新作シリーズ!
短編?集みたいな感じ
ポテンシャル・プライバシーを書くのに飽きたら投稿する。
毎回出てくる雑貨を渡す子が雑貨屋
たまに雑貨屋の日常も書くかも
よろです
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目次
才能の筆、そして希望の起死回生
シリーズ化するかも!
今のところ1話完結
短編集的な
私、|野崎藍《のざき あおい》は、今は帰路に付いていた。
最近、生きてる心地がしない。
私は絵が好きだった。
コンクールにも出して、賞を取ったりとかもした。
みんなに褒められるたびに、嬉しくなったことは忘れない。
なのに___。
ピロンッ
LINEが来た。
『ねぇ、藍。私、賞取っちゃった!』
美嘉からだ。
|希道美嘉《きみち みか》というのは、周りから、絵が天才レベルと呼ばれてる、いま学校内で1番有名な子の事だ。
何故かというと___。
---
昼休みの事だった。
あまり絵に興味がなかった美嘉に、絵の話を持ち掛けた事が発端だった。
「ね、希道さん。」
「何、何?野崎さん。」
「ちょっと、絵をかいてみてよ。」
「え?」
「他の女子に、図工が得意って聞いてさ、今度開催する文化祭で、うちのクラスがやるお化け屋敷の看板のデザインを考えてほしいんだけど。」
「あ、うん。いいよ。」
彼女は快く引き受けてくれたのだ。だが、それが間違いだった。
次の日、私が学校に行くと、何故かクラスが騒がしかった。
聞き耳を立てると、こんな声が聞こえてきた。
「わっ!希道さん凄いね!」
「うますぎ。天才じゃん。」
気になって、教室に入り、美嘉に訊いた。
「希道さん、どうしたの?」
私がそう訊いたら、
「あっ!あのね、頼んでくれた看板のデザイン、考えて持ってきたよ!つい熱中しちゃって、でも楽しかった!ありがとう!」
なんて、お礼も含めて言ってきた。
「どれどれ…」
と、美嘉のデザインを見た。
美嘉のセンスがよくわかる一枚だった。
私よりもセンスがあるんじゃないかと思ったぐらいだ。
それから、私は絵を通して美嘉と仲良くなった。
色々参考になる!って言ってくれた時はうれしかったけど、日に日に、美嘉の|画力《才能》が上り詰めてくることで、不安と確信が近づいてきた。
なんで。なんで、私よりも努力してないやつが、私よりも上に...
そう思って、私は絵に一層力を入れた。
描いて、描いて、描いて...
もう、壊れてしまうぐらいに描き続けた。
---
そして、夏休み。
「夏休み、自由研究何にしよう。絵のコンクールもあるし。あ、作文でもいいかも!」
美嘉が云った。
私は正直、絵のコンクールには参加してほしくなかった。
最優秀賞を狙っているからだ。
最優秀賞枠は1人だけ。
おそらく自分よりうまくなっているかもしれない美嘉の画力には、勝てないと思ったからだ。
「...作文の方が、、、」
と、言いかけたところで。
私は気づいてしまったのかもしれない。
私…私には……
--- 才能が無かったのかもしれない。 ---
この世は大抵、才能があるものが上に行く世界だ。
アスリートでも、画家でも、作家でも。
才能が無くても上る人はいる。
でも、相当な努力が必要。
嗚呼、私は、努力が足りてなかったの?
この8年間の努力が、たった1年の才能で…
正直、私は、美嘉に出会っても、才能が無くても上る人の中に入っていたと思っていた。
今思えば、最優秀賞なんて、取ったこと、無かったな___。
私が応募して最優秀賞をとれないぐらいなら、いっそ________
「いや、やっぱり美嘉は絶対に絵のコンクールに応募した方がいい!」
|才能《希望》のある人に、任せた方が____。
「そう?じゃあ、そうしよっかな。私、絵が好きだし。」
彼女はまた、快く引き受けてくれた。
嗚呼、何で、こんな世界に…
なぜか、苦しいと思った。
あれ?諦めたはずなのに。なんで、体が拒否してるんだろう。
なら、最後に…
--- もう一度、筆を執ってみようかな。 ---
そう思えた。
---
帰路が、前とは違って、少し明るく見えた。
ドンッ
「わ!ごめんなさい!」
誰かとぶつかってしまった。
「あ、いえ…あの、大丈夫ですか?」
ぶつかったその子は、ベレー帽にキャンパス、
絵の具が付いた大きなショルダーバッグを掛けていた。
如何にも画家みたいな容姿の子だった。
嗚呼、この子には|才能《希望》があるんだなって思った。
そう思う自分には、もう…
「なら、キミに才能をあげるよ。」
不意に、その女の子が云った。
「な、何のこと?」
内心、少し期待してしまった自分が恥ずかしい。
「だから、キミに絵の才能をあげるって言ってんの。」
「え?本当に?」
私は訊き返した。
「本当だよ。努力がキミを見つけたんだ。」
「私を、見つけた…?」
「キミに、これをプレゼントするよ。」
そういうと、彼女は箱をくれた。
「これは、才能の筆。この筆を執るだけで、才能が一気に開花するんだよ!」
「そんなわけ…」
「いいから、これをあげる。」
--- 「キミの、才能が、認められるんだよ¿」 ---
私は、その言葉にハッとした。
やっと、8年間の、努力が、報われるんだ…
「ありがとうっ!」
彼女にお礼をしてから、私は箱に目をやった。
そして、また彼女の方を見ると…
「いない……?」
彼女は消えていた。
「これで、やっと…」
私は呟いた。
「あ、もうすぐ帰らなきゃヤバイ!」
辺りを見回すと、一面の空に、|星《希望》が輝いているように見えた。
---
「よかった…でもこれ、どうやって使えばいいの?」
箱を開けると、真夜中の夜色のような筆軸に、金箔がちりばめられている、おしゃれなデザインの筆だった。
正直、使うのはもったいない気がしたが、これは才能の筆だ。
使ってみようじゃないか。
もし、これでいい絵が描けたら、私は____
「認められるんだ。」
頭の中はそれでいっぱいだった。
ふと、筆の入っていた箱の横から、小さな紙きれが出てきた。
「なにこれ?えーと、
『貴方は、才能の為に、命を使ってきたと思います。それは神が見ており、私も知っています。
でも、誰も認めてはくれない。さぞ辛かったでしょう。でも、これで終わりです。何故なら、才能が、人生を変えるから…』って、何よこれ。」
少し疑問が残りつつも、私は、筆を執った。
---
私には、才能があるのかもしれない。
浮かれているつもりはないけど、本当に、自分でもいい絵が描けている気がする。
最近は絵を通して新しい友達もできたし、最高!
看板のデザインも、みんな褒めてくれた。
嬉しいな、、、
あ、電話がかかってきた。
え…最優秀賞を取った?!
そう。
私は、絵のコンクールで、最優秀賞を取った。
背中を押してくれた藍のおかげだ…
私は、藍にメールした。
『ねぇ、藍。私、賞取っちゃった!』
喜んでくれるといいな。
…きっと、私の中の才能が、《《人生を変えたんだ!》》
そして、綺麗な真夜中色の筆軸に金箔がふりかけられているお気に入りの筆を執り、
私は今日も、キャンパスを色彩で埋める______。
えっと、意味わかるよね?
日記に明日書いておくけどさ
キミからのメッセージ
『こんらい~!セルフ受肉ぶいちゅーばー!音葉ライネだよ~!』
秘密のボールペン、希望の筆など、様々な雑貨が並ぶ部屋で、一人、パソコンの前に佇む少女。
少女の眼差しは、まるで画面の向こうにある真実を観ようとしているかのようだった。
『え~っと、今回は…|紀朔 昨《きののり さく》ちゃんと、コラボで~す!』
その言葉を言った彼女が、少し不穏な表情をしたのを、少女は見逃さなかった。
「…決めた。キミにしよう。」
そう呟いた少女は、薄く微笑んでから、気の毒そうな表情を浮かべ、
「キミが悪いんだよ。」
と囁いた。
「さぁ、出番だ。」
少女は、星空の光る街を、コートを翻し、歩いていくのだった。
---
---
---
「ふ~ッ!配信終わり~」
私、|琴葉 寧《ことは ねい》は、ゲーミングチェアに身を任せて、いつもの余韻をかみしめていた。
(毎回配信疲れるんだよね~)
ため息をついた後、私はコンビニに向かう準備をした。
いつも通りの生活。
カップラーメンを買いに行くのだ。
(新作の、ちょっと高級な『かっぷぬ~どる』なんだよね♪)
500円もするカップラーメン。
週末のご褒美として、買ってみようと思ったのだ。
(売り切れ続出とかいうし、早めに買いに行かないとなぁ…)
とはいえ、自炊はできないタイプなので、カップラーメンがほとんど食卓に並んでいるわけだ。
清爽派ブイチューバーがなにをやっているのかと思うかもしれないが、これが現実なのだ。
(そろそろ飽きた気もするけど、食べてみたいんだよね…)
一度食べたら病みつきになるほどの美味しさ。
一度は口にしてみたいものだ。
ピロン♪
ふと、着信音がした。
スマホを見てみると…
「…え?」
そこには、
--- ≪一度食べたら病みつき!かっぷぬ~どるを、プレゼント!≫ ---
と、如何にも怪しいポップアップが出てきた。
「そんなわけない…だって、500円もするんだよ?」
最近、詐欺が流行っているのは私も知っている。
こんなことには巻き込まれたくないので、私はスルーするつもりだった。
でも…
「スクロール、できない…」
何度やっても動かないので、諦めてタップすることにした。
タップした先には、大きな文字で、
『びんぼーなあなたに!新作のかっぷぬ~どる500個をプレゼント!』
と書かれていた。
どのぐらいの規模でやっているのか。
10人にプレゼントしても、500000円はかかる。
それはほかの正式な懸賞も同じなのだが。
「…けど、これを作った会社がやってるなら納得できるかも?」
無理やり自分を納得させて、とりあえず、下に書かれていた文章を読んでみることにした。
「『この懸賞は、かっぷぬ~どるが変えないあなたでも、一度食べたら病みつきなかっぷぬ~どるが食べられるよ♪』」
…ふざけているのか。
やっぱり、そんなはずがない。
普通に考えてもあり得ないというのに、なんで私はやる気になってたのだろう。
「危ない危ない。」
私は画面をタップした。
こういう面倒ごとに頭を突っ込まないのが私の性分だ。
戻るボタンを押そうとしたとき…
「…はっ?!」
そこには、『ご応募ありがとうございます』という文字があった。
…そう、私はすでに応募してしまっていたのだ。
---
「はぁ…、結局懸賞なんて当たんないわよ。」
あの後、すぐにあの画面は閉じてしまって、私は今コンビニに向かっている。
「結局何だったんだろう、アレ」
(もし当たっていたら何万円との利益があったんだけど)
そう思いつつ、コンビニはいると、いつも通りの音楽が流れた。
「あれ?」
ふと、私は、コンビニの中に、店員や客が1人もいないことに気づいた。
最初は如何にも不思議だったが、しまいには、
「たまたま客がいなくて、店員も商品を取りに行ってるとか、?」
という結論になった。
大体、誰もいないなんて、珍しいことでもないはずだ。
そう思い、私は仕方なく待っていた。
その時。
ピロン
着信音が鳴った。
見てみると___
「え…」
ありきたりのない、ただのニュース速報。
だがそこには、
--- 「今話題のブイチューバー、『紀朔 昨』が消息不明?その原因とは」 ---
と書かれていた。
驚いて、その記事を読んでいると___
「『ブイチューバーの紀朔 昨が、今日、Xに不可解な投稿をしたきり、アカウントは凍結され、見ることができなくなり、消息不明になった。チャンネル登録者数100万人を超えたばかりの彼女に起きた、不可解な事件とは何なのか?そして、最後のライブ配信となった音葉ライネとコラボ配信には、その紀朔 昨のアバターだけ画質が悪くなっていたのも関係があるのか、ネットでは考察が飛び交っているようだ。』…。」
なにこれ、、、
さっき配信してた相手が消息不明なんて…
でも…
__よかった…__
そう思い、私は無人のコンビニを後にした。
コンビニから出て数分後、私は知らない路地に入っていた。
「あれ…?」
暗い。
時間の関係もあるんだろうけど、この時間にしては、真夜中の空色だった。
「あ…」
暗闇の中にぽつり、小さな街灯があった。
「なんだ、あるじゃん。」
その方向に進みながら、スマホで、マップを開いた。
「えっ…?」
現在地が、** `海 `を指していた。**
私は、なんだか無性に怖くなってきた。
そして、走って走って、ようやく、一つの街灯に近づいた時。
「きゃっ!」
「おわぁっ!」
誰かとぶつかってしまった。
「だっ誰…?」
普通は、少し謝るだろうが、今はそんな余裕はなかった。
「ご、ごめんなさい…私は…」
少女が言葉に詰まっていると、
「あ!」
私は、少女の腕に抱えられたものを見つけた。
「それ…新作のかっぷぬ~どる!」
「そ、そうなんです…」
どう説明をすればいいのかと悩んでいそうだったので、
「それ、懸賞のだよね。」
と、小声で訊いた。
「…はい。」
と、少女は答えた。
その時、不意に風が吹いて、腕に抱えられていたものが一気に落ちた。
「!」
「わっ、大丈夫?拾うの手伝うよ。」
と言って、拾った時、私はある考えが思いついた。
(これ、たくさん持ってるんだから、一つぐらい…いいんじゃない?)
「はい。これで、全部だよ。」
そういい、かっぷぬ~どるを少女に渡した。
「ありがとう…じゃあね。」
と言って、少女はすぐにどこかへ行ってしまった。
「…」
私は、上着の下に隠しておいたかっぷぬ~どるの感触を確かめながら、薄く微笑んだ。
「これで…」
(だって、無料で当たったんなら、別に一個ぐらいいいじゃん?)
自分を納得させ、家に帰る路地を歩いていた時。
「…?!」
足元に、不思議なハガキがあった。
「懸賞当選、おめでとうございます…?」
なぜ、こんなところに懸賞当選のハガキがあるのだろうか。
今の時代なら普通、電話かメールで届くと思うのだが。
そう思って、私はハガキを拾った。
その時、
「あっ!もしかして、さっきの子の…⁉」
と、考えが浮かんだ。
届けるべきだろうか。
私は悩んだが、後ろを振り返ってからやめた。
振り向いた道が、信じられないほど暗かったから。
街灯がぽつぽつあるはずなのに、全てなくなっていた。
私は、ゾッとする恐怖で前の道を見てみたが、そこにも。
「あ…あ…。」
街灯がない、ただ暗い道が続いているだけだった。
そこに。
ピロンッ♪
着信音がした。
縋るような思いで画面を見つめると、
「『今話題のブイチューバー、音葉ライネが、行方不明?』」
という見出しがロック画面に表示されていた。
「え…」
私は怖くなって、その画面をタップした瞬間。
画面いっぱいに、
`お前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだ`
という文字が表示された。
「いや…嫌ッ!」
私は、今までの行動が走馬灯のように流れてきた。
---
「こんらい~!セルフ受肉ぶいちゅーばーの、音葉ライネで~す!」
紀朔昨という子とコラボ配信をしたとき。
私は、薄く微笑みながら、紀朔のアバターの画質を下げたのだ。
理由は簡単だ。
羨ましかったからだ。
ある一種の妬み、嫉妬といってもいい。
その前にも、紀朔のマイクを切ったり、紀朔に、悪戯を仕掛けたりしたことがあった。
そのことでかは分からないが、紀朔は一回、病んでしまった事もある。
だが私は、それを陰で嘲笑っているだけ。
そこまでするのには、もう一つ理由がある。
紀朔が、私の彼氏を奪ったからだ。
無論、意図的に。
そのことにもっとイラついて、匿名で誹謗中傷をしたこともある。
それが、その時の私にはすごく楽しかったことを覚えている____
---
嗚呼、きっと、天罰が下ったんだろうな…
と思いながら、バタリ、と横に倒れた。
サッ
その時、誰かに手をつかまれた。
「誰ッ…」
と、私が聞くと、
`「フフフ… 」`
と、笑うだけ。
思わず、私は立ってから、その子の顔をのぞいてみると____。
**「いやぁぁぁぁあああああ!!!!」**
その子には、**顔が無かった**のだ。
ピタ…と、気味の悪い感触が私の頬に当たった。
`「ご当選、おめでとうございまぁす…」`
と、気味の悪い声で話しかけてきた。
「なっ何ッ⁉た、助けてッ!!!」
`「恐れることはありません。ぜひ、かっぷぬ~どるへご招待しましょう。」`
「か、かっぷぬ~どるって…」
`「そうでぇす…かっぷぬ~どるへ、」`
--- ** `「よ う こ そ 」 `** ---
「はッ…?」
その瞬間、
「え……」
彼女の顔が、メキ…ニョキ…クチャ…と、生成されていく。
その出来上がった顔が、
「紀朔…昨…?」
紀朔 昨のアバターの顔だったのだ。
だが、目が充血していて、口からは唾液を吐いていて、にんまりと笑っている姿は、もうあの女の子じゃない気がした。
`「ネ…ネ…」`
「は…?」
`「ネ…シ…ネ…シネ…」`
ハッとなって周りを見渡すと、どうやら周りは丸形で囲まれた紙のコップみたいなものだった。
「い、嫌…ぁ…」
必死になって声を絞り出すが、うまく声が出せない。
その時。
ジュゥゥゥゥウ…
---
---
---
---
「あ”…熱”い”ぃ”ぃ”ぃ”ぃ”ぃ”””! 」
熱い雨が、空から降ってきた。
全身が焦げるように熱い。
痛みに耐えられなくなったその時。
`**「いただきまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁすぅ」**`
と、声がした瞬間、数本の鋭い刃が私を突き刺した。
---
そのあとに残ったのは、吐きそうなぐらい気味の悪い死体と、静かにほほ笑む少女だった____。
今回は少しグロイかも?
少女はいったい誰なんでしょうか___
待ち構えたオート・ロック
珍しく?短め~
「はぁ…はぁ…」
息が切れてきた。
さすがの私でも追いつかれるかもしれない。
「くっ…ここで、終わり…なの…?」
---
「はッ!」
敵チームの女子が、バスケボールを投げて入れる。
慌ててガードするが、手はスレスレで届かず。
自分の背の低さを恨んだ。
その暇はあったが、すぐにボールはゴールに入って。
スリーポイントが入った。
「あ…」
私は絶望した。
ピーッ!
「はぁ…」
終わりの掛け声と同時に、私はやっと息をついた。
バスケットボールの全国大会。
行先のないボールがボンッと音を立てて転がっていく。
「勝った…」
ネット越しに聞こえる声に、私はため息をつく。
点数表を見ると、『10-9』と書かれていた。
「…」
「接戦だったね~」
と、私に声をかけてきたのは、一応幼馴染の|螺萎音《らいね》。
敵チームだ。
「…そう?」
私は問う。
いくらなんでも、全国大会で負けたのだから、今の私には心の余裕など無い訳だ。
このままだと自棄になりなりそうだから、立ち去ろうとしたとき。
「ねぇ…《《アレ》》…」
と、急に螺音が、私の後ろ側を指さした。
そして______
**「いやぁぁぁぁぁぁあああああああ!」**
体育館に悲鳴が響き渡った。
その声の主は、螺音だ。
「何…?」
「大丈夫…?」
というざわめきが聞こえる中、私は驚きを隠せなかった。
「あ…」
私の目の前には、どんどん溶けていく、螺音の姿があった。
でも、周りにはそのことに関して驚く様子がない。
私は困惑した。
ねぇ…
ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ…!
叫びたい一心で声をかけるが。
「あ…あ…」
とうめく声しか聞こえない。
嫌…
「嫌ッ!!」
思わず声を出した。
「待って!まさか…そんな…」
螺音に手を伸ばした。
でも、
--- スッ___ ---
私の手を通り抜けた。
何が…起こってるの…?
冷や汗が出た。
今は冬で。
温まった体も徐々に冷めてきているのに。
「ねぇ、螺音。」
「…」
「…あれ?螺音?」
瞬きをすると、もうそこに螺音の姿はなかった。
---
キーンコーンカーンコーン…
放課後を知らせるチャイムが鳴った。
あれから、1か月がたったようだ。
私の周りには、ミステリー映画でしか起こらないような《《奇跡》》が起こっている。
意味が分からない人がいるかもだから、まず、試してみよう。
私は、螺音の《《友達だった》》|汐那《しな》に、こう聞いた。
--- 「ねぇ、汐那。螺音をみてないかな?」 ---
「へ…?ごめん、螺音って誰?」
ほら。
螺音の存在が、まるでこの世から消えたみたいな。
不思議だよね。
「そういえばさ、この前の全国大会、おめでとう!」
「あ…うん、ありがとう。」
そして、あの試合も私たちのチームが勝ったことになっているのだ。
なぜなら、あの螺音のスリーポイントとが、無かった事になってるからだ
螺音がいる《《世界線》》では、螺音がスリーポイントを入れるまで、6‐9の点数で私のチームは勝っていた。だが、案の定最後に螺音がスリーポイントを入れてしまったので負けてしまっていたのだが、螺音がいなくなっているので勝ったことになっている。
私が今の状況を《《奇跡》》と呼んでいるのには、これが1つの理由である。
「よかったのかな…」
とつぶやくと、
「何が?」
と聞かれるのでやめた。
「さ、もう帰ろうっと。」
今日は週に1度のバスケクラブがない日。
この学校にはなぜかバスケ部がないので、私はわざわざクラブに通っている。
だから、今日は早めに帰れる=ほとんど休みみたいなもの。
私は家路に走った。
貴重な休みを無駄にしたくないからね。
---
家路に帰っている途中。
「え…?」
もうこの世に《《いないはず》》の、螺音がいた。
「ら、螺音じゃん。久しぶり…今までどこに」
と言いかけた時。
`「許さない…」`
と、かすれた声で螺音が近づいてきた。
「…は?」
私は恐怖に見舞われた。
「ちょ、ちょっと待ってよ。なんか私やった?」
`「許さない。」`
「え…な、なに…?何よ…」
サッ
不意に、螺音が手を伸ばして、私の腕をつかもうとした。
「嫌ッ!」
私は、螺音の手を思いっきり振り切って走った。
走って走って走って。
いつもの通学路。きれいな星空。
巡り巡る景色の中で、私は思った。
心なしかとても昏く、人通りが少ない気がする。
「はぁ…はぁ…」
息が切れてきた。
さすがの私でも追いつかれるかもしれない。
「くっ…ここで、終わり…なの…?」
いよいよ、私は自分のマンションへ来てしまった。
今思えば、途中で撒けば良かったのかもしれない。
でも、今は、そんなことを考えている場合じゃない。
考えなきゃ。
オートロックのボタンを押す。
あいにく鍵は持っていない。
家にお母さんがいるからだ。
ポチポチポチ。
ピロリンピロリン…
早く、早く出て!
ザッ…ザッ…
足音がだんだんと近づいてきている。
「お願いっ…!」
パ、と音がして、
『ハーイ。ドナタデスカァ?』
と声がした。
「お母さんッ!」
「開けて!」
『ダァレ?』
「は…?」
私は戸惑い、部屋番号を確認するが、
やっぱり私の家の部屋だ。
さらに、お母さんのことだ。
カメラで見えてるし、私の声だってわかるはずなのに。
『フフフ』
「…ねぇ、お願い。」
--- **「開けてぇ!!!」** ---
私は思い切り叫んだ。
「あっ」
今ので、気づかれた…?
「もしかして、今まで来なかったのは、気が付いていなかったから…?」
ザッ…ザッ…ザッ…
どんどん足音が近づいてきた。
「そんなぁっ…」
その瞬間。
ブチッ
タイムリミットになってしまった。
つまりは、会話が切れた。
オートロックは、以前の静けさを戻した。
「…」
もう私は途方に暮れていた。
「こんなことなら…」
--- 「|アイツ《螺音》に呪いなんてかけなきゃよかった…」 ---
---
元をただせは
全部私が悪いんだ。
「おはよう!」
といつもいつもウザったらしく話しかけてくる、螺音。
表面上の親友だ。
螺音は私よりもバスケがうまかった。
味方ならまだしも。
ましてや敵チームなのだ。
自分の実力では、もう勝てない。
それは、螺音が私より遅くバスケを始めてから、
初めて対決する日のことだった。
点数表を見ると、『8-9』と書かれていた。
「そんな…」
負けた。
あの螺音に。
あの敵チーム、と本来は言うべきなのだろうが、
点を多く入れていたのは螺音だった。
「もう嫌…っ」
やっぱり、わかってしまった。
--- 「私には、…才能がないんだ…。」 ---
---
ならば、才能を消すまで。
冗談半分で、私はウェブサイトで『人を呪う方法』と調べていた。
その中で。
「…あれ?」
一つだけ、文字色が違うサイトを見つけた。
「…これなら」
思わず、私はクリックしてしまった。
---
手順はいとも簡単だった。
①まず、相手の顔写真を人形に張り付ける。
その後、水を人形に浴びせる。
②その人形を炙るなり水に沈めたりするなり、とにかく念を込めながら人形を虐める。
③虐めた後、人形に向かって「これは貴方のせいです。」と4回唱える。
それで、呪の儀式は完成するのだ。
---
私は螺音の写真を張り、火で炙って溶かした。
…そのせいかな。
`本当に、螺音は、解けちゃった♪`
---
「これも、全部自業自得か…」
私は、その向かってくる化け物に、
「…ごめん」
と告げた。
案の定、私は首を絞められた。
「…ありがとう。」
そう告げて、私は意識を手放した。
注意・警告
呪いの儀式をする際は、必ず自己責任でお願いします。私は一切の責任を負いません。