも、はじかれる。壁に激突し、激しい痛みが俺を襲う。
「うがっ…!ゲホ!」しかし理解した。やつの術式は『空気砲』だ。空気を圧縮して放つ術式。あまり威力はないが…
「見えないとなると…少ししんどいな」
『抜刀』で応戦するためには、こちらから近づかなければならない。しかし、攻撃が見えないとなると厄介だ。
「まずは見極めることから始める。来いよ、スライム(可愛くない版)」
ボン!またもや空気の攻撃が襲う。
(ノーモーションだと!)さらに厄介だ。攻撃のタイミングが掴めない。
「うぐっ...グアッ!くっ...かはっ」
5分弱ほどだろうか。攻撃を受け続けた。そして。
ボン!
「見えた」俺は刀を激しく抜き、空気の一撃を弾いた。呪霊が初めて焦りの表情を浮かべる。
「お前、一瞬だけ目で空気砲の進行方向を見てるんだよ。それを見極めれば...」
ボン!間髪入れずに空気が襲ってくる。
ギィン!難なく弾き飛ばす。
「簡単にはじくことができる」
焦る呪いの隙をつき、俺は呪霊の懐にもぐりこんだ。
「やめてぇぇぇええええぇええんんん」
「ここは特等席だ。お前の死に顔もよく見える」俺はそう吐き捨てた。そして。
「『抜刀』!」
呪霊の身体が真っ二つになり、塵となって消えていく。俺は工場を後にし、補助監督の車に乗り込み、その日の任務は終了した。
しかし、この日までだった。俺が安全だったのは。俺が、家のしがらみから自由でいられたのは。
そして、俺がどこか退屈さを覚えていられたのは。
禪院家って闇深すぎィ!あ、どうもどうも!unknownです!やっぱ禪院家っていいよね、クズの巣窟ってかんじで!オリキャラ、禪院淳彌の人物像が分かってきたかなあ