日替わりお題を使った小説を作っていきます!
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目次
神聖な儀式
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「神聖」
外から騒がしい声が聞こえてくる。
私が何だろうと窓を覗くと人々が行列を作ってどこかへ歩いていく姿があった。
何故だろうかと考えると、今日が私の住む国で最も大事で神聖な儀式の日「成人の日」だということを思い出した。
成人したものを祝うため、20歳以上の住民全てが出席しなければいけない大切な儀式なのだ。
だが、24歳である私は出席しない。
いや、出席できないのだ。
何故なら私が寝たきりで動けないから。
親も他界し、友達はゼロ。
神殿の者も忙しく、誰も私を送り迎えできない。
神殿まで行けるわけがない。
もう儀式はあきらめるしかないのだ。
しかし、どうしても出席したいのだ。
19歳の時から寝たきりになり一度も言ったことのない、神殿へ少しでも入ってみたいのだ。
私の人生の夢が「神殿へ入ること」になっているぐらい入ってみたいぐらい。
いっそのこと気合で歩いていけないだろうか?
いや、無理だ。歩いたら確実に転んで頭を強打して死ぬ。
じゃあ、車いすは?
それも無理。そもそも車いす無いし、買いに行くこともできない。
♪キーンキーン
私が頭の中で論争を繰り広げているとき、教会の鐘が鳴った。
儀式の始まりだ。
遠くで、神殿長が話している声がかすかに聞こえる。
何を言っているかまではわからない。
せめて、その声がしっかり聞ければ誰が成人して合計何人成人したのかがわかるのに。
ああ、この足が憎い。
動かなくなったこの足がとても憎い。
せめて今日だけでいいから動くようになってほしい……。
今日から日替わりお題の小説作ってきます!
召喚士
「召喚士」
ヒュー、ヒュー
乾いた風が吹き抜ける廃ビルの一角にて、激しくも静かな召喚士同士のバトルが行なわれていた。
「|水生物《ウォーターマン》召喚」
頬に傷のある少女、アカネが水生物の召喚魔法を唱えた。
するとアカネの周りに水が集まり、一つの龍の形へと変化した。
龍はアカネの反対側に立つもう一人の少女、ユリへと襲いかかる。
ユリは襲いかかられても表情一つ変えずに炎魔法で焼き払った。
「ちっ」
アカネは自分の攻撃が当たらなかってことにイラつき、舌打ちをした。
「|炎虎《ファイアータイガー》召喚」
今度はユリが炎魔法で炎虎を召喚。
炎虎は人蹴りでアカネの近くによると、大きな口をカッと開いた。
その口から炎が出された。
近く過ぎてよけられなかったアカネはまともに炎を受けることになった。
「があぁぁぁっ!」
アカネは叫び声をあげると後ろにバタンと倒れた。
まだ生きているようで、火傷したところを押さえてうずくまっている。
ユリはツカツカ歩み寄ると、アカネの頭をぐりぐりと踏んだ。
「あぁぁっ!」
アカネは身をよじって逃れようとする。
ユリはそんなアカネを嘲笑い、炎サソリを召喚し炎であぶって殺した。
アカネの最後の断末魔は
「ユリ、ゆるさんぞぉぉぉ」
だった。
ユリはアカネの死体を灰になるまで焼き払うと、廃ビルを後にした。
卒業アルバム
「卒業アルバム」
私、花坂れもん。
中学三年生で円城中学校に通ってるんだけど、今日でお別れなんだ。
なぜなら、今日は卒業式で私は生徒ではなく卒業生になる。
そして、高校に進学し、新たな道へと進むんだ。
って、ヤバ。卒業式に遅れちゃう。
「行ってきまーす」
そうお母さんに伝えると私は家を飛び出した。
時計を見ると八時。
卒業式が始まるのは九時からだけど、生徒は最終確認のために八時十分までには学校にいないといけない。
普段歩いていく時は二十分ぐらいかかるから……。
走らないといけないじゃん!
私は通学路を走り始める。
はあ……はあ……。
でもすぐに息切れして休憩だ。
今は八時三分。
まだ、少ししか走ってないのに……。
私は荒れる呼吸を整え、また走った。
でも、すぐに息切れして休憩。
それを数回繰り返してやっと学校へたどり着いた。
時間は十時九分。
ぎりぎりだったよ……。
私は最上階まで階段で上り、教室のドアを開けた。
「最終日なのに遅刻ですか?花坂さん」
先生は私を呆れるような目つきで見てきた。
遅刻?私、ぎりぎりで学校に着いたじゃん。
「何でですか?私八時九分に学校に着きましたよ?」
私が付いた時刻を正確に伝えると、先生は首を振ってこたえた。
「学校に八時十分に着かなければいけないのではなく、教室に八時十分にいなければいけないんですよ?昨日話しましたよね?」
あ……。
そうだった。学校じゃなくて教室じゃないといけなかったんだ。
「うっかりしてて、すいません……」
私が頭を下げて謝り、先生に促されて自分の席に着いた。
先生は私が席に着いたことを確認すると、今日の予定の最終確認を始めた。
「この前配った予定のプリントを出してください」
私は今日の予定の書かれたプリントをファイルから取り出した。
三月二十五日 卒業式の予定
九時 卒業生入場
九時五分 卒業式開始
九時十分 卒業証書・卒業アルバム授与
九時四十分 校長先生のお話
九時五十分 卒業生代表のお話
十時 在校生代表のお話
十時十分 卒業式終了、卒業生退場
私たちは細かい説明を先生から聞き、体育館裏へ移動した。
そして、小さな声で雑談をしているとき、卒業生入場の鐘が鳴った。
私たちは雑談をやめシーンと静けさが広がった。
「卒業生の入場です」
教頭先生の声とともに体育館裏のドアが開かれた。
私は赤色の絨毯の上を歩きながら周りの親たちを見てみた。
親たちは涙をハンカチで拭きながら「うちの子も大きくなったわねぇ」とか「ついにうちの子も高校生になるんやなぁ」とか自分の子供の事をしみじみと話していた。
私は自分の席へと着席した。
ザワザワみんなが話している。
でも、その声は教頭先生の卒業式開始の挨拶によってなくなった。
「ただいまから卒業式開始します。初めに卒業証書・卒業アルバム授与です」
すると生徒が順番に呼ばれて、校長先生から卒業証書と卒業アルバムを渡されていった。
私は最後の方に呼ばれた。
「ここに花坂れもんが今日をもってこの中学校を卒業したことを示します」
みんな言われることは同じなのに私はすごくドキドキした。
私は、校長先生から卒業証書を渡された。
続いて卒業アルバムも。
卒業証書と卒業アルバムを胸に抱え、席に戻った。
最後の生徒が席に戻ると、校長先生のお話が始まった。
正直校長先生のお話はだらだら長すぎて嫌だ。
だから今回もこれからの事を考えてやり過ごした。
次に卒業生代表のお話。
今回は学年トップの成績を誇る天水由良さんだ。
「この度、無事私たちの卒業式を行うことができとても嬉しく思います。皆様には感謝しかありません。そして……」
天水さんはその後の話も上手に話した。
次の在校生代表のお話で話した二年生の上神あきら君も上手だった。
そして卒業式終了して、卒業生の私たちは体育館から出た。
~五年後~
私は大学二年生になった。
学校で今までの人生を振り返る課題が出た。
私はレポートで使う写真を見つけるために久しぶりに中学校の卒業アルバムを見た。
開けてみると懐かしい風景や昔のクラスメイト達が映る写真がたくさん載っていた。
この写真たちに強く引き寄せられ、私は一から最後まで見た。
見終わったころには深夜になっていた。
私はアルバムを胸に抱きベッドで眠りに落ちた。