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目次
【時を刻む神域と揺れる花畑】第一話
初めまして。
私の名は彩音。
この世界の最高神として、今日も新しい一日が始まる。
朝の光が優しく差し込む神殿の窓辺で、目覚めるたびにこの平穏に感謝するのが私の日課。
「ふふ、今日もいい天気ね」
私は柔らかく微笑みながら、ゆっくりとベッドから起き上がった。
寝室はシンプルだが、どこか華やかさを感じさせる調度品で揃えられている。
少し開いた窓から淡い花の香りが静かに漂っていた。
今日もまた、皆のために朝ご飯を作らなければならない。
これもまた、私の役目である。
そのために、まずはキッチンへと向かう。
神域の自然が育んだ新鮮な素材を使い、朝食をつくるのは楽しみのひとつだ。
窓の外では小鳥たちがさえずり、朝の涼やかな風がそっと吹き込んでくる。
「さて、本日はどのような献立にしようかしら」
独り言をつぶやきながら、私は食材をえらんでいた。
卵を割り、ふんわりとしたオムレツをつくる。
苺も彩りに添え、香り高いハーブティーを用意。
簡素ながらも心のこもった朝食が完成した。
次に、寝室に戻って皆を起こす時間である。
まずはルエム。
彼は気まぐれで眠りが浅いため、
そっと羽を撫でるように肩を叩くと、眠そうに目をこすりながらもすぐに目覚めた。
「おはよう、ルエム。(笑)」
「んぅ……彩音…まだ眠いよぉ…(ギュッ」
「あらあら、、(笑)」
言い忘れていたけど、彼は吸血鬼。太陽が苦手だから、朝は嫌いらしい。
「ほら、起きなさい。ご飯食べれなくていいの?」
「彩音のご飯は食べたい、、、でもぉ、、」
「、、、わかったわ。ルエムの分はなs(おきるっ、、!」
「おきるからっ、、、ごはんっ、、、(泣)」
「んもう、、」
最初からそうすればいいのに。
続いてさとり妖怪のれんかの部屋へ。
部屋に入ると元気いっぱいの彼女は既に窓際で背伸びをしているところだった。
「あら、、、おはよう、れんか。もう起きているのね」
「おっはよー、彩音!今日も張り切っていくよ!」
と、笑顔で応えられ、私は自然と笑みがこぼれた。
れんかの部屋を出て、隣の部屋に入ると、私の式神の2人はまだ寝ていた。
「月(るな)、月翔(るか)。起きなさい。」
そういうと、月は静かに起きた。
月はは控えめに、けれども私に従順な態度を崩さず、礼儀正しく起床してくれた。
「彩音様、おはようございます。今日も一日よろしくお願いいたします」
「えぇ、おはよう。顔を洗っていらっしゃい。」
「はい。」
「月翔。起きなさいっ!」
声を上げると、月翔はゆっくりと体を起こした。
「彩音、、、?」
「そうよ。早く起きなさい。ご飯が冷めるわよ。」
「、、、ん、、(ギュッ」
「あら、、」
今日、月翔は甘えたな日らしい。
「はいはい、、起きてちょうだい。(ナデナデ」
「、ん、、!」
「、、、抱っこ、?」
「(コクン」
、、、あら、私に170cmの男を抱っこしろと言っているのかしら?
、、、まぁ、でももう話は聞かないわよね、、
「はいはい、、、__っしょ__」
「ん、、、」
やっとかぁ、、、
その後、桜杏(らん)も静かに起きてきた。桜杏は私を「お母さん」と呼ぶ。拾い子なんだけどな、、
「お母さん…今日もよろしくね」
「えぇ、、今日も一緒に頑張りましょうね」
最後に魔法使いのエルザが起きてきた。
いっつも寝坊するので、時間通りに起きてくるのはちょっと珍しい。
「彩音、朝ごはん食べたい。お腹すいた。」
少し子供っぽいのも特徴(笑)
「今から皆で食べるのよ。」
「そう、、、」
---
全員が起き、リビングに集まったところで、やっと朝食の時間。
食卓を囲み、静かながら温かな空気が流れる。
会話は穏やかで、時に笑い声が交じる。
「今日はどんな日になるのかしら」私は心の中で呟く。
日常は変わらず続いていく。
それが何よりの幸せであると感じていた。
食事が終われば、皆はそれぞれ自由に過ごし始める。
ルエムは外で短距離走の練習に向かい、れんかは絵を描きに花畑へと向かった。
月は占いの練習をし、桜杏は静かな部屋で読書を始める。
エルザは部屋にこもって魔法の研究に没頭している。
ここにいない月翔はおそらく桜の木のてっぺんにでも登っているのだろう。
私はそんな彼らの姿を見ながら、微笑みを浮かべていた。
これが私たちの日常であり、かけがえのない時間。
神域の平和が、今日もまた守られているのだ。
窓の外、花畑は静かに風に揺れている。
朝の光に包まれ、私たちの一日は穏やかに、優しく動き出したのだった。
、、、タイトル考えてくれませんか???
第2話
朝食の余韻がほんのり残る神域の朝。
私はふと、窓から差し込む陽光に目を細めた。
そして、軽く笑みを浮かべて、私は椅子から立ち上がる。
今はみんなが自由に過ごしている時間帯。
「ムエル、れんか、月、月翔、桜杏、エルザ……みんな、それぞれの時間を満喫しているみたいね」
ソファにはさっき帰ってきたばっかりのムエルが居る。
れんかは絵を描きに行ったし、月は占いを練習してるし、
月翔は走ってきて疲れたのか自分の部屋で寝てるし、
桜杏はありえないほどの量の本を読み漁ってるし、
エルザは部屋にこもって魔法の研究してるし、、、
「みんながこんなに自由に過ごしているのを見ると、つい時間を忘れちゃうわね」
私はそっとため息をつく。
そこへムエルが、ぽやんとした顔で起き上がってきて、私にぼそりと声をかけてきた。
「ねぇ……彩音、まだ僕のこと、放っておいていいの?」
「あら、、、(笑)言ってくれなきゃわかんないわよ、、(笑)」
私はくすくす笑いながらムエルに近づき、彼の頭を優しく撫でる。
ムエルはにっこりと笑顔を浮かべ、手に擦り寄ってきた。
「それにしても、みんながこうして集まっているのを見ると、ほんとに家族みたいだわ」
ムエルはふと顔を上げ、ぽつりと言った。
「でも、彩音、みんながそれぞれバラバラに自由に過ごしている時が一番静かで落ち着く気がするよ」
「そうね……それもまた、私たちの特別な時間かもしれないわね」
私たちはそんな風に静かに言葉を交わし、何気ない日常の尊さを噛み締めていた。
――そんな平和な時間の中、バンッと勢いよくリビングの扉が開き、エルザが慌てた様子で入ってきた。
「彩音!ちょっとお願いがあるのだけれど……新しい魔法の実験が少し失敗して、部屋のあちこちが氷だらけになってしまったの」
「あら、そうなの?それは大変ねぇ……」
私は眉をひそめて立ち上がった。
「みんな、ちょっと手伝ってくれるかしら?」
一瞬、皆が顔を見合わせていたが、すぐに協力する意思が伝わる。
私たちは部屋に行って、早速、手分けして掃除を始めた。
氷の結晶が光を反射して、部屋の中がまるで冬の神域のように輝いていた。
掃除の合間にも、ムエルはぽつぽつと文句を言う。
「寒いよ……なんでこんなことに……」
「でも、これもエルザの魔法の試行錯誤の一部だもの。ねぇ、エルザ、次はもっと上手くいくわよ」
私は優しくエルザに言うと、彼女も小さく頷いた。
――部屋が少しずつ元に戻っていく様子を見ながら、私は改めて思う。
(こんな風に、小さな事件があるからこそ、日々が特別になるのかもしれないわね)
日常の中の非日常。
そんな穏やかで不思議な時間が、私たちの絆を深めていくのだと感じながら、私は窓の外の景色を眺めた。
――今日もまた、神域の一日はゆっくりと、しかし確かに進んでいくのだった。
第3話
――午後の神域は静かに時を刻んでいた。
午前の小さな騒動が片付いてから、みんなそれぞれの時間を過ごしている。
私はリビングのソファに腰掛け、窓の外の景色をぼんやり眺めていた。
「ふふ、みんな忙しそうねぇ」
ムエルは相変わらず私のそばにぴったりと寄り添い、甘えた声で「彩音、構ってよぉ…」とねだっている。
でも、、、今は少し書類をやるので忙しい。
「もう少しだけ待っててね、ムエル。もう少しで終わるから。」
ちなみに私の隣では、れんかがキャンバスに向かって真剣な表情で絵を描いている。
色鮮やかな絵の具が動き、彼女の内なる感性が画布に刻まれていくのを見るのは、
なんだか嬉しい気持ちになる。
「れんか、上手に描けてるわね。私にも見せて?」
「あ、うん……じゃなくてっ!はい!彩音に見てもらうために描いてたんだよ!」
彼女の元気いっぱいな笑顔に、つい私も笑みを返してしまう。
見せてくれた絵はとてもうまかった。私の横顔を描いてくれたらしい。
一方で、月と月翔は互いに静かな距離を保ちながら、細かな魔法の書物を広げていた。
月はいつもの穏やかな口調で、「彩音様、こちらの呪文は私が調整いたしました」と報告し、
月翔はちょっとムスッとした表情で「彩音、、、月が僕のこといじってくる、、、」と呟いている。
2人とも、どこか楽しそう。
一方で桜杏は静かに本を読み、時折私にちらりと視線を向けては微笑む。
その瞳の奥には、いつも優しさと少しの不安が混じっている気がする。
「桜杏、疲れていない?」
「ううん、大丈夫。ありがと、お母さん」
その言葉に私は胸がじんと温かくなる。
エルザはそんな皆の姿を見て、何やら新しい魔法の研究を始めようとしているようだ。
時折小さな魔力の閃光が彼女の指先から放たれ、静かな部屋に煌めきを散らす。
数分後、、
「彩音、見て、、これが私の新作魔法よ、、!」
そう言うエルザの瞳は真剣そのものだった。
「すごいわね、エルザ。成功してよかったわね」
私はそう褒めながら、またひとときの静寂に身を委ねる。
――そんな午後、ふと窓の外から聞こえてきた声が、私の意識を引き戻す。
「彩音!ちょっと外に来て!」
数十分前、待つのに飽きて散歩に行ったムエルが慌てた様子で駆け寄ってきた。
「何があったのかしら?」
「地上で未確認生物発見!」
「あらまぁ、、、」
「皆んな、いけるかしら?」
一同が私の言葉に応じて集まる。みんなの表情には警戒と決意が浮かぶ。
――これもまた、神域の日常なのだ。
物語は静かに、しかし確実に動き出していた。
4話
「さ、準備はいいかしら?」
私がそう言うと、みんなはその場に立った。
れんかは絵筆を置いて元気よく手を挙げ、
エルザは魔法書を胸に抱え、
月と月翔はそれぞれの得意分野でサポートの構えをとる。
ルエムはちょっと緊張した顔をして私の袖をぎゅっと掴んだ。
「彩音、僕、ちゃんとできるかな……?」
「ええ、大丈夫よ。あなたは強いもの。」
その一言で、彼はほんの少し安心したように表情を緩めた。
私は桜の巨木の前に歩み寄ると、両手を軽く重ね、魔力を流し込む。
桜の根元に刻まれた紋様が淡く光り、柔らかな風が辺りを包み込んだ。
「|『繋がる時空の扉』《ゲートワープ》」
魔法を唱えると、空間が揺らぎ、地上へと繋がる光の門がぱっと開かれる。
風が流れ込み、外の空気が神域に満ちる。少し、緊張感をはらんだ空気だった。
「じゃ、いこっか!」
れんかが真っ先に飛び出そうとするのを、月が優しく押さえた。
「れんか様、まずは彩音様を先に……」
「わかってるもん!」
私はくすりと笑いながら一歩を踏み出す。
神域の空気と、外の世界の空気とが交わるその一瞬――胸の奥が、ふっと高鳴った。
――光の中を抜けると、草の匂いがした。
地上の空は少し曇っていて、風に湿った空気が混じっている。
私たちが出たのは、ちょうど未確認生物の出現場所から少し離れた丘の上だった。
「うわっ……なんか、イヤな空気する……」
月翔が鼻をひくつかせる。
地面に漂う魔力は確かに歪で、不自然だった。
「お母さん、あそこ……!」
桜杏が指差した先、草原の中央に、黒い影のようなものが揺らめいていた。
輪郭がはっきりしない、けれど確かに“そこにいる”。
人でも、魔獣でもない、形の読めない存在――
「あら……ずいぶんと厄介な子ねぇ」
私は黒い影をながめながら、ふっと小さく笑う。
「エルザ、解析できる?」
「もう始めてる。………魔力の質があまりにも不安定。生き物というより“何かを媒介にした塊”……誰かが作ったものね」
「ってことは……だれかがあれを“地上に流した”ってこと?」
れんかが眉をひそめる。
「えぇ、多分ね」
私は草原の向こうをじっと見つめる。
今のところ、影は動かない。
ただ、そこにあるだけ。
……けれど、このまま放置していい相手じゃない。
「ルエム、私の後ろにいてね」
「……うん」
「月翔、索敵。れんか、万一の時の結界。エルザと月は後方支援。桜杏は……私の指示にだけ従いなさい」
「はいっ」
「了解」
「……うん、お母さんの言うとおりにする」
一瞬、静寂が落ちた。
湿った風が、頬を撫でる。
そして私は、草原に足を踏み出した。
5話
湿った草原に、重たい空気が流れていた。
風が一瞬止まり、周囲の音がすべて吸い込まれるように静まり返る。
その中心に、“それ”は立っていた。
まるで墨汁を水に垂らしたような、黒く揺れる塊。形は曖昧で、目も、口もない。
……けれど、確かに私たちを見ている。
「……気持ち悪い」
れんかが小さく吐き捨てるように呟く。
「エルザ。解析、進んでる?」
「うん。……でも、これは――」
エルザの眉が僅かに歪んだ。
あの子がこんな顔をするのは珍しい。
「“この世界のもの”じゃない。魔力の系統が完全に外部由来」
「外部?」
月翔が眉をひそめた。
月は静かに呪文書を閉じる。
「つまり、誰かが“この世界の外”から干渉したということですね。彩音様」
「ええ。そうみたいねぇ……」
胸の奥が、少しざらつく。
これはただの“未確認生物”なんかじゃない。
何かの“始まり”かもしれない。
そのとき――
「……っ!」
私の感覚が、ふっと反応した。
一瞬、黒い塊の輪郭が歪み、伸びる。槍のような影がこちらに向かって走った。
「来るわよ!」
反射的に手をかざし、魔力を展開する。
「《サンクチュアリ・ヴェール》」
金色の薄膜が目の前に現れ、影の槍がぶつかると、火花のように光が弾けた。
「れんか、今!」
「任せてっ!」
れんかが両手を広げると、地面に光の陣が走る。
「《結界展開》!!」
透明な半球状の防御壁が私たちを包み、空気がピンと張り詰めた。
「こいつ……めちゃくちゃ速い!」
月翔が舌打ちしながら周囲を索敵する。黒い塊は一撃では終わらず、姿を揺らしながら何度も影を飛ばしてくる。
「彩音様、攻撃はどうなさいますか?」
「まだ、様子見よ。焦らないの」
エルザは無言で手をかざし、光の糸のような魔力を放った。
その糸が影に絡みつき――少しだけ、形が崩れる。
「……ふぅん、効くじゃない」
「エルザ、それ、維持できる?」
「短時間なら」
「じゃあ――捕縛する」
私は影を睨みながら、右手を静かに掲げた。
「《束縛》」
足元に魔法陣が展開し、そこから幾重にも光の鎖が生まれる。
鎖は空気を切り裂き、黒い塊に絡みついた。
「よし……っ」
一瞬、影が暴れた。だが逃げ切れない。
形が崩れ、どろりとした液体のように地面に溶け出す。
「……ねぇ、これ、消えた?」
れんかが身を乗り出そうとするのを、私は手で制した。
「まだよ。これは――」
――次の瞬間。
地面から、不気味な音を立てて影が広がった。
「っ!」
月翔が咄嗟に後ろへ跳ぶ。
それは“逃げた”のではない。“分裂”したのだ。
「分裂……? めんどくさいわねぇ」
私はため息混じりに呟いた。
まるで私たちの反応を見ているようだった。
「彩音、どうするの?」
ムエルが袖を掴んで見上げる。少し怯えているのがわかった。
「……一度、様子を見ながら囲い込む。焦らず、確実にね」
風が再び強くなり、影がじわりと動く。
黒い“何か”は、まるで笑っているみたいだった。