ミステリー小説です。
複雑ですが、あまりない設定にしています。
楽しんでいただけたら幸いです。
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目次
まさか、あなたですか?〜第1話〜
夜月怜愛は中学2年生の女子。
私立中学校の寮生で、一匹狼タイプ。
読書とポテチが好き。
あだ名は怜愛ちゃん、れいちゃん、れーちゃん。
登校中、交通事故に巻き込まれ、2週間自宅療養をしていた。
療養を終えてやっと帰寮。
もう目と鼻の先には数週間離れた寮だ。帰ったら何しようかな?
平日で誰もいないはずだからのんびり過ごして明日から頑張ろう。
ふと自分の4人部屋を思い浮かべた。
送ってくれた母と別れて寮に入ると寮母さんと中2女子寮生担当の先生 橘 杏先生が出迎えてくれた。
「れいちゃん、お帰りー」
「れーちゃん、元気なった?」
寮母さんが笑顔できいてきた。
「はい!」
笑顔で答え、一通り会話を終えると、橘先生の顔が笑顔から真面目な顔に切り替わった。
「れいちゃん。申し訳ないけど荷物片付けたら事務所に来てくれる?」
「わかりました。」
なんだろう。橘先生があんな真剣な顔をするなんて。きっと何かあったに違いない。
なんか私悪いことしたっけ?
とりあえず靴箱にいって寮内で履き古しているスリッパに履き替えて荷物を片付けに居室へ向かった。
2階の居室エリアで私は違和感を覚えた。
女子寮生全員部屋にいる。部屋の前に全員分のスリッパがある。だけどいつも騒がしい感じなのにしーんとしている。
自分の部屋に入ると部屋員の子全員がベットの中にいた。
私が入ってきたのに気づいた詩音ちゃんが
「おかえり〜」
といってくれた。声をかけてくれたのは彼女だけだった。
いつも下品な話をして、時には劇をする騒がしい部屋なのにしーんとしていた。
なんかあったなと思いながら荷物を片付けて1階の事務所へ行った。
そこにはさっきは感じなかった異様な光景がすぐ目に入った。
女性の警官がいたのだ。
私が法に反することをいつした?交通事故のことをききにきたのか?
ドキドキしながら橘先生に声をかけた。
「先生。」
「れいちゃん片付け終わったの?」
「はい。一応。」
そう答えながらも私の目は橘先生ではなく女性警官の方を向いていた。
それを察した橘先生は焦りながらいった。
「あ、こちらの方は警察の方だよ」
女性警官がいった。
「夜月怜愛さんですね。名前は伺っています。わたくし、中央警察の新木です。この寮で起きた事件のことについて捜査しています。」
この寮で起きた事件?なんじゃそりゃ
「れいちゃんにはまだ話してないよね。今から説明するから、とりあえず面談室に行こうか。」
橘先生が滅多に使われない寮の面談室を使うというからなんとなくワクワクしていたがそれ以上に事件のことが気になった。
私と橘先生と女性警察官の新木さんは面談室へ入った。
全員が席に着くと橘先生がこの量で起きたことについて説明し始めた。
「実はね、昨日この女子寮で殺人事件が起きたの。」
「さ、殺人?ですか?」
「そう。もしかしたら自殺かもしれないけど」
いやいや、ちょっと待って。寮から死者がでるって何事?
「そうなんですね、、、」
「そこで誰が関係しているのかわからないかられいちゃんに事件の真相を突き止めてもらいたいんだよね。
れいちゃんは事件に直接関係してるとは思えないからね。あ、だけどしたくなかったらしなくてもいいよ。」
なるほど。先生が真相を調べるのには限界があるってわけか。
確かに私は自宅療養中だったから事件には全く関係がないだろう。
いや待てよ。これを引き受けたら内申点も多少はあがるだろうし(というのは冗談で)、なんといったって楽しそうじゃないか。
ここは引き受けるべき!
「わかりました。最善を尽くして取り組みます。」
そういうと橘先生と新木さんの顔に少しだけ安心した顔が見えた。
「ありがとう。」
橘先生は感謝の言葉を口にした。橘先生は新木さんに目線を向け、新木さんがそれを受けた。
「ではまず。事件の概要について説明します。
殺害されたのは中学2年部屋番号24の今田梨華さん。昨日の午前7時頃に居室内で窒息死した模様です。ちなみに目撃者はおらず、まだ手掛かりは掴めていません。」
今田梨華。隣のクラスの女子か。まだ同じクラスにも同じ部屋にもなったことがない。
一応相槌を打った。新木さんは続けた。
「そこでまずお願いしたいのは中学2年生の観察です。なにか変な動きをしている人がいたら教えてください。情報共有は毎週日曜日の午前9時にしましょう。」
はあ。勝手に話を進められた。その時間、私の大切な紅茶と読書の時間なんだが。まあ反抗しない方がいいことは一目瞭然。
「わかりました。」
「れいちゃん、手間暇かけるようなことお願いしてごめんね。」
「いえ。大丈夫です。できる分だけ頑張ります。」
そういって私は面談室を後にした。
まず中2女子寮生は16人。部屋ごとに順番に思い浮かべる。中2のエリアは部屋番号21〜24。ちなみに中3が1階にある15〜20で、中1が2階の中2と同じフロアにある25〜30。1〜15は空き部屋であった。
部屋番号21
武藤優佳、青木茜、石川秋葉、吉野凛。
部屋番号22
夜月怜愛、瀬尾奈々、佐々山詩音、倉本彩乃
部屋番号23
八重桜優美、衛藤舞花、盛岡花、酒井愛玲奈
部屋番号24
三浦紗季、寺田春菜、今田梨華、上野美香
一体誰なんだろう。
今田さんの部屋員は?寺田さんは今田さんと仲が良かったし、性格も悪くない。三浦さんは血が怖いからっといって絶対医療ドラマをみない。上野さんは性格こそ悪いがどうも人を殺す人だとは思えない。いやわかんないかも。上野さんはお嬢様気質でよく盛岡花を引き連れているイメージ。まさか、上野さんと盛岡さんの共謀、、、。
いやこれはまだ候補でしかないし、盛岡さんは真面目なところがあるからいくら上野さんの命令だとしても従わないだろう。
一応私の中で上野さんは候補の一人だ。
他の部屋の人は、、。思い当たるのは何人か浮かぶ。殺人ドラマが好きで、なおかつ今田さんと仲が悪かった八重桜さん。いつも何しているかわからない青木さん。今田さんと一時期喧嘩しまくっていた武藤さん。武藤さんの取り巻き連中。
もう候補が多くなりすぎて全員を疑ってしまう。
ふと頭の中にひとつの考えが思い浮かんだ。窒息死でなくなったのなら紐で殺されたか、なんらかの跡が残っているはずだ。
私はどのような形でなくなったのか詳しく聞こうと思った。
きっとまだ新木さんはいるはずだ。
読んでくださり、ありがとうございます
続きを書こうと思っているので、そちらもよろしくお願いします。
以後、女子寮生の人間関係です。
興味がある人、少し次のお話を予想したい人、犯人にあたりをつけたい人は見てみてください。
〈仲がいい(だいたい固まっている)人〉
武藤優佳ー石川秋葉ー八重桜優美
酒井愛玲奈ー衛藤舞花ー吉野凛
青木茜ー倉本彩乃
三浦紗季ー佐々山詩音
瀬尾奈々ー盛岡花ー上野美香
寺田春菜ー今田梨華
まさか、あなたですか?〜第2話〜
1話の続きです
新木さんはもういなかった。そのかわり橘先生がいたので、先生に話をきいた。
「先生。今田さんの死亡時の様子はどんな感じだったんですか?」
「窒息死。でもどうやって窒息したかはまだ新木さんからきいてないからわからない。
きっと明日わかる。」
なるほど。まだ捜査がそこまで進んでいないのか。
今日が土曜日。明日新木さんが来るからまたそこできいてみよう。
私は自分の部屋へ行き、楽な格好に着替えてベットに座り込んだ。
あり得ない人を消去法で消していく。
まず私はあり得ない。そして仲が良かった寺田さんは消される。血を怖がる三浦さんは絶対に人を殺さない。今思えば武藤さんも殺さないだろう。殺せば評点が下がる。石川さんはめんどくさがりだし、意外と真面目で怖がりだから考えにくい。今思えば八重桜は意外と力がないし、体力もない。そのうえ、持病持ちだから人を殺すわけがない。
そう考えていくと全員が候補からなくなってしまった。それはイメージやいつもの行動と違う動きをする可能性だってあるからなんとも言えない。
こういうことを入浴時や食事中も考えていた。
変な動きをする人は見た感じだといない。
日曜日午前8時55分ごろ。
新木さん、橘先生と私は面談室にいた。
「夜月さん、なんか変な動きをしている人はいましたか?」
「いいえ、いませんでした。それに私が思うにこの学年の人では無いと思います。」
「そうですか、、」
新木さんは困った顔を浮かべ、視線をメモ帳に向けた。
まだメモ帳の開かれたページには何も書かれていなかった。
「私も廊下に設置してある防犯カメラで確認しましたがそもそも24号室に入って行った生徒はその部屋のひとたちだけでした。」
ん?部屋員しか出入りしていない?ということは自殺の可能性が高い、、、。
そんなことはない。今田さんはそんな自殺をするような子ではないと私は信じていた。
面談室は沈黙を5分間ぐらいだろうか、保っていた。新木さんも先生も困った顔をしていた。
「そういえば窒息死の詳しい状況を教えていただけますか?」
「そうでした。それが窒息死にしては喉に何かが詰まった訳でも紐で絞め殺された訳でもなさそうなんです。私の中ではもしかしたら窒息死ではないかもと思っていますが。」
え?そんなことある?もう何がなんだかわからなくなってしまった。
2話は短めです。
さあ一体この女子寮では何が起きているんでしょう?
まさか、あなたですか?〜第3話〜
さあ、第3話。
一体何が起きるんでしょう?
月曜日、私は何事もなかったように登校した。
教室の端っこの自分の席に座り、小説を読んでいた時だった。
1時間目が始まるほんの数分前。教室の真ん中の方のから尋常ではない音が。
誰かが椅子から落ちた音。椅子が倒れる音。そしてその後に聞こえたのは「ヒューヒュー」という呼吸だった。
何事かと私は音のした方向に目を向ける。
倉本さんが教室のど真ん中で苦しそうに呼吸をしているのだった。
倉本さんの周りの席の人が慌てて様子をみる。
ちょうどその時、数学教員・中2女子寮生担当橘先生が入ってきた。
「あ、あ、倉本さん!」
寮ではあやちゃんってよんでるのに学校ではきちんと倉本さんって呼ぶのか〜
橘先生が指示をした。
「古沢くん!養護教諭の高岡先生にこのことを伝えて!
櫻崎さん!寮館長(寮長とは別)の上野先生を呼んできて!」
彼女の両隣の席の人に指示を出した橘先生は倉本さんの容態を確認していた。
嫌な予感がした。
倉本さんはもう間に合わないんじゃないか。
高岡先生と上野先生が駆けつけてきた。
倉本さんはもっと苦しそうに呼吸をしていた。
「救急車、呼びましょう。」
高岡先生が胸ポケットからスマホを取り出すと電話をかけ始めた。
「もしもし。救急です。桜和学院中学校・高等学校まで来てください。よろしくお願いします。」
ああ。救急車は間に合うだろうか。
ああ。倉本さんが死んだら女子寮は大変なことになる。
救急車が来た時、まだ倉本さんは呼吸をしていた。
どうか助かってくれ。そう思うばかりだった。
倉本さんのその後は寮に帰ってから聞いた。
間に合わなかった。死因は呼吸不全。
これは殺人事件ではない。この女子寮は、中2女子寮生は、呪われている。
そうに違いない。
きっと次、誰かがまた死ぬ。
なんでそうなるのか。
21号室から泣き声がきこえた。青木さんが泣いてるのだ。
青木さんは優しい。それに比べて平然としている私は何者なんだろう。
いやそんなこと考えてる場合じゃない。
また女子寮生の誰かがこの世を去ってしまうかもしれない。
もしかしたら自分かもしれない。
きっと女子寮生全員そう思っているだろう。
橘先生も焦るだろう。
ああああああああああああ
どうすればいいんだあああああああああ
はい。最後情緒不安定風に書いてみました。
続きもよろしくお願いします。
まさか、あなたですか?〜第4話〜
はい、3話の続きです。
どんどん話を発展させていきますよ・・・
日曜日。新木さん、橘先生と面談。
「残念なことがおきましたね。」
新木さんは倉本さんのことをもう知っているようだ。
「本当に残念だと思います。ただここで考えらることは3つ。1つは偶然たまたま2人が同じようなタイミングで死んだということ。2つめは今田さんは殺害されたが倉本さんは偶然なくなった。3つ目は2人は誰かに殺害されたということです。」
「そうですね。仮に1番目の理由が正しいのならば私たちはもう必要ありません。しかし、2つ目と3つ目のどちらかが事実だとしたら問題を解決するべきです。」
橘先生はただうなづいているだけで何も言葉を発しなかった。
ただこの時、私はなんらかの違和感を抱いたことは間違いなかった。
夜月は面談を終え、自室へ戻った。
気が向いて学習室に向かった。学習室は席が決まっていて、集中しやすいように仕切りがしてあった。座って正面と右側に机があり、右側の机の下にはロッカーがあった。
夜月は意外と机の上が綺麗だった。
ああ。また、誰か死んでしまう。きっと。
自分かもしれない。同じ部屋の人かもしれない。
心配に駆られた。
そんなことを考えていたら気づいたら夢の中へ。
目が覚めたのは16時半。寮内放送のチャイムで目が覚めた。
一体こんな時間に何の放送だろう。
「中学2年生女子寮生に連絡です。中学2年生女子寮生に連絡です。
至急、1階事務所前に来てください。至急、1階事務所前に来てください。
繰り返します。中学2……」
1階事務所前?なぜこんな時間に?
佐々山詩音が心配そうな顔をして話しかけてきた。
「…行く?」
瀬尾奈々は部活中のはず。
私は詩音と一緒に1階事務所前に行った。
既に部活動がない人たち全員が来ていた。
橘先生の姿はなく、代わりに中学3年生女子寮生担当 山薙(やまなぎ)先生がいた。
「揃いましたね。今から男子寮にある第1講義室に行きます。」
講義室は、人数の多い男子寮しかない。
山薙先生が私たちを連れて男子寮と女子寮の境にある扉を開けた。もちろん暗証番号が必要であるが。
講義室に着くと中学2年男子寮生担当 藤村先生がいた。さらに中央警察署の新木さんまでいた。
「適当に席に座ってください。」
藤村先生がいつもの低い声で指示した。
全員が席に着くと藤村先生が話し出した。
「みなさん、わざわざ集まってもらってすみません。
単刀直入に話すので静かに聞いてください。
実は先程橘先生が倒れられ、心肺停止の状況に陥りました。」
え?橘先生?まさか。面談の時に感じた違和感は、虫の知らせだった。。
少し周りがざわつく。
「なのでこれからしばらく山薙先生に担当をお願いしようと思います。
最近、亡くなっている生徒が多いので、君達も体調には気をつけるように。
夜月さんは残ってください。それ以外の人は山薙先生と女子寮に戻ってもらって構いません。」
ついに先生が。このとき、私は確信した。きっとこれは殺人事件ではない。
一種のミステリーだと。誰にも正体がわからない力がこの中2女子寮生に働いている。
他の女子寮生が出て行ったあと、私は新木さんと話すことになった。
「橘先生がまさかね。」
新木さんは予想もしない展開に少々驚いているようだった。
「私ね、この問題から手を引かないといけなくなったの。」
新木さんは心残りがあるようだった。
「この問題を上司にいったら、解決不可って決めつけられて。だからもう、この事件には関われない。ごめんなさい。」
「心肺停止って。橘先生は…」
「きっと助けてあげられないわ」
これからは私だけで解決しなければならない。
ああ。どうすればいいの。
これはもはや殺人でしょうか・・・
次回もお楽しみに〜
まさか、あなたですか?〜第5話〜
もはやこの気配は・・・
夜月は1人では解決できないと感じ、同じ部活に所属する氷室に電話した。
「氷室〜。どうしよう。」
「どうした〜」
「今さあ女子寮生がどんどん死んでるじゃん。それ、私が解決しないといけない。」
「あー。お疲れ様。」
こいつにこう言われるのはもう慣れた。最初はいつも冷たいけど、本当は優しくていいやつ。
「てかさ。これってどういう状況?なんか今日も橘が倒れたとか。」
「そう。心肺停止っていわれたから。」
「それって、やばいじゃん。」
「やばいとか一言ではいえないよ〜」
「そうだなあ〜」
携帯からゲーム解説の動画の音がする。
「おい、ゲーム実況見てんじゃねえよw」
「はぁ〜?」
沈黙。いや実におもしろ、、くない。
「夜月〜。」
「何?」
「そういえば女子寮生って15人だっけ。」
「16人です。」
何で今頃?
「で、亡くなったの、2人?」
「そう。」
結局、こいつ役に立たないw
諦めてゲーム実況の話をして電話を終えた。
ふと、気になることが2点出てきた。
1つは今田さんが窒息死では無い可能性が出てきたこと。これは新木さんが言ったこと。
2つ目は氷室が女子寮生の人数を15人と言ったことだ。あいつはそうそうそんな数字を間違って記憶しない。そんなあいつが、、、。
今思えば、女子寮生は15人だった気もする。でも、名前を数えると16人。
まさか、記憶違い?いやまさか2人で記憶違いとかそんなわけないし。
仮に15人だったとすると誰が1人増えたのか。
夜月は「本当はいないはずの誰かが増えた」という仮説を立てた。
だけど誰かが増えるのと、人が死ぬのは関係が程遠い。
それとも関係があるのか。
夜月にはまだ何もわからなかった。
まさか、あなたですか?〜第6話〜
さあ、誰がどんな経緯でこんなことを起こしたんでしょうか。
場面は交通事故当時になる。
実は夜月怜愛はその日だけは1人で登校していなかった。
誰か・・・同級生の女子だったに違いない。
楽しげに会話する様子は青春を感じさせるものだった。
その青春の中に自動車は突っ込んでいった。
その時からだろうか。夜月は呼吸アリの意識不明の状態。ではもう1人は?
---
夜月はもうこの調査に音を上げたい気持ちだった。
だけど。この事件を解決しなければまた同級生が死んでいく。
そんなこと国語の授業中に考えていた。その時だった。
吉野凛が急に突っ伏した。いや倒れたのだ。衝撃の大きそうな音が先生を驚かせた。
吉野のぐったりとした手からシャーペンが転がり落ちる。
国語教員が驚いた顔で吉野に近づいた。
授業が一旦停止され、自習となった。
学校から支給されているパソコンで交通事故について書かれている記事を見つけた。
小見出しは「交通事故 女子中学生2名が巻き込まれる」。
流石に名前は出ていなかったが。
はて。交通事故に巻き込まれたのは私以外にもう1人いた記憶がない。
違う交通事故かもと思ったが発生時刻と発生場所は同じだった。
あの日、一人で登校したんじゃなかった。
でも交通事故にあったのはわたしだけ。
じゃあもう1人は一体誰だ?
誰だ。誰だ。|誰だ。誰だ。《さ、、、、あ》
ふと、誰かの名前が浮かんだ気がした。
だが記憶に霧がかかったような状態で思い出せない。
もしかしたらその人がみんなの記憶から消え、記憶の改竄によって減った女子寮生の1人分なのではないか。
まさか、あなたですか 番外編(ネタバレ•解説編その1)〜真相が知りたくてうずうずしているあなたに〜
『注意』
この小説は「まさか、あなたですか?」のネタバレ小説(裏話・解説)です。
全話、楽しく読みたい方は読まないでください。
この小説は「まさか、あなたですか?」を読んでいる読者様が「どうなっているのか気になってうずうずしている・・・」という方のための小説です。
もしウズウズしているのならばこの先を読んでください。
話は交通事故当日の話になる。
夜月怜愛は現在は1人で登校したのか、はたまた誰と登校したかは覚えていない
思い出せない理由は、交通事故の衝撃と、記憶の改竄。
実はその時一緒に登校していたのは酒井愛玲奈(さかいえれな)のいとこの酒井乃愛(さかいのあ)だった。元々酒井愛玲奈は既に病気で去年亡くなっており、存在しないはずだった。
酒井乃愛は、前日に衛藤舞花と吉野凛と喧嘩してしまって孤独を感じたが、仲直りしきれなかったために、夜月と登校したのだった。
不幸はつづくもので、運悪く乃愛は交通事故で亡くなってしまった。
そのとき、みんなの記憶が改竄•削除され、乃愛の代わりにこの世に戻ってきたのは酒井愛玲奈だった。
しかし、この世に存在してはならない酒井愛玲奈がいるため、誰かがあの世に行かなければならない。
そこで一番最初に逝ってしまったのが今田梨華だった。
しかし、この現象は止まらず、遂に教員にまで影響が出てしまう。
ここで皆さん、おわかりのとおり殺人ではなかったことが証明されたことでしょう。
さあ、この現象をどうしたら止めれるのか。
その方法を見つけるたびに夜月は走る。
ネタバレ編も続きます
よろしくです
まさか、あなたですか?〜第7話〜
誰だ、誰だ。
私は誰と登校していたんだ。
ああ。思い出せない。
寮に帰った後、夜月は疲れ切っていた。
佐々山詩音が声をかける。
「なんかあった?」
「ううん。何も。」
来週には女子寮内で部屋替えがある。
たしか中2は木曜日。
そのときになったらこんなことわすれているかもしれない。
---
次の木曜日。部屋替えがあった。
新しい部屋のメンバーは夜月怜愛、寺田春菜、酒井愛玲奈、石川秋葉だった。
部屋替えが終わり、新しいメンツで挨拶をする。
「怜愛たんはじめてだね。よろしく〜」
「こちらこそ。春菜ちゃんとあまり喋ったことないから〜。よろしく〜。」
「なんか、れいあとえれなって名前がなんとなく似てるから、間違えそうw」
「え〜、れが入ってるだけじゃんw」
さあ、ここで読者さんに話しておこう。
読んでいてきっと4人部屋なのは承知のことだろう。
この寮では二段ベッド制で、夜月の部屋は、部屋に入って右側にあるベッドの上が寺田春菜、下が石川秋葉。もう一方のベッドの上が夜月怜愛、下が酒井愛玲奈という具合だ。
そしてベッドにはみんなが落ち着いて寝れるようにカーテンがある。
このことを覚えていてほしい。
夜11時半ごろ。
私はふと目を覚ました。
下から、かさっかさっ、という音がきこえた。
落ち着かず見にいきたくなったのと、水を飲むために下に降りた。
すると…。
下のベッドのカーテンが開いていて、愛玲奈が姿を消していた。
この時間帯に行ける場所はトイレだけ。
この寮は厳しく、自分の部屋ではない部屋はいってはいけないことになっている。
気になってトイレにいってみた。
だがトイレの電気は消えていて、人の姿が感じられない。
では愛玲奈はどこに行ったのだろう。
部屋に戻っても愛玲奈の姿は見当たらなかった。
落ち着かなかったが私はベッドに入った瞬間眠りに陥っていった。
---
次の朝。部屋にはきちんと愛玲奈はいた。
怜愛は愛玲奈に昨晩のことをきいた。
「ねえ。昨日の夜、何してたの?」
「え?普通に寝てたけど?」
「え?ベッドにいなかったじゃん」
「そうだったかな。普通に寝てたけど。」
昨日のは夢か?いや、そんなことはない。
絶対この目でみて、疑問を抱いた。
愛玲奈は何かを隠している。または…愛玲奈は本当に何も知らず、昨日のは何か変な現象が起きていたのかもしれない。
交通事故にあった、もうひとりの…
まだまだ続きます。
まさか、あなたですか? 第1〜5話総集編
総集編です。
夜月怜愛は中学2年生の女子。
私立中学校の寮生で、一匹狼タイプ。
読書とポテチが好き。
あだ名は怜愛ちゃん、れいちゃん、れーちゃん。
登校中、交通事故に巻き込まれ、2週間自宅療養をしていた。
療養を終えてやっと帰寮。
もう目と鼻の先には数週間離れた寮だ。帰ったら何しようかな?
平日で誰もいないはずだからのんびり過ごして明日から頑張ろう。
ふと自分の4人部屋を思い浮かべた。
送ってくれた母と別れて寮に入ると寮母さんと中2女子寮生担当の先生 橘 杏先生が出迎えてくれた。
「れいちゃん、お帰りー」
「れーちゃん、元気なった?」
寮母さんが笑顔できいてきた。
「はい!」
笑顔で答え、一通り会話を終えると、橘先生の顔が笑顔から真面目な顔に切り替わった。
「れいちゃん。申し訳ないけど荷物片付けたら事務所に来てくれる?」
「わかりました。」
なんだろう。橘先生があんな真剣な顔をするなんて。きっと何かあったに違いない。
なんか私悪いことしたっけ?
とりあえず靴箱にいってスリッパに履き替えて荷物を片付けに居室へ向かった。
2階の居室エリアで私は違和感を覚えた。
女子寮生全員部屋にいる。部屋の前にスリッパがある。しかもいつも騒がしい感じなのにしーんとしている。
自分の部屋に入ると部屋員の子全員がベットの中にいた。
私が入ってきたのに気づいた詩音ちゃんが
「おかえり〜」
といってくれた。声をかけてくれたのは彼女だけだった。
いつも下品な話をして、時には劇をする騒がしい部屋なのにしーんとしていた。
なんかあったなと思いながら荷物を片付けて1階の事務所へ行った。
そこにはさっきは感じなかった異様な光景がすぐ目に入った。
女性の警官がいたのだ。
私が法に反することをいつした?交通事故のことをききにきたのか?
ドキドキしながら橘先生に声をかけた。
「先生。」
「れいちゃん片付け終わったの?」
「はい。一応。」
そう答えながらも私の目は橘先生ではなく女性警官の方を向いていた。
それを察した橘先生は焦りながらいった。
「あ、こちらの方は警察の方だよ」
女性警官がいった。
「夜月怜愛さんですね。名前は伺っています。わたくし、中央警察の新木です。この寮で起きた事件のことについて捜査しています。」
この寮で起きた事件?なんじゃそりゃ
「れいちゃんにはまだ話してないよね。今から説明するから、とりあえず面談室に行こうか。」
橘先生が滅多に使われない寮の面談室を使うというからなんとなくワクワクしていたがそれ以上に事件のことが気になった。
私と橘先生と女性警察官の新木さんは面談室へ入った。
全員が席に着くと橘先生がこの量で起きたことについて説明し始めた。
「実はね、昨日この女子寮で殺人事件が起きたの。」
「さ、殺人?ですか?」
「そう。もしかしたら自殺かもしれないけど」
いやいや、ちょっと待って。寮から死者がでるって何事?
「そうなんですね、、、」
「そこで誰が関係しているのかわからないかられいちゃんに事件の真相を突き止めてもらいたいんだよね。
れいちゃんは事件に直接関係してるとは思えないからね。あ、だけどしたくなかったらしなくてもいいよ。」
なるほど。先生が真相を調べるのには限界があるってわけか。
確かに私は自宅療養中だったから事件には全く関係がないだろう。
いや待てよ。これを引き受けたら内申点も多少はあがるだろうし(というのは冗談で)、なんといったって楽しそうじゃないか。
ここは引き受けるべき!
「わかりました。最善を尽くして取り組みます。」
そういうと橘先生と新木さんの顔に少しだけ安心した顔が見えた。
「ありがとう。」
橘先生は感謝の言葉を口にした。橘先生は新木さんに目線を向け、新木さんがそれを受けた。
「ではまず。事件の概要について説明します。
殺害されたのは中学2年部屋番号24の今田梨華さん。昨日の午前7時頃に居室内で窒息死した模様です。ちなみに目撃者はおらず、まだ手掛かりは掴めていません。」
今田梨華。隣のクラスの女子か。まだ同じクラスにも同じ部屋にもなったことがない。
一応相槌を打った。新木さんは続けた。
「そこでまずお願いしたいのは中学2年生の観察です。なにか変な動きをしている人がいたら教えてください。情報共有は毎週日曜日の午前9時にしましょう。」
はあ。勝手に話を進められた。その時間、私の大切な紅茶と読書の時間なんだが。まあ反抗しない方がいいことは一目瞭然。
「わかりました。」
「れいちゃん、手間暇かけるようなことお願いしてごめんね。」
「いえ。大丈夫です。できる分だけ頑張ります。」
そういって私は面談室を後にした。
まず中2女子寮生は16人。部屋ごとに順番に思い浮かべる。中2のエリアは部屋番号21〜24。ちなみに中3が1階にある15〜20で、中1が2階の中2と同じフロアにある25〜30。1〜15は空き部屋であった。
部屋番号21
武藤優佳、青木茜、石川秋葉、吉野凛。
部屋番号22
夜月怜愛、瀬尾奈々、佐々山詩音、倉本彩乃
部屋番号23
八重桜優美、衛藤舞花、盛岡花、酒井愛玲奈
部屋番号24
三浦紗季、寺田春菜、今田梨華、上野美香
一体誰なんだろう。
今田さんの部屋員は?寺田さんは今田さんと仲が良かったし、性格も悪くない。三浦さんは血が怖いからっといって絶対医療ドラマをみない。上野さんは性格こそ悪いがどうも人を殺す人だとは思えない。いやわかんないかも。上野さんはお嬢様気質でよく盛岡花を引き連れているイメージ。まさか、上野さんと盛岡さんの共謀、、、。
いやこれはまだ候補でしかないし、盛岡さんは真面目なところがあるからいくら上野さんの命令だとしても従わないだろう。
一応私の中で上野さんは候補の一人だ。
他の部屋の人は、、。思い当たるのは何人か浮かぶ。殺人ドラマが好きで、なおかつ今田さんと仲が悪かった八重桜さん。いつも何しているかわからない青木さん。今田さんと一時期喧嘩しまくっていた武藤さん。武藤さんの取り巻き連中。
もう候補が多くなりすぎて全員を疑ってしまう。
ふと頭の中にひとつの考えが思い浮かんだ。窒息死でなくなったのなら紐で殺されたか、なんらかの跡が残っているはずだ。
私はどのような形でなくなったのか詳しく聞こうと思った。
きっとまだ新木さんはいるはずだ。
しかし、新木さんはもういなかった。そのかわり橘先生がいたので、先生に話をきいた。
「先生。今田さんの死亡時の様子はどんな感じだったんですか?」
「窒息死。でもどうやって窒息したかはまだ新木さんからきいてないからわからない。
きっと明日わかる。」
なるほど。まだ捜査がそこまで進んでいないのか。
今日が土曜日。明日新木さんが来るからまたそこできいてみよう。
私は自分の部屋へ行き、楽な格好に着替えてベットに座り込んだ。
あり得ない人を消去法で消していく。
まず私はあり得ない。そして仲が良かった寺田さんは消される。血を怖がる三浦さんは絶対に人を殺さない。今思えば武藤さんも殺さないだろう。殺せば評点が下がる。石川さんはめんどくさがりだし、意外と真面目で怖がりだから考えにくい。今思えば八重桜は意外と力がないし、体力もない。そのうえ、持病持ちだから人を殺すわけがない。
そう考えていくと全員が候補からなくなってしまった。それはイメージやいつもの行動と違う動きをする可能性だってあるからなんとも言えない。
こういうことを入浴時や食事中も考えていた。
変な動きをする人は見た感じだといない。
日曜日午前8時55分ごろ。
新木さん、橘先生と私は面談室にいた。
「夜月さん、なんか変な動きをしている人はいましたか?」
「いいえ、いませんでした。それに私が思うにこの学年の人では無いと思います。」
「そうですか、、」
新木さんは困った顔を浮かべ、視線をメモ帳に向けた。
まだメモ帳の開かれたページには何も書かれていなかった。
「私も廊下に設置してある防犯カメラで確認しましたがそもそも24号室に入って行った生徒はその部屋のひとたちだけでした。」
ん?部屋員しか出入りしていない?ということは自殺の可能性が高い、、、。
そんなことはない。今田さんはそんな自殺をするような子ではないと私は信じていた。
面談室は沈黙を5分間ぐらいだろうか、保っていた。新木さんも先生も困った顔をしていた。
「そういえば窒息死の詳しい状況を教えていただけますか?」
「そうでした。それが窒息死にしては喉に何かが詰まった訳でも紐で絞め殺された訳でもなさそうなんです。私の中ではもしかしたら窒息死ではないかもと思っていますが。」
え?そんなことある?もう何がなんだかわからなくなってしまった。
月曜日、私は何事もなかったように登校した。
教室の端っこの自分の席に座り、小説を読んでいた時だった。
1時間目が始まるほんの数分前。教室の真ん中の方のから尋常ではない音が。
誰かが椅子から落ちた音。椅子が倒れる音。そしてその後に聞こえたのは「ヒューヒュー」という呼吸だった。
何事かと私は音のした方向に目を向ける。
倉本さんが教室のど真ん中で苦しそうに呼吸をしているのだった。
倉本さんの周りの席の人が慌てて様子をみる。
ちょうどその時、数学教員・中2女子寮生担当橘先生が入ってきた。
「あ、あ、倉本さん!」
寮ではあやちゃんってよんでるのに学校ではきちんと倉本さんって呼ぶのか〜
橘先生が指示をした。
「古沢くん!養護教諭の高岡先生にこのことを伝えて!
櫻崎さん!寮館長(寮長とは別)の上野先生を呼んできて!」
彼女の両隣の席の人に指示を出した橘先生は倉本さんの容態を確認していた。
嫌な予感がした。
倉本さんはもう間に合わないんじゃないか。
高岡先生と上野先生が駆けつけてきた。
倉本さんはもっと苦しそうに呼吸をしていた。
「救急車、呼びましょう。」
高岡先生が胸ポケットからスマホを取り出すと電話をかけ始めた。
「もしもし。救急です。桜和学院中学校・高等学校まで来てください。よろしくお願いします。」
ああ。救急車は間に合うだろうか。
ああ。倉本さんが死んだら女子寮は大変なことになる。
救急車が来た時、まだ倉本さんは呼吸をしていた。
どうか助かってくれ。そう思うばかりだった。
倉本さんのその後は寮に帰ってから聞いた。
間に合わなかった。死因は呼吸不全。
これは殺人事件ではない。この女子寮は、中2女子寮生は、呪われている。
そうに違いない。
きっと次、誰かがまた死ぬ。
なんでそうなるのか。
21号室から泣き声がきこえた。青木さんが泣いてるのだ。
青木さんは優しい。それに比べて平然としている私は何者なんだろう。
いやそんなこと考えてる場合じゃない。
また女子寮生の誰かがこの世を去ってしまうかもしれない。
もしかしたら自分かもしれない。
きっと女子寮生全員そう思っているだろう。
橘先生も焦るだろう。
ああ。
どうすればいいんだ。
日曜日。新木さん、橘先生と面談。
「残念なことがおきましたね。」
新木さんは倉本さんのことをもう知っているようだ。
「本当に残念だと思います。ただここで考えらることは3つ。1つは偶然たまたま2人が同じようなタイミングで死んだということ。2つめは今田さんは殺害されたが倉本さんは偶然なくなった。3つ目は2人は誰かに殺害されたということです。」
「そうですね。仮に1番目の理由が正しいのならば私たちはもう必要ありません。しかし、2つ目と3つ目のどちらかが事実だとしたら問題を解決するべきです。」
橘先生はただうなづいているだけで何も言葉を発しなかった。
ただこの時、私はなんらかの違和感を抱いたことは間違いなかった。
夜月は面談を終え、自室へ戻った。
気が向いて学習室に向かった。学習室は席が決まっていて、集中しやすいように仕切りがしてあった。座って正面と右側に机があり、右側の机の下にはロッカーがあった。
夜月は意外と机の上が綺麗だった。
ああ。また、誰か死んでしまう。きっと。
自分かもしれない。同じ部屋の人かもしれない。
心配に駆られた。
そんなことを考えていたら気づいたら夢の中へ。
目が覚めたのは16時半。寮内放送のチャイムで目が覚めた。
一体こんな時間に何の放送だろう。
「中学2年生女子寮生に連絡です。中学2年生女子寮生に連絡です。
至急、1階事務所前に来てください。至急、1階事務所前に来てください。
繰り返します。中学2……」
1階事務所前?なぜこんな時間に?
佐々山詩音が心配そうな顔をして話しかけてきた。
「…行く?」
瀬尾奈々は部活中のはず。
私は詩音と一緒に1階事務所前に行った。
既に部活動がない人たち全員が来ていた。
橘先生の姿はなく、代わりに中学3年生女子寮生担当 山薙(やまなぎ)先生がいた。
「揃いましたね。今から男子寮にある第1講義室に行きます。」
講義室は、人数の多い男子寮しかない。
山薙先生が私たちを連れて男子寮と女子寮の境にある扉を開けた。もちろん暗証番号が必要であるが。
講義室に着くと中学2年男子寮生担当 藤村先生がいた。さらに中央警察署の新木さんまでいた。
「適当に席に座ってください。」
藤村先生がいつもの低い声で指示した。
全員が席に着くと藤村先生が話し出した。
「みなさん、わざわざ集まってもらってすみません。
単刀直入に話すので静かに聞いてください。
実は先程橘先生が倒れられ、心肺停止の状況に陥りました。」
え?橘先生?まさか。面談の時に感じた違和感は、虫の知らせだった。。
少し周りがざわつく。
「なのでこれからしばらく山薙先生に担当をお願いしようと思います。
最近、亡くなっている生徒が多いので、君達も体調には気をつけるように。
夜月さんは残ってください。それ以外の人は山薙先生と女子寮に戻ってもらって構いません。」
ついに先生が。このとき、私は確信した。きっとこれは殺人事件ではない。
一種のミステリーだと。誰にも正体がわからない力がこの中2女子寮生に働いている。
他の女子寮生が出て行ったあと、私は新木さんと話すことになった。
「橘先生がまさかね。」
新木さんは予想もしない展開に少々驚いているようだった。
「私ね、この問題から手を引かないといけなくなったの。」
新木さんは心残りがあるようだった。
「この問題を上司にいったら、解決不可って決めつけられて。だからもう、この事件には関われない。ごめんなさい。」
「心肺停止って。橘先生は…」
「きっと助けてあげられないわ」
これからは私だけで解決しなければならない。
ああ。どうすればいいの。
夜月は1人では解決できないと感じ、同じ部活に所属する氷室に電話した。
「氷室〜。どうしよう。」
「どうした〜」
「今さあ女子寮生がどんどん死んでるじゃん。それ、私が解決しないといけない。」
「あー。お疲れ様。」
こいつにこう言われるのはもう慣れた。最初はいつも冷たいけど、本当は優しくていいやつ。
「てかさ。これってどういう状況?なんか今日も橘が倒れたとか。」
「そう。心肺停止っていわれたから。」
「それって、やばいじゃん。」
「やばいとか一言ではいえないよ〜」
「そうだなあ〜」
携帯からゲーム解説の動画の音がする。
「おい、ゲーム実況見てんじゃねえよw」
「はぁ〜?」
沈黙。いや実におもしろ、、くない。
「夜月〜。」
「何?」
「そういえば女子寮生って15人だっけ。」
「16人です。」
何で今頃?
「で、亡くなったの、2人?」
「そう。」
結局、こいつ役に立たないw
諦めてゲーム実況の話をして電話を終えた。
ふと、気になることが2点出てきた。
1つは今田さんが窒息死では無い可能性が出てきたこと。これは新木さんが言ったこと。
2つ目は氷室が女子寮生の人数を15人と言ったことだ。あいつはそうそうそんな数字を間違って記憶しない。そんなあいつが、、、。
今思えば、女子寮生は15人だった気もする。でも、名前を数えると16人。
まさか、記憶違い?いやまさか2人で記憶違いとかそんなわけないし。
仮に15人だったとすると誰が1人増えたのか。
夜月は「本当はいないはずの誰かが増えた」という仮説を立てた。
だけど誰かが増えるのと、人が死ぬのは関係が程遠い。
それとも関係があるのか。
夜月にはまだ何もわからなかった。
以上
第1話から第5話の総集編でした。
興味持っていただけた方!是非第6話からも読んでみてください。
第6話 https://tanpen.net/novel/13959d69-8da0-496b-845f-0ab7440f89fc/
第7話 https://tanpen.net/novel/d642694c-4ddf-4892-9ec0-561fd92658e0/
第8話 https://tanpen.net/novel/5ce02bcb-979f-42f1-9df4-5a8c0398db05/
第9話 https://tanpen.net/novel/222603b8-76bc-4d41-8404-102f3f30fd98/
第10話 https://tanpen.net/novel/eba296a2-e274-46f6-aa01-52bfda9a958c/
最終話 いよいよ公開!お楽しみに!
まさか、あなたですか?〜第8話〜
しばらく期間が空いてしまったことをお詫び申し上げます。
ファンレターで応援してくださった方々、ありがとうございます。
愛玲奈は絶対居なかった。
昨日の夜は。
なのに、なんで。なんで。
朝。
学校に行く途中、ひとりで考え続けた。
自分と一緒に登校した(?)子は誰だったのか。それともそんな人は最初から存在していなかったか。
事故にあった現場を通り過ぎた時、謎の感覚に包まれた。
事故現場に誰かいた気がする。
それも声まで聞こえた気がする。
「••生き・・よ・・・ね」
でも、振り向いても誰もいなかった。
そもそも今日は早く寮を出たものだから、人気なんてほとんどない。
幻聴。不思議な幻聴。
きっと、亡くなった子の声。
みんなの記憶から消えた子の声。
学校についてからも、授業中も、落ち着かなかった。
わからない、ということがモヤモヤしてる。
下校中、部活の後輩と下校している時だった。
事故現場の前を通った時、私は石か何かに躓いて転けた。
その瞬間だった。声が聞こえた気がした。
「…を連れ戻して-」
転けたとき、後輩にめちゃくちゃ心配された。
「大丈夫ですか⁉︎」
「…大丈夫。ごめんね…」
「いいえ!全然…」
私は急いで立ち上がって、後輩に微笑んだ。
「…そういえばここって先輩が事故にあったところですよね?」
「…そうだね。」
「私、ニュースで事故のこと細かく聞いたんですけど、記事には2人の被害者って書いてあったんですけど、もう1人の先輩が誰かわからなくて…」
「そう。私も誰と歩いてたかわからない。」
後輩は驚いた顔でこちらを見てきたが、気をきかせて別の話題を話してくれた。
そして、この日の夜、同じ部屋の寺田さんが亡くなった。
遅くなって大変申し訳ございませんでした。
まだまだ物語は続きます
まさか、あなたですか?〜第9話〜
夜月の同じ部屋の寺田春菜が亡くなった。
続々と出る死者に夜月は違和感と焦りを感じていた。
寺田が亡くなった夜、夜月たちの部屋は言葉を交わさず、静かな夜を過ごした。
---
夜月は夢の中。
学校に登校する夢だった。
交通事故の現場を通り過ぎた時、足元に1枚の紙を見つけた。
紙には以下のように書いてあった。
エレン ナナ ハ アル 。
エレン、7はある?
エレン、(と)奈々はある?
どっちにしろ意味がわからない。エレンって誰?
エレン?ケレン?外連?ごまかし?(外連=ごまかし という意味です。)
そんなわけないよね。
でも、重要そう。
でも、誰かが落としたメモかもしれない。
私は拾わずにその場で暗記して歩いていく。
そして、教室に入ろうとした瞬間…
---
目が覚めた。
頭には呪文のように「エレン ナナ ハ アル」が唱えられていた。
ベッドから起きて、机のメモ帳の空いたページに書いてみる。
エレン ナナ ハ アル
女子寮生の瀬尾奈々(1話に出てきました)が関係ある?
だとしたらエレンって何?あるって何が?
ふと愛玲奈の名前が浮かんだ。
きっとえれんとえれなの[えれ]が重なったのだろう。
エレン ナナ ハ アル
並べ替えると…
3人の名前が浮かんだ。
エレナ アン ハルナ
愛玲奈
杏(あん・教師で第3話で死亡)
春菜(はるな・第8話で死亡)
亡くなった2人と愛玲奈の名前が並べてあったのだ。
これは、もしかしたら次は愛玲奈がなくなるという暗示なのではないか。
となると、愛玲奈は危険な目に遭う前ということになる。
|今《•》思えば、ベッドに愛怜奈がいないと思ったのも、たまたま愛玲奈が布団に潜ったりしてて見えなかっただけなのかもしれない。
どうしたら愛玲奈を守れるかな。
---
次の日の朝。
いつもよりも頭が重たく感じる。
重たいし、なんか頭が痛い。
体温計を手に取って体温を測ってみた。
38.6…
秋葉ちゃんが体調悪そうなのに気がついて声をかけてくれた。
「大丈夫?顔赤いよ?」
「…大丈夫…保健室行ってくる。」
寮の事務所に行って寮母さんに症状を伝え、保健室に行った。
もしかしたら愛玲奈ちゃん、今日何らかの原因で亡くなるかもしれない。
そう思うと心配で仕方がなかった。
最初は心配でソワソワしていたが次第に頭の重みと薬の効果で深い眠りに落ちていった。
---
ー 私はノア…私はノア…
続く
まさか、あなたですか?〜最終話A〜
夢の中で出会った“ノア”。
一体彼女は何者?
“ノア”の左目はなんだろう。
そして、なぜ“ノア”は愛玲奈のことを「いない人」というのか。
---
夜22時頃。夜月はまた寝た。
“ノア”は急に事故の時の話題を振ってきた。
「怜愛ちゃんは生きてたんだよね。」
「うん。」
「愛玲奈のこと、どう思う?」
え?なんで急に?愛玲奈ちゃんは関係ないはず。
「…すごい…可愛い子だなって」
「…まあ、…確かにそうだけどそういうことじゃなくて、なんか変だなと思うこととか…」
「あ、思い当たることなら…」
あのベッドの話。これは愛玲奈ちゃんがこの殺人の現象とは関係ないと切り捨てても、心の底で引っ掛かっていたこと。
「私、夜、愛玲奈ちゃんのベッドを覗いたらいなかったんです。でも、トイレに行った気配ないし、」
「部屋にいるはずだもんね」
「そう。」
「愛玲奈を殺して。」
「え…今何って?」
「愛玲奈を殺すの。そしたら大量殺人事件は幕を閉じるわ」
「え…でも…人を殺すとか無理。」
「あの子を殺す分には殺人には入らないから。そう思って。」
「愛玲奈ちゃんもひとりの人間だよ?私にはそんなことできない。」
「私を信じて…」
「無理だあ〜」
---
朝5時半。
目が覚める。
夢に出てきた“ノア”が言っていることは正しいのだろうか?
現実世界に落ちていたメモ、夢の世界に出てきた“ノア”…
どうしたらいいのか…
考えているうちにまたまた眠りについた。
---
「レイア…レイア…」
聞き覚えのある声…そうだ、いつか海外にホームステイに行った時に知り合った占い師をしているジェーニャだ。彼女は日本語もペラペラでホームステイを助けてくれた人でもあった。
「私は今、あなたの夢の中にいるの。聞こえる?レイア…」
「Yes」
「よかったわ。今日はあなたに忠告に来たの。」
「え…」
「落ち着いて聞いてね。どうやらあなたの周りに死者がいるみたいなの」
数ヶ月も待たせてすみません
まさか、あなたですか? 第6話〜第10話 総集編
「まさか、あなたですか?」の第6話〜第10話をまとめました!
第1話〜第5話 総集編 https://tanpen.net/novel/e8004738-a09f-43ca-8e7d-58e2d9672bcf/
場面は交通事故当時になる。
実は夜月怜愛はその日だけは1人で登校していなかった。
誰か・・・同級生の女子だったに違いない。
楽しげに会話する様子は青春を感じさせるものだった。
その青春の中に自動車は突っ込んでいった。
その時からだろうか。夜月は呼吸アリの意識不明の状態。ではもう1人は?
---
夜月はもうこの調査に音を上げたい気持ちだった。
だけど。この事件を解決しなければまた同級生が死んでいく。
そんなこと国語の授業中に考えていた。その時だった。
吉野凛が急に突っ伏した。いや倒れたのだ。衝撃の大きそうな音が先生を驚かせた。
吉野のぐったりとした手からシャーペンが転がり落ちる。
国語教員が驚いた顔で吉野に近づいた。
授業が一旦停止され、自習となった。
学校から支給されているパソコンで交通事故について書かれている記事を見つけた。
小見出しは「交通事故 女子中学生2名が巻き込まれる」。
流石に名前は出ていなかったが。
はて。交通事故に巻き込まれたのは私以外にもう1人いた記憶がない。
違う交通事故かもと思ったが発生時刻と発生場所は同じだった。
あの日、一人で登校したんじゃなかった。
でも交通事故にあったのはわたしだけ。
じゃあもう1人は一体誰だ?
誰だ。誰だ。誰だ。誰だ。さ、、、、あ
ふと、誰かの名前が浮かんだ気がした。
だが記憶に霧がかかったような状態で思い出せない。
もしかしたらその人がみんなの記憶から消え、記憶の改竄によって減った女子寮生の1人分なのではないか。
誰だ、誰だ。
私は誰と登校していたんだ。
ああ。思い出せない。
寮に帰った後、夜月は疲れ切っていた。
佐々山詩音が声をかける。
「なんかあった?」
「ううん。何も。」
来週には女子寮内で部屋替えがある。
たしか中2は木曜日。
そのときになったらこんなことわすれているかもしれない。
---
次の木曜日。部屋替えがあった。
新しい部屋のメンバーは夜月怜愛、寺田春菜、酒井愛玲奈、石川秋葉だった。
部屋替えが終わり、新しいメンツで挨拶をする。
「怜愛たんはじめてだね。よろしく〜」
「こちらこそ。春菜ちゃんとあまり喋ったことないから〜。よろしく〜。」
「なんか、れいあとえれなって名前がなんとなく似てるから、間違えそうw」
「え〜、れが入ってるだけじゃんw」
さあ、ここで読者さんに話しておこう。
読んでいてきっと4人部屋なのは承知のことだろう。
この寮では二段ベッド制で、夜月の部屋は、部屋に入って右側にあるベッドの上が寺田春菜、下が石川秋葉。もう一方のベッドの上が夜月怜愛、下が酒井愛玲奈という具合だ。
そしてベッドにはみんなが落ち着いて寝れるようにカーテンがある。
このことを覚えていてほしい。
夜11時半ごろ。
私はふと目を覚ました。
下から、かさっかさっ、という音がきこえた。
落ち着かず見にいきたくなったのと、水を飲むために下に降りた。
すると…。
下のベッドのカーテンが開いていて、愛玲奈が姿を消していた。
この時間帯に行ける場所はトイレだけ。
この寮は厳しく、自分の部屋ではない部屋はいってはいけないことになっている。
気になってトイレにいってみた。
だがトイレの電気は消えていて、人の姿が感じられない。
では愛玲奈はどこに行ったのだろう。
部屋に戻っても愛玲奈の姿は見当たらなかった。
落ち着かなかったが私はベッドに入った瞬間眠りに陥っていった。
---
次の朝。部屋にはきちんと愛玲奈はいた。
怜愛は愛玲奈に昨晩のことをきいた。
「ねえ。昨日の夜、何してたの?」
「え?普通に寝てたけど?」
「え?ベッドにいなかったじゃん」
「そうだったかな。普通に寝てたけど。」
昨日のは夢か?いや、そんなことはない。
絶対この目でみて、疑問を抱いた。
愛玲奈は何かを隠している。または…愛玲奈は本当に何も知らず、昨日のは何か変な現象が起きていたのかもしれない。
交通事故にあった、もうひとりの…
愛玲奈は絶対居なかった。
昨日の夜は。
なのに、なんで。なんで。
朝。
学校に行く途中、ひとりで考え続けた。
自分と一緒に登校した(?)子は誰だったのか。それともそんな人は最初から存在していなかったか。
事故にあった現場を通り過ぎた時、謎の感覚に包まれた。
事故現場に誰かいた気がする。
それも声まで聞こえた気がする。
「••生き・・よ・・・ね」
でも、振り向いても誰もいなかった。
そもそも今日は早く寮を出たものだから、人気なんてほとんどない。
幻聴。不思議な幻聴。
きっと、亡くなった子の声。
みんなの記憶から消えた子の声。
学校についてからも、授業中も、落ち着かなかった。
わからない、ということがモヤモヤしてる。
下校中、部活の後輩と下校している時だった。
事故現場の前を通った時、私は石か何かに躓いて転けた。
その瞬間だった。声が聞こえた気がした。
「…を連れ戻して-」
転けたとき、後輩にめちゃくちゃ心配された。
「大丈夫ですか⁉︎」
「…大丈夫。ごめんね…」
「いいえ!全然…」
私は急いで立ち上がって、後輩に微笑んだ。
「…そういえばここって先輩が事故にあったところですよね?」
「…そうだね。」
「私、ニュースで事故のこと細かく聞いたんですけど、記事には2人の被害者って書いてあったんですけど、もう1人の先輩が誰かわからなくて…」
「そう。私も誰と歩いてたかわからない。」
後輩は驚いた顔でこちらを見てきたが、気をきかせて別の話題を話してくれた。
そして、この日の夜、同じ部屋の寺田さんが亡くなった。
続々と出る死者に夜月は違和感と焦りを感じていた。
寺田が亡くなった夜、夜月たちの部屋は言葉を交わさず、静かな夜を過ごした。
---
夜月は夢の中。
学校に登校する夢だった。
交通事故の現場を通り過ぎた時、足元に1枚の紙を見つけた。
紙には以下のように書いてあった。
エレン ナナ ハ アル 。
エレン、7はある?
エレン、(と)奈々はある?
どっちにしろ意味がわからない。エレンって誰?
エレン?ケレン?外連?ごまかし?(外連=ごまかし という意味です。)
そんなわけないよね。
でも、重要そう。
でも、誰かが落としたメモかもしれない。
私は拾わずにその場で暗記して歩いていく。
そして、教室に入ろうとした瞬間…
---
目が覚めた。
頭には呪文のように「エレン ナナ ハ アル」が唱えられていた。
ベッドから起きて、机のメモ帳の空いたページに書いてみる。
エレン ナナ ハ アル
女子寮生の瀬尾奈々(1話に出てきました)が関係ある?
だとしたらエレンって何?あるって何が?
ふと愛玲奈の名前が浮かんだ。
きっとえれんとえれなの[えれ]が重なったのだろう。
エレン ナナ ハ アル
並べ替えると…
3人の名前が浮かんだ。
エレナ アン ハルナ
愛玲奈
杏(あん・教師で第3話で死亡)
春菜(はるな・第8話で死亡)
亡くなった2人と愛玲奈の名前が並べてあったのだ。
これは、もしかしたら次は愛玲奈がなくなるという暗示なのではないか。
となると、愛玲奈は危険な目に遭う前ということになる。
今思えば、ベッドに愛怜奈がいないと思ったのも、たまたま愛玲奈が布団に潜ったりしてて見えなかっただけなのかもしれない。
どうしたら愛玲奈を守れるかな。
---
次の日の朝。
いつもよりも頭が重たく感じる。
重たいし、なんか頭が痛い。
体温計を手に取って体温を測ってみた。
38.6…
秋葉ちゃんが体調悪そうなのに気がついて声をかけてくれた。
「大丈夫?顔赤いよ?」
「…大丈夫…保健室行ってくる。」
寮の事務所に行って寮母さんに症状を伝え、保健室に行った。
もしかしたら愛玲奈ちゃん、今日何らかの原因で亡くなるかもしれない。
そう思うと心配で仕方がなかった。
最初は心配でソワソワしていたが次第に頭の重みと薬の効果で深い眠りに落ちていった。
---
ー 私はノア…私はノア…
学校の席に私は座っていた。
特に何もないのに、ただただ一点を見つめていた。
気が向いて、違う教室を覗いてみた。
すると、そこには見覚えのない少女が教室の後ろの端っこの席に座っていた。彼女の席なら話してても目立たないだろう。特にこの教室はいつも騒がしい。
彼女に話しかけてみた。大人びた、蒼白い顔がこちらの顔を覗く。
よく見ると瞳の色が左右で違う。
右目は黒。左目は青。そして、目も瞳も大きい。まるで吸い込まれそうな目をしてる。
「…何か用ですか。」
「はじめて見る顔だと思って…お名前を教えていただけますか?」
「私は…ノア…。」
名前を聞いたとき、“ノア”と名乗る少女は一瞬戸惑った顔をしていた。
私は思った。“ノア”なんて私の学校にいたか。入学時にはいただろうか。でも、転校生はいなかったはず。これは…夢?夢だったら実在しない人物でもあり得るかもしれない。
そう考えていたとき。遠くから消しゴムが飛んできた。消しゴムが私の方へどんどん近づいてくる。
私の顔にぶつかろうとしたその瞬間。
“ノア”が手を伸ばして、消しゴムが私にぶつかるのを阻止した。
「ありがとう。」
「ううん。ぶつからなくてよかったね。」
“ノア”は笑顔を見せた。何かに惹きつけられるこの感覚は一体なんだろう。
「ここ、騒がしいから私の教室に行く?」
「うん。」
そうして、私の教室に移動した時。
---
目が覚めた。やっぱり夢だった。
今、はっきりと夢の内容を覚えている。そして疑問が浮かぶ。
“ノア”という名前のあの少女は存在するのか。
“ノア”という少女はなぜあんなに蒼白かったのか。
“ノア”は私と会う前、どこを見ていたのか。
発熱しているとは思えないぐらい頭が回転している気がする。
今は保健室にいるから学校に行って、実際に“ノア”が存在するかは確認できない。そして、“ノア”を現実で見ることもできない。
どうすればいいんだろう。
そうだ。今は夢をみまくればいい。今はそれしか思い浮かばない。
この不可解な殺人、現象は私が止めなければ。
夢は都合よく、さっきの続きからだった。
“ノア”は教室に入った瞬間足を止めた。そして、地味に不可解な言葉を発した。
「あの子は…あの子は…もういない…いないはず…」
「…いない?」
「うん。」
「あの子って誰?」
「あの低めの一本結びをしている子。」
…。愛玲奈…ちゃん…。
「なんで…なんでいないと思うの?」
「私にはわかる。私には感じ取れる。」
「何が?」
「死の感覚。私の左目が…感じ取ってる。」
「え…」
---
「怜愛さーん」
高2の女子寮生担当であり、私の部活の顧問である中野渡先生の声がする。この声で目が覚めた。
ゆっくり目を開ける。
「大丈夫?」
「…大丈夫です。」
「明日は、夜月は部活オフね」
「わかりました。すいません。」
「お大事にね〜」
先生は保健室から去っていった。
夢に出てきた“ノア”の左目、あれは一体なんだ?
いよいよ最終話公開予定です!