『俺が本当の闇に染めてあげる』
お前らの顔は全員覚えた
一生後悔させてやる
全ての世界が一つになった時の続編です。まだ読んでない方は読むことをおすすめします。
※BL気質も含めた小説です。苦手な方はご遠慮ください。
大丈夫な話もあります。
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目次
全ての世界が狂した時
prolog
『また、同じ過ちを繰り返すの?』
『悪鬼は永遠に消えないんだよ?』
『一度君の心に住み着いた邪気は永遠に消えないんだ』
『それは君が闇に落ちた代償だよ?』
『───紫雲』
『俺は君を絶対にもう一度鬼にするよ』
『君は俺のお気に入りだからね』
『今度こそ、人間に戻るなんて馬鹿な選択をしないように』
『俺が本当の闇に染めてあげる』
───いつからだろうか。
きっと、きっと黒雪の記憶を消して人間に戻ってから少しした時から
毎日夢に出てくる悪鬼の主。
彼の言葉は毎回すぐに終わる。
今までの記憶を書き留めた紙を見て、ようやく今理解した。
きっと彼は───
また俺を悪鬼にするために何かをしでかすつもりだ。
彼は夢を見るたびに大きくなっている。
今はもう、子供なんかの姿じゃない。
きっと、彼の本来の姿であろう、俺と同じくらいの青年になっていた。
俺は───
いつから────────
全ての世界が狂した時 第1話
18歳、春。
既に外国の大学を卒業済みである俺たち、晴城高校の生徒会メンバーは、各々の生活をしながらも、よく集まって色々な話をしていた。
「それで、紫雲最近はどう?」
目の前のラスは、昔のように綺麗な優しい目で俺にそう問いかけてきた。
「まぁそこそこ上手くやってるよ。最近爽が沢山甘えてくれるんだ。ハァ…まじで可愛い」
「はいはい。いつもの惚気ね」
孌朱は苦笑しながらそう言った。
「えーけど紫雲もさぁ、よくこんなに爽と長く続くよね」
屑洟も呆れたように笑う。
「たまには俺の相手とかしない?」
ガクは相変わらずそんなことを言いながら笑っていた。
「で?氷夜はまた黒雪くんの所?」
ラスは今ここにいない氷夜のことを思い出したのか、そう呟いた。
氷夜は、記憶が消えた黒雪と色々な手を使って仲良くなり、弟の成長を見守る感覚でよく一緒に遊んでいる。
おとは自分の夢を叶えに、また海外に行った。
そんなありふれた平和の中、俺は1人の青年に目が行く。
整った容姿だった。
綺麗な黒色の髪に、所々入れているピンク色のメッシュ。
綺麗な茶色の目は、見覚えのある雰囲気を出していた。
足は長く、スタイルは抜群。
「──────っ」
自分の中の、何かが動いた気がした。
俺の変化に気がついたのか、周りの4人は心配そうに俺の視線の先に目を向けた。
「わぁ…すごいカッコいい人だね。あの人と知り合い?」
屑洟のその言葉に、俺は曖昧に首を横に振る。
その青年は、俺と視線が合うと、楽しそうに微笑んだ。
『紫雲』
青年は軽く口を動かす。
読唇術でそれを読み解く。
やっぱり、この人…
『もうすぐまた会えるよ』
意味不明なことを口パクで告げて去っていった。
その意味は、すぐに理解することになる。
大きく地面が揺れた。
地震だ。
それと同時に歪む景色。
この感じ、やっぱりまた───
ラス達も気がついたのか、何かを必死に俺に伝えようと口を動かしていたが、聞き取ることも読み取ることも出来なかった。
そして目の前は真っ暗になり、あの場所で目が覚める。
暗闇の学校。
‘始まりの場所’
勿論、あのメンバーが集まっていた。
俺に、ラス、屑洟、孌朱、ガク、氷夜、黒雪
忘れるはずもないあの光景。
記憶がない黒雪だけは、不思議そうに教室内を眺めていた。
『俺が本当の闇に染めてあげる』
また、彼の言葉が蘇った───
新シリーズ連載開始です!
次回は一応キャラ紹介をしようと思いますので、第二話は少しだけ間があくかもしれません。
この物語は全せかの続きですので、全せかをまだ読んでない方はぜひ読んでみてください!
全ての世界が狂した時 第2話
部屋には相変わらずこう書かれている。
【助かるには、誰か1人を犠牲にしなければならない】
氷夜は心配そうに黒雪の手を握っていた。
ラス達は俺を守るように俺を囲った。
誰も動かないまま時間が過ぎる。
全員が無言だった。
「ね、ねぇ…これ何なの?」
そして、何も知らない黒雪は気になったように氷夜にそう問いかける。
氷夜は少し間を空けてから微かに口を動かした。
「俺たちの、始まりの場所」
「───?」
黒雪は理解できないというように首を傾げた。
無理もない。
黒雪だけ、何も知らない───
何も覚えてないのだから。
俺は懐にいつも常備してある銃を握りしめる。
本当に、出ることは出来ないのか?
俺はその銃を構えて窓の方に発砲した。
「─────チッ」
ヒビさえも入らない。
「このままじゃ、永遠に出られないよ?」
突然、教室の扉の方から声が聞こえてきた。
全員が一気にそっちを見つめる。
綺麗な黒色の髪に、所々入れているピンク色のメッシュ、綺麗な茶色の目。
ラス達はようやく、彼の正体に気づいたらしく、軽く片足を引き、すぐに攻撃できるような体勢をとっていた。
「ハハハッそんな怖い顔しないでよ。俺はちゃぁんと一度君たちを人間に戻しただろう?その後のことなど、何も約束なんてしていない」
彼、闇鬼の主はそう言うと、不気味に微笑んだ。
今までの幼さ全く感じられない。
だからこそ不気味さも増す。
そして彼は俺たちに新しい銃を投げ捨てる。
「鬼ごっこをしようじゃないか。その銃は、人を打っても死にはしない。撃たれた人が‘鬼’となるだけだ。1時間後、最後に鬼だったやつが犠牲者になる」
それじゃあ、頑張ってと笑った彼は、氷夜に銃を撃つ。
鉛が当たったのを確認してから、彼は消えた。
午前2時
3時になったら終わる。
徐々に、氷夜の瞳が闇に堕ちていくのがわかった。
あの時のような、冷たい、何にも興味がないような目で俺たちを眺める。
「みんな、死ね」
危険を察知した全員が走り出す。
きっと氷夜に今、自我はない。
「ラス、みぃつけた」
不気味な氷夜の声は、無慈悲に俺の近くで響いた。
「氷夜、やめっ」
ラスの声は途中で途切れる。
「ねー誰かぁ俺に殺されてくれないかなぁ?」
そして近くを通り過ぎるラスの声。
隠れている教室の扉の隙間から見たラスの目は、完全に、悪鬼になった時と同じ目をしていた。
「紫雲は、俺のだよ」
息を呑む。
目の前にいるのは屑洟。
ただ、目が死んでいる。
鬼、だ───
屑洟は俺の胸に銃口を突きつける。
「紫雲は俺が守るから、声出さないでね?ここに来たやつ、全員殺してあげるから」
その声と同時に、屑洟は後ろにいた孌朱に発砲した。
鬼になった孌朱は不気味に笑ってどこかに行く。
目の前の屑洟は、呼吸が荒い。
「ごめ、ごめん───紫雲」
屑洟は小声で話を続けた。
「あの銃を喰らうと、どうしても悪鬼だった時の気持ちが大きくなって、自我がわからなくなる。無性に人を殺したくなる」
気をつけて。そう言って屑洟は去って行った。
まるで、地獄だった。
おもいっきり約束破りました
全ての世界が狂した時 第3話
残り3分
あれから誰とも遭遇してなく、今誰が鬼かも分からない。
「お前…死ねよ」
後ろから声が聞こえて、振り返った時にはもう遅かった。
黒雪が放った鉛が俺の胸に当たる。
時計が指すのは午前2時59分
また…黒雪のせいだ
あいつのせいで、
あいつが、
アイツが…
アイツが全ての元凶なんだ
ふざけんな
ふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんな
「紫雲‼︎俺に撃て‼︎」
誰かの声が聞こえる。
前にいた、そう言っていたラスに引き金を引いたときだった。
鐘が鳴る。
俺が撃った鉛は、時間切れとでも言うように空中で粉々になった。
目の前のラスが何かを叫んでいるように見えるが、何も聞こえない。
何かを必死に訴えるように、俺に向かって手を伸ばしているラスがどんどん薄くなる。
コイツらがいなければ、俺は───
俺はこんなことにならなかったのかもしれないのに。
許せない
こんなところで終わるものか
黒雪───
「お前だけは許さない」
~ラスside~
目が覚める。
手につく砂の感触。
どこか、見覚えのある学校の校庭。
周りにいるのは紫雲以外のさっきまで教室に閉じ込められていたメンバー。
スマホを確認すると、なぜかもう1週間も経っている。
「この学校───」
隣でボソッと黒雪くんが呟いた。
彼の目が大きく見開かれる。
あぁ、そうか。
この学校───
1回目の人生での、高校だ。
「お、俺、また───紫雲を…」
───思い出して…
「君のせいじゃないよ。黒雪くん」
孌朱はボソッと呟いた。
「あの銃で君を鬼にしたのは俺だ。あの時俺が、必死に踏みとどまっていれば紫雲に被害は出なかった」
「けどそれじゃあ孌朱が──」
黒雪くんの声を遮るように、学校のチャイムが鳴り響いた。
早く中に入れとでも言いたげに、勝手に昇降口が開く。
俺たちは、静かに校舎内に足を踏み入れた。
お久しぶりですん
全ての世界が狂した時 第4話
~ラスside~
不気味な雰囲気を醸し出す校舎。
なぜか、窓の外は真っ赤な空。
この世のものではないような何かを感じさせる。
「Curse」
突然、後ろから不気味なほど透き通った女子の声が響き渡る。
「ラスさぁん───なんであの時、私を3階から突き落としたんですか?」
彼女の目には俺しか入っていない。
息を呑む。
なぜ、なぜ紗英ちゃんがここにいるんだ…
「ふふっ答えてくださいよ。悠餓くんと仲がいい私がウザかったんですか?それともー黒雪先輩と仲が良かったから?それとも、ただの腹いせ?」
鬼、だ───
間違いなく、今彼女は鬼になっている。
きっと、俺が紗英ちゃんを校舎から落としたせいで。
「あーあとそれと私知ってるんですよ?ガクさんも孌朱さんも、本当は私が落とされて嬉しかったんですよね?私見ましたよ?微かに楽しそうに私のことを見つめていたあなた方を」
その場が凍るように冷たくなる。
「さぁ───私を傷つけた分も、ぜーんぶその身で償ってくださいね♪?」
俺たち全員は走り出した。
逃げる以外の道はない。
紗英ちゃんはにっこり微笑んでから動き出す。
突然、どこかの教室の扉が空き、俺たち全員を押し込められた。
目の前にいた人物に目を見開く。
「悠───餓───」
自我をなくしたあの目ではない、昔の、1回目の人生を思い出すような不気味な目で、悠餓が俺たちを見つめていた。
「全く───何をやっているんだ」
彼の声は心から呆れているような音が混じる。
あぁ───
悠餓だ。
「おい、なんだこの匂い」
そしてふと、孌朱が悠餓にそう問いかける。
屑洟も、そういえば少し変な匂いがするねと言っていた。
「あぁ───これか。紗英が鬼になったから…治すためにずっと作っているんだ。何度かわざと自分で鬼になり試したりしたから、効き目はかなり保証できる」
悠餓はそう言うと、近くの大量の薬と思われる物を俺達に渡した。
「本当は念の為の予備だったが、特別に分けてやろうじゃないか。俺は紗英と終止符をつける」
悠餓のその言葉に、俺はいてもたってもいられなくなり、口を開いた。
「待てっ───なんで、悠餓が…。君を鬼にしたのも、紗英ちゃんを鬼にしたのも俺なのに、なんで俺たちを助けて、なんで君が命をかける必要があるんだ‼︎」
俺は、最も黒雪くんのことを何も言えない人だ。
黒雪くんが昔紫雲を鬼にしたように、悠餓は俺が鬼にして殺し、紗英ちゃんも俺のせいで鬼になったというのに。
悠餓は俺のことを無言で見つめてから口を開いた。
「過ぎたことだ───気にしない。お前はいつもうじうじうじうじ…鬼だった時の方が自分の意思がまっすぐで良かったんじゃないのか?」
悠餓はそのまま俺の胸ぐらを掴み、冷たい瞳で俺を見つめた。
「ハッキリさせろ。お前のやるべきことは何だ?やりたいことは何だ?やらなければならないことは何だ?さっさと決めて成し遂げろ。このノロマ」
「っ───」
あぁ、そうだ。
コイツはこういう奴だ。
だからずっと嫌いだった。
紫雲の双子だったのに、似ているようで正反対のような性格。
自我をなくした鬼となった時にはなかった彼の棘のある言葉。
「───紫雲が鬼になった。悪鬼の主のせいだ。俺は紫雲を助ける。必ず───」
俺のその言葉に、悠餓は少し目を見開いてから頷いた。
「兄さんのことは、頼んだ。気をつけろ。紗英以外にも鬼がいる。人の気配もする。絶対に、死ぬなよ?」
「お前もな」
微かに微笑んだ彼はそのまま教室を出ていく。
俺はポケットからフィンガーレスのレザーグローブを取り出す。
黒いそれに白色で小さく彫られているのはS.Lという字。
紫雲が昔、俺にくれた物だ。
俺はそれをはめながらガクに視線を向ける。
察したようにガクは同じ黒いレザーグローブをつけてから銃を取り出した。
「二手にわかれよう。俺とガク、そして残りの君たち。俺たちは悪鬼の主を探し出す。君たちは紫雲を頼む」
黒雪くんの目が呆然と見開かれた。
その後、力強い光が宿る。
「必ず全員で、また会おう」
~ラスside END~
あー夏休みの宿題一個しか終わってない
始業式は24日
そこまでは毎日のようにある塾
つまり
つんだ
はい
お久しぶりです。藤空木栾です。
最近読む専になっててなんか、w
投稿出来てません
全ての世界が狂した時 第5話
~黒雪side~
ラスとガクが教室を出て行ってから、俺たちも教室を出る。
「止まれ、誰かいる」
先頭にいた屑洟はそう言うと、近くの教室に隠れる。
うっすらと聞こえてくる足音。
「───誰かいるの?」
そして、その人も俺たちの気配に気がついたのか、そんな声を出した。
どこか少しだけ聞き覚えのある声。
ただ、最後に聞いた時より一段と低くなっているような気もする。
───それもそうか。
なんせ全ての人生で高校を卒業したことなんてなかったのだから。
記憶が消えたのも高校生の時。
大学生にもなった今、相手も成長するはず。
「───黒雪、くん…でしたよね?」
そしてその人物が、俺たちに気がついたかのように声をかける。
綺麗な茶髪の髪からのぞく少し赤がかかった瞳。
「てこ───さん」
俺より一つ年上の、それでいて紗英の彼氏でもあるてこさんが、そこにはいた。
「なぜ、てこさんがここに───」
俺のその問いに、てこさんは俺の後ろにいるみんなを見てから微かに目を細めた。
不気味な沈黙が続く。
てこさんの瞳に捉えられているのは孌朱。
孌朱は、ただ呆然とてこさんを見つめている。
「───黒雪くん」
「黙れ」
てこさんが口を開いた瞬間に、孌朱は冷たい声を出す。
2人の視線が混じり合った。
孌朱の瞳には、憎悪とも呼べるようなものを感じられる。
一方、てこさんの瞳には、孌朱を嘲笑うかのようなものを感じられた。
「───黒雪、逃げろ。鬼、だ」
そう、小声で屑洟が俺にそう囁く。
「必ず追いつく」
氷夜はそう言ったかと思うと、俺を後ろに突き飛ばした。
下は階段。
咄嗟に受け身を取って着地をする。
「ねぇー黒雪くんをなんで飛ばしたの?」
不気味なほど低いてこさんの声が聞こえた。
てこさんが、鬼?
でも、なんで俺が逃げるんだ…?
なんで、なんで俺が
なんで俺がみんなに守られる?
俺はなぜ守られる資格がある?
ないじゃないか。
全ては‘俺が引き起こした’事件なのに
なんで結局…
なんで毎回俺だけが
俺だけが守られているんだ。
『俺は黒雪くんのことが大好きだよ』
『なら殺せばいいんだよ』
『君の手で』
誰だ…
俺にこう言ったのは誰だ?
何回目の人生で言われたのか
それさえも分からない。
ただ、それでも
てこを殺せばいい
俺はさっきから持っていた銃を握りしめた。
階段を駆け上がり、さっきまでいた所に向かう。
「───っ‼︎」
てこさんが、力強く氷夜を蹴り飛ばす。苦しそうに蹴られた場所を押さえながら、のんびりと立ち上がった。
屑洟からは、ポタポタと腕から血が垂れている。
孌朱が、いない?
いや、違う。
近くの教室の奥の方、苦しそうに顔を顰めながら、孌朱はのんびり立ち上がる。
───許せない
俺は震える手に力を込め、てこさんに銃口を向けた。
「黒雪くん───【お座り】」
「⁉︎」
突然、足に力が入らなくなり、そのまま床に崩れ落ちた。
「んーよかったよかった。まだあの時の効果は残ってるんだね」
不気味な笑みを湛え、てこさんはのんびりと俺に近づいてきた。
「本当、‘彼’が約束を破るから大変だったよ。折角、紫雲くんに君を10回殺してもらえたら、君も鬼になって俺の好きにして良いよって言われたからあの時紫雲くんに引き渡したのに──」
何を、言ってるんだ?
「黒雪っ‼︎ソイツはお前を───」
何かを伝えようと叫んだ孌朱に、容赦なくてこさんが発砲した。
「うっさいなぁ。負け犬は黙っとけよ。負け犬って言うか…駄犬か」
てこさんは不気味に微笑んで俺の方へしゃがみ込み、俺の体の後ろに手を回した。
「てこ、さん?」
「ちょっとだけ眠っててね?」
~黒雪side END~
全ての世界が狂した時 第6話
「やぁ紫雲くん。元気かい?」
後ろから話しかけられて、のんびり後ろを振り向くと、相変わらずの笑顔を浮かべたてこがそこに立っていた。
「───何のようだい?」
俺が銃を向けてから話しかけると、てこは苦笑してから口を開いた。
「黒雪くんを殺すのを辞めてくれないかい?」
また、その話か。俺は銃を下ろしてからため息をついた。
「何度も言ってるだろ。俺はアイツを殺して鬼にする。そうじゃないと…」
「ほら、見てごらん」
「───」
目の前の光景に言葉が出なかった。
「俺は本気で黒雪くんを愛してるんだ。君たちで言う4回目のループの時、君に彼を渡したのだって…」
「ハァァ───もう良いよ」
俺は他の奴らを殺せば良い。
黒雪のことぐらい、コイツに任せてもいいだろう。
どうせ、てこの元に居てまともな人間でいられるわけがないのだから。
ありがとう!と嬉しそうに言ってから、てこはすっと目を細めた。
「主には気をつけろ。お前が一回人間になった時に改めて感じたが、お前の共依存は異常なほどだ」
てこのその言葉には、珍しく本気で俺を心配するような何かを感じられた。
「てこ───君さ、主とどういう関係なの?」
ずっと聞きたくても聞けなかった疑問を、問いかける。
てこはしばらく固まってから、のんびり口を動かした。
「鄒ゥ逅??蜈?シ」
てこの返事に目を見開く。
冗談、だろ?
「あまり深掘りするな。世の中には知ってはいけない事が沢山ある」
気づけばてこはもういない。
まぁ、とりあえず
俺は俺のやるべきことを全うしよう。
アイツら全員を、殺せば良いだけなのだから
~ガクside~
「───消えた」
突然、ラスがボソッと呟く。
「孌朱と屑洟、氷夜の気配が消えた。いや、薄れた。生きていることを願うしかないが───」
「おや?君たちは随分と腕が鈍っていないようだね」
目の前にいた人物に目を見開く。
てこ、だ。
「お前…なんで…」
ラスの声が掠れる。
「ラス───お兄ちゃんの言う事、聞けるよね?」
てこのその言葉に、血の気が引いていくのがわかる。
どういう、ことだ。
今まで全くそんな素振りを見せなかった。
いや、違う。
今までのループの中で、俺はラスがてこと会ったところを見た事がない。
1回たりとも───
てこは、楽しそうに笑うと、ラスの耳元で何かを囁いた。
ラスの目が見開かれる。
「嘘、だろ──」
「本当なんだよ。だからねぇラス──」
不気味に微笑むてこの視線が俺と交わった。
「こんなクズはもう殺してしまおうよ。一緒に、昔みたいに生活しようよ」
ラスが、微かに俺の方を見た。
その瞳に、悲しみのような物がこもっていく。
嘘、だよな?
「兄さん、俺、は──」
「何をやってるんだ」
ラスの言葉を遮る声が響き渡る。
てこのこめかみに銃口を押し付け、その青年、悪鬼の主は引き金に手をかける。
「ハハハッそんな怖い顔で見ないでおくれよ。兄上様?俺‘達’の弟とお話をしていただけじゃないか」
どういう、ことだ。
ラスが、てこが、悪鬼の主の弟?
「君も、こっち側にくれば紫雲くんだってきっと歓迎してくれるだろうに」
てこは最後にそれだけ言って微笑み、主と一緒に去って行った。
「ラス───」
「ごめん」
息を呑む。
目の前で、ラスが俺に向けて銃を構えた。
「ガク…お前なんか」
そこで一回言葉を区切り、ラスは不気味に微笑んだ。
その目に浮かぶ色は、俺も昔同じだったからこそよく分かる。
鬼に落ちた時の瞳だった。
「大嫌いだ」
あぁ───
体が重い。
「よくやったねラス」
近くで、てこの声も聞こえる。
どんどん視界が黒く染まっていくのは、分かっている。
いつもは、殺る側だったから、銃で殺された時の感覚なんて知らなかった。
───こんなんで、終わるものか
何度でも…
たとえ俺がもう悪鬼じゃないからループする力がないとしても
俺は必ず…
お前らの闇を晴らしてやる
iueshxojesbuayv.......
Bạn có muốn lặp lại không?
Y E S ?
全ての世界が狂した時 第7話
目が覚める。
体が、変だ。
鏡に映った自分の姿を見て、俺は絶句する。
「───え?」
そこには、小学生の頃の自分がいた。
どういうことだ?
主はループを行う素振りを見せなかった。
それどころか、ラスも悪鬼に戻ったという報告を俺にしてきて、それで…
あの時、主だって目を見開いていた。
主さえ知らない所で起きたループ。
そして小学生になっている俺の体。
何が、どうなっているんだ?
『必ず、俺は紫雲を元に戻すよ』
誰かの声が、聞こえた気がした。
あぁ…ガク───かな。
今更の話だ。
今更戻ることなんてできない。
いや、‘許されない’
そうなる前に俺が全ての運命を変える必要がある。
悠餓と紗英、屑洟と孌朱、氷夜と黒雪を合わせてはいけない。
一度会えば必ず惹かれあってしまう運命だから。
紗英の場合でしっかりと判明した。
悠餓と一線を超えないように、てこと紗英が付き合っていたが、結局運命は変わらなかった。
おかしい。
何かがおかしい。
俺の知らない所で、主の知らない所で、必ず何かが起きている。
────爽か、おとか……?
いや、違う。
これは───
全てがガクの仕業だ。
一から全てをアイツが出来るとは到底考えられないが、現状はそれを信じるしかない。
とりあえず───
「俺は今何年生だ…?」
---
自分のランドセルに入っていた教科書を見て、小6だということ、そして、自分が通っているのは、ループが始まる前の小学校。
全ての始まりに戻っていた。
「紫雲‼︎なんで今日迎えにきてくれなかったの?」
後ろから、元気な声が聞こえた。
黒雪、だ。
「僕ね、ようやく昨日の模試で紫雲と同じ中学の合格判定でA貰えたんだ‼︎」
これで一緒の学校に通えるね‼︎
と、笑顔で俺にそう言ってきた。
あぁ────
違う。
ダメだ。
‘そうじゃない’
「紫雲───?」
なるほど。
そういうことか、ガク。色々と────
やってくれたなぁ
「ねぇ、紫雲?大丈夫?」
なら、俺が変えればいいんだ。
君に変えられた分全部を。
「なぁ黒雪───」
純粋な顔で俺を見てきた黒雪の目を覗き込んで、俺は呟いた。
「お前は、鬼だ」
呆然とした顔の黒雪の目が、闇に染まって行く。
俺にない、いつも身に付いているような鎖。
それはきっと主でさえ記憶を無くしているからだ。
なにせループする前───
俺が鬼になる前のはずなのだから。
「俺が新しく素晴らしい世界を作ってあげるよ」
全ては、アイツのために───
全ての世界が狂した時 第8話
~??(主)視点~
いつから、だっけ
いつから、だろう
どうして、だっけ
どうして、だろう
あの日からだっけ
あいつは誰だっけ
あいつは───
許せない
何回殺したんだろう
あいつを
彼を
おとを───
数えきれないほどの何かがモヤっとしていて、
何回殺しても満足できない
なぜかは覚えてないけど許せない
どうして、なんだろう
俺は、ずっと────
目が覚める。
周りは相変わらず暗かった。
その時、肌にピリッとするような、何かを感じた。
「どういう、こと、だ?」
俺の知らぬ間に、一気に悪鬼の気配が増えている。
しかも、俺とは違う悪鬼の力を感じる。
俺以外が、悪鬼を増やしている…?
到底考えられない。
てこは、そんなことやらないだろうし。
まだラスは、記憶が戻ってないはずだから、やれるはずがない。
そしたら、誰だ?
なぜだ
なぜ主である私が何も知らない───
こんなこと、あってはならないことだ。
「そんなに怖い顔しないでくださいよ」
突然後ろから声をかけられた。
どこか見たことあるような、紫の瞳の小学生らしき男子がにっこり笑っていた。
こいつ、だ。
ずっと増え続けているのはコイツの力だ。
コイツはなぜ鬼になった?
いつ鬼になった?
「お前は、いったい」
「僕のことは今度でいいでしょう?少しだけ、僕に力をくれませんか?」
────変なやつだ
~主side END~
出来ることなggibjhiら、もhbihbwsxうnjojn、i pmsbih chi ,.k,jnazazed do…?
忘れてた訳ではないんです
受験生は忙しいんですw
全ての世界が狂した時 第9話
息を呑む。
鬼じゃない時のコイツは、こんな目をしていたのか
「ガク、聞いてくれ。悪鬼の主を生み出したのは、俺、なんだ」
俺が告げたその言葉に、反応はなかった。
ただ、無言の空間が続く。
「俺が、俺がアイツを───鬼に、したんだ」
今でも、思い出す。
俺が、アイツを──かいを、鬼にした瞬間を
殺した瞬間を
だから、俺が───
終わらせる必要がある。
かつての親友を、かつての仲間を殺してでも
終わらせないといけないのだ。
この、地獄を
この、世界を
この世の、全ての世界を
「ごめん───ごめんガク」
俺が撃った鉛は、そのままガクに命中した。
これ以上、巻き戻すわけにはいかない。
全てを壊すんだ。
俺の手で
「この世界の全てをリセットさせるために」
この世界を
壊滅させるんだ
~おとside END~
たいっへん
大変申し訳ございませんでしたぁぁぁぁ!!!!!
生きてます。生きてます…生きてますぅぅ…