天使病関連です。
日替わりお題で出たお題を下に書いてます。
「奇病」「共感」「グルメ」
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目次
天使たちのラスト・ミール 〜路地裏シェフと匂い立つ秘密〜
新たな連載小説。
今回はキャラ紹介です。
ゆっくり、最後までお嗜みください。
主人公|霍味 琉生(かくみ るい)
路地裏の小さなスープ店『サポール・アンゲルス』の店主兼シェフ
能力|他人の強い感情を「味」として自分の口内に感知してしまう
○天使病の患者が放つ「感情の香り」を嗅ぐと、その人が心の奥底で求めている「思い出の料理の味」と「未練の苦味」が口に広がる。
---
天使病患者1(主人公2)|繰甘 溶(くりあま とき)
天使病の初期患者
○まだ上着で隠せるほどの「小さな白い羽」が生え始めている
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天使病患者2|朝日奈 橙子(あさひな とうこ)
天使病の晩期患者。
○溶とは違い、もう隠せないほどの大きな羽が生えている。
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その他(名もない脇役☆)
これからこれも連載していきます!!!!
興味のある方は読んでみてください!!
天使たちのラスト・ミール 〜路地裏シェフと匂い立つ秘密〜
夜の路地裏に、店があった。
その名も、【サポール・アンゲルス】
スープ専門店だ。
その店奥の小さな厨房に、『今日も』一人、静かにスープを煮込んでいた。
彼の名前は琉生。
この店の店主兼シェフである。
さぁ、今夜はどんな客が来るのだろうか━━━━━━
**孤独なシェフと、翼のある客**
夜の路地裏にポツンとある小さな店、【サポール・アンゲルス】
彼の名前は琉生。
この店の店主兼シェフである。
彼には、他人の強い感情を「味」として自分の口内に感知してしまう、という能力がある。
「人の悪意はどす黒い苦味がする。悲しみは喉を焼く塩辛さだ。」
彼は他人の感情に疲れ果て、人間関係を断ち切るために、会話のいらないこのスープ屋を開いた。
食材である純粋な味だけが、彼の心を落ち着かせる唯一の救いだった。
---
閉店間際の店は今日も静か。
外は土砂降りで、音がすると言ったら時計と雨の音くらいだろうか。
そんなとき、余りにも大きすぎるコートを不自然に羽織った一人の少女、溶が来た。
彼女が店に入った途端に、琉生の鼻は、
「ひんやりとした冷たさを孕む、透き通った白い百合のような香り」
を感じるとともに、彼の口内は
「心臓が凍りつくような、圧倒的な孤独の苦味」
で満たされた。
(なんだ、この女の子は……!?)
琉生は息を呑んで溶を見ていた。
だが、そんな琉生の様子も知らずに、溶は
「あの、まだ大丈夫ですか……?」
と、寒さに震えながら言った。
「え、えぇ。まだ大丈夫ですよ。」
琉生は戸惑いつつあったが、試作として作っていた
【カブとインゲンのポタージュ】
を溶に差し出した。
「ありがとうございます……」
溶がスープを一口飲むと、ぱっと笑顔になり
「おいしい……! 体の奥の冷たくなった芯が、じんわり溶けていくみたい……」
といって感動していた。
溶の心が温まった瞬間、琉生の口の中に広がっていた強烈な苦味が、
「優しいミルクのような甘み」
へと変化する。
他人の感情が「美味しく変わる」経験など初めての琉生は、とても衝撃を受ける。
---数時間後---
スープを飲み干し、お腹だけでなく、心も満たされた溶は、安心したのか、うとうとし始める。
その時、溶の肩からコートが落ちてしまう。
琉生がコートを掛け直そうとした瞬間、目に飛び込んできたのは、溶の背中から生えている、
小さいが、本物の、白い柔らかな羽だった。
琉生は、彼女が世間で噂される奇病「天使病」の患者であることを初めて知る。
驚く類に気づいた溶は、慌てて翼を隠す。
が、後に覚悟を決めたように
「見ちゃいましたね……」
と苦笑する。
---閉店後の店内---
溶は、
「天使病になると身体が冷えて味覚もなくなっていくのに、
琉生さんのスープを食べたら、久しぶりに身体が熱くなって、味が分かったんです」
と涙ぐむ。
溶は琉生の料理の腕(と自分の感情を無意識に汲み取ってくれた優しさ)を見抜き、
まっすぐな、真剣な瞳でこう告げた。
**「琉生さん、お願いです。私の知り合いには味を失いかけている仲間たちがたくさんいるんです。その仲間たちに、もう一度、食べる喜びを思い出させてあげたいんです!」**
と。
他者と関わることを恐れていた琉生。
だが、ミオの真っ直ぐな瞳と、先ほどスープが起こした「味の変化」が忘れられず、
戸惑いながらもその手を取ることを決意した。
第一話です!!!!
新たな連載!!!ドキドキしながらも楽しみだな〜ってなりながら描いてました!!
第二話もお楽しみに!!!
天使たちのラスト・ミール 〜路地裏シェフと匂い立つ秘密〜
他人の感情を「味」として口の中に感知してしまう。
そんな呪いのような感覚に疲れ果て、路地裏で心を閉ざしていた、琉生の日常は、雨の夜に飛び込んできた一人の少女によって一変した。
繰甘 溶。背中に小さな白い翼を隠した、天使病の少女。
彼女の孤独の苦味を、琉生が作ったスープが優しい甘みへと変えたあの瞬間。
そして、味覚を失いかけていた彼女が「身体が温まって、味がわかった」と流した涙。
他者と関わることを恐れていたはずの琉生は気がつけば、彼女の天使病の知り合いたちにスープを作ることを承諾していた。
**頑固なショコラティエが遺した、最後のスパイス**
溶に連れられ、琉生は溶の父親が管理している建物を訪れる。
静かで美しい場所だが、ここは最期を待つ天使たちがいる。
琉生は天使病患者を救うシェフとして厨房に立つことになる。
不安を隠せない琉生に溶は
「私が全力でサポートします!頑張ってください!」
と優しい笑顔を向ける。
そんな時、どこかから
「こんな泥水、すすれるか!」
という怒鳴り声と、食器が割れる激しい音が響き渡る。
---
床にはスープが散らばり、老人が息を荒くしていた。
彼は『元』伝説のショコラティエだったが、天使病が進行し、ほとんどの味覚を失っていた。
部屋に入った瞬間、
「焦げたカカオと煙のような、鼻が曲がりそうなほど苦い香り」
が鼻を突き刺す。
同時に、琉生の口内は
「舌が痺れるほどの、鋭く刺すような渋み」
で満たされた。
琉生は、それが老人の抱える
「激しい怒りと、その奥にある焦燥感」
だと直感する。
---
老人は
「味の分からん俺に食い物を持ってくるな」
と心を閉ざしたまま。
琉生と溶は、老人の怒りの理由を知るために過去を調べる。
父親の話から、老人にはかつて自分の厳しい調理修行に耐えかねて失踪した、一人息子がいたことが判明した。
老人の未練━━━━
それは、息子が幼い頃に
**「世界一美味しい」**
と言ってくれた、原点である『ホットチョコレート』をもう一度作ること、息子に謝れなかった後悔だった。
琉生は自分の口に残る「後悔の渋み」を頼りに、ホットチョコレートの再現に挑む。
しかし普通のレシピでは老人の消えかけの味覚には届かない。
溶は
「おじいさんの職人としてのプライドに火をつけるような、何か『驚き』が必要かも」
と助言する。
---
琉生は完成したホットチョコレートを老人の前に差し出す。
老人は
「ふざけてるのか」
と思ったが、立ち上るチョコの香りを嗅いだ瞬間、目を見開いた。
老人は、おそるおそるカップを口にする。
琉生が仕込んだ秘密のスパイス(ほんのわずかなチリペッパーと塩)が、
老人の消えかけていた味覚の神経をピリッと刺激する。
「これは……あの時の……」
カカオの甘みと、温もりが老人の脳裏に「息子と笑い合っていた過去」を鮮烈に蘇らせる。
---
老人の目から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。
「息子にただ……美味いと言ってほしかったんだ……」
溶がそっと老人の手を握る。
その瞬間、老人の部屋の焦げた香りが、まるでココアのような「甘い香り」へと変化していく。
同時に、琉生の口内にあった渋みが、ショコラの甘みへと変わっていった。
その後、溶の父親から聞いた話によると、老人は最後に
**「ごちそうさま。美味かったよ」**
そう言い残して光へと還っていったらしい。
弐話目読んでくれてありがとうございます!!!
第参話もお楽しみに!!!!!