鬼の金棒が唸り、亡者の悲鳴が響く地獄。
そんな殺伐とした世界で暮らす10人の妖怪たちの物語です。
賑やかで、時にはちょっと切ない、彼らの日常を切り取った小説。
日々の何気ない会話から、大好きなことについて熱く語り合ったり、恋バナしたり、青春したり、ふとしたきっかけで、彼らが地獄に堕ちる前の、暗い過去が浮かび上がってきたり。
そして、彼らの関係性が少しずつ変化していく、様々なエピソードを綴っていきます。
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思いっきり作者の自己満足です!合わないと感じられたらブラウザバックを推奨します。
リクエストはファンレターのほうにお願いします〜
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目次
設定
まず世界観・キャラクターの設定を掲載させていただきます。
次の話から本編が始まります!
世界観
・簡単に言うと【過去が重い妖怪たちの地獄での日常】です!
・火車の子以外の9人でシェアハウスしてます(ハブってるわけではなく、ストーリーに関係してます)
【女の子】
茨木 百鬼(いばらぎ なきり)
種族:鬼(怪力)
・フレンドリーなオタク
・大叫喚地獄(=五戒を全て破った者が堕ちる地獄)の拷問官
・平成初期生まれ
伏見 狐子(ふしみ ここ)
種族:九尾の狐(変化、妖火)
・模範的な女の子…だが屈強。
・十六小地獄の不喜処(=動物に粗暴な扱いをした者が堕ちる地獄)勤め
・平安時代生まれ
海堂 天音(かいどう あまね)
種族:人魚(水を操る)
・顔面天使、性格魔王
・三途の川の亡者の監視官
・平成後期生まれで飴乃|《あめの》の双子の姉
白鷺 姫路(しらさぎ ひめじ)
種族:長壁姫(読心)
・お淑やかで少しシスコン気味
・亡者の尋問官
・戦国時代生まれで淡路の姉
亀岡 淡路(かめおか あわじ)
種族:亀姫(予言)
・天真爛漫
・秦広王(=地獄で最初の裁判をする十王)のもとで働いている
・戦国時代生まれで姫路の妹
【男の子】
朗月 糸保(ろうづき しほ)
種族:絡新婦じょろうぐも(糸を生み出し、操る)
・心身共にイケメン。女装癖がある
・衆合地獄(=殺人、盗み、邪淫をした者が堕ちる地獄)で働いている
・江戸時代生まれ
叉頭 白夜(さとう びゃくや)
種族:夜叉(四次元に刀を収納したり取り出したりする)
・常時ツッコミ役
・黒縄地獄(=殺人、盗みをした者が堕ちる地獄)で働いている
・平安時代生まれ
海堂 飴乃(かいどう あめの)
種族:龍神(水を操る、龍に姿を変える)
・顔面魔王、性格天使
・五道転輪王(=地獄で最後の裁判をする十王)直属の部下
・平成後期生まれで、天音の双子の弟
障子目 連(しょうじめ れん)
種族:目目連(触れたものに目を生やし、視覚を共有する)
・大人しい
・亡者の監視官
・戦国時代生まれ
火車 零湖(ひぐるま れいこ)
種族:火車(炎に耐性がある)
・闇がある
・亡者を地獄に連行する
・江戸時代生まれ
長々とした設定を見てくださりありがとうございます…!
初心者で色々と拙い文章ですし、なんなら自己満ですが、暇つぶしなどで見て、楽しんでくださると嬉しいです。
1. 鬼さんこちら、推しのいるほうへ
オタクな百鬼ちゃんと、女装男子の糸保くんの話
とある日、皆仕事や用事で家には百鬼と糸保しかいなかった。
ふたりきりの静かな部屋で、最初に口を開いたのは糸保だった。
「そういえばさ、俺の後輩がグッズ処分したいから引取先探してるって言ってたけど…どう?」
その言葉に、予想通り百鬼は食いついた
「界隈による。何?」
「アニメ」
「なんて題名?」
「『ブルーロック』と…なんだったっけ…なんか…。なんちゃらホスト…みたいな?」
「『えぶりでいホスト』?」
「それ。」
現世のアニメが地獄でもやっていることこそ驚きだが、地獄に住んでいる者はもう慣れ切っていた。
地獄の赤鬼の拷問官、茨木百鬼は妖怪になる前…人間の頃からアニメ、ゲーム、ボカロ…様々なオタク文化のものが大好きだった。
「全部貰うって言っといて」
「了解〜…てかさ、百鬼っていつからこういう…アニメとか好きなん?」
百鬼は糸保の問いに、少し顔を伏せた
答えづらそうにしている百鬼に糸保は「嫌ならいい」と言おうとするが、その前に百鬼が口を開いた
「えーとね、「辛いことから逃げるため」。言わば現実逃避!」
明るく言うが、目が笑いきれていない
そんな百鬼は糸保に「じゃあなんで糸保は女装してるの?」と問い返す
糸保は若干苦しそうな表情になりながらも返す
「……大切な人に、見つけてもらうため。」
「…そっか、やっぱ私達、過去が関係して今こうなってんだね」
「…百鬼は、勝手にいなくなるなよ」
「わーった、わーった。糸保が罪を償える日まで待ってるから。糸保も待っててよ」
「たりめーだろ」
--- 俺ら、親友だぞ? ---
2. 死別組
恋人と死別したという共通の過去を持つ白夜と零湖の話
ある茶屋に、端正な顔立ちをした灰色の髪の男が佇んでいた
彼の名は火車零湖。火車というまあ知名度のある妖怪。
そわそわとしていて、少し落ち着きのない態度は誰かを待っているように見える。
「ごめん零待った!?」
そんな彼に声をかけたのは、叉頭白夜。夜叉という厨二病に人気のありそうな妖怪(正確にはインドが出典だが。)
「待ってないし時間通りだから安心して」
「そっか、毎度のことながら零が早いだけか〜」
のほほんとした雰囲気で会話する2人だが、数秒後…周りの空気も思わず凍るほどの雰囲気で話す
--- 「「…で、恋人には会えた?」」 ---
…数秒の沈黙の後、2人は同じタイミングで頭を抱える
「白夜もか…会えてないのか…!!」
「分かる…分かるぞこの苦しみは…!!」
白夜と零湖、2人は「死別した恋人と会えていない、そして自分が死んだ側」という見事に一致した過去を持っている。
それゆえに仲良くなり、今や百鬼と糸保並みに仲が良い大親友である。
「…白夜の過去から言い合おうか」という零湖の発言の後、白夜は顔を上げて話す
「俺は平安時代の護衛の家系で、護衛していた藤原定子とかで有名な藤原家の娘と両想いで…恋人だったけどヤブ医者の誤診で結核で…」
「俺は吉原遊廓の番頭で…男装花魁と同性同士だったけど恋人で…。身請ける前日に俺が夜道で暗殺されて…」
そしてまた2人は頭を抱える。そしてブツブツと恨み言を言う
「クッソあのヤブ医者…地獄で見つけたら加州清光で滅多刺しにしてやるわ……」
「俺を殺したやつ、絶対大叫喚地獄に落としてやる……」
2人の雰囲気は禍々しいものになり、他の客と店員は「触れてはいけない」と冷や汗をかきながら無視している
ーーーー
「…ん?」
狐子の狐耳がぴくりと反応する。そんな狐子に「どしたの?」と飴乃が声をかける
「いや…なんか…?なんかこう…?うーん、私の話された気がする…」
「狐子も?」
糸保が会話に参加してくる
特にそんな気を感じなかった飴乃は「イトちゃんも?」と心底不思議にしている
「なんか…こう……噂された気がするんよな…?なんとなくだけど」
「分かる分かる。本当になんとなく。」
「そっかぁ、僕は感じなかったけど……」
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その頃の百鬼
「…なんか、すごく推せるカップリングが誕生した気がする。
ま、気のせいだろうけどね〜。さ、推しの新着動画見ようっと」
結構ネタバレになっちったがまぁいいか()
3.家族
赤々と燃える燈籠が不気味な光を放つ、地獄の一角。
不気味な赤提灯が灯るその場所で、白鷺 姫路、亀岡 淡路、障子目 連の3人は、今日も地獄の仕事をこなしていた。
「淡路、連。次あそこ行こう!」
姫路が少し弾んだ声で指さす。
彼女は亡者の心を読み解く長壁姫の能力で、尋問官として鋭い質問を投げかける。しかし、その瞳は、妹の淡路に向けられるときだけ、慈愛に満ちた優しい光を宿す。
「え、ちょ姉様待って!」
淡路が姉の後を追う。
彼女は亀姫の力で亡者の過去を予言し、秦広王のもとで裁きの補助をしていた。天真爛漫なその姿は、地獄の暗闇の中で一際明るく輝いている。
「私、2人の邪魔じゃない?大丈夫?」
不意に不安げな声でそう尋ねる淡路に、姫路はふわりと微笑んだ。
「ううん、淡路は邪魔じゃない。大丈夫。むしろ、淡路がいてくれるから、私は頑張れるんだから。」
その言葉に、淡路の顔がぱっと明るくなる。
その後ろを、静かに連がついていく。
彼は目目連として、触れたものに目を生やし、亡者の動きを監視する役目を負っていた。その無口で大人しい姿は、二人を優しく見守る兄のようでもあった。
「…待って姫ちゃん、走ると危ないから…」
いつものように駆けていく姫路に、連が優しい声で呼びかける。
「大丈夫、私はもう人間じゃないから」
姫路はそう言って微笑んだが、連は静かに彼女の腰に手を回し、自分の方へ引き寄せた。
「でも、大切なのは変わらない。」
その言葉に、姫路の頬がほんのり赤くなる。
連と姫路は恋人同士。
人間時代に部下の裏切りによって城を失い、自らの手で裏切り者を殺したという、誰にも言えない痛みを共有している。
「…淡ちゃん、大丈夫。むしろ、淡ちゃんがいてくれたほうが楽しいよ?」
連の言葉に、淡路は少し照れくさそうに笑った。
地獄という過酷な場所で、彼らは家族であり、恋人であり、互いに支え合う仲間だ。
生前の辛い過去も、地獄での重い仕事も、この三人でいる時だけは、少しだけ和らいでいく。
自カプ書くの楽しい