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目次
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https://firealpaca.com/get/DgLSd8QQ
作品名:無題833
こだわり:逆光っぽいやつがこだわりです‼️
要望:特になし。
適当
一応バッドエンドにしておくか…一応。
息抜きに書いた小説をまとめたやつ。総集編みたいなやつ。
2025/12/25〜
1.普通
(12/25)
教室は、小さな社会だ。
そして私は、そんな社会に耐えられなくて、逃げ出した。
ピンポーンと、家のチャイムが鳴らされた。
いま、この家には私以外誰もいないから、私が出なければならない。重い体をベッドから起こして玄関に歩く。その間に、チャイムがまた鳴らされる。はあいと、聞こえるかもわからないような声量で言いながら、鍵を解除しドアを開けた。
「あ……久しぶり。…あ、初めましてか。」
ドアの前に立っていたのは、セーラー服に身を包んだ私と同い年くらいの女子だった。
いつもの宅急便ではないことに驚いたあと、クラスメイトなのだと察して心臓が1回大きく波打つ。
「あたし、クラスメイトの山吹かゆです。えっと、先生から、プリントとか預かってきたので…。」
そう言って彼女は私に持っていたクリアファイルを渡した。やけに分厚いそれを受け取る。
彼女は続けた。
「みんな待ってるから、来てねって。」
どうせ待ってないのにと、ネガティブでもなんでもなく思いながら浅く頷くと、彼女は小さく頭を下げて帰っていった。
遠くなっていくその背中を、しばらくの間ぼんやりと眺めていた。
私も、不登校の子の家にプリントを持っていく側になれたらよかったのに。
自分の部屋のドアを開け、中に入る。
クリアファイルを机の上に適当に置いた。と言って中身を確認するわけではない。そんなの面倒臭いし、どうせ理解できない。
スマホを手に取り、SNSを開く。大量の情報が一気に頭に入ってくるこの感覚が好きだ。他のことを何も考えなくて良いから。
数分それをいじっていたけれど、だんだんと頭に入ってこなくなってきた。つまり飽きた。もういいやとスマホを机の上で滑らせる。
視線は自然と、分厚いクリアファイルに向いていた。手を伸ばす。クリアファイルを逆さまに持ち替える。
大量のプリントが、重力に逆らえずにバサバサと落ちていった。
グラフ、アルファベット、よくわからない図に誰かの肖像画、たぶん大事なお知らせプリント。いろんなものが混ざり合って、机に、床に落ちていく。私の部屋を汚していく。
快感も嫌悪もなかった。
どうしてこんなことをしたのか、自分でもよくわからない。
けどたぶん、たぶん、届かない普通が、嫌になっただけ。
2.夏の匂い
(12/26)
夏の匂いがする。
もうすぐ、中学生になってから、初めての夏休みがやってくる。特別な予定なんてないけれど。
友達はいないわけじゃない。2人くらい、けっこう話す仲の子がいる。でも一緒に昼食を食べるほどではないし、授業の「2人組になれ。」で組んでくれるわけでもない。
つまり私は地味に孤立している。
元々友達作りは苦手だったけど、小学校の時は幼馴染と同じクラスだったからなんとか耐えてた。それが、中学生になって、幼馴染は3組、私は1組、見事に離れてしまったわけだ。
けど、1人で食べる昼食も別に不味くはない。先生と組むのも少し恥ずかしいけど悪くはない。
チャイムが鳴り響く。6時間目が終わり、終礼が始まり、また終わる。
リュックを背負い教室を出ようとした時、先生に呼び止められた。
一瞬頭に疑問符が浮かんだが、すぐに理解した。
「今日もこれ届けてくれる?高柳さんに。」
先生に渡されたのは予想通りの、プリントが詰められたクリアファイルだった。私は毎週金曜日に、クラスメイトで不登校の高柳という生徒にプリントを届けに行っているのだ。
高柳さんは中学の入学式にすら来なかったので、初めてプリントを届けに行くまで顔も知らなかった。今でも下の名前は知らない。
インターホンを人差し指で押した。
しばらく待つとドアが開き、高柳さんの顔がのぞいた。
「山吹です。これプリント。」
毎週のことなので慣れたもので、高柳さんも浅く頷きながら受け取ってくれる。
それで終わりだ。毎週会うけど、仲がいいわけではない。事務的な会話以外を交わしたことはない。
「じゃ…。」
小さく頭を下げ身を翻した。
「な。」
歩き出した時、後ろから声が聞こえた。振り返る。
「夏休み、いつから?」
それは私に投げられた言葉だった。初めて高柳さんが話したところを見た。驚きつつ、口を開く。
「25日。…あと5日。」
そうだった。あと5日で夏休みに入るのだ。高柳さんにプリントを届けに行くことも、少なくとも夏休みの間はないのだろう。
高柳さんがわかったというように頷いたことを確認すると、私は今度こそ自分の家に歩き出した。
夏の匂いがする。けっこう好きな匂い。
3.風と熱と
(12/26)
私の中学校はあと5日で夏休みに入るらしい。
今さっき山吹かゆに渡されたクリアファイルがいつもより厚く、重量があるのは、夏休みの課題も入っているからだろう。
でも手をつける気には到底なれなかった。どうせちんぷんかんぷんだし、夏休み明けも私は学校に行かないだろうし、先生も誰も、期待なんてしていない。
私が家でぼうっとSNSを見ていた間も、外の世界は動いていた。
季節は変わり、私と同い年の山吹かゆたちは成長して行く。
社会からはみ出た私は置いてきぼりにされる。しかしそれも、当たり前のことだった。
私は自室の、つけっぱなしだったエアコンを消した。その代わりに窓を開けた。
湿った風が入り込んで、カーテンを弱々しく揺らす。
私もみんなと同じようになりたいとか、そんなことを望んでいるわけじゃない。ただ、季節を感じないのは勿体無いかなと思っただけ。それだけ。
窓を開けたことで、外の音が空気に溶けて聞こえてきた。
下校途中の小学生たちの騒ぎ声。車のエンジンの音。私が在籍している中学校からだろう、運動部の掛け声とホイッスルの音も混じっていた。
胸焼けに似た変な感覚に陥った。
熱を持った声が耳に入ってくると、喉の奥が気持ち悪くなった。
私がいなくても世界は何も変わらないって、理解はしていたけど、受け入れることはできなかった。
ちゃんと学校に通っていて、ちゃんと部活動に励んでいて、ちゃんと生活している。そういう人の存在を突きつけられるのは、嫌なことだと知った。
窓を閉めた。湿度の高い風のせいで肌がベタついていた。
現実逃避するみたいに、エアコンをつけた。でもそのエアコンから流れてくる、新鮮な空気さえ、私には似合わない。
4.気づき
(12/27)
夏休みが明けても、高柳さんは学校には来なかった。
私が彼女の家にプリントを届けに行くのはもはや習慣となっていたし、今更面倒臭いとかそんなのは思わない。
ただ、勉強大丈夫なのかなというお節介な疑問は時折抱く。もちろん、訊かないけど。
インターホンを人差し指で押す。ピンポーン。しばらく待つとドアが開いた。
「あ。久しぶり。」
挨拶してプリントを渡す。受け取る高柳さんの肌は、夏休み前と変わっていないか、あるいはさらに白くなっている気がした。外に出ていないのだろう。
「先生が良ければ来てねって言ってたよ。」
みんな待ってるからと先生からの言葉を続けようとしてやめた。
こんな言葉は薄っぺらいし、嘘ではないが事実でもない。みんな、学校に来ていない子のことまで考えるほど余裕があるわけじゃない。
高柳さんは口を開いた。でもすぐに閉じた。
なに、と訊こうとしたけど、言うほどじゃないなら大したことでもなさそうだ。
私はいつも通りじゃあねと残して帰ろうとした。
「もう来なくていい。」
足を踏み出した時、高柳さんは硬い声を出した。
「…もう来なくていい。」
彼女はそう繰り返したあと、ドアを閉めた。鍵がかけられる音が聞こえた。
家に向かって歩きながら、私は沸々と怒りが湧いているのを感じていた。
もう来なくていいって、もう少し感じの良い言い方があるでしょ。結局最後まで感謝の言葉なかったし。
せっかく私が、プリントを届けに行ってあげてたのに。
そこまで考えてふと気づいた。
私が今まで、彼女に感謝の言葉ひとつかけられなくても苛立たなかった理由とか、面倒臭いと思わなかった理由とかを、理解した。
私は結局、自分に酔っていた。
不登校の子、つまりは弱い子に、わざわざプリントを届けにいってあげる自分。
感謝されなくても優しく接してあげる自分。
そういう自分が好きだったし、そこに価値を見出していた。だから、届けに行かなくても良くなったら、私の価値が下がってしまうと危機感を抱いているのだ。
気づいてしまった今、全部がつまらなくなった。
月曜日、担任に「高柳さんにもう来なくていいと言われてしまった」とか相談しなきゃな。
それが面倒で、私は思わずため息をこぼした。
5.光陰
12/27
私が山吹かゆにもう来ないでと放ってから、彼女がやってくることは本当になくなった。
先生から親に電話のようなものは来ていた。しかし親からは今のところなにも訊かれていないので、親は親で自己解決しているのか、悩みすぎているのか、私は知らない。
これから、暇になるなあ、と呟いた。いや別に、今までも暇だったんだけど。
私の小さな呟きは力無く床に落ちていき、ぶつかり、消える。また静寂が部屋を支配する。
今まで山吹かゆから受け取ってきた、プリントが入ったクリアファイルが、本棚に無造作に積まれているのが視界に入った。ほこりの被った、中学1年生の教科書と一緒に。
どうしてかわからないが、それを開きたくなった。
勉強なんて大嫌いなはずなのに。
英語の教科書と、山吹かゆにもらったクリアファイルを手に取った。数学は、ちょっとハードルが高い。クリアファイルから英語のプリントと思われるものを探して抜き取る。
そういえば、結局1回も、山吹かゆに感謝の言葉を述べることができなかった。彼女からしたら割と最悪な奴じゃん。そんな、勉強とは関係ないことが浮かんでくるたびに、頭を振り教科書に集中するよう頑張った。
be動詞、一般動詞、肯定文、疑問文、否定文。
アルファベットくらいはわかるが、単語とか、文法とか、そう言うのはさっぱりで、プリントと睨めっこしながら進めた。
久々に使うシャーペンを握りしめて、教科書の文章を殴り書きみたいに書いた。ノートはどこにしまったかわからないから、そこら辺にあった裏紙を使う。
少しして、どれくらい経ったかなと顔をあげ時計を見た。まだ15分しか経過していない。驚いた。体感、40分くらいなのに。
SNSを見ていたら、1時間も2時間も飛ぶようにすぎる。
時間を実感して噛み締めることができるのは、新鮮だった。無駄にしていないと思えて、嬉しくもあった。
さらに10分くらいシャーペンを走らせた。疲れてきた。ため息をつく。
自然と、スマホに手が伸びた。ちょっとくらい良いだろう。だって、25分も勉強したのだ。
でもいざ動画を見始めると、私が久々に頑張って詰め込んだ知識がボロボロ落ちていく気がして、怖くなった。
私の25分が、体感1時間のあの時間が、無いことになるのは嫌だった。
SNSを閉じた。今はただ、ぼうっとすることにした。
6.変化
(12/28)
もう9月の下旬だというのに、蒸し暑さは夏休み中のそれと変わっていないように感じた。
もうすぐ、中間テストがやってくる。
しかしクラスメイトたちの間にそこまでの緊張は走っていない。
中1の勉強は重要ではあるが難しいものではないので、それも当たり前なのかもしれなかった。
きっと高柳さんも、中1の勉強くらいは自分で勉強しているのだろう。
そこまで考え、自分自身に呆れた。私はいつまで高柳さんのことを引きずっているのだろうか。
初めて他人にあんなふうに拒絶された。ムカついただけでそこまで悲しくはなかったが、インパクトがありすぎた。
学校から帰る時、彼女の家が視界に入ると、少しだけ歩調が乱れる。
でもそれも、時間の問題だろう。
15時半、学校が終わり、私はいつも通り1人で帰路に着いた。
数分歩くと、二階建ての白い壁の家が見えた。高柳さんの家だ。
でも、歩調が乱れることはなかった。頭の隅に高柳さんの顔が浮かんで、すぐに消えた。
私がその家を通り過ぎかけた時、真横からドアが開く音がした。
ほとんど反射的にそちらに視線を動かした。あ。声がもれる。
くしゃくしゃのTシャツを着た高柳さんがそこにいた。彼女は私と目が合うと、困惑したように口を開いてまた閉じた。
バッチリ目が合ってしまった手前、黙って立ち去るというのもよくないだろう。
「久しぶり。」
高柳さんは視線を泳がせながら曖昧に頷いた。そして声を出した。
「まえ…。」
それだけだった。数秒の沈黙。
言わないなら、そこまで大事なことではないのだろうし、適当に言葉を残して帰ろう。そう思った。
「なに?」
けれど、私の口から出てきたのは適当な言葉ではなかった。
私はじっと高柳さんを見つめた。彼女は言った。
「まえ、ごめん。」
「…あー。」
頭に疑問符が浮かんだが、それも一瞬で、すぐに理解した。高柳さんは自身の「もう来なくていい。」という発言を気にしていたのだ。
「ムカついたけど別に。それよりそのTシャツ、アイロンかけたら?」
ほんの少し、仕返しのつもりで言った。
高柳さんは目を見開き、Tシャツに視線を落とした。それから恥ずかしそうな、でも嬉しそうな表情で、はっきりと頷いた。
それが意外で、私はわずかに首を傾げた。
7.まぐれ
(12/29)
中間テスト最終日、最後の科目が終わると、教室は一気に騒がしくなった。
予想外に難しかったとか、逆に意外とできたとか。期末テストに向けて話しているクラスメイトもいる。
期末テストは12月上旬で、あと1ヶ月と少ししかない。早すぎるよねー、という不満げな声がどこからか聞こえた。
1週間後、テストは全て返ってきて、廊下に10位までの生徒の名前が張り出されていた。
学校から配布されているタブレットでも自分の順位は確認できるようになっているが、他人の順位も見たい生徒は廊下に集う。
私もそのうちの1人だった。10分の休み時間。掲示板に歩いた。
まだ自分の順位は確認していない。でもテストの点数はわりと良かったので、もしかしたら10位以内に入っているかもしれない。学年の人数だって90人ほどで、多くはないから、1桁もそこまで高い壁ではないのだ。
掲示板に張り出されている印刷物。1位、2位はだいたいいつも同じ人だけど、それ以下はコロコロ変わる。
1位、2位、3位と視線を落としていく。6位。私の名前はまだない。
あー、ないのかもな、と思いながら7位を通り、8位。
8位 山吹かゆ 394点
私の名前があった。8位だ。意外とやるじゃん。
そこまでの努力はしてないのに結果が出た。好ましいことではないのかもしれないけど、単純に嬉しかった。
「山吹さんて、頭いいんだねー。」
ふいに真後ろから声が聞こえて私は肩を震わした。
「8位でしょ。すごいね。」
振り返ると、掲示板を見上げるクラスメイトの川口菜月がいた。背が高いから、私が見上げる形になる。
川口さんは視線を私に下げ、にこりと笑った。優しそうっていうか、大人びているというか、そんな笑顔だった。
「あたしも結構、やったのにな。でも山吹さんは、あたしより頑張ったんだろうね。ちがう?」
「え、あ、うん。」
私は気まずさを抱きながら曖昧に頷いた。本当はそこまで頑張っていないのに、頑張ったと思われてることに、申し訳ないような気持ちになる。
川口さんは、次は頑張るかーと呟くように言って、教室に戻っていった。
ちゃんと勉強してる人もいるという事実に僅かに驚きながら、再び掲示板を見る。
9位 川口菜月 392点
僅差じゃんと思った。
私は彼女の背中を追うようにして、教室に戻った。
8.それぞれの
(12/29)
11月も中旬になり、家の中が肌寒くなったのがわかる。
私はリビングに降りて、テレビを見ているお母さんに、なんてことないように言った。
「期末テスト、受けようかな。」
お母さんはこちらを振り返り、ええ?と驚いたような声を上げた。
「受けたいなら、全然いいよ。何日だっけ?」
思いの外あっさりとした反応に、私は拍子抜けと安堵を同時に抱いた。
クリアファイルに入っていた、二学期の予定が書かれたプリントを思い出しながら、口を開く。
「12月3日から、あ、でも、全科目は受けれない…かも。」
「そんなん当たり前よ。1科目でも2科目でもいいよ。」
私はありがとうと言って、自室に戻った。
次のテストの範囲は、学校で配布されたタブレットで確認しているから、ちゃんと勉強すれば大丈夫なはずだ。
私は気合を入れて、ほんの少しの不安も抱きながら、机に向かった。シャーペンを握り、数学の問題集を開く。
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期末テストのちょうど2週間前になった。
今回のテストは、前回よりも努力というものをしてみようかなと、なんとなく思った。
川口さんにも負けたくはなかった。
私は彼女と親しいわけではない。事務的な会話以外を交わしたことはないほどだ。
だけど、川口さんがあと3点取ってたら、私は彼女に負けていたわけで、それになんとなくの焦りを感じていた。
それに今度は、「頑張ったの?」なんて訊かれたときに胸を張って頷けるくらい、頑張ってみたくなった。あまり頑張らないでも8位なんだから、頑張ったら1位を取れるかもしれないという、淡い期待が生まれたのもある。努力したという経験が欲しくなったというのもある。
今まで自主勉強なんてほとんどしたことがないか、勉強法はよくわからないけど、とにかく問題を解きまくればいいのだろう。
そうと決めては、学校のワークを周回するしかない。
机に向かい、宿題以外で開いたことのないワークをめくった。自主学習用に、新しいノートを使う。冷たいシャーペンを握りしめ、ノートにシャーペンを走らせた。
9.終わり
12月3日。
私は心臓が異様に高鳴っているのを感じながら、中学校の正門をくぐった。
中学の入学式だけはなんとか行ったけど、それからは1回だって通っていない。
ほとんど初めてみたいなもの。なので、生徒通用門ではなく来客用の正門から入ってね、とのことらしい。そっちの方が生徒が少なくて気持ち的に良いというのもある。そもそも私は下駄箱の場所を記憶していない。
事務員さんに「立花先生(担任)を呼んでもらえますか」と言えば、職員室に連絡してくれた。立花先生が迎えに来てくれるのだ。私は、校舎に入り、持ってきた上履きに履き替えて待つ。
私1人では教室に行きづらいので、先生が迎えにきてくれるのは、ありがたいと言えばありがたい。でも、ほとんど初対面の立花先生にいきなり一対一会うのも、それはそれで…というものだ。
やってきた立花先生に連れられ、教室に歩く。
立花先生は私の想像よりも優しげな先生だった。安堵。
教室についた。廊下に生徒がほとんどいないのは、今日がテストだからか。それともいつもこうなのか。
中からクラスメイトらの話し声が聞こえた。心臓が縮まるような感覚に陥りながら、私はドアに手をかけた。そのまま横にひく。
中に入ると、私の存在に気づいた生徒が、驚いたように目を見開いた。しかし、話しかけてくる生徒はいなかった。
私は俯きがちに、ついさっき立花先生に教えてもらった席に座った。1番後ろの窓側だ。
視線だけを動かし辺りを見回す。入学式の時に全員と会っているのだけど、そんなのもうとっくに忘れている。
教室のドアが開く音がした。視線をそちらに動かすと、山吹かゆがいた。
知ってる顔に、
と思ったら隕石が落ちてきた。
全員死んだ。
一応ちゃんとした終わり方まで決まってたんだけど、どうにも川口以外のキャラが好きになれなくて、もう本当に何やねんっていう感じで(><)
(><)←これつけてたらなんとかなると思っている。
途中
田中くじら。転校生は俯きがちに自身の名を口にした。「え、名前、くじら?」という驚きの声がいくつか漏れた。
「田中さんの席はあそこ、窓側の1番後ろ。」窓側の1番後ろは、私の後ろの席だった。「教科書とかもう届いてるよね? まあ、届いてないのあったら隣の席の本田さんに見せてもらって。本田さん、お願いね。」くじらが小さく頷き、席に歩いたことを確認すると、担任は「じゃ、出欠とります。」と声を張り上げた。
1時間目が終わった後の休み時間、くじらの席の周りには誰もいなかった。ふつう転校生がやってきたらその珍しさに人が集まりそうなのに、なぜ誰も話しかけないのかというと、おそらくくじらが特段可愛くもなく、明るそうでも面白そうでもなく、猫背で陰気くさいから、そして、闇が深そうだから。
くじらという珍しい名前の由来は、クラスメイト全員が気になっているだろう。それでも気軽に訊きに行かないのは、この話題が彼女の地雷を踏んでしまわないか、不安になるからだ。きっとくじらが明るく親しみやすい性格なら、そんな心配はなくて、底の浅い質問が教室を飛び交っていただろう。
くじらが転校してきてから、1ヶ月が経った。いつも教室の隅の自分の席に座り、背中を曲げて本を読んでいる彼女に、友達はいないようだった。まあ、わざわざこんな暗そうな子と友達になりたいと思うことは、そうないのだ。