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目次
キミの撮った写真に写る、花の意味を知りたい。
私は、写真を撮ることが好きだ。
ずっと向こうに広がる青い空、明るく賑わう町、自然と共に生きる生き物、美しく咲き誇る花。
どれも私にとって宝物で、一番の思い出溢れる事だ。
それは彼が居たから。あの人が居なかったら、きっと私は俯く人生だったかもしれない。
部室で彼の机を掃除していると、分厚いワインレッドの本のような物が雑誌の山に紛れていた。私は雑誌が崩れないよう、慎重にそれを抜き取った。はみ出た部分は少し埃が付いていて、パッパッと掌で掃う。
ワインレッドの中に、金色で『album』と綺麗な字が浮かんでいる。
これは、彼の物なのだろうか。
「早乙女さん、居たんだ。」
横から杉野先輩が近づいてくると、私は先輩にアルバムを見せた。
「これ、|浪瀬《なみせ》のアルバムだよ。自分で撮った写真の殆どをここに保管してたと思う。」
先輩はアルバムを開き、1ページずつゆっくり見せてくれた。
私が知らない写真から段々、撮ってるところを見たことがある写真や一緒に撮った写真が並んでいる。先輩は私よりも撮るのが上手な事がこれを見ればはっきりわかる。とても圧倒される。迫力があるわけじゃない。なんというか、写真一枚で全部伝わってくるような綺麗で、心が軽く明るく透き通る気がする。
数々の写真を眺めていたら、杉野先輩が「あれ?」と小さく呟いた。
「早乙女さんの写真がない。」
「?私の写真はここに入れてないですけど…」
「そういう事じゃなくて、浪瀬が早乙女さんを撮った写真がないんだ。」
そういえば撮っていた気がする。
確か私が花を上手に撮る練習がしたいって言ったら、お花畑に連れて行ってくれたんだっけ。
黄色い花でいっぱいなのに、何故か浪瀬先輩は違う花を持ってきて、私に持たせて撮ったんだっけな。あれはどうして違う花だったんだろう。
数か月前の出来事を今頃不思議に思っていると、杉野先輩は浪瀬先輩の机を荒すかの様に探し始めた。
物凄く急いでいる感じに見えたので、私は言った。
「そ、そんなに大事なものでしょうか…?」
先輩は微笑む。
「あれはあいつの一番大切にしてた写真だったんだ。」
一番大切なもの…か。
「大切にしてるなら、別の場所にあるのでは?」
「確かに……。浪瀬って、いつもカードケース持ってたよね?」
「はい。」と返事をすると、先輩は探す場所を変えたようで、鞄を持って私の名前を呼んだ。
「あいつの家に行こう。」
---
放課後だったため、私と先輩は荷物を持って浪瀬先輩の家に向かった。
久しぶりに来た先輩の家はなんだか懐かしく、少しだけ切ない。
インターホンを押すと、数秒してから先輩とお母さんらしき人が出てきた。
「こんにちは、|陽葵《ひなた》のお友達ね?」
少し暗い表情をしているけれど、なんだか嬉しそうだ。
「はい。写真部が一緒の杉野理人と、早乙女優歌さん。」
「とりあえず、あがって頂戴。」
玄関に入ると、静かな空間というのが大きかった。
綺麗な家で、広くて、住み心地が良さそうだけれど、今は仕方がないよね。
リビングに入れてさせてもらった後、お茶を出していただくと、先輩のお母さんは言った。
「来てくれてありがとうね。きっとあの子も喜んでるわ。」
目線がズレるのがわかり、先輩のお母さんの見ている方に目を向けると、数個の写真が飾られていた。
前に家に来たときは、先輩の趣味部屋に居たため、リビングにこんなものがあるなんて知らなかった。
先輩と、先輩のお母さんとお父さんの家族写真、先輩が言っていた昔飼っていた犬の写真、七五三の写真。…それと、
「あの、あの写真は…?」
「あれは陽葵が休みの日に撮ってきた写真ね。『一番のお気に入りだから、ずっと見ていたいからリビングに飾って』って言われたから飾ってるの。そういえばこの写真の子、何だかあなたに似ている気がする。」
これは…先輩が私を撮った写真だ。花畑で、持つ花だけ違う花を持って撮ったもの。振り向く瞬間のようで、下ろした髪が風に乗ってふわりと流れている。数か月経った今でも、鮮明に覚えている景色…。
写真の頃の私は、今より肌の色が良いな。
私が写真を見つめていたら、杉野先輩は立ち上がってお母さんに言った。
「この写真、もう少し近くで見せてもらっていいですか?」
「わかったわ。」
先輩のお母さんは、壁から写真を取って、机に置いた。
手の平より、少し大きいサイズの写真は飾るには少し小さいけれど、
「不思議よね。周りは黄色の花でいっぱいなのに、持っている花はその花じゃない、ピンクの苺みたいな花なんて。普通は変に思うかもしれないけど、なんだかその花と女の子に惹かれちゃうの。」
「女の子にその花が似合ってるからじゃないですかね。周りの花は、女の子を引き立てているとか。」
杉野先輩は笑ってそう言うと、お母さんも「確かに」と言いながら上品に笑った。
その光景に、なんだか恥ずかしくなる。きっと、先輩はその女の子は私だと気付きながら言っているんだろうけど、どうも褒められている感じがしてムズムズする。
「この花の名前って、何かわかりますか?」
「んー、フフフーフフって感じの名前だったのは憶えてるんだけどねぇ…。」
「意味なしに違う花なんか持たせませんしね。」
数十分して、浪瀬先輩のお母さんに挨拶をして出ていこうとすると、透明のカードケースのような物に入れられた何かの紙を渡された。
裏返すと、さっき見た私が写る写真だった。
「これ…」
「それあなたでしょう?だったらあなたが持っておくべきだと思うの。」
「っでも私…」
言おうとすると、杉野先輩が優しく肩に手を乗せて止める。
「貰っておきな。」
そう、言う声がどこか孤独に嘆いているように聞こえた。
申し訳のなさで涙が滲みそうになったけど、うんと我慢して堪える。
あと数週間で、先輩は独りになってしまうんだと現実を思ってしまったから。
家に帰り、夕食を終えできるだけ病が痛みにでないよう早めに寝る準備をした私は、ベッドに転がって今日貰った写真を見つめた。
この花の名前はなんだろうと考えているうちに、いつの間にかあの時の、私が恋焦がれた先輩と花畑に行った時を思い出した。
---
「どう?上手く撮れてる?」
私がジッとカメラのモニターから一輪の花を必死に見ていると、急に私に近寄って浪瀬先輩はモニターを覗きこんだ。
先輩の顔が近すぎて、心臓が爆発しそうだ。何気なく顔を近づける先輩はずるい。
パシャッと一枚撮ってから一歩先輩から離れ、しゃがんでいた姿勢から立ち上がって私は言った。
「まだまだです。先輩が撮った写真を一度見てしまうと、どうも自分のが納得いかないというか。」
先輩がカメラを貸してという合図を送り、渡すとうんうんと頷いた。
「前より良くなってると思う。ピントが合ってる花がメインでその先にある花はメインの花を引き立てるようにメインの花をど真ん中で撮るのもいいけど、少し左にずれてあるからおしゃれに見える。さらに角度も正面じゃなくて斜め上から撮ることによって花の良いところを引き出せているね。ほら、顔は斜め45度で撮ると印象が違うって言うでしょ?この色鮮やかな黄色い花の色が、より一層輝かしく見えちゃう魔法の角度だよねー。」
また始まった。先輩は写真撮影が好きすぎて、オタクのように語り始めるときがある。
けど、私はそんな先輩が好きだ。好きなことに熱中出来て、好きなことに一生懸命になれて。
何もかも忘れちゃうくらい、大好きな何かがある。変な先輩と周りは思うかもしれないけど、先輩が居てくれたおかげで、未来がなくても今を楽しめばいいと知れたから。
「せ、先輩。」
私が先輩に声をかけると、意識が戻ったように声が止まり、「ごめんごめん。どうしたの?」と言う。
「先輩は今日は写真撮らないんですか?」
「撮るけど、優歌さんが練習終わってからかな。」
その言葉で、私は「あ、これ急いだほうがいい感じかな」と思った。
急いでカメラを鞄にに入れて背負う。
「も、もう終わりました!!」
そう言うと、先輩は小さく笑った。
「えー本当に?」
「はい!」
「んーわかった!じゃあ、そこで立っててね。」
先輩は鞄からピンク色の小さな花を取り出し、私に優しく渡す。
「後ろ向いててね。」
私は言うとおりに先輩の居る反対方向に体を向け、花を両手で持ちながらジッと待った。
先輩の、「こっち向いて!」と言う声が聞こえて振り返る。それと同時に優しい風が吹き、髪と小さな花を揺らがせる。その瞬間に、パシャっとシャッター音が鳴った。
え?今撮った?振り返る途中だったけど大丈夫なの?
少し混乱する中、先輩は燥ぐように近づいてくる。
「優歌さん!見て、凄く良い感じに撮れたよ!」
とても嬉しそう。
「過去一上手く撮れたかも…!」
その写真をじっくり眺める。
振り返る途中だけどタイミングが良かったせいか、風に揺らぐ髪となぜか惹かれる小さな花が綺麗に見えた。
「先輩、どうしてこの花畑のお花じゃないんですか?」
持っている花を見ながら先輩に質問する。
すると、先輩は頬を人差し指で小さくかきながら言った。
「この花畑の花よりも、その花の方が、キミに似合ってたから。」
似合っているといわれると、私も照れくさくなってしまう。
先輩は恥ずかしそうに見えるけれど、少し頬を赤らめながらも続ける。
「その花は、千日紅って言うんだ。」
「千日紅?」
浪瀬先輩は幸せそうに微笑む。その後、|跪《ひざまず》くようなポーズをして、千日紅を持つ私の両手を包むようにして握ると、私の手に口づけをした。
「うん。僕から、キミに一番に似合う花だよ。」
私の好きな人は、私がキミの事を好きと知らないはずなのに口づけをして、本当にずるい人だ。
すごく、かっこよく見えちゃうじゃん。
---
いつの間にか寝ていたらしく、目が覚めたら朝になっていた。
《《千日紅》》。私に一番に似合う花…。
スマホを取ると、自然と『千日紅』と検索していた。
『千日紅。ヒユ科。別名千日草。
コロンとした愛らしい姿と、美しい色合いが印象的な千日紅。開花期が長いだけでなく、ドライフラワーにしてさまざまな事を楽しめる。花は7月から9月にかけて咲き、直径2-3cmで、松かさを少し押しつぶしたような形をしている。』
説明を見ていると、ふと下に書かれていた、花言葉に目を止めた。
色別ではない、千日紅全体の花言葉は、『永遠の恋』『色褪せぬ恋』だった。
私に一番似合う花、という言葉の意味は、千日紅の花言葉と思ってもいいのだろうか。
私が勘違いしているだけかもしれない。それでも本当に好きだ。浪瀬先輩が大好きだ。
私よりも先に、先輩が居なくなってしまったのが本当に悲しかった。
本当は私が先に逝って、キミはおじいさんになるまで生きるはずだったのに、キミは交通事故に巻き込まれて居なくなった。
急な衝撃が耐えきれなくて、胸が張り裂けそうになった。涙が水溜まりを作りそうなほど泣いたと思う。
でもそんなある日、手紙が届いた。
手紙の封筒に宛先には『早乙女優歌様』、送り主は『浪瀬陽葵』と書かれていた手紙には、『キミが逝ってしまう前に見てほしい』と書いてあった。。
その手紙が読めなくても、何度励みになっただろうか。
その日から数か月が経った今、やっと時が経ち、見ることができる。
ベッドの上、寝転びながら封筒を丁寧に開き、綺麗に折られた手紙を読んだ。
『優歌さんへ。
もうすぐキミが居なくなると思うと、心に穴が開いたような気がします。
この手紙は、僕と優歌さんが花畑に行った数日経った日に書いています。
あの日僕が言った言葉と、花の意味、もうわかってますか?
あの時に言いたかったけれど、キミが思いの外綺麗で、可愛くて、言いたかった事を言うよりも、キミをずっと見ていたくなってしまいました。
もしかしたら、気持ち悪いと思うかもしれません。
それでも、最後くらい言わせてほしい。書かせてほしい。
僕は、優歌さんの事がずっと好きでした。
優歌さんが写真部に入部した時から、キミが居るとどうしても良いところを見せたくて、いつも張り切っていました。
キミが居たおかげで僕はもっと頑張ろうと思えました。本当にありがとう。
そして、キミが死んでも、永遠に愛しています。
浪瀬陽葵。』
無償に涙が零れるのは、きっと嬉しいんだろう。
先輩も私の事を好きでいてくれていた嬉しさ。
無償に涙が溢れるのは、きっと悲しいからもあるだろう。
もっと早くこの気持ちを伝えていればという後悔の悲しさ。
それでも、私は先輩の事を想い続けます。
その証明が、ほら、最期だって先輩の事を想っている。
いつもの日常は
いつもの日常には君が居た
真っ白で愛らしい君
いつもの日常には君が居た
家族を笑顔にする君
君のいつもの日常は
ピッと可愛い声を出してよく鳴いた
君のいつもの日常は
他と違って虚弱体質だった
それでも君は元気で居た
肝臓が弱くても脳と心臓は強かったから
毎日帰ったらピッピッピとお迎えしてくれた
きっと君は私たちを笑顔にするために
小さな頃から一緒に居た君はリンゴが好きだった
トウモロコシやお米や豆苗も好きだった
小さな頃から一緒に居た君はとても賢かった
「ハウス」と言ったら自分から帰っていった
ある日の君はとてもしんどそうだった
もう寿命が来てしまうのかと思って
君が好きなリンゴとかを買ってあげた
そしたら君は元気になった
君と生きてきて8年経った
小学生だった私はもう中学生
君が家に来て8年経った
元気だった君はもうおじいさん
ハウスから出ることが少なくなった
しんどそうにしてる事が多くなった
ハウスから出ることが少なくなった
手を出しても逃げる事が多くなった
毎月病院に通うようになった
いろんな薬を何回も貰った
君が少しでも長生きできるように
家族はとても心配していた
ある日夜になった
君はいつもより苦しそうにした
家族は精一杯介護をした
それでも君は苦しそうだった
くちばしの色が悪くなっていった
家族は最後は好きなものを食べさせてあげようとリンゴをやった
最後の放鳥は君が好きだった場所に入れさせた
家族にもわかる幸せそうな顔をしていた
君は早朝に虹の橋を渡っていた
家族はみんな泣いた
その日は学校に行けなかった
3.4日ぐらいずっと泣いた
でもお母さんは言った
「苦しみから解放されたんだよ」
確かにそうだ
ずっと苦しかったモノが全部なくなって
今はきっと自由に空を飛んでいる
君が旅立った日は雲一つない晴天だった
きっと空気がおいしく感じるだろう
きっと全てが幸せに感じるだろう
君が居なくなってから
君の好きな場所に黒と灰は近づかなくなった
すぐに驚いて飛んでいく
きっと君はそこに居るんだろう
きっと君はぐっすり寝ているんだろう
君が居なくなってから
命の重みを感じた
ずっと一緒だと思っていたものは
あっという間に終わってしまった
いつもの日常はずっとは続かない
いつもの日常は思ったより短い
いつもの日常のいつもはいつかは過去になる
いつもの日常が今ならば
精一杯楽しもう
精一杯生きよう
生きてる今しかできない事を
生きてる今に全力でやろう
お餅のような白い羽
苺のような赤いくちばし
いちご大福のような君の元へ行くまで
私は沢山思い出を作ろう
精一杯生きた後いちご大福の元に行ったら
今までの思い出を沢山語ろう
大好きな君のために
自分である私のために
命を大切に
今を大切に
長く生きていこう
そしたらきっとまた別の
いつもの日常がやってくる
てるてる。
※一部グロテスクな描写があります。
彼らは一週間の内に、敵であるボクらを全員追い出すか、ひとりひとりカプセル型の有人宇宙船を作り、|此処《ここ》から脱出できれば勝利。
一方ボクらは、彼らの勝利を妨害しながら一人残らず`食べる`ことができれば勝利。
仲間はみんな、|躊躇《ちゅうちょ》なく彼らを騙し食べ尽くす。だって彼らへの感情なんてないから。ただの食料だと思ってる。
でもボクは、彼らが好きだ。
仲良く素でお話していたり、みんなで協力して助け合ってるところも羨ましい。
ボクはずっと彼らとお話ししていたい。
だからボクは、一人の彼女の宇宙船を作るために必要な部品を隠した。
彼女が悲しむのをわかっていながら。こんなことはしちゃだめだと思っていても、幸せな時間がずっと続いていてほしいから。
数日が経って、彼らは次々と此処から脱出していった。
あと彼女だけが残った。
彼女が必死に部品を探しているのを見ていると、すごく悲しくなった。
だからボクは、部品を渡して全部話した。
「じゃあ、キミが私を殺さないと約束してくれたら、最終日まで一緒いてあげる」
彼女がそう言ってくれたから、ボクがすぐに頷いて彼女の小指とボクの小指を交わした。
約束した通り、ボクは彼女を殺さなかった。
彼女は色んなことを教えてくれた。
たこ焼きが好きな事、絵を描く事が好きな事、きのこが苦手な事、友達が面白い事、兄妹がいる事、初めて色んなヒトを知った。
すごく楽しかった。まるで、ボクは元から村人だったような気持だった。
ヒトじゃないボクが、ヒトの彼女に初めての気持ちを抱きそうになった。
ある時、ボクが一人で居るときに相方が近づいてきてこう言った。
「ちゃんと役割を果たさないと、お前を俺らが追い出すことになるからな」
ボクの本当の役割は彼女を食べること。
でも役割を捨ててでも、ボクは彼女と話したかったら、黙って彼から離れて彼女の方に向かった。
振り返って相方の顔なんて見なかった。
最終日の一日前、ボクらは完成した宇宙船の近くで話していた。
少し寂しい気持ちが増えつつも、飽きることのないずっと続く会話をしていた時だった。
あれからずっと姿を隠していた|彼《相方》が来て、彼女の首と胴体を切り割いた。
断面から赤く綺麗な食欲のそそる液体が垂れ流れる。
その液体がボクの手に付いたけど、いつもよりさらに食べれなかった。なんでだろう。
それでも相方は美味しそう舐めた。
そして、骨すら残ることなく彼は彼女を食べ尽くした。
ボクは跡形もなくなった、彼女が居た場所をジッと眺めていたら、なんだか悲しくなった。
今回のは村人たちが勝って終わり、ボクら家に帰った。
帰り道の相方の顔は、何というか、睨んでいるのか悲しんでるのか、それとも失望してるのか、そんな顔だった。
家に帰ったけど、ボクはちゃんと人狼の役割を果たさなかったから、仲間冷たい目で見られながら家から追い出された。
ボクの帰る場所はなくなった。
ボクの友達もいなくなった。
ボクの生きる意味ってなんだろう。
折角彼女の事を沢山知れたのに、彼女が居なきゃ意味ないじゃん。
嗚呼、なんか、わからなくなってきちゃった。
もう何でもいい。村人が勝ったって、人狼が勝ったって、僕には関係ない。
ただ、死にたい。
家も友達もいないのなら、この世界に居る意味がない。
早く死んで、彼女の元へ逝きたい。
逝ったって誰にも悲しまれないし、害もないし。
もしかしたら、逝っても彼女は死んじゃったから、嫌われてしまっているかもしれないけど。
ボクは村人でも、人狼でも、何でもなくなった。
ボクは村人でも、人狼でもない役職として生きていく。
仲間の居ない、独りぼっちで死にたがりの「`てるてる`」として。
お風呂でふと思いついた小説です笑
なので変なところがあるかも。