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目次
わたがし
「あ!夜久さん!」
「ん、おまたせ」
よく居るカップルのようなやりとりをした。何気ない会話が、なぜか特別感を覚えた。
俺よりも小柄な体型なのに何よりも男らしい。なんとなくわかっていたし、少し想像もしたが、甚平が似合う。浴衣でも似合いそうだったけど来てこないのは、まあわかっていた。
だが、服装よりも隣に夜久さんが居る事実が我慢していてもにやけてしまう。よく誘えた、泣きそうだ
「人多いな〜」
「ですねー、その分屋台も多いですけど!」
人混みを掻き分けて夕焼け色に光る屋台を見て回る。
外が暗いせいか、身長のせいなのか、足元が見えづらい。
そんな時に道標になるように照らされている屋台が目に入った。
「わたがし!食いたい!リエーフ!」
「…あ!オレも食べたいです!」
夜久さんの唾を飲み込む音が聞こえた気がした。
最終日とあり、花火とあり、だんだんと人が多くなってきている。
「わたがし二つ。リエーフ、ここ払っとく」
「え、あ!払いますよ!」
「いーいー。後輩に奢るのが先輩ってヤツ♩」
俺たちの関係はせいぜい先輩後輩、そんなことを考えている暇もなく時間と人の波は迫ってくる。「ん。ぁまい」と幸せそうにわたがしを口で溶かす夜久さんを横目に、あのわたがしになりたいと、叶わない妄想をしている自分がいた。
「リエーフ、楽しいな」
隙を狙われたのか、俺は驚き、夜久さんは緩くにやりと笑った。
一瞬で間合いに入られた気がしては、顔に熱がこもったと思う。
俺は頷くだけで気の利いた言葉も出て気はしない。
夜久さんの隣を歩くことに慣れていない自分が少しずつ恥ずかしくなってきた。
そんなことも考えずにわたがしに夢中な夜久さんが可愛い
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右手にはたこ焼き、左手には焼きそば。俺は花火がよく見れて座れる場所に着いた。腕に持っていたビニール袋の中身のラムネが2つ軽くぶつかりカランと涼しげな音を鳴らす。
「〜♩ お〜よくこんなところ知ってんな〜」
機嫌が良さそうに歌を口ずさみながらお手洗いから帰ってきた。歌の意味に深い意味なんてないだろう、少し悲しいが。
目を輝かせて星を見ている夜久さんが星よりも輝いているようにみえた
「姉が写真を撮りにきてて…一緒に来たことあったんですよ」
俺はラムネを2つ開けて隣に誘いこんだ。
夜久さんは俺の隣に腰掛けては感謝を述べたあと、喉を鳴らしながらラムネを飲む。
後を追うように俺もラムネを飲んだ。
「もうすぐ花火が上がるなー」
期待が溢れ出ているような無邪気な顔。そんな顔を焼き付けるかのように俺はもう一度夜久さんをじっと見つめた。
花火が上がった 。 上に綺麗に上がる花火だった。
素敵、感動。そんな感情よりも先に何かわからないモヤモヤとした感情が喉の奥につっかえていた。胸が痛い。言葉にしたらスッキリする2文字を知っているのにうまく声が出ない。
「っは」
飲み込んだ言葉が脳内でぐるぐると回る。俺は頭の回転が追いつかないまま夜久さんの手を掴んでいた。
ぎゅっと、もう潰してしまいそうなくらい強く握っていた。“どんな強さで掴んだらいいだろう“そんなことをぐだぐだと考えていた時とは真逆だ。
「どおっ、どーしたりえーふ」
「__すき__、夜久さんのことが好きなんですよぉ、」
情けない、と思う。俺は目も合わせれれないまま、花火のを背景に泣きじゃくった。
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まだ顔が赤い気がする。上手く目が合わせられないまま、優しく手を繋いだ
「夜久さん、たのしいですね、」
「ん、そーだなリエーフ 、俺も好き。」
一番最初に口の中で溶けた甘い綿菓子の味がかすかに残っている気がした
あと15分で誕生日だね !! 誕生日プレゼントは夜久さんで 。。。。。