“And yet I want to protect.”
アメリカ・フロリダ州、マイアミ。
海沿いにひっそりと佇むカフェ
『Aqua Marine』で始まる甘い恋の話__
☆SnowManの黄色さんと黒さんメイン。
〜年齢設定だけご紹介〜
○岩本照 29
○目黒蓮 24
○宮舘涼太 29
○佐久間大介 28
○阿部亮平 28
○渡辺翔太 29
○深澤辰哉 29
○向井康二 25
○ラウール 22
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目次
《出逢い》
さぁ作ってしまいました、新シリーズ。
今回は初の長編。
『』は英語だと思ってください。
岩本side
P.M.1:00__スーパーにて。
アメリカ合衆国のフロリダ州。
海沿いの都市、マイアミ。
照「ラッキー、ラスイチじゃん。ホワイトチョコにしよっと」
仕事のご褒美ってことで、板のホワイトチョコを手に取ろうと伸ばすと。
隣からすらっとした手が伸びてきて、俺の手とその手が触れた。
照「あっ……Sorry, you can have it……って、…あ、」
謝りながら顔を上げると、隣にいたのは日本人っぽい顔立ちの男性だった。
その男性は、俺と触れた手を穴が開くほど見つめていて、青ざめた顔で固まってる。
照「…あのー、すみません………Hey,」
「はぁっ、…っふぅ、、はぁ、ふぅ、は、ふ、…」
息がどんどん荒くなっていったかと思えば、突然ダッシュで逃げていってしまった。
照「…あっ、」
行ってしまった。
商品棚が数え切れないほどあり、慌てて追いかけようとしたがすでにいなくなっていた。
照「…なんだったんだろ」
とりあえずホワイトチョコはちゃんとカゴに入れて、買い物の続きを楽しんだ。
---
帰り道。
人が多いの苦手だから、なるべく人がいない路地の方へと向かうと、何やら騒ぐ声がした。
『お前、いいからその袋俺にくれよ!!』
『だめです!これ、俺が買ったものなんで…!』
『いいだろそれぐらい!』
『だめです!』
向かうと、チャラそうな男が一人と……さっきスーパーで手が触れた男性。
チャラそうな奴がさっきの男性の肩を掴むと、男性は目を見開き、息が荒くなっていく。
『はぁはぁ……はなせっ、!』
『離さねーよ』
『やだ…!』
流石に無視できなくて、チャラそうな奴の肩を掴み、男性と無理やり引き剥がす。
『おい、辞めろよ。嫌がってるだろ』
『はぁ?なんだよ、口出しすんじゃねーよ』
『…あのさ、人がお金稼いで買ったものをお前は脅して手に入れようとしてるわけ?流石に卑怯じゃない?』
『…っ、』
『ほら、今なら見逃してやるから帰れ』
『チッ、』
軽く舌打ちしてくるりと去っていった男。
俺はため息を吐き、男性の方を向くと、男性は立ったまま体を震わせている。
おぉ、やばいじゃん。
そう思った矢先、
「目黒〜!」
と声が。
その先には、この男性めがけて手を振り、走ってくる、黒いエプロン姿の男性が。
…男ばっかじゃねーか。
「はっ、…あ、だて、さ、」
エプロン姿の男性は、息を荒くする男性に駆け寄ると、目線を合わせて一緒に深呼吸を始める。
この状況にどうすればいいかわからず、ただ佇むと、エプロン姿の男性は俺を睨み上げた。
「Hey, what did you do to him?」
照「Wait! I didn’t do anything to him……ていうか日本のお方ですよね、」
「え?…あぁ、てっきり|現地《ここ》の人かと……」
照「いえいえ、別に…この髪色ですし」
俺は今、金髪と茶髪の中間の色に髪を染めている。
ここの人に間違われても無理はない。
「で?何したんです?」
「ぇ、…あ、……だてさ、」
「目黒はいいよ、ちょっと静かにしてて」
照「だから何もしてないですって!……ただ、ちょっと声かけただけで」
助けた、なんて偉そうなことは言いたくなくて、表現を変えたが、逆にだめだったらしい。
「…とりあえずウチのカフェ来てください」
照「…はい」
仕方ない。
この後特に予定ないし、ついてくか…
俺は服をぱんっと払うと、エプロン姿の男性と、まだ少し震えている男性の後ろについていった。
---
しばらく歩くと、白く塗られた木製の建物が見えてきた。
店の前にあるメニュー黒板には、『Aqua Marine』と書いてある。
「中へお入りください」
照「…失礼します」
カランコロン、と軽快な音を立てる鈴付きのドアを開けば、木を中心としたおしゃれな内装が見えた。
いくつかのテーブルと椅子のセットに、カウンター席。
カウンター席からはキッチンがよく見える。
「とりあえず、カウンター席へお掛けください」
照「はい」
「紅茶とコーヒー、どちらがお好みですか?」
照「コーヒーで」
「目黒、コーヒー持ってきて」
目黒、とさっきから何度も呼ばれている男性はこくりと頷くと、さっとキッチンへ行ってしまった。
「で。何があったんですか?」
照「あー、…えーっと、……」
説明しづらいというか。
さっきの男性が、変な奴に絡まれていたことを勝手に言ってしまっていいのかがわからない。
「…コーヒーです」
すると、ソーサーの上に乗ったコーヒー入りのカップがことんと置かれた。
そこから、コーヒーとは思えないフルーティーな香りが漂う。
「ありがとう、目黒。…もしよければなんだけど、何があったか話してくれる?」
「……はい。…さっき、おつかいの帰り道に、変な人に絡まれて。買ったもの全部くれとか言うから必死に断ったんだけど、それでもしつこくて。そしたら、この人が助けてくれて…」
「…そうなの?」
「はい」
「そっか……疑ってしまってすみません。ウチの目黒を助けていただきありがとうございました」
照「へっ⁉︎…あ、いや……別に…」
「ほら、目黒も」
「…ありがとうございました」
「お名前お伺いしてもよろしいですか?」
照「岩本照です」
「ありがとうございます、岩本さん。…僕は宮舘涼太で、この店の店主です。こちらが目黒蓮で、ウチの店の従業員でもあって、ショコラティエもしてます」
照「…ショコラティエ?………チョコ作る人ですよね?」
涼太「はい。…ね、目黒」
蓮「あ、…んーと、はい、」
涼太「よければチョコ食べてきます?」
照「いやいやいや、…そんな、」
涼太「いえいえ。ほんの気持ちですよ」
照「…えー、…じゃあ、お言葉に甘えて」
涼太「目黒、用意してあげて」
蓮「うんっ」
目黒は頷くと、ちょこちょことキッチンに入っていった。
その後ろ姿が、同じ男なはずなのになんだか可愛く思えた。
・
ふと顔を上げると、斜め上にメニューが書かれた看板がずらーっと並んでいた。
その中には、『Udon』『Oyakodon』など、いくつもの日本食が入っていた。
照「宮舘さんって日本食作れるんですか?」
涼太「はい。日本で修行してたからね」
照「え、すご!」
涼太「ていうか宮舘さんじゃなくていいよ、『舘さん』とかで大丈夫だよ」
照「あ、じゃあ舘さんで。俺のことは照とか自由で大丈夫」
涼太「じゃあ照って呼ぶね」
照「うん、お願い」
蓮「持ってきました」
照「ありがとう、目黒」
蓮「…へ?…あ、」
照「…?」
蓮「い、いや、…なんでもないです」
目の前に小さめの皿が置かれ、その上には陶器のようにツヤッとしたいくつもの色とりどりのチョコが置かれた。
蓮「…俺が作ったものなんで、そんな大したことないですけど、……よかったら召し上がってください」
照「うん、いただきます」
一つチョコを手に取り口に入れると、その瞬間ぶわっと口の中で濃厚な味が広がった。
照「…‼︎…甘くて美味しい‼︎」
蓮「…ありがとうございますっ」
涼太「よかったら久しぶりに日本食でも食べてく?」
照「え!いいの⁉︎…いや、流石に申し訳ないしお金払うけど……」
涼太「いいんだよ、別に」
照「わざわざすみません!」
涼太「じゃあちょっと待ってて」
そのまま、舘さんはキッチンへと入っていった。
俺はチョコの残りを全部食べ、目黒の方へ向いた。
多少、表情が引き|攣《つ》っている目黒。
照「チョコ美味しかった。ありがとな」
蓮「……いえいえ、…そんな、………岩本さんに気に入っていただけて幸いです」
照「…ふはっw」
蓮「…⁉︎……な、なんで笑うんですかいきなり…‼︎」
照「いーや、めっちゃ敬語で丁寧だなーって思って」
蓮「や、やめてください…///」
さらっとした黒髪に、真っ白で透明感抜群の肌。
桜色のぷっくりとした唇と長いまつ毛がとても綺麗。
照「…目黒、俺のこと岩本さんって呼ぶのだけはやめて?」
蓮「え?…じゃあなんて……」
涼太「はい、丼ものだよ」
照「うわ、丼もの久しぶりだ!美味しそう、いただきます!」
涼太「熱いから気をつけてね」
照「うまぁーっ、美味しい!」
涼太「ふふ、気に入ってもらえてよかった」
照「これから通います!」
涼太「ほんと?ありがとう」
そのまま俺は丼を平らげ、手を合わせて感謝の気持ちを述べた。
照「ごちそうさまでした」
涼太「ありがとう。ウチ、昼から夜までやってるからいつでもおいで」
照「はい!ありがとうございました!」
涼太「目黒のこと助けてくれてありがとうね、またいつでもきてね」
照「ごちそうさまでした!美味しかったです!」
カランコロン、と鈴の音を聞きながら俺は外へと向かった。
・
数週間後。
照「よっ、久しぶり」
蓮「え、…あ、…んーと、」
照「俺、岩本照。」
蓮「あ、岩本さ……すみません、名前覚えるの苦手で…」
照「いーよいーよ、俺も苦手だし」
少し開いた窓から、ほのかに潮風の香りが流れてくる。
現在、お店の前には『Sorry, we are closed』の文字があり、中には俺と目黒だけ。
蓮「えーっと………舘さんならもうすぐ帰ってくると…」
照「そっか」
蓮「…あ、でもチョコなら…」
照「え、マジ⁉︎食べたい‼︎」
蓮「ふっw…甘党なんですか?」
照「…意外だなとか思っただろ」
蓮「…まぁ、はい」
照「おい、否定くらいしろって」
蓮「ふははっw」
くしゃりと顔を綻ばせ、笑顔を浮かべる目黒。
その綺麗な笑顔に思わず目線が釘付けになり、どきりと心臓が音を立てた。
照「…っつ、////」
蓮「…岩本さん?」
照「あ、いや、なんでも……ていうか岩本さん呼びやめてって言っただろ」
蓮「あぁ、…たしかに。なんて呼べば…」
照「『岩本くん』とかでいいよ」
蓮「あ、じゃあ岩本くんで」
照「うん。勝手に目黒って呼んでるけどそれでいい?」
蓮「うん、大丈夫」
照「ん、」
蓮「…⁇」
なんだかきょとんとしていて可愛らしい目黒を見ると、母性が出てきて撫でたくなった。
そっと手を伸ばし、頭を撫でようとすると…
蓮「あっ、…やっ!」
さっと逃げ、チョコが並んでいたショーケースの裏に隠れてしまった。
照「え、あ、…ごめん」
蓮「…すみません、………人に触れられるの苦手で………」
照「ごめん、そうだよな」
薄々気が付いてはいた。
スーパーで手が触れた時も異常に怯えてたし。
蓮「あ、…えっと、チョコ、」
照「チョコ食べる!」
蓮「ショーケースから選んでください」
チョコの表面に、モダンな模様が入っているものだったり、綺麗な形をしているものだったり。
色々なチョコがあって、目移りする。
照「じゃあ、ナッツのやつにする」
蓮「はい」
ショーケースから目黒は一つ摘み、皿と共に俺の前に置いた。
蓮「どうぞ」
照「いただきます…あ、おいひい!」
チョコのなめらかな口溶けと、ざくっとしたナッツの食感が楽しい。
蓮「…よかったです」
涼太「ただいま、戻ったよ〜」
蓮「あ、…舘さん」
涼太「あ、照来てたの?待たせちゃってごめんね」
照「いや、そんなに待ってないし…むしろチョコいただいたし」
蓮「うん、岩本くんが半ば無理矢理店に入っ…」
照「無理矢理ではないだろ」
蓮「いや、あれは無理矢理だったって」
照「人聞き悪いだろ」
蓮「ふははははっw」
涼太「目黒も慣れてきたかな?」
「めめがこんな仲良くしてんの久しぶりに見たわ〜」
誰かがずかずかと店の中に入ってきた。
蓮「あ、ふっかさん!」
涼太「ふっか、久しぶり」
「よっ、めめちゃんは誰と仲良くしてんの?」
蓮「だからその『めめちゃん』やめてってば…!」
照「…え、ふっか?」
辰哉「え、照じゃん!!!!!……いつアメリカ来たのよ」
照「ちょっと待って、まずふっか|マイアミ《ここ》住んでたの⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」
辰哉「うん。…え、言わなかったっけ⁉︎」
照「聞いてないってそんなの‼︎マジかよ‼︎」
辰哉「ごめんごめん、で照はいつ来たの?」
照「つい半年前」
辰哉「えー、マジか!そっちの方こそ連絡寄越してよ」
照「それはごめん。ふっかがマイアミにいるとは思わなかったし、それに引越し手続きやらなんやらで忙しかったの」
辰哉「まー海外だもんな」
涼太「…ふっかと照は知り合い?」
辰哉「あー、うん」
照「幼稚園が同じだったんだよ。途中でふっかがアメリカ行っちゃってそれっきりだったけど」
辰哉「もう二十何年ぶりくらい」
蓮「…へー」
「あー!めめがふっかさんとあと誰かに取られとる〜〜〜!!!!!」
蓮「あ、こーじ!」
照「…こーじ?」
辰哉「康二も久しぶりじゃん」
康二「ふっかさ〜ん!」
蓮「こーじ、久しぶり。今日はフォンダンショコラあるけど食べる?」
康二「フォンダンショコラ!食べる食べる!」
蓮「ふふっ、おっけー。今から温めてくるね」
康二「楽しみやわー、めめのフォンダンショコラ!」
…え?
誰この人。
しかもあの目黒とだいぶ仲良いし。
…さっきまで二人きりだったのにな。
康二「なぁなぁ、名前なんて言うん?」
カウンター席に座った彼に、突然話しかけられる。
照「え、俺?…岩本照」
康二「照にぃやん!」
照「…え?」
康二「照っていう名前なんと、年上やろ?やから照にぃ!俺は向井康二!こーじって呼んでや!」
照「こーじ…?」
康二「せやせや!俺はプロのカメラマンやっとってな、世界中飛び回ってたんやけど、今はマイアミの写真撮りたいなー思うてな、ここいるんや。マイアミ綺麗やろ?」
照「うん、確かに」
康二「やろ?こんな写真撮ってんねん」
ずいっとスマホを押し付けられ、それを見れば、太陽に照らされたエメラルドグリーンの海がディスプレイに映し出されてた。
元々場所が綺麗なのもあるけど、撮る角度とか、向きとかが微妙に調整されていて、写真撮るの上手いんだなーって思う。
照「写真めっちゃ綺麗」
康二「ありがとな!」
蓮「こーじ、お待たせ。出来たよ」
康二「めめのフォンダンショコラや〜!!!」
蓮「久しぶりに作ったから味変わってるかもだけど…」
康二「美味しい!味全然変わってないで!」
きゃっきゃと騒ぐこーじと目黒をじっと眺める。
蓮「…あ、岩本くん…も食べます…?」
照「え?」
蓮「っあ、…フォンダンショコラ…」
照「いいの?」
蓮「…!食べて欲しいですっ」
照「じゃあ一つちょうだい」
蓮「はいっ!」
厨房に駆けていくその姿が可愛らしい、と少し思ってしまった。