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目次
宝石の君とハンマーな僕
登場人物
隼人:主人公の男子、クラス1の陽キャ。文武両道、温厚篤実のスーパースペック。
だが、とある理由により水泳が苦手。
沙織:隼人のクラスメイトの女子、クラスの女子と仲が良い、陽キャ。
水泳が超絶上手い。
<「隼人〜! 今度一緒に遊びにいかね?」
僕は、仲が良いクラスメイトに声をかけられる。
「うん、いいよ。どこに行くの?」>
もうすぐ夏祭りだ、きっとそこだろう。
<「海だよ、お前も行くだろ?」
・・・・・・・海か。 海にはいい思い出がないけれど・・・。
克服のためにも行ってみるか。
「・・・・うん、行こうか。いつ行く?」>
---
いよいよ、今日は海水浴当日。
今日ここに来たのは、女子が4人と男子が僕を含めて5人。
僕以外は、みんな女子の水着姿にメロメロだ。
そして、僕は。
**海に恐怖を覚えていた。**
やっぱり怖い、なんで来るって言ってしまったんだろう、気が狂ったのかな。
どうしよう、僕だけ見ていようかな、でも誘ってもらったのに悪いな。
<「隼人〜、顔色悪くない?大丈夫?」
割と仲が良いクラスメイトに心配をかけてしまった。
「大丈夫だよ、ごめんね?」>
ザザーーン ザザーーン
波が心地よい音を奏でる。太陽が輝き、光を地上に注ぐ。
それでも、僕は楽しむことが出来なさそうだ。
<「一緒に行こうぜ!」
そう言った彼はチャプチャプと音をたてながら、海の中へ入っていく。
「ごめん、ちょっと待って!」>
大丈夫、昔は得意だったんだから。 きっと今も大丈夫。
そう言い聞かせて、海に入る。
そして、聞きたくなかったセリフを聞いてしまった。
<「誰が一番遠くまでいけるか勝負しようぜ?」
<「負けたやつは昼飯奢りな!」
まずい、僕は遠慮しておこう。
「僕は皆を見ておくね。」>
<「あれ、泳がないの?笑」
<「もしかして、泳げない?笑」
このとき、しっかり断っておけばよかったんだ。
見栄なんて張る必要なかったのに。事情を説明すれば分かってくれたはずなのに。
結局、沙織ちゃん以外は全員参加することになった。
そして、今・・・・・。
<「__おい、誰か!__」
<「__なんでライフセーバーがいないのよ!__」
オボボボボボ
僕は、溺れている。
僕、人生今日で終わるのかな。
楽しかったな、最後に海を克服したかったけれど。
もう何も見えないし、聞こえない。 それに、思考もぼやっとしている。
<「__・・・・て!__」
何か・・・・・・、聞こえたような・・・・・。
<「出たら思いっきり息を吸って!」
ザッパ‐‐‐‐‐ン
僕は、訳がわからなかった。
どうして、沙織ちゃんがここにいるんだ。
沙織ちゃんは泳いでいなかったはず、どうやってこんなに速く。
彼女の髪や体は当然ながら濡れていて、まるで宝石のようだった。
その後混乱したまま、僕は砂浜まで連れて行かれた。
<「大丈夫? 苦しいとかない?」
「うん、大丈夫・・・・。ありがとう、沙織ちゃん」>
---
「本当にありがとう、でもなんで・・・?」>
そう、沙織ちゃんはあのメンバーの中で泳ぎに乗り気ではなかった。
それなのに、あんなに遠くにいた僕のことを助けてくれた。
<「私、昔に家族と沖縄に旅行に行ったことがあるの。」
僕の頭の中はさらにぐちゃぐちゃに、でも続きを待つ。
<「その時はまだ小さかったから、泳ぐことができなかった。」
<「目の前にいたウミガメやイルカに近づくことさえ出来なくて、だから頑張って泳げるようになろうって思ったんだ。」
「そういうことだったんだね、ありがとう。」>
<「私も逆に聞きたいんだけどさ、隼人くんってなんで泳ぎが苦手なの? スポーツ万能だし、部活ではいっつも活躍してるのに。」
少し言葉に詰まるが、決心する。
**この子になら言っても大丈夫だろうと思ったから。**
**そのような安心感が目の前の彼女にあった気がしたから。**
彼女は他の人とはなにか違うものを持っていると思えたから。
「昔は、泳ぎも得意だったんだよ。でも、ある日海水浴に行ったときに。 僕はサメに遭遇してしまった。怪我はなかったけど、いきなり目の前に大きな影が現れたのが頭から離れなくて。」>
「__僕もまた泳げるようになるかな__」>
<「きっとなれるよ、水みたいに形が変わることができれば」
<「水って海に沢山あるでしょ? その海は地球を支えてる、だから好きなの。」
この子は優しい、そう思った。
そして、彼女は続けた。
<「水って、いろんな形になれるでしょ?それと一緒、きっと大丈夫。」
少し泳げるような気がしてきた、彼女の言葉のおかげで。
<「一緒に頑張ってみない?」
そのとき、君はまるで水晶のように、透き通った笑顔をしていた。
---
僕は、彼女について知れた気がした。
そして、僕は彼女に強く惹かれていることを悟った。
きっとそれは、彼女がこれまでしてくれた、話してくれたことのせいだろう。
柔らかくしなやかで、それでいて丈夫な彼女。
この気持ちに「恋」という名前があることを僕はまだ知らない。
はい、ご閲覧ありがとうございました〜!
いかがだったでしょうか、お礼は私ではなく、リクをくれた方へ!
匿名なので誰かはわからないんですけど、本当にありがとうございました!
宝ハン 〜後日談その1〜
<「隼人くん、今日予定ある?」
あれから、沙織ちゃんと仲良くなった僕は、家で一緒に遊ぶほどの仲になった。
もちろん、一緒にプールで練習させてもらっている。
海に行くのはまだ怖いから、まずは水に慣れようと思う。
「いや、特にないよ。今日も練習する?」>
普段は週に2回の練習だけど、練習予定日に用事があるのかも知れない。
<「いや、今日クリスマスだから、一緒にどこか行きたいなって。」
ドキン
<「おー、お前もクリボッチ回避か。いいなぁ。」
僕と仲良くしてもらっている友達に声をかけられる。
<「_告白するのか?」
―――っ、気づかれてたのか。
「やっぱり、お前には敵わないよ。」>
<「ずっと親友してるからな。」
そう、僕は沙織ちゃんと仲良くさせてもらった結果。
沙織ちゃんをずっと目で追っていることに気づいた。
いわゆる**好き**というやつだ。
だけど、このままでいい。
宝石の沙織ちゃんを僕が砕きさえしなければ。
沙織ちゃんが傷つきさえしなければ。
次回をお楽しみに!
宝ハン 〜最終回〜
今日はバレンタイン、そして僕の運命の日だ。
今日、沙織ちゃんに**告白する。**
幸いにも、その日に沙織ちゃんと出かける予定がある。
一緒に買い物に行くんだ、楽しみで仕方がない。
<「あ、隼人くん!待たせちゃった?」
「いや、僕もいま来たばかりだから。」>
これは本当、3分前くらいに来たばかりだから。
---
<「これがいいかな〜?」
「あ、それいいね!可愛い!」>
---
<「ほっぺにクリームついてるよ?笑」
「え、どこ〜?」>
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今のところ順調だ、リラックスできている。
僕達は、大きな交差点に向かう。反対側のお店に行くためだ。
僕はやや浮かれながら、青になった信号を渡り始める。
――――――信号無視をしてこちらに向かっている車に気づかないまま。
<「隼人くん!?」
ドンッ ズサァァァァァ
僕が意識を失う前に見たのは。
青白い顔で道に倒れ込んでいた、沙織ちゃんの姿だった。
僕は、いつも彼女に助けられてばかり。
やっぱり・・・・。
|僕《ハンマー》は|君《宝石》を砕いてしまう運命なのかな。
深く後悔しながら、僕は意識を手放した。
---
結局、沙織ちゃんと僕は入院することに。
「沙織ちゃん、本当にごめんね・・・?」>
<「大丈夫だよ、好きな人のためなら頑張れる!」
その言葉に僕の顔が赤くなる。
「・・・・えっと。」>
<「私、なにか変なこと言った・・・・ね。」
<「忘れて!?恥ずかしいから!」
彼女から言ったはずなのに、その本人がとても照れている。
好きな人が照れているのを見て、少しうれしくなる。
また1つ、君を知ることが出来た気がして。
バレンタイン記念の小説!
いよいよ最終回だけど、頑張った!