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目次
水色の四葉
紅葉のボタンがついた、白色のワンピース。
あの子と今日は、デー…一緒に遊べる日だ。
虐待から救ってくれたあの子。一緒に遊んでくれたあの子。
あの子がいるから、今の生きてるわたしがいる。そう思って、麦わら帽子をかぶる。
四葉のクローバーの飾りがついた帽子を。
---
「おはよっ」
彼女はラフなTシャツに、黄と緑、オレンジのスカート。ちょっと浮きすぎかな。幼馴染だし、もうちょっと緩んでも良かったかも。
「うん、おはよう」
一緒に歩く。今日はショッピングの予定だ。
生き生きとした笑顔の彼女の横顔。ちょっと膨らんだ胸とかから、もう子どもじゃないんだな、と思わされる。
「あ、あおこと!」
ばったり、男の子っぽい子と出くわす。あおいろことり。男の子か女の子かわからなくて、ミステリアスな子だ。
もし男の子だったら、彼女と交際するのかな。でも、それは嫌だ。
___男の子になれたのなら、彼女と交際できるのに。
「あおこと、おはよう」
「うん、みずもみもおはよ。きみよつと何してたの?」
「ショッピング」
「僕も行って良い?」
わたしが返事をする前に、彼女が「うん」と食い気味に返事をする。
邪魔者を能力で投げ飛ばしたかったけど、ぐっとこらえて我慢した。
---
ちょっと買い物したあと、あおことと別れた。あおことは服を買うらしく、「好みがバレたくない」と言った。
ちょっと「ラッキー」と思った自分が罰当たりな気がしてならない。
「きみよつってさ、好きなタイプって何?」
「え?あー、明るい人が好きやな」
「そう、なんだ」
ショッピングモールの宣伝の広告。『性転換手術』が目に入った。
男の子になれたなら。本当に、きみよつと交際ができるんだ。結婚することも、できる。
もう友達の関係ではなくなる。
---
過去の自分は行方不明になった。そういうことにしておいた。
そして、頑張って彼女に近づいた。最初はびっくりしてたけど、明るく振る舞ったらすぐに交際することができた。
これで、いいんだ。
これで、いいんだ。
愛する子と、交際ができて。
これで、いいんだ。
これで、いいん、だ____
「うちの親友がさ、行方不明になってん。好きやった子やったのに、残念やな」
ちょっときついと思ったのでRG12。
野薔薇の妹
我は|紅呂野薔薇《あかいろのばら》だ。
幼い頃、我の両親は、いろいろあって逮捕に行き着いたという。噂では、詐欺をはたらいたとか。ま、野薔薇っていう名前をつけた時点でお察しではある。
今、我は養子として|月花《げっか》夫妻のもとで暮らしている。戸籍上、我の名前は月花野薔薇。でも、紅呂の方がしっくりくる。
最近、母と父が外出していることが多い。今日も外出した。
そして、しばらくして帰ってきた。
「野薔薇ー、お風呂沸かしてくれない?」
「え、あ、わかったのじゃ」
なんでお風呂…と思いつつ、我はお風呂のボタンを押す。玄関に行くと、父と母、それから____
あまりにもかわいそうな少女。
小3ぐらいだろうか。ピンク色の髪の毛はボサボサで、のびきっている。衣服こそ清潔なものだったが、白いシャツにズボンという、個性が皆無な出で立ち。
見たことある。紛れもなく、我がいた施設の服装。
我は両親が逮捕された後、施設送りになった。1ヶ月ほど施設にいて、それから月花夫妻にもらわれた。
「沸かしたのじゃ。…おぬし、なんという名前じゃ?」
__「……|桃木、椿《ももき つばき》…」__
かすれそうな小さな声を、びくびくしながら言う彼女。
「今日から、野薔薇の妹よ!」
桃木椿。この家には月花と紅呂、桃木という3つの苗字で構成されているのか。
「よろしくなのじゃ。部屋は我と共同で使ってほしいのじゃ、布団はどうする」
「お客さん用のがあるから。パーテーションかなんかで仕切り作ろう」
うんうん、といろいろ決めていった。
これから、我に妹ができる。
「よろしくなのじゃ」
「…うん」