仲の良い島立高校二年C組には唯一の窓際キャラ・鳥羽さんがいる。
私、秋本ゆづは、仲良しクラスとして知られる二年C組に窓際キャラがいるなんて許せない!
鳥羽さんと絶対に友達になってやる!
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目次
鳥羽さんと仲良くなってみせる! プロローグ
みなさんこんにちは!わたしは|島立高校《しまだちこうこう》の二年C組・|秋本《あきもと》ゆづ。
島立高校はこう言ってはなんだけど、日本一クラス仲のいい高校…だと思う。
クラス内でのカップルが三組いて(気まずくないか…?)、親友と呼べるお決まりコンビも何組かいる。
私だってクラスは楽しいし、おかげで高校生活が充実。
「おっはよ!ゆづ」
「おは!」
そしてー
明るくてカーリーな巻き髪のこの子は、親友の|尾形舞《おがたまい》。
舞は大人っぽくて、男子ウケがいい。
そんなこんなで、うちのクラスはとっても楽しいのだが…
一人、窓際キャラが存在する…
それが、|鳥羽《とば》さんである。
鳥羽さんは根暗というかなんというか…近寄りがたい一匹狼みたいな感じの人だ。
みんなから
「暗い人」
と言われ続けているが、それはおかしいと思う!
確かに鳥羽さんは暗いし、近づけないし、毒舌っぽいし…でも、二年C組の仲間なんだから同じように接してあげないと!
そう思った私は、鳥羽さんの元へ胸を張って行った。
鳥羽さんと仲良くなってみせる! 一話
ー翌朝
私は鳥羽さんのところへと近づいていく。
「ねぇゆづ、やめときなって」
舞は私を止めるのに必死。鳥羽さんは気がついていないようだ。
ふっ…舞は脇をくすぐられるのに弱いのさ。
舞は脇をくすぐられ、私の腕を掴んでいた手が緩む。その隙に…
今だっ!
「おはよう鳥羽さん!」
その言葉で辺りは凍りついた。
中には世界の終わりだって顔で見ている子もいる。
注目は一瞬にして鳥羽さんに集まった。
鳥羽さんが顔を上げる。私から声をかけたくせに、心臓がドクドクしてきた。
「…おはよう」
鳥羽さんは、小さくそう言った。とても冷たい声だ。
でもどうしてだろう。私はそんな冷たい返事でも、舞い上がってしまった。
「鳥羽さん私ね、鳥羽さんと友達になりたいの」
近くで見ていた舞は額に手を当てる。
可笑しかっただろうか。
みんな、あっけあらかんとしたり、苦笑したり。
鳥羽さんはなかなか返事をしないでいた。
「どう思う?」
「生憎、友達は募集してないわ」
「そんなこと言わずに、友達いなきゃ楽しくないよ?」
私は粘った。この戦いに勝たなければ、なんだか私のプライドがずたずたになる気しかしなかったからだ。
「だから鳥羽さん!」
ガタッ!
鳥羽さんは椅子を引いて教室を出て行ってしまった。
そんなに私が嫌だったのか…
(後ちょっとで授業なのに、どこ行くんだろう)
「ほら言ったじゃん。ああいう子は好きでぼっちなんだから…」
私が、負けた…?鳥羽さんに?
「ふっ…それだけはあたしが死んでも許さない!」
「え…ちょっ、ゆづ!」
とりあえず、鳥羽さんを追いかけよう。
どこに行ったかはわからないけど、鳥羽さんには絶対友達が必要なの!
何より二年C組として、これは一大事よ!
そうして私は、学校の一室にたどり着いたのだったー
なんかゆづちゃんがだんだん…その…
最近YouTubeで知ったんですけど「🙏」これハイタッチなんですって。
「🫸+🫷」
ごめんなさい、で出てくるけどな…
鳥羽さんと仲良くなってみせる! 二話
それは、鬱蒼とした自習室。
うちの学年は五組までしかないので、一クラス余るのだ。
それを自習室にしているのだが、誰も近寄ろうとしない。
私も今まで来たことがなかった。
教室の中には鳥羽さんが一人。教室と同じ位置の窓際に座り、黄昏ている。
ショートの黒髪が白い肌に映えている。
ガラガラっ
「こんなとこにいた、鳥羽さん」
「どこまで追いかけてくるの…地球で一匹だけ残った鼠を捕まえようとする猫じゃない」
「それはありがとう!」
鳥羽さんは面倒臭そうだが、話に乗ってくれてはいる。
でも、鳥羽さんのためだもの。
私、頑張るわ!
「いつも自習室に?」
「ええ…大人数でいる方が孤独なのよ」
鳥羽さんはそっぽを向いて外を見る。
(大人数の方が孤独?意味がわかんないや。鳥羽さんって実は大人数が好きなのかな…ならなんで友達、作んないんだろう)
私は鳥羽さんの発する言葉の意味も意図も、わからなくなってしまった。
「…授業に出ないの?」
今度は鳥羽さんから話しかけてきた。
嬉しすぎる!爆発しそうだ。
危ない危ない…我に帰って時計を見ると、あと三十…秒!?
バンッ!
私はドアを壊れるくらい押し開いて、廊下を猛ダッシュ。
「あっぶねえ…セーフ!」
席について窓際を見ると、鳥羽さんの姿はなかった。
鳥羽さんと仲良くなってみせる! 三話
「ねえ舞、鳥羽さんの下の名前って知ってる?」
「ブッ!ゴホッゴホッ…」
お茶を吐き出しそうになった舞はむせる。
その舞を横目に、鳥羽さんを見つめた。
昼ごはんでも鳥羽さんは一人だ。
(そういえば考えたことなかったな…鳥羽さんのフルネーム)
思い立った私は早かった。
皆は、また私が何をするのか、と不思議そうに見ている。
「ねえ鳥羽さん、鳥羽さんの下の名前って何?」
鳥羽さんは箸を置いて言った。
「…鳥羽だけど」
「えっ?」
「下の名前は鳥羽」
(えっ…どういうこと?鳥羽って苗字じゃないの!?)
テンパった私の肩に、舞が手を置いた。
「じゃあ、フルネームは?」
「|朝永鳥羽《ともながとば》」
次に驚いたのは、クラスメイトたちだった。
じゃあ、実質下の名前で呼んでたわけか…
(“鳥羽ちゃん”ねえ…なかなかいい響きじゃない)
なかなか珍しい名前の人もいるもんだと、私は感心した。
「そうなら朝永さんにな…」
「なら鳥羽ちゃんね!」
舞の言葉を遮り、私は身を乗り出した。
第一、苗字でさん付けなんて友達にふさわしくない。
今まで「鳥羽さん」できたんだから「鳥羽」のまま呼んであげないと。
二年C組(鳥羽ちゃん)仲良し作戦に、有力な情報が入ってきた瞬間だった。
鳥羽ちゃんですか、、
鳥羽さんと仲良くなってみせる! 四話
ワタクシ、秋本ゆづは今日あることを決心しました。
それは鳥羽“ちゃん”と一緒に帰ること。
夢の心地だ。これぞ友達ってやつでしょ。
私は息を呑みながら、鳥羽ちゃんのところへ急いだ。
「ねえ鳥羽ちゃん、今日一緒に帰ろう?」
見守っていた舞は、顔を顰める。
まあ仕方がない、舞は大人っぽく見えて人見知りだから。
(舞:鳥羽さんと帰ると気まずいでしょ…)
※大体これが普通
鳥羽ちゃんは少し間を空けて小さく頷いた。
この機会に私と鳥羽ちゃんの友情は芽生え…いずれは“鳥羽””ゆづ“と呼び合う関係になるはずだ!
〜そしてワクワク放課後〜
私と鳥羽ちゃんは昔からの親友のように並んで門を出たー
「えっ?」
何故か鳥羽ちゃんは私と真反対な方向に。鳥羽ちゃんも少し驚いている。といってもあまり表情は変わらないが。
「家、そっちだったの!?」
「あ〜あ。残念だね。」
舞といつも一緒に帰っている私は、鳥羽ちゃんの家を知らない。
「じゃあ私、帰る。」
低い声で言った鳥羽ちゃんはもう歩き出した。
え〜っ!折角一緒に帰って”鳥羽”と” ゆづ“の関係になるとこだったのに。
「また明日にしなゆづ。明日はあっちから帰ったらいいじゃん」
流石に可哀想だと思ったのか、人見知りの舞も私を励ましてくれる。
(だってゆづが可哀想になったんだもん)
明日はぜぇぇったいに、鳥羽ちゃんと帰ってやる!
ゆづと鳥羽さんと舞、果たして誰が一番可哀想なのか、、、