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目次
参加者名簿
🌸・|桜井岬《さくらいみさき》
役職:市民
性格:控えめ
備考:主人公。お花見が好き
🧵糸崎高音《いとさきたかね》
役職・?
性格・近づきがたく無愛想
備考・裁縫が好き
🍀・|軌跡《きせき》よつば
役職・?
性格・活発
備考・田舎者
🐱・|猫山田萌《ねこやまだもえ》
役職・?
性格・世話焼き
備考・猫のマオを飼っている
🌙・|藤原由紀子《ふじわらゆきこ》
役職・?
性格・天然
備考・どこか抜けている
💙・|田中葵《たなかあおい》
役職・?
性格・冷たい
備考・知的な感じ
🎶・|本田楽奈《ほんだらくな》
役職・?
性格・地味
備考・親の都合で転校した
🌈・|雷雲麗羅《らいうんれいら》
役職・?
性格・暗い
備考・絵がうまい
👻・|林真綾《はやしまあや》
役職・?
性格・平凡
備考・オカルト好き
🕊️・|中田愛《なかたあい》
役職・?
性格・優しい
備考・魔法好き
#1 0日目・集められた参加者
窓から差し込む光で、目が覚めた。夜型人間になった不登校のわたしにとって、カーテンをさっとしめることは普通になった。
ネットなら、不登校でも許される。そう思う。みんな、「大丈夫?」とか、声をかけてくれる。わたしはパソコンを開き、メールアドレスとパスワードを打ち込む。アイコンメーカーで作った、パステルカラーの黄色の髪をした女の子の姿。それがわたしのパソコンのアイコンだ。イタいかもだけど、こうもしないとわたしの心は狂ってしまう。
いつものチャットサイトのリンクをクリックし、『不登校あつまれ』のチャットルームをクリック__するはずだったのに、いつのまにか違うチャットルームに訪問していた。
『不登校のみんなで人狼ゲームしませんか?』
🌸「…なんで?」
そう言い、わたしは戻るボタンをクリックして、よく見て『不登校あつまれ』をクリック___また同じチャットルームだ。
🌸「…は?」
参加者一覧には、10人のアイコンと名前。ハンドルネームだろう。そして、ダイレクトメッセージで『あなたは市民です』。
___それにしても、さっきまで眠っていたのに眠たい。時間差がすぎる二度寝を、わたしは自室のテーブルに突っ伏して寝た。
---
?「起きて。…ねえ、起きてってば」
知らない子の声で、わたしは目が覚めた。
🌸「だ…」
そう言いかけ、わたしは慌てて起き上がった。ちゃんと着替えてる。なんでだろう。もう1人も寝てる。
🌸「ここって…」
?「さあ?」
全員____合計10人が起き上がる。白い部屋に、ちゃぶ台。ちゃぶ台の上は、パソコン。
💻️「今から、人狼ゲームを開始スル。ゲームマスターはワタシ、ゲームマスターと呼べ。まずは自己紹介だが、役職は言ウナ」
役職…ダイレクトメッセージのやつかな。活発そうな子が自己紹介をした。
🍀「うちは軌跡よつば!田舎住みやけど、最近都会に引っ越してん。よろしゅうお願いするわ!」
💙「わたしは田中葵。趣味は特にないけど、中学受験しなきゃなの。さっさと終わらせたい」
つんとすまして、彼女は言った。
🌙「わたしは藤原由紀子、好きなものは…寝ることです。よろしくね」と、三つ編みの子。
👻「…はいっ、わたし、林真綾、小6。好きなもの……特にない、よろしく」と、ちょっと髪がぼさついてる子。
🐱「あたしは猫山田萌。猫のマオがペットで、世話が好き!よろしくねーっ」と、猫がプリントされているTのシャツを着た子。
🌸「わたし…桜井岬です。家族とのお花見が好きです…よ、よろしくお願いします」と、わたし。
🕊️「わたしは中田愛。魔法とかが好きです、よろしく!」と、目玉焼きの髪飾りをつけた子。
🧵「糸崎高音。趣味は裁縫、よろしく」と、二つ結びの子。
🌈「雷雲麗羅。かみなりぐもに、麗しいにラ」と、ロングの子。
🎶「わたしは本田楽奈。好きなものは、ちょっと、言いたくない」と、一つ結びの子。
💻️「よし、それではスタート」
#2 0日目の夜、そしてルール
といっても、ルールはわからない。そこで、わたしは訪ねてみた。
🌸「あの、ルールって」
💻「役職は以下のトオリ。
市民 能力ナシ。3人。
占い師 誰かひとりを市民か人狼かウラナウ。ひとり。
騎士 誰かひとりを人狼からマモル。ひとり。
霊媒師 死んだ者が市民か人狼かシル。ひとり。
人狼 夜、誰かをクウ。ふたり。
狂人 人狼の協力者。占いでは白とデル。ひとり。
何者か 勝ち方不明。ひとり。
市民陣営は市民、占い師、騎士、霊媒師。人狼をすべて追放したら勝ち。狂者は関係ナシ。人狼陣営は人狼、狂人。人狼の数と市民陣営が同数になったら勝利。何者かがいるときも、ひとりとカウント。何者かは不明」
💙「何者か、が勝利の鍵か」
葵がそうつぶやいた。
💻️「というように、人狼をあぶりダシテモラウ。個室にはトイレと風呂があり、食事場で食ベル。占いや霊媒師は、個室のポストに結果が仕込んであり、それに白か黒かがアル。騎士は、守るための厄除け御守りをそれぞれの個室に仕込んでいるが、朝になると消滅スル。
オオカミは、午前2時ごろに活動を始め、ロックされていても、オオカミは貴方を喰う可能性がアル。その際は、運命なのだと受けイレロ。オオカミはロックを解除して相談可能」
鼻にかかった甘ったるい、機械的な声。うんざりする。
💻️「それでは、0日目の夜をスタート。占い師は占い、オオカミは確認スル」
わたしは市民だから…寝とけばいいのか。
ピンクっぽい畳と内装。可愛くて嬉しい。…眠…い…なんでだろ…
あ、そっか。0日目の夜がスター…だから…
#3 1日目の昼
清々しい朝。わたしは起き、一通り準備を済ませて朝食をとった。けっこう美味しかったけど、何がなんだかわからなくて、味は覚えていない。パソコンがあるところへ行くと、すでに何名かいた。
💻️「皆さん、今から午後6時まで自由時間デス。午後6時が投票時間デスので、お気をつけて」
そう残し、パソコンからは何も発しなくなった。
🧵「|CO《カミングアウト》はいる?」
CO。自分は〜〜という役職だ、と言うことだ。
🌈🌙「「わたし」」
ふたりの声が重なる。
…有り得ないことは、ないよね?
🌈「わたしは、愛を占った。白」
🌙「わたしは岬。白だった」
白、とは市民陣営を指す。黒は人狼陣営だ。
👻「あ、そうだ。これって、何者か…第三陣営って、占われたらどうなるの?追放されたら?」
💻️「追放されたときの勝敗は言わないが、占われたら市民とデル」
どっちいも怪しくはない。
🌸「はい。わたし、一般の市民。だから、べつに追放されてもいいかな。占いとかを守るなら」
🕊️「わたしはやめておいたほうがいい」
どっちかが人狼か狂人、だよね…
🐱「ごめん、全然関係ないことなんだけど、」
萌が口を開いた。
🐱「みんな、どうやって参加した?あたし、『不登校あつまれ』のチャット参加したの。Kids−chatっていうサイトの…いつもみたいに参加してたら、こんなになっちゃった。あたし、ハンドルネームでネココって名前なんだけど」
🎶「え…?ネココ?ネッ友の?わたしはメロ」
🐱「え、メロ!?」
🌸「すご…わたし、サクラって名前なの」
🧵「それなら、わたしも。イトって名前で参加してた」
🍀「えー、すごいやん!うちはクローバーって名前や」
💙「へえ。わたしはアオカって名前だったわ、どうりで見たことがある名前」
🌈「わあ、わたしもレイ」
🕊️「へえ、そうなんだ。わたしはハルカなんだけど!」
🌙「す、すごい。わたしはアース」
👻「えー。わたしはミミ」
すごい。
イト、アオカ、レイ、ハルカとはネッ友だ。他にもこのなかに、すでにネッ友関係の子がちらほらいるみたいだ。
🎶「じゃあ、ここのみんな…全員不登校?」
気まずそうに、楽奈が言った。
わたしは…なんとなく、学校にいづらくなったんだっけ。
🎶「ごめんっ、こんなこと言って…1日目だし、自分が思う人に投票したら、いいと思う。ごめん」
楽奈はそう言って、自分の部屋へ向かった。
🕊️「え、本当にサクラ?」
🌸「うん。誕生日は3月21日だし」
🕊️「えっ、本当にサクラじゃん!あとでメールアドレス交換していい?」
🌸「いいよ」
愛とかるく会釈したあと、わたしは考え始めた。誰に投票しよう。
うーん。占い師はとっておいたほうがいいかも。なんにも言ってない…葵、とかかな。
#4 2回目の昼
起きて、またパソコンがある部屋へ向かうとすでにもういた。
だけど、いない子もいる。
💻️「追放先、襲撃先を発表スル」
ごくり、と飲み込む。
💻️「追放先、本田楽奈。襲撃先、雷雲麗羅。尚、彼女らは抹殺サレタ」
🐱「抹殺!?」
萌がそう叫ぶ。そりゃそうだ。
これは本当のデスゲームなのかもしれない。死ぬか殺すかのデスゲーム…わたしは、不登校だからという単純な理由で、何十万分の1を引き当ててしまったのだ。
なんで本田楽奈が選ばれたのか。単なる運なのか、
🎶〝じゃあ、ここのみんな…全員不登校?〟
というあの言葉のせいなのか。
楽奈を選ばなかったわたしに、そのことを推理するほどの力はない。
---
楽奈のことばっかだったが、よくよく考えれば麗羅は占い師として立候補した人だ。
麗羅は襲撃された。人狼を襲撃することは不可能だ。ということは、狂人か、占い師説が濃厚になる。第三陣営の可能性もなくはないが、このままゲームが続行しているということは…
考えれば考えるほど、どんどん頭が焼けていく。
🕊️「岬」
🌸「愛?」
愛が話しかけてきた。お昼ご飯をとろうとしたときだった。
🕊️「わたし、騎士なんだ。岬を守るから、わたしに投票しないでほしい」
🌸「わ、わかった」
だから貴方の役職を教えて、なんてことは言われなかった。
本当に騎士なのか、とかはどうでもいい。
そんな疑念なんて、頭に浮かばなかった。
---
そろそろ、時間になった。
🌙「葵は白。…麗羅が襲撃されたことでしょう?麗羅が狂人、第三陣営の可能性だってあるでしょ?」
由紀子はそれっきり、黙り込む。
👻「わたしっ」
真綾が切り出した。
👻「…霊媒、師…。楽奈は市民だった。みんな、不登校って言い出したから追放したんでしょう?」
💙「そうだよ…。でも、このゲームは抹殺される。多分、襲撃されなくても追放されなくても、」
🍀「負けたら、死ぬ…?」
ひんやりとしたものが、背筋を走った。
🧵「……負けても、死なないはずだよ……」
高音がつぶやいた。
🧵「だって、そんなに人の命が軽いはずないから…」
そう言って、高音は「行こう、葵」と言ってどこかへ行った。
🕊️「葵と高音って、感じ悪いよね」
🌸「え…あぁ、うん…」
もう、葵と高音は仲良しになっている。何を企んでいるのか、全然わからない。
それに、不登校って言い出したから、追放した。切り出した真綾が誰に投票したか不明だが、少なくとも誰か1人は、あの楽奈の発言をよく思ってない。
学校にいづらくなった。それだけの理由で、わたしは不登校になっていいのだろうか。
とにかく、人狼説が濃厚な由紀子に投票しよう。
わたしの頭の中は、それでいっぱいだった。
#5 3日目の昼
また目覚めて、パソコンのある部屋へ向かう。そこには昨日話した子がいない。
🌸「愛…?」
彼女は、「自分が騎士だ」と主張していた。
機械的な声が聞こえた。
💻️「追放先・藤原由紀子。襲撃先・中田愛」
そう言ったきり、パソコンは黙りこくった。
🐱「…愛って、結局よくわかんない子だったね」
🍀「せやな。岬…やったっけ?一緒におったやろ?」
🧵「たしかに。なにか知ってるはずでしょう?」
🌸「そんな…」
💙「たしかに、」
と言い出したのは葵だった。
💙「愛については、まだ触れてなかったね。でも、愛が人狼だと決めつける手はないでしょ?できるだけ多くの犠牲者を出さないようにしようよ。わたしは、命を最優先にしたい。そのためなら___」
🧵「葵?だって、このゲームの人はどこかに閉じ込められていると思うんだってばっ!」
💙「わたしが追放されても、構わない」
そういったっきり、葵は自室に向かった。
👻「霊媒師の結果を伝える。由紀子は人狼だった」
🐱「だと思った」
そう言って、みんな散り散りになった。
話し相手を失ったわたしは、1人で考えていた。
由紀子は人狼だったはずだ。騎士だって、愛の可能性が高い。あとは…麗羅が占い師ということもほぼ決められる。
狂人って誰なんだろう。霊媒師は真綾だし…萌、よつば、高音で他が割り振られるのかな。楽奈は結局、なんだったんだろう。あ、でも楽奈は市民だったみたい。でも、残ってるのが市民と狂人な以上、その結果はなんの役にも立たない。
はあ、わたし、殺されるのかなぁ…
---
気づけば少しばかり眠っていた。お腹はあまり空いてない。
?「ちょっといい?」
🌸「えーと…」
💙「中田葵だよ。話したいことがある」
そう言って、わたしと葵はパソコンのある部屋へ向かう。葵か高音かを追放する予定だった。
すでにみんな集まっており、葵が話をしだした。
💙「COする。わたしは、人狼です」
は、という声を必死に噛み殺した。