いろんなものの二次創作を詰め込んでみました。
続いてたり、続いてなかったりです。同じジャンルの二次創作はだいたい続いてますが。
基本、自分のために書いてます。
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目次
ぼくくん目線
告白シリーズの二次創作。ifストーリーなら行けるんじゃない?ってコメントあって、いいなーって思ったので。あ、ちなみに`成就する`ので。成就するから。原作は全然だけど…これこそが二次創作の特権です。もしかしたらキャラ崩壊あるかも。
今回はぼくくん目線でいきます。わたしちゃん目線もやります(断定)
ね〜………前置き長くなったけど、それではどーぞ。
ニコニコした顔で、ふたりベンチに座る。
ぼく___青井ぼく___は、隣に座る桃野わたしちゃんが好きだ。
多分彼女は、ぼくに恋愛感情を抱いてるとかはないんだろう。…あの時の「好き」がどっちの意味だったんだろう。
「なあなあ」
「何?」
今日も、向こうから喋りかけてくれる。
たまには、ぼくから喋りかけてみようかな。いや、でも、わたしちゃんの話題にのるのが楽しいのだ。今日はどんな話題をふってくれるんだろう。総理大臣になったら、干支を可愛くするとか、家電と付き合うなら誰がいいとか、突拍子もないやつばっかり。でも、そういう発想がすごいな、とも思う。
そんな思考がぐるぐる頭を回る。いつもなら、そんなこと遮って、わたしちゃんの高くてかわいい声が聞こえてくるのに。
「…何?」
もう1回、聞き返してみる。
わたしちゃんの方を見れない。だから、顔がわからない。ちゃんと見て、言いたい。でも何故か、そうできないぼくがいる。
3回目はダメだろうな、と思い、ぼくは何も話せないでいた。
「………」
わたしちゃんは黙ったっきりだ。
…いや、微かに何か言っている?
「ごめん、聞こえんかった。なんて言ったん?」
「いや、なんでもないわ。今日はもう帰る」
そう言って、わたしちゃんはどこかへ行ってしまった。
やっぱり、ぼくなんかより友達の方がいいのか。当たり前、だよな…
---
わたしちゃんを怒らせてしまったのだろうか。ぼくが何にも言わず、いつもわたしちゃんが何か言うのを待っているから?たまには、ぼくから何か言ったほうがよかったのだろうか?そもそも、ああやって時間をつぶしていて、つまらなくなったのだろうか?いや、なんでぼくと喋り始めたんだろうか?
「…明日、もっかい言ってみるか」
そんなことを思いながら、ぼくは何を言うか考えた。
本当は告白したいところだが、気まずい雰囲気にになってしまっている。こんなところで言ったら、空気が読めないやつと思われる。
不安を抱えつつ、ぼくは眠りについた。
---
校内では、ほとんど喋らなかった。
ベンチでいつもみたいに待つ。
「なんで、ぼくを優先したん?」
昨日考えていたことと、全く違うことを言ったぼくがいる。
「え?」
「いや…だって昨日、途中で帰ったやん」
「…??」
「今日はもう帰るって言ってさ…ぼくと一緒に話すと、つまらんのかって思った」
「…???」
わたしちゃんは、黙りきったままだった。
「え、どういうこと?」
しばらくの沈黙の後、わたしちゃんはそう言った。
「わたし、ぼくくんのこと全然嫌いじゃないよ?」
「………えっ?」
「なんで嫌いって思ったの?まさか、ぼくくんわたしのこと嫌い?」
「いや、そんなことない!好きやから!」
「…やった」
「え?」
思わず、ぼくはわたしちゃんの方を見ていた。いつものニコニコ顔___いや、いつもより、ちょっとだけ、もっと嬉しそうな顔。
というか、何が「やった」なんだろう。
「ようやく言ってくれたな」
「どういうこと?」
「ぼくくん、ずっと言ってくれなかったからさ〜。昨日言おうと思ったんだけど、約束とか思い出しちゃって」
その言葉で、体の力が抜けていくような気がした。
「え?え?え?え?」
「なんでそんな戸惑うん?」
「いや、だって…」
ぼくの思い込みだったのか。考えすぎだったのか。
「え、だから…」
「うん、いいよ」
その「いいよ」がどんな意味なんだろう。
黙っているぼくに、わたしちゃんが続ける。
「いいって?」
「もう、そんな言わせないでよ〜。付き合うってことやろ」
付き合う、という言葉が出た途端、いろんな感情が溢れ出てきた。
「…ありがとう」
ありきたりな言葉しか出てこない。たぶん、ぼくの顔もわたしちゃんと同じく、いやそれ以上にニコニコしている。
ぼくとわたしちゃんで、素敵な人生を歩んでいこう。ぼくの中で、そう決めた。
1648文字ですか。え、これだけで43分かかったんですか?
わたしちゃん目線
告白シリーズの二次創作。ifストーリーなら行けるんじゃない?ってコメントあって、いいなーって思ったので。あ、ちなみに`成就する`ので。成就するから。原作は全然だけど…これこそが二次創作の特権です。もしかしたらキャラ崩壊あるかも。
今回はわたしちゃん目線。ぼくくん目線もやったので、読んでくれると嬉しい。
ね〜………前置き長くなったけど、それではどーぞ。
校門を出る前に、トイレの鏡の前に立つ。
クシで髪を丁寧にといて、いつものボブヘアにする。セーラー服の赤いリボンは曲がってないかな。鏡の前で、にっこり笑顔を作る。いつもの笑顔だけど、今日は特別だ。
ぼくくんは気づいていないかもしれないけど、こういう細かいところが大切だ。
「よしっ」
そう呟いて、校門を出た。イチョウや紅葉の並木道が綺麗で、そこにあるベンチがいつもの定位置だ。
わたしと、ぼくくんの。
「ごめんごめーん!待った?」
今日こそは、告白する。
ぼくくんのことが好きです、って。
「全然待ってないよ」
本当はずっと待っていたんだろうな。
そう考えながら、もう一度、頭の中で練習する。
「なあなあ」
「何?」
ぼくくんに話しかけてみる。
でも、思うように言葉が出てこない。ただ一言、12文字を言うだけなのに。
赤くなっている顔をぼくくんが見ていないことが、唯一の救いな気がする。
「…何?」
待てなかったのか、ぼくくんがまた尋ねる。悪いことしてしまった。でも、どうしても言うことができない。もどかしい気持ちを、うまく言語化できない。
「ぼくくんのことが好きです」
そう、呟いてみる。
本当に、微かな声で。
もしぼくくんが聞こえていたら___
「ごめん、聞こえんかった。なんて言ったん?」
やっぱり、届かなかったみたいだ。仕方がない。だって、ぼくくんはなんにも悪くないんだから。
「いや、なんでもないわ。今日はもう帰る」
そう感情にコントロールされながら、下手にはぐらかす。
もうあのベンチには座れないや。あそこ、綺麗だったのに。
---
校内では、殆どすれ違わなかった。もしかしたら、わたしがぼくくんを避けていたのかもしれない。
また、ベンチに行ってみる。座れないって思っていたのに、座っているわたしがいる。すでにぼくくんはいて、少し気まずかった。
いつもは、話題がぽんぽん出てくるのに。今日は何故か、全然出てこない。
「なんで、ぼくを優先したん?」
と、ぼくくんは尋ねる。
「え?」
と思わず聞き返している、わたしがいた。
「いや…だって昨日、途中で帰ったやん」
確かに、昨日帰ったっけ。
「…??」
「今日はもう帰るって言ってさ…ぼくと一緒に話すと、つまらんのかって思った」
「…???」
全然、つまらなくない。
むしろ、楽しい。
「え、どういうこと?」
「わたし、ぼくくんのこと全然嫌いじゃないよ?」
そう言ってみる。
嫌いなんかじゃない。
「………えっ?」
「なんで嫌いって思ったの?まさか、ぼくくんわたしのこと嫌い?」
そう思い切って聞いてみる。
こんな話題を持ちかけてくるってことは、ぼくくんはわたしのことが嫌いなのかもしれない。
「いや、そんなことない!好きやから!」
「やった」
そう呟いているわたしがいた。
「え?」
「ようやく言ってくれたな」
そうぼくくんに言ってみる。
「どういうこと?」
「ぼくくん、ずっと言ってくれなかったからさ〜。昨日言おうと思ったんだけど、約束とか思い出しちゃって」
約束とか、思い出していない。ここらへんは、適当に言っておく。
恥ずかしくなったから、とは、とうてい言えない。
「え?え?え?え?」
「なんでそんな戸惑うん?」
そんなに戸惑うか?とも思った。
「いや、だって…」
「え、だから…」
「うん、いいよ」
付き合おう?
そう言いたいけど、言えない。なんでだろう。
「いいって?」
「もう、そんな言わせないでよ〜。付き合うってことやろ」
付き合う、って呟いた時、すごく恥ずかしくなった。
そして、嬉しくもなった。
「…ありがとう」
そう言ってくれたぼくくんの顔を、わたしはチラリと見た。いつもの倍以上に、ニコニコしている。まあ、わたしもかもしれない。
ぼくくんとわたしで、素敵な生活を送る。わたしの中で、そう決めた。
1590文字。
ぼくくんよりちょっとだけ短くなりました。わざとではございません。
近々ぼくくんの誕生日編も出すので、お楽しみに。
なんでこんなHappyな話を、97%の学生が絶望する日に投稿するんでしょうか。
ぼくくんの誕生日
9月4日は!青井ぼくくんの誕生日ですね!!
以前の告白シリーズは、全然ぼくわた要素がありませんでしたが、今回は詰め込んだと思います!(私基準で申し訳ない)
『二次創作の詰め合わせ』に、いろいろ詰め合わせてるので良かったら読んでみてください❁
それでは、どーぞ〜。
※キャラ崩壊注意(人によってはそうかもしれないので)
「ぼくくーん、今日は何の日でしょーか?」
ソファでゲームしていたら、わたしちゃんがそう話しかけてきた。
「ぼくの誕生日?」
「正解」
本日・9月4日は、ぼくの誕生日だ。
「というわけで、ホールケーキ買ってきました〜。4号」
「2人でホールはきついって」
「じゃあ切ってくるわ」
誕生日だし切ってもらおう。
「…ちょっと待って?」
この前も、同じ展開あったな。
確か、ホールケーキを横に2等分した。不満を言ったら、スポンジとかだけくり抜かれたんだっけ。
「ぼくに切らせて!」
台所に行くと、ナイフを横にかまえているわたしちゃんがいた。
危な〜…
なんとか説得して、ケーキを切った。
「はい、選んでええよ」
「えやったー」
---
ケーキを食べた後は、スマ○ラをした。やっぱりスマ○ラは楽しい。
「え、ちょっと待ってぼくくん。イ可か来てる」
「何が来てるの?あとなんで『何』を分解するん?」
ふと後ろを向くと、紫の何かがいた。
**「うわーーーーーーーーーーー!!!」**
「なんでそんな叫ぶん」
「バランボンだあーーーーー!?!?」
無駄にスタイルのいい紫の体に、どんな感情か読み取れない目、謎の黄色いくちばしらしきもの。イベントの時に毎年来る、生態も何もわからない、奇妙で摩訶不思議な生き物(?)だ。
でも今日は9月4日、イベントなんて…
「ぼくが誕生日やから…?」
「どういうことなん、ぼくくん。これ…バランボンっていうの?」
「毎年何かイベントがある時に来る、謎の生き物。それがバランボンや」
「へー」
わたしちゃんは「退治したらいいん?」とか呑気に言ってくる。
「退治…?」
そういえば、退治という概念がなかったな。
「さすまた取ってこよか?」
「いや、なんか怖いからやめとく」
すると、バランボンは何かを取り出した。どこに取り出すスペースがあるのかわからないが。
《|Happy birthday to AoiBoku《誕生日おめでとう、青井ぼく》》
そう書かれた細長い紙。ぼくの誕生日を祝う文が、確かに書かれていた。
「え!ぼくくん祝ってるやん!」
「いや、そうなんやけど…複雑」
祝ってくれて嬉しいのは嬉しいのだが、バランボンに祝われるとは想定外だ。
「というわけで、たすき持ってきた」
「え、そんなんあったっけ?」
「ほい」
そうやってわたしちゃんがかけてくれたのは、『本日の主役』と書かれた、典型的なたすき。
「あ、ありがとう」
「ちなみに、わたしのもある」
「え?」
そう言ってわたしちゃんは、『本日の脇役』と書かれたたすきをかけた。
「ええやろ」
「要る?」
「要る!!」
「んで、バランボンはどうすれば…?」
「いや、もうケーキはないし…スマ○ラでもする?」
また奇妙な効果音を出しながら、虹色にバランボンが輝く。ここも込みでキショい。まあ、だいたい『Yes』なのだが。
そういえば、バランボンはドン○ーコングを選んで、すごく弱かったはずだ。なら、選ぶ意味とは…
「エビバデレッツゴー、やるよ」
「なんなん、その掛け声?」
「雰囲気雰囲気」
結末微妙だ…
1281文字。迷走はしたけど、まあ無事に終わらせられたのでよし。ぼくわた要素は少ないかもだけど、まあいいや。
おっぱじめ
東方×ドラえもん クロスオーバー
完全なる自己満となっております
※もしかしたらキャラ崩壊
※独自設定有りかも
霊夢「やっぱ、緑茶に限るわぁ〜…」
魔理沙「な〜」
早苗「ですね〜」
霊夢「…いつ帰ってくれるの?というか早苗、あんたは守矢神社の方はどうしたの?」
幻想郷__忘れ去られ、『幻想』となったものがたどり着く場所。そこで、楽園の素敵な博麗神社の巫女・博麗霊夢と、普通の魔法使い・霧雨魔理沙、奇跡の現人神である守矢神社の巫女・東風谷早苗がお茶を飲んでいた。今は紅葉が美しい秋だ。
霊夢「こんなのどかな秋の日が、ずーっと続けばいいのにn」
**??「「うわああああーーーーーっ!?!?」」**
博麗神社の裏側から、叫び声が響いた。
魔理沙「なんだ?新種の異変か?」
霊夢「その場合、わたし1人で片付けるから。…スペカの準備でもしときなさい」
魔理沙「ミニ八卦炉の準備はバッチリだ」
早苗「まあ、わたしも奇跡はいつでも起こせます」
恐る恐る、博麗神社の裏側へ行ってみる。
そこにはスキマに下半身が隠れ、上半身だけが見えているスキマ妖怪・八雲紫。
そして__
見慣れない男子と、謎の何か。
霊夢「…紫、誰?」
紫「人間よ。ほら、ルーミアとか、そこらの食料にしようと思ってね。そしたら、見事に山奥で捕まえられたわけ」
霊夢「あら、食料なのね。じゃあ、なんにもしなくていいか」
早苗「え、食料?…そうだ、わたしの常識は|ここ《幻想郷》の非常識だ」
魔理沙「ってか、そっちの青いの、本当に食べれるのか?」
?「青いのって何?ぼくはちゃんと名前あるんだけど?」
霊夢「うわ、喋った」
?「引かないでほしい」
男子と何かは、服や体についた砂埃をぱっぱとはらう。そして立ち上がる。
魔理沙「悪いけど、自己紹介はなしだからな?食料に話をするなんて、意味不明だから」
?「しょ…しょくりょ…?」
紫「ここに連れてきたのは、妖怪の食べ物にするためだから」
?「少なくとも、ぼくは食べられないと思うけど…」
ドラえもん「ぼく、ドラえもんっていいます。あ、ここでは『ほんやくコンニャク』はいらないんだ」
のび太「ぼくは野比のび太、よろしくね」
早苗「魔理沙さんの話、聞いてました?」
のび太「まりさ?」
魔理沙「わたしが魔理沙だ。まあ、魔法使い」
早苗「あ、わたしは東風谷早苗です。巫女です」
霊夢「わたしは博麗霊夢。ここの巫女ってことだけ教えてあげるから」
霊夢「というか、あんたたちは幸運ね。食料になっても、わたしたちの名を知れるんだから」
食料になっても、というのを聞いた途端、慌てだすのは普通だった。
のび太「どうしようドラえもん!食べられるんだってやばいよ!そもそもここに来たのが__」
ドラえもん「山奥に行きたいなんて言い出したのは君だろ!?こんな高性能な《《ロボット》》がいて__」
**早苗「ロボットですか!?」**
霊夢と魔理沙と紫の顔が、(あっ、)と何か気付いた表情になったときは、もうすでに遅かった。
霊夢(そういえば、早苗ってロボット好きだったな…)
紫(厄介なことになったわね…)
早苗「やっぱりこの人たち、生かしておきましょうよ!人里か、守矢神社かで!!」
紫「…本気?代わりの食料は?」
早苗「そんなの、わたしの奇跡で起こしてみせますよ!」
こうなると、誰も早苗を止められない。守矢神社の神・八坂神奈子でも、洩矢諏訪子でも。
紫はしぶしぶ、「じゃあ…しょうがないわね」と言った。
早苗「そうですか!それは良かったです♪」
紫「…というか、貴方たち、能力はあるの?ないと、けっこう厳しいわよ」
ドラえもん「ぼくは…いろんな魔法が使えます。なんでもできます。いろんな機械があるので」
魔理沙「機械?にとりあたりが喜びそうだけど」
__のび太「…ぼくってなんかあったっけ?」__
__ドラえもん「適当に、一瞬で眠れるとか言っときなよ」__
のび太「一瞬で眠れます」
霊夢「疑わしいけど…まあいいわ、適当に暮らしなさい。んじゃーね」
そう言って、霊夢は博麗神社の中へ入っていった。
早苗ロボット好きでありがとうございます。おかげでドラえもんとのび太が生存できました。
1649文字でした。
あそび部活動記録動画
ぴーんぽーんぱーんぽーん【あてんしょん】
この小説は、ぼくわたチャンネル様の『あそび部』シリーズの二次創作です。
キャラ崩壊、原作にはない表現・設定などあるかもしれませんが、あったかい目で読んでくださいね〜。 紫音より
ぴーんぽーんぱーんぽーん【ではどうぞ〜】
「んで、本当にこれでいいん?」
「いいよ」
ぼくはタブレットをいじりながら、わたしちゃんはクロスワードであそびながら話す。だだっ広い体育館の半分に、小ぢんまりと机が2つ。目の前で4分の1で活動しているバスケ部とバレー部、渡り廊下でやっている卓球部に申し訳ない。
目の前に座っている女子・桃野わたしが立ち上げた部活・あそび部。既存のあそびを楽しんだり、新しいあそびを楽しんだりする部活だ。ぼくがすんなりと、どこかの部活に入っていたら、今頃こんな目にあっていなかっただろうなあ、とは思う。あと、バスケ部らに恨みを買われなくても済んだのかな、とも。
今、ぼくはわたしちゃんに頼まれ、とある動画を作っている。出来の良いアニメコントなんかではなく、実写に字幕とかをつけただけだ。
最後に、冒頭に【あそび部活動記録動画】というのをつければ、ようやく完成だ。タブレットの光る画面をぼくではなく、わたしちゃんに見せ、「どう?」と言ってみる。わたしちゃんは鉛筆を転がし、「ん?」と言って、はじめから再生した。
---
「皆さんこんにちは!部長の桃野わたし〜です!」
「青井ぼくでーす。その伸ばし棒の位置あっとる?」
「今回は、【あそび部活動記録動画】ということで、あそび部が考えて普段おこなっているあそびを紹介していきたいと思い〜ます!」
「今回は何するんですか?」
「まずは|遊戯《エンジョイ》バトル」
「違うシリーズやって」
「ならそれはなしにして、今回は、たまねぎカラオケと童謡ギャンブルの2本立て〜です!」
---
それから、ぼくとわたしちゃんで、あそぶだけのただただ平凡な動画が流れた。たまねぎカラオケと童謡ギャンブル、面白いは面白いんだけど、こんがらがってこないかな、とセレクトにセンスを感じない。
「じゃ、これで提出でいい?」
「うん、いいと思う」
そう言って、またわたしちゃんはクロスワードを解き始める。
「プロローグの反対ってグーロロプやんな?」
「え?」
エピローグなんじゃ、というところで声が詰まる。早く提出しなくちゃ、という気持ちの方が強かった…きっとそうだ。
**なたろうさん・やねぴさん結婚3周年おめでとうございます!**
9月27日が記念日みたいですが、すっかり忘れていて申し訳ありません!お絵描き掲示板の方でもイラストを上げてざぁげざぁげしています!
別の小説の予定でしたが、急遽予定を変更してお送りしました!(←言うな)
来年こそはカレンダーに予定書いて、必ずぴったりにお祝いします!!
あらためまして、なたろうさん・やねぴさん結婚3周年おめでとうございます!お体に気をつけて、育児頑張ってください!ほぼ毎日6時にスタンバって見てます!!ご本人様に届いているかわかりませんが、おめでとうございます!!
転生林檎
「この林檎は素晴らしいのさ」
裏の市場で、わたし・|佐藤廻《さとうめぐり》は、青林檎を手にした。怪しい売人からは買うなと、散々子供の頃言われてきた。でも、この青林檎は魅力がある。妖しくて奇麗なオーラが漂っている。人の不幸は甘い蜜というような、甘い香りがする。
平凡な自分が嫌だった。なんでもないただの生活が嫌だった。そんなわたしにとって、その林檎は魅力的過ぎた。
「賢くなりたがっている人は、みんな買っているんだ。一端の人間に生まれ変われる『転生林檎』っていうのさ」
それほど高くない値段だったので、わたしは買った。
家に帰って、すぐに一口齧ってみた。シャリッというが響いて、意識が遠のいた。
---
「今回、今人気の表現者である|左藤巡《さとうめぐり》さんにお話を伺いました!」
わたしは、左藤巡に転生した。
繊細な色使いとタッチ、鮮やかな色使いが人気となった。
「自分には特別な才能がある。他は凡人だ」
ニュースのアナウンサーにそう言って、わたしはまた、バケツで筆をじゃぶじゃぶと洗い、パレットの絵の具を筆先につけた。
『あんな言い方ないよね』『自分の才能に酔ってるんだよ、きっと』
あのインタビューで、わたしはたちまち炎上した。ファンも次第に離れていった。
あぁ、またダメなんだ。
転生しよう。
青い転生林檎を一口齧った。
---
世紀の大発明をした発明家とは、わたし・|左東芽梨《さとうめぐり》のことだ。
世界が平和になり、誰もが平等、戦争も争いも、病気もない笑顔あふれる世界。そんな世界を、誰が嘲笑おうと本気で願った。
そして、実験を繰り返して、危険物質だって使って、発明をした。
「この機械を使わせてくれないか」
政府からそう言われ、わたしは承諾した。「平和のためなら、好きに使っていい」
暫く経ったある日、ニュースで戦場の姿が報じられた。残酷な血の雨が、止むことなく冷徹に降っていた。
機械は兵器利用された。
あぁ、またダメなんだ。
転生しよう。
青い転生林檎を一口齧った。
---
「|砂東恵璃《さとうめぐり》様!」
両手を組み、わたしは民衆にほほ笑んだ。
わたしは救世主になった。無償の愛を分け与え、富権力関係なく愛した。老人も幼児も頭を下げ、わたしに感謝した。
「皆さんはわたしに、平等に愛されています。1番も2番も関係ないのです」
そう言って、わたしは帰った。家には知らない人がいた。多分、わたしを愛する人だろう。
「どうしたのですか?」
「これが砂東恵璃様…もっとお近づきになりたいです!」
「…わかりました、特別です」
そう言うと、彼女はわたしの方に近づいてきた。
一瞬でナイフを出し、わたしの胸に突き刺す。視界がぼやける。嗚呼、わたしは純粋すぎたんだ。
落ちている転生林檎が目に入った。最期の力を振り絞り、わたしは転生林檎を手にした。
あぁ、またダメなんだ。
転生しよう。
青い転生林檎を一口齧った。
---
その時代を代表する革命家、とわたしは呼ばれた。
変な綺麗事を嫌った。正直者が馬鹿を見る世界なんて大嫌いだった。ルールや決まりを疑って、必死に戦った。
そして、幾らかの力を手に入れた。
「|砂糖盟理《さとうめぐり》、次はどうするんだ」
「世界征服をおこなう」
全ては、世界を平和にするために。
わたしは戦った。たとえどんなに批難されようとも、たとえどんなに相手が強かろうと。世の中を生まれ変わらせるために、わたしは死に物狂いで戦った。
そして、わたしはついに、世の中を支配することに成功した。
平和になった。そう思い込んでいた。
ただ、力に溺れた。
平和ごと燃やし、笑顔は絶やされた。綺麗事で溢れていた。
あぁ、またダメなんだ。
転生しよう。
青い転生林檎を一口齧った。
---
SNSをチェックすると、わたしを支持する声が多数上がっていた。わたしは有名な冒険者になった。
「|沙糖三栗《さとうめぐり》さん、頑張ってください!」
理想を求めて旅立つ冒険家、とわたしは応援された。無謀な挑戦でも貫く姿勢が、人々を感動させた。
今日は一歩落ちたら即死の崖を、わたしはのぼっていた。その上にある綺麗な景色を求めて。
もうあと残り10mほどだった。もうすぐ、景色を見ることができる。リスナーの声を頭に浮かべ、己の体を奮わせる。
あ、という声もなく、わたしの頼りにした石は崩れ、そのまま一気に姿勢が崩れ、身体は宙に浮いた。
最後に転生しなきゃ。
わたしはリュックの中の転生林檎を取り出した。
あぁ、またダメなんだ。
転生しよう。
青い転生林檎を一口齧った。
---
|沙藤廻里《さとうめぐり》、という名前の、なんでもないただの一般人になった。
今まで、数多の人生を経験してきた。表現者、発明家、救世主、革命家、冒険者に、それから___
山積みになった、用無しの人生の上に立つ。今度こそやり直さなきゃ。
今度こそ、望む人生にしなきゃ。
あぁ、またダメなんだ。また?次で終わるの?
転生しよう。
最後の望みを賭けて、わたしは青い転生林檎を一口齧った。
---
机の上に置きっぱなしの履歴書には、|佐藤廻《さとうめぐり》とあった。
少し悲しい気がした。平凡な自分に戻ってきてしまった。もう少しやりようがあったんじゃないかと、後悔する。
でも、ホッとする気持ちがあるのも否めなかった。
素面に戻り、わたしは転生林檎を握った。何度見たことか、形容し難い青林檎。魅力的なオーラは、微塵も感じない。
自分の人生を歩むために。
わたしは青い転生林檎を、ゴミ箱に放った。
マッチ売りの転売ヤー
濁ったため息を吐き出したくもなったが、口から出てくるのは「マッチ入りませんか」の柔らかくて、猫を被ったような一言のみ。
白い雪がしんしんと降り積もる。ボロボロの服は冷気をすっと吸い込み、あたしの身体へ染み込ませていく。今日の利益は、数えるまでもなかった。
|筆者《えらいひと》と親のせいで、あたしはこんな目に遭っている。本当に納得がいかない。
いや、納得がいっていないのは、あたし以外にもいる。このご時世、貧困物売り少女なんてフツーにいる。そんな彼女らは__
スッ、とマッチを擦ると、ぼんやりと優しい光が灯る。
__生きるため、知恵を絞っている。
---
街角では、家電量販店のテレビが光っていた。
今話題のアイドルグループのグッズ売り場についての特集が組まれている。かなり人気なようで、みんなが欲しいと言っているらしい。値段こそ高くないものの、希少価値が高くレアなんだとか。
「いやーもう、あたしも早く欲しいんですよね!」
「みんな欲しいって言ってる。どんな手を使ってでも買いたい!」
__もし、あれを独り占めしたら?
ふっと黒くて濁った考えが、頭を染めた。黒いインクを落とされたように、どんどん滲んで広がっていく。
買値より高い値段で売れば、その差額で儲かるんじゃない?
希少価値が高く、レア。でも安い。つまり、大量購入して売り捌けば___
「マッチなんてどうでもいいぐらいの値段になる、とか?」
愛がないのに買うとかあり得なくない?
という、最後の懺悔のような白い思いが、頭をよぎった。でも、黒くなった頭は、そんな小さくて薄くて弱い白では薄まらない。倫理とか道徳とかより、あたしの明日のご飯の方が大事でしょ。
---
需要と供給をチェックする。バレバレだろうが構わない変装をして、店だって少しずつ変える。そうすれば、意外とバレないものだ。マッチよりも__
盗みでもないし、物乞いでもない。これはちゃんとした、れっきとしたビジネスなんだから。
「皆さん!」
全然中身を知らないアイドルグループのことを持ち出し、マッチの時よりも声を張って「よってらっしゃい見てらっしゃい!」と呼びかける。飛ぶように、馬鹿みたいに売れた。
正直者が馬鹿を見る世の中って、こういうことでしょ。これから毎日、こんな世の中を見ることになるんだ。
---
「んえーと?」
全然だ。転売の隠し場所ももう足りなくなってきたし、最近店員の目がすべてを疑うような目になっている。
あーあー、個数制限とか、対策厳しすぎる!煩わしすぎる!
っでも、こんなに楽な仕事でガンガン儲かれるんでしょ?もうずっとこれでやってくしかないじゃん!
需要と供給をチェックする。凝視するような店員の目を、セクハラ罪で訴えてやろうかと思いながら買う。もうグッズもそこそこ生産されるようになったし、なんかあんまり売れない。
ックソ、なんでこんな世の中になったんだよ。あたし、なんにも悪くないのに。
「さあ、よってらっしゃい見てらっしゃい!!」
必死に、生きるために声を上げる。マッチを擦って、目立つように明かりを灯す。ワアワアと群がる害虫らを払いのける。こんなギリギリな手段でしか生活できないんだから。
…毎日、これ?
---
「事情とか知らねぇくせにンなこと言うな!こちとら生活がかかってんだよ!!」
アイツらは冷徹に、あたしの言い分なんか聞かずに、アイツらはあたしの手に縄を結ぶ。痛いほど結びつける。あとがつきそうだ、本当。なんなんだよ。そっちは苦労も知らないで。
「転売ヤー逮捕」
ックソが。
Fin
第零章
「失礼しますわ。私は無限に時間はあるけれど、貴方に費やす時間は勿体ないから」
「知らない。私だって、時間は半分永遠にありますから」
「姫様と私が過ごしてきた時間は永遠に等しい。でも、穢れた貴方には永遠に時間はない」
「ああ、そう。私だって、時間ならあるわ。貴方たち人間よりも、遥かにね」
「勿論、半分幻の貴方だってそうよ?」
「ええ、そこの穢れていないと主張する貴方だって」
---
時間の進みがゆっくりになっている。そのことに気づいたのは、時間の流れに敏感な3人だった。
時を操る銀ナイフのメイド・十六夜咲夜。
庭を操る銀刀の庭師・魂魄妖夢。
永遠と須臾を操る黒髪の姫・蓬莱山輝夜。
輝夜の代理で異変を解決する人がいた。
薬を操る天才薬師・八意永琳。
この物語は、こんな彼女らが異変を解決する物語である。
第壱章
「美鈴、何をしているのかしら?」
「…あっ、咲夜さんっ…」
目の前でしゃがみ込み、|⑨《バカ》の相手をしているのは紅美鈴だった。私がメイドとして仕えるレミリア・スカーレットお嬢様の館・紅魔館で門番をしている。
「めーりん、どーしたの?」
「いえっ…いやぁ…」
「早くカエル凍らせごっこしよ!」
そう言って、⑨はカエルをピキッと凍らせ、氷の中に閉じ込める。はあ、どこかの神様が怒ってきそうだ。
「めーりん、ねえめーりん!」
「すみません、ちょっと今は…」
「なに?いつもめーりん、いっしょにやってくれるじゃん!」
美鈴を睨みつけると、最後のひと足掻きのような愛想笑いを浮かべた。まだ向かいにしゃがみ込む⑨は、駄々っ子のように「めーりーん!」と叫ぶ。
「さっ、咲夜さん勘弁してくだ」
私はパッと時を止めると、弁解しようとする美鈴の口元も、美鈴を揺さぶろうとする⑨の手も止まる。そんな中、私だけは右足に差していたナイフを抜き取り、美鈴の背後に設置する。
時止めを解除すると、「っさい」という弁解の続きと、「うわっ!」という悲鳴が聞こえる。
「これで分かったかしら?そこの妖精も」
「めーりんをどうしたんだっ!」
これだからヒーロー気取りの妖精は。
「そう。なら貴方も串刺しにしてあげるわ。そのカエルさんが氷の剣で刺されたように、ね?」
そう言い放つと、わーっと⑨は去っていった。
「さて、美鈴。罪は重いわよ」
「ちょっと待ってください咲夜さん!」
回収したナイフを放つ。
…あら?
いつもに増して、少しだけナイフの進みが遅い気がする。能力は発動していないのに、だ。これなら美鈴に避けられちゃうじゃない!
…えぇ?
美鈴の速度も、ナイフに比例するようにゆっくりとなっていた。何よこれ、と言いそうになる。少しだけだが、確実にゆっくりとなっている。
---
「幽々子様、寒いですね」
「ねぇ、そうね」
呑気に言う幽々子様は、霊に「ねぇ?」と語りかける。確かに寒いは寒いが、ふふっと微笑むぐらいの寒さだ。誤差の範囲。
「ふふ」
冥界にはちらちらと雪が舞う。春雪異変のことを思い出し、ぎゅっと口元を結ぶ。ああ、あの時勝っていれば、今頃は…という妄想の途中で、不意に雪を見つめた。
ちらちらと舞う雪。こころなしか、去年より舞が遅い。ゆっくり。明確に遅いわけではなく、あくまでゆっくりの範疇だ。
「幽々子様」
「なあに、妖夢?」
「雪が…」
いや、言うのをやめよう。
幽々子様は、気づいているはずだ。それなのに雪を眺める。気づいているのに。なんで?
私に試練を与えてくれているから、だ。
---
「永琳」
姫様に呼び止められ、私は返事をした。
「何か異変が起こってるって噂知らない?」
「知らないですが」
「そう。私もよ」
何故こんなことを言うのだろうか。永い時を生きすぎてしまったのだろうか。それなら、今すぐ薬を調合せねば。
「何故か知らないけれど、時の流れがゆっくりになっていないかしら」
「…そうなんですか」
曖昧な返事の後、すぐに思い出す。
彼女の能力は、永遠と須臾を操る程度の能力。時間には取り分け敏感なのだ。ましてや、無限と等しい時を生きてきた彼女にとって、あの銀髪メイドよりも遥かに。
「…その異変を、解決しろと?」
「そうよ」
微笑んだ姫様は、どこかさみしげだった。
第弐章
「なんでこんな突飛なところに来た?」
竹にもたれて座っていた少女。彼女の名は藤原妹紅という。老いることも死ぬこともない蓬莱人だ。
「いえ…あの、輝夜さんはいませんか?」
「輝夜?…この道をまっすぐ行けば永遠亭がある」
それだけだ、と吐き捨てる妹紅に礼を言ったのは、妹紅ともうふたりの銀髪の少女らふたり。
「それにしても、まさか貴方が来るとはね」
「たまたまです」
ふたりで歩く。
「貴方も異変を察知したの?」
「はい、そんなところです。冥界では、もう雪が舞っているんです。その雪のふりぐあいが、微妙に遅いなと思って。すぐに時間だろうなと思いました。幽々子様が動こうとしないので、試練だと思って。一度貴方と敵対したときのような感じではありませんでした。ひとりのメイドがやったぐらい小さな自体じゃないって思いまして。そうなると、あの人しかいないんです」
「全くよ。私も、美鈴に刺すナイフが少しばかり遅いと思ったのよ。私は勿論やっていないから、あそこの姫かと思ったのよ。まあ、いなかったらあの薬師に聞けばいいだけのことだけれど」
そう言いながら、いつの間にかふたりは永遠亭に着いていた。
「輝夜?」
「姫様のことかしら?」
出てきたのは、同じく銀髪を三つ編みに結い上げた薬師だった。
「何故人間…半分人間のもいるけれど、何故いるの?私は異変を起こしていない。あれっきり、異変は起こしていないわ」
「…本当に?」
「ええ。今巷で起きている異変のことも知ってるわ」
「どんな異変ですか?」
「姫様が、時間の進みが微妙に遅くなっていると。単なる無限に等しい時を生きてきた時差ボケのようなものかと思ったけれど、ことはそんなに軽くないと思ってね」
信じても良さそうだ、とふたりが思ったとき、「それで」と永琳が口をまた開く。
「何?本当によく喋る薬師ね」
「そう?まあいいわ。それで、異変を解決してほしいと姫様に言われたのよ。だから今から解決しにいくところ。貴方たちも、主様に?」
「ええまあ、そんなところよ」
「見当はついてるんですか?」
「全く」
見当がついていたら、今頃こんなところにいない。
誰が敵で誰が敵の味方なのか、迷いの竹林なみにわからないのだから。
第参章
「まずは…あの巫女のところへでも行こうかしら」
「どの巫女ですか?」
「|紅白《霊夢》か、|現人神《早苗》か」
「異変目的なら霊夢さんですし、情報収集なら早苗さん、って感じですかね」
妹紅の言われたとおり、まっすぐ歩く。確かに出口に着くことが出来た。何処か遠くを眺める妹紅の姿。
「妹紅さん、次はどこへ行ったらいいと思いますか?」
「さあ?慧音のところは子どもたちが…いや、そんなことないな。阿求にでも…小鈴…いや、忙しそう」
妹紅も見当がついていない様子で、「すみません」と礼をしてから妖夢はふたりのもとへ駆け寄る。
「どうします?」
「ね…」
すると、咲夜の右足からナイフが落ちた。咲夜は時を止めて、ナイフをさっと拾う。
「…あら?」
いつもなら、5秒ぐらい止められるはずだ。だが、少し短い。また止めてみると、3秒ほどしか効かない。
「どうしたのよ咲夜?」
「いえ…いつもなら、5秒時を止めれるの。でも、今日は3秒しか止められないわ」
「これも異変、ですかね?」
「でも…なんだか、|大事《おおごと》みたいね。冥界は何かあった?」
妖夢は幽々子らのことを思い出す。
「いえ、とくになにも」
「あとは…月、は、今日は関与していないと思うわ」
「本当に?」
「ええ」
いつもなら、何か胸騒ぎがする。だが、今日はしない。月が関与しているわけではなさそうだ、と永琳は推測する。
「となると…」
咲夜は思い出す。妖夢も、だ。
「地獄、とか?」
「さとりとかが怪しい、と?」
「いや…旧地獄のほうじゃないとは思います」
「誰だったかしら、あの鬼よね」
「残夢とか、のほうよ」
新地獄に行くには、妖怪の山の裏側に行かなければいけない。そこから中有の道、三途の川、彼岸と続く道を歩む。四季映姫・ヤマザナドゥと小野塚小町に、事情を説明して案内してもらえば突破は容易い。
「えぇ、またあの閻魔の説教を受けるの?私、嫌よ」
「あはは…」
第肆章
「へー、ここに来る変わり者もいるんだな」
紅の二つ結びの髪を揺らし、鎌を振るったのは死神・小野塚小町。
「また個性的な面子だな。不死身と、時止めメイドと、半人半霊?ここは絶対に来るべき場所じゃない」
「新地獄にいかせてもらえないかしら?」
咲夜が鎌より鋭く言うと、小町は理由を尋ねてきた。
「異変が起きてるのよ。地獄が怪しい、とくに新地獄が怪しいと睨んでいるの」
「へぇ」
それなら、と小町は、四季映姫・ヤマザナドゥと庭渡久侘歌にも言っておく、と告げた。
「あの閻魔と違って、物わかりがいいわね、助かるわ」
「ふぅん。ちゃんと聞いて、実行してるの?」
「いや?」
そう咲夜が言った後、「じゃ、案内するよ」と小町は四季映姫・ヤマザナドゥのところまで連れて行った。
「あら、貴方方は何時かの…悪いね、今は時間がないの。裁ききれてないのよ」
四季映姫・ヤマザナドゥは、まず咲夜の顔を見た。
「そう、貴方は少し」
「いいから、はやく言っちゃっていいかしら?貴方の部下は随分と物わかりがいいみたいだけれど、貴方はやっぱり変わっていないのね」
「…前は冷たすぎた。けれど、今も冷たい」
「いいから、早く。貴方の嫌いな冷たい金属製のナイフで…」
「もういいわ」
咲夜は、右足にかけていた手を戻す。次に、妖夢の顔を見る。
「そう、貴方は少し」
「いいんです、早くしてください」
「…貴方は変わらないのね。いつまでもこの世の者と戯れる」
「別にいいでしょう。《《半分》》絡んでるんですから」
「そういう問題ではないの」
永琳ならわかるだろうと、顔を見る。
「…貴方は…」
「何?私に言う事はなにもないはずよ」
「…ああ、やっと見つかったわ。そう、貴方は少し傲慢すぎる。天才をはなにかけないで」
「あら、貴方って意外と単純なのね。いつもはこんな態度、取らないわよ」
「違うのよ」
もどかしさに頭を抱え、諦め、「要件はなんなの?」と言い放つ。永琳は事情を話した。
「ああ…また異変?近頃本当に多いのよね。しかも馬鹿にならない規模で」
「知らないから、さっさと通して?私だって、一刻も早く紅魔館に帰らないとなんだもの。まさか、異変の元凶に説教するとか言うんじゃないでしょうね」
「…もういいわ、早く行きなさい」
第伍章
「なんの用っ?」
また説明しないといけないのか、面倒くさい。この時間さえ惜しく、一刻も早く戻らないとなのに、と咲夜は苛つきながら事情を話す。何回目かもわからない。
「…へぇ」
赤いメッシュを揺らし、庭渡久侘歌は頷く。それなら通してあげる、と言わんばかりに。
いつもなら試してやるところだが、今回の面子は強そうだ。時を止められるメイドに、剣術が優れる庭師に、天才と名高い薬師。この3人なら大丈夫だろう。
「わかった、通ってください。でも、なるべく早く、ですからね?」
「ふふ、ありがとう」
庭渡久侘歌に案内され、彼女らは新地獄へと向かった。
---
新地獄は広い。広すぎて、迷ってしまう程だ。
「どこにいるのかしら…」
「こういうときは声量、よ。というわけで、貴方、試してみたら?」
「え、私ですか?えー…じゃあ…」
**「異変を起こした人ーーーーーっ!!」**
驚くほど馬鹿らしい導き方に、永琳は苦笑した。こんなので出てくる奴なんていないだろう___
すると急に視界が奪われた。
---
「ああ、悪かったな。あいにく視界を《《吸収》》したもんでね」
視界がパッと開けた。明るい光が差し込み、目をまたつむりそうになる。だが、ここで怯んじゃ駄目、と永琳は弓矢をパッと手にした。ぴいんと糸をはらせ、シュッと彼女に向けて放つ。
「失礼」
彼女はかわしたが、微妙に髪にかすれた。先端が白い髪に当たったが、彼女はべつに気にしもしない。
「なんだ?猫騙しか?猫はいないだろう?」
煽るように言う。無敗の強欲同盟長と有名な彼女・饕餮尤魔は、にやりと口角をあげた。
「異変を起こしたのは私だよ、あんな大胆な手口はなかなか見ないので、興味が湧いたんだ。いや、欲がぞくぞくと身体の内からにじみ出てきた」
「そうですか」
妖夢は二本の刀を握った。汗がじんわりと出ている。少し低めの体温が人並みになっていた。
「欲を斬るには何年かかるか、教えてもらいませんでした。けれど、半人前なりに、半分でも斬ってみせます」
いつものほんわかした微笑みはなく、ただ真剣そのものだった。
「へぇ?まあ、その剣術も吸収してやるがな」
そう言って、また何時ものように剣術を吸収しようとしたときだった。
だが、異常だった。
普段どおりにやっても、吸収できないのだ。吸収する感じが、まるでしない。
「…ほら、吸収できないでしょう?私たちの能力は強いから、吸収されるとまずいと思ったの」
そう言って、永琳はまた薄っすらと笑いを浮かべる。
「覚神『神代の記憶』」
紅く光る大きな弾幕と、小さな弾幕だった。勿論、饕餮尤魔は軽々と避け、吸収する。が、避けるだけにおわり、吸収しようともダメージを食らう。
「乗らせていただきますわ。幻象『ルナクロック』」
一瞬時が止まり、その間に手際よく青と緑のナイフが並べられる。それらは襲う、襲う、饕餮尤魔を。
「じゃあ、天神剣『三魂七魄』」
カラフルな弾幕だった。
「クソッ…宿怨『ゴージライザー』!」
負け惜しみ、最後の一あがきとわかっていても、スペルカードを唱えた。それも虚しく、どんどん弾幕に押されていった。
「なんで私が負けるんだっ…!」
「ごめんなさい、私たち、本気で解決したかったの。貴方が出てきたから、てっきり…。貴方、咲夜のところの妹さんしか勝てないんでしょう?」
「私が元凶は、わかってないのかよ?」
「いいえ」
苛つきを見せつつ、饕餮尤魔はゆっくりと話す。
「じゃあなんで…」
「少し怖かったのよ。だから、開発した能力を一時的に抑える薬を、弓矢に塗ったの。だいぶ卑怯かもしれないけれど、これが私の能力だから」
「…妖夢とか咲夜らには、言ってあったのか?」
「いえ、言われていませんわ」
「そうよ。大体30分ぐらいしか強力すぎて効かないから、実質チームワークと一撃で仕留めなければだったのよ」
饕餮尤魔はパチパチと手を叩く。
「凄いな、薬師は。で、これは治るのか?」
「ええ、30分ほどで」
「そうか…再戦は?」
「ナシよ」
「3対1なのに?」
「ええ」
まあいい、と饕餮尤魔は言う。
「これで解決、ね」
「いや、解決はしていない。どうでもよくなっちまった。活躍と知恵を見てると、な」
「どういうことですか?」
約束を破ることだが、と前置きを置き、
「これは、あくまで私が実行役となった異変だ」
と言う。
「つまり、計画者がいるってことね?」
「そうさ」
第陸章
彼女は一切ヒントを与えなかった。ただ、「ここにはいないよ」と言った。
「私も一応、計画者の味方なんでね。勿論すごいと思ったが、だからといって敵に塩を送るようなことはしない。まあ、糠味噌なら送ってやってもいいがね」
「糠味噌…くれるんですか?幽々子様、最近お漬物食べたいって言ってたので助かります」
「新地獄ジョークだよ。冥界には通じないのか。まあ、冥界には冥界ジョークがあるからな」
妖夢が少し残念そうにすると、「ああ、悪かった。通じないとは思わなかったから」と慌てて付け足す。
「せめてヒントくらい教えてほしいのよ。私たちだって暇じゃないの」
「そうか?だってお前らは有り余るほど、時間があるだろう?お前は時を操れるし、お前だって半分とはいえ幽霊、成仏しない限り無限の時があるだろう?それに、お前は蓬莱人ときた」
「いいえ、私も一応人間なのよ。時を操れるってだけで、寿命は操れないの。|地蔵《矢田寺成美》にでも頼まなきゃ、駄目なのよ。だいいち、レミリア様のつとめを外すわけにはいかないの」
「えらく律儀なメイドだな」
よっこいしょ、と立ち上がった。「さあ、出てけ。ここにはいないよ」と3人を追い出しにかかる。
「当たり前だろ?ここは危険だから、早く行け。あいつのことだ、好戦的だから待ち構えてるかもしれない」
「そう?本当?」
「嘘も吸収しちまうが、私は本当のことも言うからな。30分ぐらいで会うだろ」
そう言って、追い出されるように出ていく。
---
三途の川などを通り過ぎ、少し歩くとあっという間に妖怪の山だった。妖怪の山は、余り通ったことがない。
「もう30分経ったわ。となると、神奈子か諏訪子が元凶なのかしら?」
「もうさすがにしないと思いますけど…」
そう喋っていると、凛としている声が聞こえた。
「…ああ、もう来たのね。まあ仕方がないわ、ちょっとやってみたかったんだもの」
神々しく登場したのは、金髪ロングヘアに、ラベンダー色のシルク生地のワンピースを着た、ひとりだった。見たこともない顔だった。
「あら、一応神奈子と諏訪子に許可はもらっているのよ。私は力が強いから、ひっそりと護っているだけ」
「誰?」
「ふふ、貴方たちはせっかちなのね。私は|時本命《ときもとみこと》。ふふ、驚いたでしょう?」
「驚いた…?」
驚いた、という騒ぎじゃない。
「でも、仕方のないことだったの。この頃、異変続きで幻想郷の寿命が危うかったの。だから、少しだけ《《調整》》をしたまで。これで、幻想郷の寿命は100倍になったわよ」
飄々と言う命に腹が立ったのか、妖夢はスッと剣を抜いていた。長い方の楼観剣だった。
「予告なくそれをするなら、それは異変とみなされる」
敬語がいつの間にか抜けていた。
「それに、幻想郷に寿命なんて、ないはず。永遠に、私たちは、幻想郷で暮らす」
「失礼しますわ。私は無限に時間はあるけれど、貴方に費やす時間は勿体ないから」
「知らない。私だって、時間は半分永遠にありますから」
「姫様と私が過ごしてきた時間は永遠に等しい。でも、穢れた貴方には永遠に時間はない」
「ああ、そう。私だって、時間ならあるわ。貴方たち人間よりも、遥かにね」
「勿論、半分幻の貴方だってそうよ?」
「ええ、そこの穢れていないと主張する貴方だって」
黒林檎
世の中は非情に時が流れていって、その中にわたしはいるはずだ。
不登校…か。あの時は、あんなふうには思わなかったのにな。高校最後の春、わたしは制服ではなく部屋着に身を包み、パソコンを弄る。シューティングゲームで高得点を稼ぎながら、なんとなく虚しくなる。にこにこと微笑むキャラは希望に満ちていそうだった。わたしは、ただ気だるさがぐるぐる廻るだけで、何もない。
昼食は適当にパンを齧る。もう11時か。今頃みんなは授業をしているはずだ。まあ、別になんでもないが。
舌打ちする気力もなく、またブルーライトを浴びる。こんな世界に入れたらいいのに、と夢見ても、いやもう無駄だという気持ちの方が大きくなっていた。別に哀れんでも悲しんでもいない。ただただ、過ごすだけ。今の無気力人間にできるのは、それで精一杯。
「|黒絵《くろえ》ちゃんは頑張ったら何でもできるんだよ!」
あーもううるさい。誰かの言葉が頭の中にフラッシュバックして、頭痛とめまいに襲われる。なんなんだよ、なんでもって。頑張ったら?どれだけ?あーもうクソが、知らねぇよ。
別に何をしたいとかない。夢も見ていないし、未来なんてない。感情なんてもう捨てたはずだ。もう無理だ、限界だ。ああもうっと、パソコンを叩きつけた。生きることさえ、もう鬱陶しくて面倒くさい。ましてや、学校で人のことを考えるなんて、損しかないんだ。
ああ、もう2時か。自己嫌悪に陥っているのに、もう3時間か。ああもう面倒くさい、何もかも。母ももう見捨てりゃいいのに。
ゲームのキャラが喋っていた。生き生きとしていた。未来に向かって頑張ろうとしていた。夢を見ていた。希望に満ちていた。
…わたしは?
いや、比較対象が悪いんだ。こんな能力持ちと比べても、何もならない。自己嫌悪にいっそう陥るだけ。
なんで学校に行っていないのか、最近よくわからなくなってきていた。こんなろくでなしに居場所はないし、学校は綺麗事ばかりだし、勉強は嫌いだし、関係は面倒くさいし。
あーもう、なんでこんなところにいるんだろ。早くいなくなったほうが、きっとマシなはずなのに、さ。
またパソコンを叩きつける。生命線だとか言っていたのが馬鹿みたいで、壊してやりたかった。だが、ゲームができなくなるのは嫌だった。
もう嫌だ、嫌だ、嫌だ。
わたしは何になる?わたしは誰のためになっている?
こんなろくでなしに、何を期待しているんだよ?
コンピューターペンシル
自分の部屋に籠る。棚から漫画を取り出し、ページを開く。もう何周したかわからないコマをながめ、ふふっと笑う。
わたしは父譲りで、漫画『ドラえもん』が好きだ。藤子・F・不二雄先生が書いた、|SF《すこしふしぎ》な世界。ろくでもない未来を迎えることになる野比のび太を、未来・22世紀から来たネコ型ロボットのドラえもんが、ひみつ道具を使って助ける物語。
ひみつ道具ひとつひとつが、すごく面白い。時々「なんでこんなのが有るんだよ!」と突っ込みたくなったり、「これ、マジでほしいなぁ…」と思ったりする。勿論、1番好きなのはドラえもんだ。
それと同時に、この『ドラえもん』45巻と大長編すべては、父の形見でもあった。父は2年前、癌により他界した。母はあまり良く知らず、友達にも『ドラえもん』ファンはいない。一度でいいから、ファンと一緒にずっと『ドラえもん』を語っていたい。あわよくば、父と。
一話読み終え、わたしは漫画を閉じた。さて、宿題でもしようか。そう思い、わたしは机の上に目をやった。
「は?」
思わず声が出る。
そこには、白い布があった。
半円の形になった、ポケット。
ずっと夢見ていた、『《《四次元ポケット》》』みたいだ。
漫画を丁寧に棚にしまい、机の方に行く。手触りは普通の布より、少しだけ質感が違う。匂いはない。
中に手を入れてみると、布に当たる感触がなかった。ただ、鉛筆のようなものが当たった。取り出すと、ピンク色に緑と黄色の修飾がついた鉛筆。
何度見たことか。ひみつ道具の中でも有名な、『コンピューターペンシル』ではないか。
『コンピューターペンシル』。自動で宿題や勉強を、すらすらと解いてくれる鉛筆。確か、漫画では最後にジャイアンに取られて、ジャイアンの父に疑われて返されるんだっけ。
「え…?」
学生なら誰しもが夢見る『コンピューターペンシル』。それを、わたしが手にしたのか?
握ってみて、テキストを開ける。『コンピューターペンシル』を握ってみる。すると、数学のテキストに黒が足されていき、意味のある数式になり、埋まっていく。
答えと照らし合わせると、確かに全問正解だった。
「どういうこと、どういうこと?」
理解しがたいその光景。今日は土曜日のはずだ。先程、TVアニメの『ドラえもん』を見てきた。さっきまでなかったのだ。
「え?」
誰かに話したら、漫画みたいに|誰か《ジャイアン》に取られてしまうのだろうか。そんな考えがよぎりながら、わたしは『コンピューターペンシル』を机の引き出しにしまった。もしかしたら『タイムマシン』があるかもしれないという淡い期待は、あっという間に茶色い板がぶった切った。
まあ、難問が出たら『コンピューターペンシル』に教えてもらおう。そう思いながら、わたしは緑の何の変哲もない鉛筆を手にした。
需要?何それ??
友情カプセル
あれから『四次元ポケット』らしきものは消滅していた。机の上に置きっぱにしてあったのが悪かったんだろう。でも、『コンピューターペンシル』は確かにある。それなら、もっと『四次元ポケット』に手を入れておけば良かった。
「|玉季《たまき》、大丈夫?」
あ、と言う。そうだ、目の前には友達の|月本陽丸《つきもとひまる》がいるのだ。すっかり忘れていた。
「いや、全然」
『コンピューターペンシル』にふけっている暇はないのだ。わたしはコンソメ味のポテトチップスに手をのばし、口へと運ぶ。
「なんか、ずっとぼーっとしてるじゃん」
「そんなことないよ」
『コンピューターペンシル』と『四次元ポケット』への後悔なんて…。
ある。
土曜日の4時半。あ、そろそろ『ドラえもん』が始まる。
「じゃ、そろそろ解散する?」
3時からいるから、頃合いとしてはいいところだ。
そう言うと、「よっこいしょ」と陽丸は帰っていった。
---
ちゃんと『ドラえもん』をリアタイして、自室に向かう。
「また有るっ!」
1週間前と同じ、白い布。『四次元ポケット』のようだ。わたしは早速手を入れた。いくら探ってみても、小さめの何かとコントローラーらしきものしか見当たらない。ああ、1週間ごとに1つしかもらえないのか。取り出すと、黄色いコントローラーと、ピンクのハート型のカプセル。『友情カプセル』と『コントローラー』。
「ああ…」
陽丸との関係の悩み事が災いしたのか、友情関係に関するものだった。陽丸以外に、友達は皆無に等しい。『友情カプセル』を相手につけると、強制的に『コントローラー』で管理ができる。一種の洗脳アイテム。漫画では、スネ夫が『友情カプセル』でドラえもんを仲間にしていた。
まあ、気になる女子に|春野恵那《はるのえな》がいる。いつも笑っていて、明るい子。わたしには不釣り合いだと思っていたが、『友情カプセル』を使えば…?
…いや、やめておこう。なんだか悲惨な目に遭う気がする。実際、漫画でもそうなっていたのだから。春野さんとは不釣り合いなままでいく。それがわたしなのだから。
…まあ、『友情カプセル』を貼り付けるだけ貼り付けといたらいいかも、しれないけれど?
流行性ネコシャクシビールス
『ねねね、聞いたー?|野田《のだ》さん、 『ドラえもん』が好きなんだって!』
『ね、クールっぽくて意外だよね〜!』
聞こえてるのに、女子らはギャアギャア騒ぐ。耳にグサリグサリと突き刺さる甲高い声。数日前のことなのに忘れられない。
事の発端は、前に陽丸が来たこと。陽丸は、「玉季のとこ、『ドラえもん』がい〜っぱいあって、すっごいおしゃれなんだよね!」と言った。その1番はじめあたりのところだけが、うまい具合に切り取られ、言われ、今に至る。
馬鹿にした?何?馬鹿にしてないよね?
何も悪くない。好きなものを好きって言って何が悪い。ああいうやつは本当に嫌いだ。そのくせ、あいつらが好きなものを否定するかしたら、容赦なく敵に回す。
そう思いながら、『ドラえもん』を見る。ああ、やっぱりいい。流行ったのが前とはいえ、今も色褪せない面白さ。
リビングから離れ、部屋に入る。3度目の白い『四次元ポケット』。正確には、『四次元ポケット』《《らしきもの》》。
手を突っ込む。なんか、ガラスみたいだ。コルクもある。わたしは最早、この『四次元ポケット』をお告げのようにしていた。こうすれば、貴方は何かを考えるから。
出してみると、緑色の粉末だった。実験道具に近い。食塩やミョウバンの類だ。『流行性ネコシャクシビールス』だろうか?確か、この粉末を流行らせたいものを言いながら、風に乗せてばらまくと、あっという間に流行るんだっけ?
「やってみよっ」
こうすることで、『ドラえもん』ファンが増える。甲高い声の女子軍団も、きっとオロオロするだろう。え、なんで。野田さんに言ったばっかなのにぃ。そうなると、自然と少しにやりと口角が上がった。
「『ドラえもん』、『ドラえもん』」
翌日、風に乗って、黄緑はふわりふわりといってしまう。もう最早色は認知できなかった。
---
「あ、野田さん!おはよ!ね、一昨日の『ドラえもん』見た?」
この間のことはなかったかのように、月曜日開口一番言ってきた。
「うん」
ああ、やっぱり。流行りは、人間関係、過去の関係もリセットして、都合のいいように改変されてしまう。はやりに乗るために、嘘をつく。彼女がいくら歴が浅いとはいえ、あまり知識は持ち合わせていないはずだ。
心のなかで、毒づいた。まあ、一日しか持たないのだが。
超主人公
しょせん、わたしは脇役なのだが。
「ほら、ストラ!」
ストラ・サポーティ。それがわたしの名前だ。
「あ、待ってよ」
ただの、|回復役《ヒーラー》の、魔法使い。だが、エクス・プロタの親友という、絶大なポテンシャルがある。
エクスは、類まれな才能を持つ|攻撃役《アタッカー》の剣士。美しい金髪をツインテールに結い、紺色のマントをなびかせる彼女。彼女はこの世界を脅かす、深い紫色の汚れた髪をふたつにした|魔王《ラスボス》を倒したのだ。
「早く!」
頑張って、魔王を倒した彼女は、まさしく《《主人公》》に相応しい。
IQ・フィジカル・人脈・ルックス、すべてを兼ね備えた女。切れる頭で戦略を立て、その行動力で敵を倒して味方を救い、人脈で人を助け、その美しい容姿は人々を魅了する。
ここまで揃っていると、最早怖い、恐ろしいまである。
|最高《サイコ》にキラキラしている彼女は、人々の憧れの的だ。しょっちゅう成功物語を語り、少々ヤンチャをする。その姿さえ、人々を救う。
「あたしさぁ、あの歌嫌いなんだよね。刺さんなくなっちゃってさぁ」
あの歌、とは弱者を歌った歌。とんでもなく刺さる、共感できると話題のやつだ。
「そうなんだ」
「スライムとかさ、今までどんだけ倒してきたわけ?もうウンザリだよ。ま、上目指しすぎたからかなっ?」
昔は、スライムにも共感を持てたはずだった。彼女のレベルは、もう0が幾つついているか不明だ。
「みんな、あたしになりたがってんでしょ?だから、あたしを邪魔する|奴《モブ》らはこっそり消したいわけ!」
それが彼女の持論だ。
「あたしのこと好きでしょ?」
彼女は、一方的な愛を押し付ける。
「あたしのこの行動、すごいでしょ?」
彼女は、「YES」という人を集める。
「あたしのやること、正しいでしょ?」
彼女は、エゴを正当化する。
彼女は、
「あたし、なんかみんな怯えてるなーって思うんだよね。あーもう面倒くさい、邪魔する|奴《モブ》ら、ごっそり消して、根絶やしにしたいわぁ」
「君、変わっちゃったね…」
ここは、黒い洞窟の中。ここがエクスにとって、過ごしやすいらしい。
「いた!」
「本当!?」
「え?」
入口のほうで、何か聞こえた。
「《《魔王》》、覚悟!」
「違うよ、あたしは____」
振りかざす剣。赤い服にも、紺色のマントにも、美しい金髪にも、鮮やかな赤の雫。
「やった、倒せた!」
「待って、まだ味方残ってんじゃん!」
「ちょっとっ…」
わたしの方にも、振りかざす。白銀に輝く剣に、怯えるわたしが映る。
彼女は、
「これで、魔王討伐!」
世界を滅ぼ《《した》》。
ピノキオピー 様の、「超主人公」です。