The Song of Achilles(マデリン・ミラー著)」をベースにfateの二次創作を書くという目的で書かれた非公式小説です。翻訳の際にfateシリーズのアキレウスやヘクトールとして口調・性格を書かせていただいてますがちょっとぐらい違ってもご了承ください。主人公であるパトロクスの容姿・性格・口調は完全なるイメージ(そして少しの性癖)によって作られています。
あと、少しの改変があります。
これらのことをご了承ください。
わかりましたか?
あ く ま で も 非 公 式 で す よ !!!!!!
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アキレウスの詩:第一章
こんにちは時雨希空です!
これはあくまで非公式ですよ!わかりましたか?
わかった!って人だけお進みください!
あと、英語からちょくちょく翻訳してるので「ん?この部分要らなくね?」って思っても見逃してください(泣)
あ、それと少し改変してます。僕に全ての文章を日本語の美麗な文にするのは無理だった…
僕の父上は王であり、王の子でもあった。父上は当時の男たちの多くと同じく短身で、牛のように鍛えられた体を持っていた。
母上が十四のときに結婚し、その場にいた女祭司によって、子を成すことを神々に誓わされた。母上はまだ幼く、しかも彼女の父の財産はすべて夫のものとなるゆえ、二人は「釣り合いが取れている」とされた。
父上が母上の世間知らずな性格を知ったのは結婚式でのことだった。祖父は結婚の時まで母上の素性や事情を外に漏らさぬよう慎重を期していたからだ。
たとえ母上が醜くても城には奴隷の少女や召使いの少年がいるため、それは特に問題ではなかった。だが、母上が婚礼の席でベールを外したとき、父上は母上がかなり愚鈍であることに気づいた。母上が笑っていた。花嫁は笑みなど浮かべぬものだった。
僕が生まれたとき、父上はすぐに母上の腕から僕を取り上げ、乳母に渡した。産婆は代わりに枕を母上に抱かせたが、母上はすぐにはそれが子ではないことに気づかなかった。つくづく愚かな女だと父は嘲笑った。
そして生まれて早くも、僕は父上を失望させた。俊敏でも武芸に優れたわけでもなく、神々に気に入れられような清らかな声で歌うことすらできなかった。唯一の長所といえば病にかかりにくいことくらいだった。故郷の大人たちを次々と襲った風邪や腹痛にも、僕だけは罹らなかったのだ。
だが僕のその長所は、かえって父上の疑念を深めた。僕が人ならぬ存在――「取り替え子」――ではないかと、父上はたびたび僕を値踏みするように観察した。そのたびに僕の手は恐怖で震えた。少年にとって己の父に疑われることは、ただ恐ろしいだけだったからだ。その間、母上は盃の酒を己の膝にこぼしていた。何も気づかずに、ただ無意味な時が過ぎていった。
僕が五つの頃、国で大会が催された。遠き地より、王たちやその子らがはるばる訪れた。
選手たちは褒賞の品々に囲まれて立っていた。その中でも最上たる冠は、僕の手にあった。父上は僕が持つことに難色を示していたが、「持つだけだ」と己を納得させていた。そこまで信用ならないのかと落胆した覚えがある。
最初に走るのは、もっとも幼い少年たちだった。多くは成長期に入りかけ、骨ばった体つきをしていた。ぼんやりと眺めていた僕の目に、その色が鮮烈に映った。思わず身を乗り出す。
深茶色の乱れ髪の中に、一つの若草色の髪――陽光を受け、王子の証たる細き冠が甘い顔の上に黄金に輝いていた。
その子は他の少年より背が低く、まだ幼さを残した柔らかな体躯をしていた。長く伸ばした若竹色の髪は革紐で束ねられ、その顔は息を呑むほど美しく、しかし大人の男のように真剣であった。
合図の声がかかった刹那、その子は一気に他の体を抜き去った。動きはしなやかにして疾く、だれよりも速かった。風のように駆け抜け、髪がたなびき、気づけば勝敗は決していた。今思えば、あれこそが人類最速の英雄の片鱗だったのだろう。僕は息を呑んで見つめていた。若草色が靡き、しなやかな体躯が駆け抜ける。彼の黄金の瞳に、たちまち僕は魅了されたのだ。
父上が僕の膝から冠を取り、その子の頭に載せたのを、僕は見つめていた。持つもののなくなり行き場のなくなった手が宙を彷徨った。
その子の父、ペーレウス王が笑みを浮かべて歩み寄り、誇らしげに我が子を迎えた。彼は他の王よりは小柄だったが、妻は女神であり、民に愛されていた。
僕の父上は、嫉妬を湛えた目でペーレウスを見てた。妻は愚鈍で、息子は最年少の組にすら勝てぬ足の遅さ――。父上は僕を一瞥し、「あれこそが息子のあるべき姿だ」と言った。
僕は押し黙ったまま、少年を見た。彼は冠を宙に放り、もう一度つかみ取って笑っていた。その顔は、勝利の喜びに輝いていた。
その日の終わりまで、僕はあの少年を何度も目で追っていた。
彼は王子らしい威容よりも、ただ走り、笑うことの方を好むように見えた。周囲の者たちが歓声をあげても、快活に笑ってまた駆け出していく。
その背を見送りながら、胸の奥が妙に熱くなった。僕にはなかった速さ、姿、そしてあの光。
父上の影の中で縮こまってきた僕の世界に、初めて風が吹き込んだのかもしれない。
夜、広間の隅で一人、褒賞の余り物を指で弄んでいたとき、父上の声が背後からした。
「忘れるな。あれこそが勝者だ」
振り向かず、僕は黙って頷いた。
その目には、まだ昼の陽光を映す黄金の瞳と、若草の髪が焼き付いていた。
そこからの人生は断片的にしか覚えていない。王座の上であくびをしている父上、僕が大好きだったおもちゃの馬、海岸にいる母上。最後の記憶では僕は母のために水切りをしていた。母は石が跳ねる様を眺めていた。石が水面を跳ねるのが好きだったのか、あるいは海そのものが好きだったのかもしれない。そして僕の人生は大きな転機を迎えることとなる。
やっと終わった、、、、、!
頑張りました、はい。
定期的に投稿します。
11月8日に修正しました!