編集者:星屑
基本的に一話で完結している話ばかりです。まえがきとあとがきが統一されています
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目次
こどものしにがみと大人の人間
こんなお話があったんだ
「こんにちは。ぼくは、しにがみです。おにいさんを、むかえにきました」
たどたどしくも棒読みなセリフは、どこか非日常じみていて。
「おう、そうか」
何の感慨もなく受け入れられたのは、明らかに自分が死を迎えていたからかもしれない。
ずっと覚悟はしていたから。
並んで歩き始めると、自分よりはるかに背が低い「死神」が手を差し出してきた。
「だれかとならんであるくときは、おててをつなぐってききました。おにいさんとおててをつなぎたいです」
「………分かった。手をつなごう」
純真な希望に逆らえるはずもなく、やわらかくて小さい手を、できる限り力を緩めて握った。こんな温もりをダイレクトに感じるのは、きっと久しぶりだったと思う。
「おにいさんは、どうしてしんじゃったんですか」
「病気だよ。子どもの時にかかった病気が、治りきらなくて大人になってから出てきたんだ」
「なんで、なおせなかったんですか?」
「さあな。薬が合わなかったとか」
適当にごまかして、前を向く。確かに、あんなに苦しい闘病をしておきながら、結果がこれでは何とも報われないのかもしれない。
まあ、今となってはどうでもいい話なのだが。
真っ暗なところまで来た時、「死神」が足を止めた。
「どうした?」
「おにいさんは、いいひとです」
こちらに顔を向けようとはせず、あくまで前を向いたまま、ぽつりとつぶやいた。
「しにがみはひとり100にんをおむかえするというのるまがあります。そしてのるまをたっせいしたら、ひとつだけねがいがかないます。おにいさんは100にんめです」
言わんとしていることは分かった。
「で?お前はどうしたいんだ」
「おにいさんは、てをつないでくれました。ぼくは、にんげんになりたいというねがいをかなえてもらうつもりでした。でも、おにいさんはてをつないでくれたんです」
「うん?」
「おにいさんがもし、しにたくなくて、もとにもどりたいなら、ぼくはそのねがいをかなえたいです」
ようやく、こちらを向いた。悩ましいというように、眉間に小さなしわが寄っている。その小さな頭をくしゃくしゃと撫でた。
「俺は不運にも死んじまったけどな、人間は、そう悪いものじゃねえよ」
できるだけ頼もしく見えるように、笑って見せた。
「なれよ、人間。俺のことはいいからさ。ありふれたことだけど、俺の分まで幸せになれよ。な?」
「……………はい」
泣きそうなほどに震える声で、「死神」は言った。
「あぁでも、一つだけ頼んでいいか?」
泣きそうな瞳を見つめて、言った。
「お兄ちゃんって、呼んでくれね?ずっと、弟か妹が欲しかったんだ」
「おにいちゃん!あそぼう」
「よしっ、何して遊ぶ?」
「じゃあ、しにがみごっこしよう!」
「何だそれ」
こどもたちの声が、どこまでも、どこまでも、響いていました。
そんな、お話