※我々だメンバー思いっきり死にます
ある昼下がり。
突然起きた悲しい事件で、日本中が話題となった。
その事件というのが、『我々だメンバー惨殺事件』。
我々だに所属していた15人全員が、1人の熱狂的ファンにより惨殺されてしまったのだ・・・。
ところが、死んだメンバー達は異世界に転生し・・・。
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目次
亡くなったメンバー
ある昼下がり。
我々だとまじヤバのファンである1人の少女がテレビをつけると、ちょうどニュースをやっていた。
面白そうだと思った少女が見続けていると、次のニュースに変わった。その内容に、少女は絶句した。
「続いてのニュースです。『○○の主役は我々だ!』として活動していたメンバー15名が、惨殺される事件が発生しました。犯人は逮捕され終身刑の判決を受けたとのことです。昨夜未明・・・」
少女は青ざめてテレビを切り、ネット掲示板を開いた。
少女「我々だメンバー惨殺事件・・・あった!」
少女は急いで『我々ファン』という名前で掲示板に書き込みを始めた。
我々ファン「今ニュースを見て飛んできました。我々ファンです」
ちの推し「あなたもニュース見てきたんですか!ショックですよね」
我々ファン「はい・・・。突然のことすぎて涙も出ません」
曼荼羅「俺はネットニュースを見てここを立ち上げました。何か知ってることがあればどんどん教えてください」
箱推し民「みんな聞いてくれ!今回の事件について詳しく書かれたニュースサイトを見つけた!」
しょぴ推し「え⁉︎まじですか⁉︎」
我々ファン「教えてください!」
箱推し民「どうやら投稿主が現場に出向いて直接取材したらしいんだ。抜粋すると、メンバーの死因は3つに分けられるんだが、どの死体も包丁で滅多刺しにされていたんだ」
ちの推し「滅多刺しって・・・。痛そうすぎる」
箱推し民「我々メンバーのコネシマ、グルッペン、ひとらんらんは斧で首を刎ねられ、やめていったメンバーのロボロ、オスマン、しんぺい神、兄さんは絞殺、まじヤバとチーノとレパロウは、刃物で手足を刺された上で、ハンマーで頭を殴られたらしい」
しょぴ推し「想像するだけでグロい」
我々ファン「なんでそんなことになってしまったんだろう・・・。動機は書いてなかったんですか?」
箱推し民「書いてあったよ。犯人は我々だの熱狂的なファンである女性だった。彼女は『ずっと同じグループでやってきたのに裏切りやがったメンバーが許せなかった。全国のファンのためにも、裏切り者は長く苦しんで死んで欲しかった。現メンバーも天国で会えるように殺してあげた』と語ったらしい」
我々ファン「完全にサイコパスですね・・・。メンバーが気の毒すぎます」
箱推し民「そうだよな」
ちの推し「みんな!今我々だの権利者が追悼配信してる!」
しょぴ推し「権利者さんも反省してる・・・。『権利をメンバーの皆さんに譲渡しておくべきだった。私のせいで起こった事件でした。心から謝罪申し上げます』って」
我々ファン「謝られても、メンバーさんは帰ってこないのに・・・」
ちの推し「それな」
箱推し民「ちなみにこれボロ泣きしながら書いてる」
我々ファン「泣いてください、泣いて当たり前ですよ!」
書き込みを終えた少女は、ボロボロと涙を流して泣いてしまった。
少女「うっ、ううっ・・・。みんな・・・グスッ」
神に迫られた選択
コネシマ「何やここ・・・?」
グルッペン「コネシマ・・・?お前も死んだんか」
コネシマ「グルッペン⁉︎あんたもか⁉︎」
ひとらんらん「いたた・・・。あれ、2人とも・・・?」
グルッペン「どうやら現我々だメンバーだけが集まってるようだが・・・」
ひとらんらん「他メンバーもいるかもしれないな。探してみるか」
オスマン「ん・・・?え?ここどこ・・・⁉︎」
しんぺい神「マンちゃん・・・?お前も殺されたん?」
兄さん「ここにおるの、我々だの動画に出んくなったメンバーちゃうん?」
オスマン「もしかしたら、グルッペン達もおるかも知れん!」
兄さん「せやな。どうする?」
しんぺい神「そりゃあ、探しに行くやろ」
ショッピ「う・・・あ?俺、頭殴られて死んだはずじゃ」
鬱先生「ショッピ!大丈夫か!」
シャオロン「俺ら、全員死んだんや。ここにおるんはまじヤバメンバーやで」
トントン「めちゃくちゃ痛かったんやけど・・・」
ゾム「あいつハンマー持っとったしな」
エーミール「他のみんなを探しに行くところやったんよ。立てる?」
ショッピ「あ、はい」
鬱先生「ほな行こうか。絶対どっかおるはずや」
チーノ「いったぁ・・・。ここどこや?」
レパロウ「チーノさん!よかった、起きたんだ!」
ロボロ「レパロウも俺も、同じ女に殺されてん。チーノも?」
チーノ「そうや。俺を殴ったのは女やった」
レパロウ「ここって何なんだろ・・・。鬱先輩達もいるのかな」
ロボロ「まぁ探しにいこか。ほら、行くで」
コネシマ「お!やっぱりや!」
グルッペン「まさか元・現関係なく、我々だメンバー全員が殺されとったとはな」
ひとらんらん「15人全員いるみたいだな」
オスマン「もしかして、みんなを殺したのって前髪が長い女性?」
ショッピ「そうです。あいつは『裏切り者』って言ってましたけど」
しんぺい神「メンバーがバラバラになったことへの恨みかねぇ」
兄さん「それしか考えられんやろ」
鬱先生「裏切り者ってのは、多分我々だをやめて別で活動してるメンバーのことやな」
シャオロン「そういえば、格好も変わってるやんな?」
トントン「確かに!全員人間態の格好になっとるわ」
ゾム「このパーカーも久しぶりに着るな〜」
エーミール「公式ビジュやんな?多分」
チーノ「てか・・・ここほんまに何や?」
『気付いたか』
レパロウ「え・・・?今の、どこから・・・」
ロボロ「上から聞こえたで!」
『ははっ、察しがいいな君達は。私は神だ。君達をここ“黒の空間”に連れてきたのは私だ』
トントン「神様・・・?声が女っぽいけど、あんた女神か?」
『その通りだ。ちなみに君達は、転生する権利を持っている。つまり、“生まれ変わることができる”んだ』
ちょうどいいから切るね
転生、そして与えられた試練
グルッペン「生まれ変わる・・・だと?」
『そうだ。ただし、転生先は異世界になるぞ』
メンバー「異世界⁉︎」
『そう。私は君達を見ていて、面白いと思ってな。どうだ、私と賭け事のようなことをしてみないか?』
コネシマ「賭け事って・・・」
『グルッペン。君は異世界の国・歯車王国の次期総統という立場で生まれることになる。そしてそこにいるお前達も、幹部として彼に仕えることになるだろう。そこで、だ。君達に試練を課そう』
鬱先生「場合によっては乗らんで」
『構わない。試練というのは、“救いを待つ少女15人を救うこと”、“世界に溢れる絶望を取り払い、黒幕を討伐すること”だ。もちろん能力を使えるようになっている』
チーノ「絶望・・・?」
『君達がこれから転生するのは絶望に塗れた世界・・・“絶望の世界”だ。この世界では、国同士での戦争は起こらない。ただし、1ヶ月に一度怪物が世界を襲う。それが絶望の世界と呼ばれる所以だな』
ショッピ「まさか、俺らに怪物を倒せと・・・?」
『大丈夫だ。君達が救うことになる少女達は、怪物を倒すためのキーパーソンになる重要人物。まずは少女達を全員助けることが目標になるであろう』
トントン「大丈夫って、そんなこと言われても・・・」
『もしこの試練をこなしてくれたら、君達を現世に戻し、運命を変えてやってもいい。どうだ、この賭けに乗るか?』
グルッペン「面白い。乗った!」
他のメンバー達も『現世に戻れる』という希望が見えたからか、頷いている。
『そういうと思っていたぞ。では、この扉の先が“絶望の世界”だ。世界の運命は君達にかかっている。頼んだぞ』
神の言葉に促され、15人は扉を開けた。
?『よかったのか、“黒の女神”』
黒の女神『もちろんだ。黒の空間に誰かが来るのは久しぶりだったからな』
?『そうかよ。お前も物好きだよな』
黒の女神『そうか?“白の死神”。君も大して変わらないと思っていたのだが』
白の死神『あいつらの死に様、見てたんだろ?原型も残らない死に方してたし、試練とかさせなくてもよかったんじゃねぇのか』
黒の女神『君はそう思うかもしれないが、まぁ見守ろうではないか。あの戦闘狂達が、どうやって心に傷を負った少女達を救うのか・・・。見ものであろう?』
白の死神『ったく、お前は・・・。まあ気になるけどよ』
黒の女神『たまにはこういうのも良いではないか。・・・それに、試練を終えたとて、現世に帰ることが必ず正解とはなるまい。あの者達がこれからどうしていくのか、見守ってやろう』
黒の女神はニヤリと笑っていた。
王国の後継・メンバー全員のステータス
歯車王国の王城にて、次期総統となる男の子が誕生した。
総統夫婦はなかなか子宝に恵まれなかったため、国民全員が大喜びしていた。
総統の名はカルバン・フューラー。妻の名はアリーナ・フューラー。
そして子供は『司令者』と言う意味であるグルッペン・フューラーと名付けられたのだった。
そしてグルッペンはすくすくと成長し、やがて20歳になった。
総統であったカルバンとその妻のアリーナは馬車の事故で亡くなった。その結果、グルッペンが次期総統として即位することになった。そしてグルッペンにつく幹部も、お馴染みのメンバー達だった。
グルッペン(まさかあの女神の言う通りになるとはな・・・)
女神の言った通りにことが進んでいる。グルッペンは皮肉っぽく笑っていた。
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ここで我々だメンバーのステータスについて書いておきます!
ステータスの見方
|名前《ふりがな》
転生前の活動名
転生前の年齢(死亡時)→転生後の年齢(現在)
能力
能力の説明
グルッペン・フューラー
グルッペン
40→20
『|戦闘準備《アドバンテージ》』
戦っている時にのみ発動可能。仲間の攻撃力、防御力、回復力を上げる。
|捏島孝行《こねしまたかゆき》
コネシマ
38→19
『|大声音波《メガハウリング》』
大声で叫ぶと発動可能。声の大きさ次第で地割れや地震も起こせる。
|天野呂戊太《あまのろぼた》
ロボロ
39→17
『|変換天声《ボイスチェンジャー》』
敵の所に潜入している時に発動可能。自分や敵の声を変えて混乱させる。
|小野田蓮《おのだれん》
シャオロン
37→17
『|標的集中《ヘイトイーター》』
敵さえいれば発動可能。敵のターゲットを自分に向けて隙を作らせる。
|鳥井希《とりいのぞむ》
ゾム
38→18
『|連続爆発《エクスプロージョン》』
何か食べていれば発動可能。さまざまな爆弾を作り出して爆発させる。
|鬱島大《うつしまだい》
鬱先生
40→18
『|催眠操作《スリープコントロール》』
敵さえいれば発動可能。敵を眠らせて操り、安全な場所から攻撃する。
|周防舞音《すおうまのん》
オスマン
41→19
『|神速連斬《スピードスラッシャー》』
四六時中いつでも発動可能。音の速さで動き、次々に敵を切りつける。
|桃瀬豚平《ももせとんぺい》
トントン
39→20
『|百戦錬磨《パルフェストラテジー》』
光の能力と合わせれば発動可能。敵の情報から、適切な戦い方を指示する。
|紫雲翔《しうんしょう》
ショッピ
29→16
『|破壊命令《バーストコマンド》』
モニターがあれば発動可能。コマンドを打ち、敵の要塞を破壊できる。
|茅野橙希《ちのとうき》
チーノ
29→15
『|言霊詐欺《トリックワード》』
敵さえいれば発動可能。言った言葉が本当になるが、喉への影響が大きい。
|英美光《えいみひかる》
エーミール
35→18
『|情報収集《インフォメーション》』
四六時中いつでも発動可能。敵の情報を探り、人数や敵の場所を把握する。
|紫雲遼《しうんりょう》
兄さん
43→21
『|分身転移《コピーテレポート》』
四六時中いつでも発動可能。数体の遼の分身を作り出し、瞬間移動させる。
|竜舌蘭一矢《りゅうぜつらんひとや》
ひとらんらん
42→19
『|波動切断《ブレードウェーバー》』
刀を使っていれば発動可能。刀で切った後も、波動が残って攻撃できる。
|神谷晋平《かみやしんぺい》
しんぺい神
40→20
『|全快治癒《ハイパーヒーリング》』
味方が怪我している時のみ発動可能。一度に5人の仲間の怪我を治せる。
|影狼晴人《かげろうはると》
レパロウ
27→14
『|百発百中《キラーアーチェリー》』
弓矢があれば発動可能。対象がどんなに離れていても、必ず打ち抜ける。
救いを待つ少女達
和泉「ここが・・・歯車王国?」
20歳の女性・|林和泉《はやしいずみ》は、使用人を募集していた歯車王国にやってきた。
和泉「うまくやっていけたらいいなぁ」
和泉は期待を胸に、王城に入っていった。
他にも使用人にしてもらうために集まった人は何人もいる。
和泉「こんなに・・・。雇ってもらえるのかな」
和泉自身は知らない。
和泉には重度の記憶障害があり、一定期間で記憶を失ってしまうことを。
19歳の少女・|如月日寄《きさらぎひより》は、歯車王国の幹部補佐になり、めちゃくちゃ仕事に励んでいた。
日寄「コネシマさーん!次B国幹部との対談です!そろそろ時間ですよー!」
孝行「あ、そうやん!ありがとう日寄さん!」
日寄「トントンさーん!書類ここに置いておきますね!」
豚平「お、完璧やな!ありがとうな」
日寄は仕事熱心な幹部補佐としてみんなから慕われていた。
でも、日寄には誰にも言えない秘密がある。
それは、日寄の目がほとんど見えていないことだった。
16歳の少女・|篠宮千歳《しのみやちとせ》は、家出して歯車王国に一人で暮らしている。
現在は歯車王国の幹部になるために猛勉強中だ。
呂戊太「あ、千歳やん」
千歳「ロボロ様。こんにちは」
呂戊太「毎日勉強してて偉いなぁ、難しないん?」
千歳「幹部になるためですから。このくらいなんてことはありません」
千歳はそう言って笑っていたが、頭にあるのは姉のことばかり。
姉と仲直りしたいと思っていても、気まずい故にどうすることもできなかった。
17歳の少女・|菱川穂波《ひしかわほなみ》は、前通っていた学校でいじめられ、歯車王国に引っ越してきた。
若くして幹部になり、それなりに充実した日々を送っていた。
穂波「ありがとうございました!」
蓮「ええよ!ほなちゃんも強なったな!」
穂波「また戦闘訓練お相手してください!」
夜、蓮との戦闘訓練を終えた穂波は部屋に戻ると、暗い部屋の中で泣きじゃくった。
いじめられていたせいなのか、穂波は幼児退行している。
夜になると、子供のように泣いてしまうのだ。
18歳の少女・|菊池《きくち》あけびは、武器屋で店番をしている看板娘。
いつも同じ椅子に座ってにこやかに笑っていた。
あけび「いらっしゃいませ!」
希「あけび〜!」
あけび「いつも当店をご利用いただきありがとうございます!ナイフでしたらあちらにございますよ」
希「ありがとうな!ほなこれにしよかな〜」
いつも座って接客しているのには、理由があった。
あけびは下半身付随であり、車椅子がなければ動けなかったのだ。
17歳の|剣城《けんじょう》つるぎは、二刀流で戦う兵学校の生徒である。
肩につかないショートカットの美人で、初見では男の子だと思うだろう。
大「つるちゃーん」
つるぎ「ああ、鬱様ですか。毎日毎日僕のこと見にきて、よく飽きませんね」
大「暇やもん」
つるぎ「随分あっさりですね」
つるぎはれっきとした女の子だ。
家庭の事情で、つるぎは男性のフリをしなくてはならなかった。
18歳の少女・|涼風悠宇《すずかぜゆう》は、歯車王国の幹部になり、部屋にこもって仕事ばかりしていた。
舞音「ゆーうちゃん」
悠宇「マンちゃん」
舞音「仕事ばっかで疲れたやろ?お茶会行こ!」
悠宇「そうね。いつものカフェテリア?」
舞音「そうそう!早よ行こ!」
悠宇は、誰にも言っていない。
自分がアルビノで、日光の下を歩けないことを。
20歳の女性・|篠宮由美《しのみやゆみ》は、両親のもとを逃げ出し、歯車王国の幹部補佐として転がり込んでいた。
由美「皆様、もうすぐ幹部会議のお時間ですよ」
一矢「あ、そういえば・・・」
豚平「資料どこやっけ?」
由美「こちらです」
テキパキと仕事をこなす彼女は、妹の千歳を探していた。
千歳に、謝るために。
15歳の少女・|園崎理瀬《そのざきりせ》は、とあるパソコン教室に通っている。
理瀬は同じパソコン教室に参加している一人の幹部と仲良くなっていた。
翔「理瀬さん。最近耳の調子はどうっすか?」
理瀬「大丈夫です。ちゃんと聞こえてますよ」
翔「よかった・・・困ったことあれば言ってくださいよ」
理瀬「ありがとうございます」
理瀬はその彼に嘘をついていた。
理瀬は難聴ではなく、聴覚過敏だったのだ。
15歳の少女・|嶋本刹那《しまもとせつな》は、王国幹部達がよくやってくるレストランで働いている。
最近、レストランに毎日のようにきてくれる常連の幹部がいる。
刹那「いらっしゃい。鬱様にチーノ様でしたか。最近ご贔屓にしてくれて感謝しています」
橙希「ええでええで!ここ美味いんやもん」
大「今度城に招待してええか?総統にも食べてもらいたいんや」
刹那「そんな恐れ多い・・・。美味しいと言っていただけるだけで嬉しいですわ」
刹那はそそくさとバックヤードに戻り、大きく咳き込み始めた。
刹那は喘息持ちで、時々咳が止まらなくなってしまうのである。
18歳の少女・|花緒亜澄《はなおあずみ》は、国立図書館の司書を務めている少女である。
幹部達も時々訪れる有名な図書館だった。
光「亜澄さん!」
亜澄「・・・あ、エーミール様。今日も調べ物ですか」
光「そう!パソコン使わせてもらえる?」
亜澄「いいですよ。どうぞ」
亜澄は光がいなくなったのを確認し、ため息をついた。
亜澄の左手は作り物・・・義手であり、誰かに見られるのを恐れていた。
21歳の女性・|大柳紗希《おおやぎさき》は、3年前から王国の幹部として働いている。
戦闘にはめちゃくちゃ強く、あの希すらも上回るほどの戦闘力を持っていた。
遼「なぁ紗希・・・あんたなんでそんな強いん?」
希「強くなる方法教えてやぁ」
紗希「いやいや・・・私戦うのそんなに好きじゃないし」
遼「えぇ・・・」
紗希自身は常識人で優しい性格なのだが、なぜそんなに強いのか。
それは、本人すら自覚なしの二重人格だからだ。
19歳の少女・|白夜麗奈《はくやれいな》は、1年前から使用人として幹部達に仕えていた。
王城では珍しく、住み込みではなく毎日家に帰っている。
麗奈「あら、ひとらん様・・・。お疲れ様です」
一矢「ありがとう。麗奈ちゃんはもう帰るの?」
麗奈「ええ。家で父と母が待っていますし」
一矢「そっか、気をつけてね」
家への帰り道、麗奈の足取りは重かった。家に帰れば、地獄が待っている。
両親の束縛という名の地獄が。
20歳の女性・|漣春花《さざなみはるか》は、王城専属看護師で、普段から医務室にこもっていた。
晋平「春花!ロボロのカルテちょうだい!」
春花「・・・ん」
晋平「ありがと!あとオスマンのカルテも」
春花「・・・(無言で差し出す)」
晋平「ありがとね!」
春花は軍医や幹部の前では一切喋らない。
ストレスにより、人前で喋ることができなくなってしまったのだ。
14歳の少女・|凪瀬綾乃《なぎせあやの》は、王城の最年少幹部として他の幹部から可愛がられていた。
晴人「あやちゃん!」
綾乃「んぇ、はるくん!どうしたの?」
晴人「これから遊びに行かない?美味しい喫茶店があるんよ!」
綾乃「いいの⁉︎やったー!行こ!」
最年少コンビの会話に他の幹部達も癒される中、綾乃は全く癒されなかった。
綾乃の袖の下には、多くの切り傷、青あざ、そしてリスカ痕が隠されている。
綾乃は親から虐待されていたのに、誰にも言えなかったのだ。
脅威の3000超え