有名作品の夢小説・二次創作
短編カフェ内の作品の二次創作
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目次
桃色の鳥
参加させていただきます
こちら、ハイキューの日向翔陽の夢小説となります
永遠に女主人公目線です
ざっと内容を言えば、主人公の一目惚れの話です
大きな茶色の目、ふわふわとしたオレンジの髪。小柄だけど、ものすごい跳躍力を持ってる男の子。
...日向翔陽。彼は“小さな巨人を彷彿”とさせる。
昔から、バレーボールが好きで、大会を見たり自分でやってみたりしていた。その好きをつき貫く内に自然と“小さな巨人”がいたという鳥野高校へ入学していた。
そこで出会った。出会ったと言ってもただ、練習を見ただけだった。
けど、私が彼に惹かれたのは言うまでもない。
---
ボールの振動が床に響く。男子の声が飛び交う。やがて、どこからか大きく何かが跳ねる音がして、誰かの声援が聞こえる。
私はその音に釣られるようにして、体育館へ足を運ぶ。
ガヤガヤと賑やかな声に目を向ければ、複数の男子生徒たちによる部活の風景がある。
皆、休憩中なのか友人と話をしたり、次の相手との作戦会議だったり十人十色に時間を過ごす中、大きな茶色の瞳にふわふわとしたオレンジの髪の少年と目があった。
日向翔陽だった。彼は私を数秒じっと見つめたかと思うと、すぐに微笑んで手を振った。
私も手を振り替えそうとした時、練習を再開する笛の音が鳴った。
また、ボールの振動が響く。でも、今度は黒髪の男の子が日向翔陽に何か合図したかと思うと、高く跳んだボールより少し遅れて彼も大きく跳んだ。
あの小柄な身体では想像できないくらいとてつもないジャンプだった。そして、彼の手がボールに触れて、相手側に風を切るようにしてボールが床に叩きつけられた。
...“小さな巨人”。
彼のその姿を見て、瞬時を重ねたある選手の姿。
「...カッコいい」
私は一度、そう呟いた。
試合はやがて終わり、彼は片手でボールを持とうとして、落とした。
「あーっ!!!」と声を出して、ころころと転がるボールを追う。それは私の方向へ。
彼がそのボールを拾う前に私はそのボールを拾った。
「はい」、と差し出すと彼は太陽みたいに明るく笑って「ありがとう」と言った。
その笑顔が今も脳裏に焼きついて離れない。ずっと考えていると心が暖かくなってぽかぽかする。
そこで自覚した。
--- 私は、彼に一目惚れをしてしまったのだ。 ---
私を仲間と呼んでくれますか
リクエストがあったので、それの消化です
【主人公】
⚪︎明るく元気な女の子
⚪︎照れ屋で褒められるのが苦手。褒められると真っ赤になりそっぽをむく
⚪︎すごく顔が整っており、可愛い系の美人。
⚪︎自分の家柄が嫌で家を飛び出た。
事前に主人公指定がありましたが、そこそこ情報を拾ってうまく読み手に当てはめれたらなと考えております。
ワンピース、ルフィの夢小説です。大変失礼ですが、にわかですのでご了承下さい
「海賊王に、おれはなりたいッ!」
フーシャ村にそんな声が木霊した。歳は8歳くらいの男の子はそう言って、元気に笑ってみせた。
モンキー・D・ルフィ...後に〖麦わらのルフィ〗と異名つく男である。
私...#主人公#はその男の子の擦り傷を手当てしながら、話す。
「海賊王なんて、どうしてなりたいの?」
「.........ええっと.........」
「...いいね、その夢。ガープさんは怒るだろうけれど...私は素敵だと思う」
「ほんとか!?#主人公#!!だったら、#主人公#...」
その言葉が途切れる。ふと、ルフィの視線が私の上にいく。振りかえれば、コワモテだがガタイの良い老人の姿がある。
「じっ、じいちゃん...」
ルフィにしては珍しく怖じけついた声色で彼は私の背中の後ろに隠れた。
その老人はこちらに一瞥くれると、ゆっくりと私の背中の後ろに手を伸ばして、ルフィを掴んだ。
その瞬間、ぐんと彼の体を持ち上げてそのままひきづっていった。無論、彼も暴れたり叫んだりしているがお構い無しである。
私は少し羨ましいといつも思う。暴力はいささかどうかとは思うが、怒ってくれるのは愛されているからこそなのではないかと思う。ただ、何にしろ家柄を嫌がって出てきた身としては無い物ねだりだ。
---
「ルフィが...麦わらの一味がまたやったって!」
そんな声が酒場に響く。その声は興奮げに話す村民からだ。
ルフィが海賊になって、それから色々と動き始めた。王下七武海が倒されたとか、大監獄から脱走したとか、舞い込んでくるルフィの成功。皆、嬉しそうに彼の成功、あがっていく賞金額について情報を掴んでは思い出話をするのが好きだった。
「懸賞金、30億ベリーだって!」
「ええ?4億ベリーじゃなかったかい?」
「最新の情報、見たかよ!?」
「四皇も倒したらしいぞ!」
皆、口々にルフィが、ルフィがと言う。それを聞いて無事を確認して安堵する自分がいる。
「おい、聞いてくれよ!ルフィが...」
「帰ってくるって!!」
それを聞いて、皆が目の玉を飛び出すほど驚いたのは言うまでもない。
嘘だろう、とかどこかの商人のデマでも拾ってきたのでは、とか言うものの彼はやってきた。
モンキー・D・ルフィは、帰ってきた。
---
すらっとした背格好、ボロボロになったが大切にされたことがよく分かる麦わら帽子、昔と変わらない元気いっぱいの笑顔。
確かにそこに彼はいた。
「#主人公#!」
彼は目を輝かせて私に駆け寄る。後ろには仲間と思わしき鹿のような子や橙色の髪の綺麗な女性、変わった眉の金髪男性、様々な人がいる。
ルフィは私の手を掴んで、あの時の言葉の続きを言う。顔が赤くなるのを感じる。
「#主人公#、仲間になってくれ!」
それが|仲間《なかま》から、|仲間《こいびと》になるのはそう遠くない話。
嘘吐きの遺却
リクエストのものです
バッドエンドの星のカービィ小説とのことですが、カービィが可哀想(個人の意見)なのでバッドエンド気味(モヤモヤ)です
星のカービィwiiデラックスのネタバレを含みます
時間軸はアナザーディメンションのエンド後
詳細は全キャラクターがアナザーディメンション後→マホロアエピローグ後→(カービィハンターズ後)→マホロアランド(今ここ)
つまり、マホロアが消滅?直後のマホロアエピローグからカービィハンターズの店主から何らかの方法でマホロアランドにてプププランドへ戻ってきたということです(星のカービィWiiリメイクのマホロアランドをどうにか本編のマホロアと同一にしたいだけ)
永遠にカービィ視点。カービィの一人称等を『自分』
特徴的な青と白のファンシーな洋服、茶黒い肌に細く丸い黄色の瞳、小さいが空中に浮いている身体。それが背後のお城の大きさと相まって、酷く小さく見える。
この|彼《マホロア》は、誰なのだろう。そればかりカービィはとても大きなロリポップを持ちながら考えていた。
自分がスフィアを集めていても、自分がマスタークラウンによって|彼《マホロア》と闘っていてもここにいた。まるで、始めからそこにいたような雰囲気を纏っているが、そんなわけがないのだ。
しかし、カービィは一つ気づいたことがある。
この|彼《マホロア》は自分が以前、闘った|彼《マホロア》であって、別れた後の|彼《マホロア》なのではないか、と。
バンダナワドルディやデデデ大王、メタナイトは自分たちも闘ったくせに何も疑問に思わない。
それどころか、|彼《マホロア》が用意したアトラクションを楽しんでいる。
それがとても、悲しくて、切なくて、心苦しい。
始めて会った時、この倒したはずの|彼《マホロア》は平然とした顔で自分へ近づいて、挨拶をした。マホロアランドの支配人としての挨拶だとしても、それが「はじめまして」や「久しぶり」で片づいて良いはずがない。
それなのに、|彼《マホロア》は「はじめまして」と言った。
同じ旅人だった。友達だった。そして何より、|助けるべき存在《仲間》だった。
今の今まで積み上げてきた石が崩されていくような感じがした。
「はじめまして」ではなくて、恨み言や怒りの一つでも言ってくれれば良かった。
でも、何も言わなかった。言えなかったのかもしれない。
仮に彼が|彼《マホロア》なら、あの時のことを覚えているなら、きっと素直に謝らないだろう。
でも、それでも良かった。良かったはずなのに今の|彼《マホロア》が何も言わないということが分かるのが辛かった。
それでも、あの時の苦しそうな瞳と疲れが出ている自分が貰ったリンゴの味が忘れられない。
どうか、あの時の|彼《マホロア》に戻ってほしいと願わずにはいられない。
また友達になりたいと思う。けれど、きっと|彼《マホロア》は|彼《マホロア》ではないから難しいだろう。
それがとても、悲しくて、切なくて、心苦しい。
ロリポップを一口、齧る。そして、口の中に転がす。
あの時のリンゴと同じ甘さが、口の中に広がり続けた。
悩む角には福来たる
参加です。
エセ関西弁ですし、キャラクターは一人しかいませんが、それでもよろしければ。
パソコンのディスクトップには様々な記事が映し出されている。
それがあるゲームの配信記事であるが、共通しているのはかなり難しいミステリー系列のゲームということ。
そのゲームの記事を見ながらややクリーム色に薄い緑の瞳、かなり顔の整った若い男性は頭を掻きながら、あるいはしばらく考え込んだりしながら記事のサイトから少し大きめに映されたゲームをプレイしている。そして、おもむろに手を離して〖221B〗と名札された個室の扉から出ていった。
---
「あれ、日村さん。クリアできたんですか?」
重そうな本を数冊、抱えながら黒髪の青年が先程、個室から出た人物へ話しかける。
「いや...まだだよ。結構難しいみたいで、ひとまず休憩がてらにね」
「なるほど、お疲れ様です。休憩するのは良いですけど、夏休みに入って小さい子も漫画を読みに来たりするので、ぶつかったりしないように気をつけて下さいね」
「分かってるよ。涼くんは、それをどこに持ってくんだい?」
「ああ...子供たちがそのままにした本を元の場所へ戻そうかと。読書感想文でもあるのか、難しい本を借りる子もいるみたいで」
「へぇ...夏休みの宿題ってやつだ。とりあえずその作業、無事に終わるといいね」
「ええ、日村さんもゲームの方、解けると良いですね」
涼くん、と呼ばれた青年が日村さんと言う男性に踵を返して去っていく。
それを見送って近くにあった本を手に取った。パラパラと紙の捲る音だけが辺りに響く。
暫くして、その音を止めると棚へ本を戻し、陳列された棚の森を歩き始めた。
そこから30分経って、ベストセラー小説が並べられた棚へ来た頃、後ろから何かがぶつかった感触がした。
「うわっ」
「なんやっ?」
特徴的な瞳に四つ葉のクローバーを頭に飾った背の低い小学生高学年くらいの女の子だった。
おそらく、宿題のテーマにする本でも探していたのだろう。
「わ、ほんまにすんまへん!」
「ああ、いや...こっちこそ気づかなくて申し訳ない」
反射的に謝った彼女に腰を屈めて、言葉を投げ掛けた。
「君は読書感想文のテーマを探してるのかな?」
「お、せやで。兄ちゃんは何探しとん?」
「私は、ただの気分転換だね。君、名前は?」
「.........」
日村がそう聞けば、少しむっとした顔でこちらを見る彼女。
まるで、文句でもあるような顔を察したのか先に日村が続けた。
「私は日村修だよ。ここに滞在している」
「...!...うち、木翡四葉や!」
「木翡さんか。素敵な名前だね」
「おおきに!読書感想文のテーマが見つからんなんて、どうして分かったん?」
「なんとなく、そう思っただけだよ。君が浮かない顔をしていたから」
「兄ちゃんの方が浮けへん顔をしてるように見えるで?」
「へぇ、そうかい。観察力がいいね」
「ありがとさん。そや!うち、幸運をもたらす程度の能力を持っとるん!」
「...能力?」
能力。ああ、子供の言うことなのだから、そういうことなのだろう。
なんとなく、悪い意味ではなくその純粋さが微笑ましく思う。
「そりゃあ、素晴らしいね。私は少し悩んでることがあるから、その悩みが解決できるようにしてもらおうかな」
「かめへんで!ここで会うたんもなんぞの縁やさけ!」
「あ~...ああ、それは...ありがとう」
おそらく、かけてくれるのだろう。
四葉は何か目を閉じて祈ったかと思うと、すぐに目を開け、口も開いた。
「かけたで!その悩み、ええ方向へ傾くとええな!」
「...それは...えっと、なんだか良くなりそうだね。かけてくれて、有り難う」
「かめへん!かめへん!ほな、宿題があるさけ、もう行くな!またな!」
「またね。気をつけて帰るんだよ」
また、去っていく人を見送る。気分転換も上々である。
これ幸いと、個室に戻りパソコンへ向かうと、先程まで解けなかった問題やステージがすらすらと簡単に解けるようになっていた。
あの女の子の言う能力なのか、それとも自分の努力なのか定かではないが...きっとあの女の子の力なのだろうと結論づけてキーボードを打つ手を動かし続けた。
やがて、そのゲームをクリアした頃に和戸涼...涼くんが職場の人から貰ったと、マカロンを差し入れしてきた。
そのマカロンを口の中で溶かしながら、何故だか、今日はとても有意義な良い日だったと思わずにはいられなかった。
星の羽ばたき
一応、原作やってるタイプなので所々専門用語を知らずのうちに使っているかもしれません。
正直に言うと王子生まれなのでそこぐらいのオープニングの始まり方しか知りません。
そして、生まれた。
柔らかい砂の上に硬い陶器のような身体を埋めて、初めて見る景色をしかと黄色い瞳に焼きつける。
初めて“砂”を踏みしめる感触、涼しげな少し強めの風、眩しい朝日のような光、そして手に突如として現れる赤く心強いたった一本のキャンドル。
ゆっくりと確実に歩き、周りにその赤いキャンドルが生えているかのように置かれた数本、数本に火を灯していく。
やがて、その火が全体に燃え移り、洞窟のような空間の黒い岩壁に白く何らかの物語が描かれる。
そしてそこで、ようやく自覚する。
とても大層な使命を抱えていることを確認し、再び他のキャンドルに火を灯していった。
物語を、自分の使命を、粗方理解し始めた頃、初めて水に触れて少し心が踊っていた頃に遠くで自分の瞳のように黄色く輝く人の形を模した誰かがいるのに気づいた。
その誰かは私に手を差し伸べると、すぐに姿を消し、私の中に吸い込まれていった。
暖かな感覚に包まれながら、自分の前に立つ大きな壁に気づく。
跳んでも越えられそうにはない。
どうするべきかと悩んでいると、先程の輝く誰かが何か助言をしたような気がした。
それに素直に従って自分の身体を浮かすように跳ぶように跳ねると、すぐに自分の身体が浮遊し鳥のように飛ぶことができた。
あの誰かは私の“羽”になったようだった。
更に進んでいき、青白く発光する人と会った。それは何も喋らず、うずくまるような姿勢で何かを憂いているようだった。目の前の薄い壁は通れず仕方なく、その人物に近づく。
その人物を慰めようとして、赤いキャンドルが触れてしまった。その瞬間、それは高く飛び上がり移動したかと思うと複数人で何かをしているような思い出...記憶、が流れる。
それは決して私の記憶ではなく、その人物の記憶で何やら空を飛ぶ舟を作っているようだった。
最後の記憶が流れ、人物は化石のように黒い石を纏い俯く。また火を灯すとその人物がお礼を言って、薄い壁の先の神殿のようなものを指差した。
また初めての草花を踏みしめる。良い香りが辺りに充満していた。
神殿のような場所には白い鳥が描かれた大きな扉に両脇に赤いキャンドルの祭壇が一つ。
祭壇に火を灯せば、すぐに扉が開き、大きな墓のようなものに新しく白いキャンドルが神聖な雰囲気で並べられている。
火を灯し、座禅を組む。たったそれだけのことが自分のいる場所が大きく変わり、青く暗い空に背格好の大きい老人が杖に火を差し出すよう促す。
促されるまま、火を灯すと老人の周りに白い鳥が飛び回り、老人が杖で指した方向へ鳥が羽ばたいていった。
まるで、その先へ進めと教えられているようだった。
目が醒めると、神聖な空間に更に強い光が射し込んだ。奥の扉が開かれ、白い雲と青い空の先に緑の大地があった。
ここから私の物語が、使命が始まるのだと心が踊った。
一歩を踏み出して飛んだばかりの羽を大きく動かし、私は羽ばたいた。
仮の苦悩
なんとなくカービィの二次創作が書きたくなったので...永遠にカービィ目線です。
内容は今まで倒してきた敵をもし、殺していたら?と考える話。
どちらかというと、角川つばさ文庫版のカービィですね。
一応、ハッピーエンドです。
ハルトマン、セクトニア、マホロア...様々な人をこの手で倒してきた。
それが良いことだったのか、悪いことだったのかなんて分からないけれど少なくとも、皆が喜んでくれた。
でも、皆が笑ってボクを祝う度に口には出さないけど、思うことがあった。
ボクが倒した後の皆は、どこに行くんだろうって。
今までは考えもしなかった。それがマホロアの一件で考えるきっかけになった。
赤くて円いリンゴを託してどこかへ消えたのを何度も何度も、ポップスター中を全て探し回るくらい探した。
いなくなったのが信じられなくて、ずっと一人で誰にも見られないように泣いていた。
やがて、もう戻って来ないという結論に辿りついた。今までは倒したら皆戻ってきたりしていた。
それがなくなった一つの変化だった。
それを考えて、倒した人たちを振り替えるとマホロアのように戻ってもこない人もたくさん、たくさんいた。
悲しくて、寂しくて、どうにも晴れない気持ちと罪悪感に押し潰されそうだった。
もし、ボクが今まで倒した人が目を覚まさなかったら?
もし、ボクが今まで倒した人が戻ってこなかったら?
もし、ボクが今まで倒した人が...死んでいるとしたら?
それは、ボクが殺したことになるのだろうか。
すがるような思いで星の夢を語るハルトマン、己の美に絶大な自信をもって醜さを嫌悪するセクトニア、ボクらを騙してまで目的を果たしたかったマホロア。
ハルトマンにはスージーがいて、セクトニアにはタランザがいて、マホロアは...きっと、ローアがいた。
デデデ大王だって、あんななりだけどワドルディたちからは厚い信頼を寄せられている。
ボクが倒した後の皆。残された皆。彼等は何を思ったんだろう。
悲しかったのだろうか。寂しかったのだろうか。それとも、ボクを恨んでいたのだろうか。
でも、皆はボクを感謝して褒め称えてくれる。きっと、良いことなんだろう。
それでも納得がいかないのは事実だから、それとなくメタナイトに聞いてみた。
経験豊富そうで、ボクらの中で大人なメタナイトだから良い答えをくれると思っていた。
でも、答えは、
「分からない。それを以て、どう思うかはその人次第だろう」
身体を羽のようなマントに隠したまま、仮面の中に黄色い瞳を光らせていつもと同じ冷たいけど暖かい声でそう言った。
そんな答えが欲しいわけじゃなかった。曖昧じゃなくて、はっきりとした答えが欲しかった。
やっぱり納得がいかなくて、デデデ大王のところへ駆け込んだ。
唐突にやってきたボクに少し驚いたような顔をしたけど、ちょっと考えて口を開いた。
「そんなもん、考えたことなかったぞ。なんで、そんなこと聞くんだよ?」
質問に質問で返された。ボクも口を開いた。
「だって、ボクらが倒した人たちの中で何人かは戻ってこないんだよ?!」
「そうだとしたって、それを考えても何にもならないだろ」
確かにその通りだ。けど、
「あのな、そう考えるのは別に悪いことじゃない。けど、倒さなかったら倒さなかったでアイツらのせいで滅茶苦茶になってたかもしれないだろ?」
「...でも...」
「確かに戻ってこないのは悲しいし、寂しい。でも何かが原因で戻ってこない可能性だってあるだろ。例えば...全員、大きなパフェを食い続けてるとかよ」
それは羨ましい。けど、そうじゃない。
「......お前は正しいことをしてるんだよ。だから皆、お前を褒め称える。どんなに大切な人でも悪いことをしたのは事実だ。殺したとか、倒したんじゃなく正しい行いができるように注意したと思えばいい。それにお前らしくないんだよ」
続けて言った。
「お前は、お前らしく美味いもん食って、寝て、笑って、戦ってればいい。それが《《星のカービィ》》だろ?」
そう聞いて、靄のような何かが晴れたような気がした。
自分らしく生きて、自分らしさを貫く。
それでいい。
それが、| ボ ク 《星のカービィ》だから。
個人的にはボスの中でハルトマンが一番可哀想かなと思いますね。
セクトニア(あの子)は美に囚われすぎた。マホロアは力に溺れた。ハルトマンは最愛の娘を探す為に人工知能に望みを賭けた結果、悲惨な末路を辿った。
黒い任天堂ですよ、本当に。それを考えるとディスカバリーは珍しくハッピーエンドですね。
なんですか?本編がマホカビっぽいって?悪いね、好きなんだよ。
趣味の話だけど、食べられないパンはなんだ?と聞いてマルクの靴という返答に対し、マルクが自分の足を食べて、だらだらと血を流しているイラストが好きです。pixivにあった。
ドラえもんもどっかで書きたいね、鬱だけど。
⦅ 堕 落 ⦆
う~ん...粗方キャラクターを明白にして起こしたはいいものの、納得いかず...。
色々と調べましたが、やはり難しいと感じたので、第三者視点で、面白そうだしマーファさんに殺害されるストーリーで良いのでは?となりましたので、今回書き起こさせて貰いました。
場面としては〖マーダラたちのアセンブリー〗のプロローグにて亡くなった男性です。
普通に口調に関しては自信がなかったのでないです。
世界観的に主要キャラクターだけが人外なのか?はたまた全員なのか?...不明だったので分かりやすく前者の設定にしました。
作中で刺されているのは頭だけですが、残虐性が欲しかったので背中等も刺しています。
殺し屋ならスムーズに事を済ませたいとは思いますがご了承下さい。
お目汚しでしたら、申し訳ない限りです。
人気のない路地を一人の男が逃げるように走っていく。
その男性の後ろを余裕そうに嘲笑う人物が追っていた。
何故、奇妙なものに追われているのかも分からないし、何故、自分が危険な状態であるのかも分からない。
そもそも、追っているものが“人”なのかすらも定かではない。
遠目から見ては確かに人に見えた。しかし、改めて見るとどうだろうか。
その瞳はいやに光っていて人とは思えないし、雰囲気的にもどこか異質だ。
だが、それがどこか美しさを感じざるを得ない。まるで、《《元は光だった》》かのように。
そんなことを考えながら走っていると息の乱れが目立つようになった。
息の乱れを回復させようと足を一瞬、止めた瞬間に両足首に熱い感覚が走る。
すぐ鋭い痛みと両足から感覚がなくなるようなものを感じ、その場にうつ伏せで倒れる。
足音が響き、焦りが募る。明らかに近づいてきている。何で足首を切られたのだろうか。
一体、何で?...そう考えている内に背中に|ソレ《マーラ》の足が乗りうつ伏せの体制を維持する結果になる。
そして、両足首と同様に背中に熱い感覚が走り、今度は何かが抜けていくような感覚に陥る。
頭の中がふわふわと夢見心地になったかと思うと熱く鋭い痛みが背中や腕、太股に広がっていく。
身体中から液体のようなものが抜け出ていく感覚で終わるかと思われたが、突如として頭に強く激しい痛みが走った。
呻くような、絶叫するような声で叫び頭に突き立てられた何かを抜こうと必至になってもがいた。
もがき続けても効果はなく、更に強く大きな力で押し込まれた。
そのまま、それが滑って背中へ到達した途端に背中が大きく裂かれるような痛みに襲われる。
その痛みが引かない内に突き立てられた何かが勢いよく抜かれ、路地裏の壁に向かって身体を投げ飛ばされた。
刺された痛みと投げ飛ばされた衝撃の痛みがひどく刺さる。
投げ飛ばした人物とは言えばと、よく手入れのされたナイフを持ちながら厳かな雰囲気のある様子で鼻歌を歌っている。
その血に濡れた姿に天使のような...いや、堕天使のような美しさを持って、それに藁にもすがる思いで手をゆっくりと動かして今にも途切れそうな声を口にした。
ミルクティ様、お誕生日おめでとうございます。
多種多様な人外のキャラクター達がとても好きです。
お読みいただけたのなら幸いです。
譚狸隊軍露日
軍人さんが一列に何人も連なって、ロボットみたいに同じ歩き方をしている。
お腹を空かせてその近くをうずくまっていると、不意に将校の一人に見つかった。
その男性が私の尻尾を持って「腹が減ってるのか。そら、喰え」と懐から握り飯を差し出した。
その握り飯のなんと美味いことか。稼ぎに行っても戦争ばかりで物は少なく、米などの穀物は全て政府が押収している。満足に贅沢もできないのだ。
その中で、こんな握り飯にありつけるなどなんて幸せなことだろうか。
「...おぅい、なに狸に飯なんか...おお、美味そうに食ってるな」
「だろ?戦争続きで動物もまともに食事にありつけてないんだろう、可哀想なことだ」
「全くだ。...この狸が私達に化けてでもくれるといいんだがな」
「なんだ、そりゃ...お前はこの狸が妖怪とでも_」
「xxxx!xxxx!船が出ます!」
「おい、急げ!」
握り飯を食べていた最中、船が出ることを告げられ二人の将校が急ぐ。
その内の一人のポケットに入るようにして小豆に化けるとそのままついていくことができた。
---
口の周りに米粒をつけながら、甲板で情報を収集する。
まず、これは露西亜へ行く艦船で増援の為に駆けつけたそうだ。
それが分かればやることは一つ。動物は恩義に素直である。
「おい、貴様!甲板でなに油を売っているんだ!」
「申し訳ありません!」
男の声色でそう言って、すぐに近くで召集をかけていた軍人さんの近くへ急いで立つ。
何やらラジオを聞いているようでアンテナを調整する人の手が揺れる。
やがて、しっかりとした電波を受信したのか、ノイズ混じりの声が聞こえた。
「...す、1905年9月1日...が、......して......天皇陛下......」
何を言っているかは定かではないが、人間のことだからあのテンノウヘイカとやらを称えているのだろう。盲目的な宗教の、洗脳のようだと常々思う。
ふと、周りを見るとラジオに向かって全員が綺麗にお辞儀をして中には涙を流しているものもいた。
誰もが、その偶像を信じきっていた。
---
「何故貴様は___!」
ラジオを聞き終わった後にガタイの良い一人の男性に頬を殴られた。
驚いたが、周りを見ると姿勢を崩すことのなく一列に真っ直ぐに前を向いて並ぶ。
やはり、ロボットのようだと思うほかなかった。
そこから鞭のようなもので何度か叱咤を受けたが、誰も助けようとはしなかった。
それが当たり前であるから、完璧に化ける為にその光景をとくと瞳に焼きつけた。
---
ごとん、ごとん、ごとん。ごとん、ごとん、ごとん。
鉄道の車両に揺られながら、時折ぽっぽーと鳩のような音がした。
鉄道など|鉄道員《ぽっぽや》のおじちゃんや黒い煙を吐く怪物としか知らなかったから中が異世界のような豪華で鉄の塊だとは知らなかった。
「なんだ、お前...初めて汽車に乗ったような顔をして......その顔、引き締めろよ」
「ああ、分かってる...」
笑いながら、背中をぽんと叩かれる。周りは先程のが嘘のように楽しそうに笑い、言葉を交わす同期の風景。どれも中高年の青年ばかりで、それがずっと続けばいいと密かに願った。
---
人が焼けたような匂いがする。血の匂いも、火薬の匂いも、全てが地獄のような景色を表すように物語っていた。
悲鳴は聞こえない。聞こえるのはボルトアクション式小銃の三十年式小銃の銃弾と肉が潰れるような音だけだった。
袋に入った小銃と弾薬120発あまりのものとガスマスク、水筒、|手榴弾《パイナップル》、鉄帽と擬装用網、軍服上下、予備の靴一足、そして配給鉄剤が4袋と米6キロの中で手榴弾を取り出して、安全ピンを外して味方軍の後方から迫る敵軍を散らした。
宙に瞳に光のない欧米人の生首やもげた手足、日本人と色の変わらない赤い血が踊るように舞った。
その光景をいやに惹かれて見ていると近くで死体を何やらぐちゃぐちゃと手足や胴体に切り分け、喰おうとしている同僚が目に止まった。
「そこ!何してる?!」
誰かが顔をあげ、その同僚へ怒号を投げた。すぐに後ろから頭へ何かが暴れるような音がしたかと思うと地に倒れたような音がした。
その瞬間に物凄い轟音と火薬の匂いが充満した。そこに遺体を欠損させている同僚の姿はなく、周りにぶつぶつとした肉塊が広がっていた。
美しいというよりは、気味の悪さとこの世のものではない恐怖が背中に走った。
すぐに銃弾がこちらに向かって飛んだが、痛みよりも痒さが増した。
遠くで撃つ欧米人の顔が強張って、近くの同僚が黙っていた。
何をするでもなく、全員が私を見た。
ただ、私を見た。
化け物でも見たような顔で、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔だった。
黙ってもう一つの手榴弾を欧米人へ投げた。
すぐに再戦が始まった。
---
仲間とじゃれあうのも、
仲間と戦うのも、好きではあった。
ただ、一時の物事を忘れようとして鱗粉のように火薬を舞わせ、花のように黒い雲を咲かせて、音を響かせる。
それがどうにも、一刻一刻と時を刻む上で、ある程度の常識を保つ一つの手段でしかないのだろうと、恩義を返した後でも深々と重い浸る。
---
また、崩壊したこの場所で、
かつての同僚のような者とお互いに信じるものが違うのを信じて、
同じことを繰り返すのは人ではない私が理解しがたいせいか、
それとも、それが人の性とでも言うのか分からないが、
確かにそれは《《己の正義》》なのだろうか。
Tough cookie!
【譚狸隊軍露日】に続かない【人間らしい正義のカタチ】(すい 様)の二次創作になります。
全体的にダークで、どちらかというとこちらの趣味全開です。
「女ってのは、大変だな」
汗の滲んだタオルを見ながら、そう呟いた。
「だって、少女ってだけでサティロスとかいう化物を相手する機会があるんだろ?」
そこから続けて思ったことを口に出した。
隣で座る齢15歳もいっていなさそうな少女は神妙な顔をして、何も言わない。
自分と同じ年齢の女が、魔法少女なんて役柄を請け負って死んだって何も言わない。
自分のことじゃない。どうでもいい。そんなところだろう。
守られる側が正義のヒーロー様をどう思おうと、勝手な話だ。
「…アンタは、どう思うの?」
少女が話題を返した。ひどく面白がるような顔だった。
「別に。魔法少女って肩書きがある以上、男には関係ない。あんなヒラチャラ、男が着てみろよ。嫌だろ?」
「あたしはそういう話をしてるんじゃないけど」
「じゃあ、なんだよ」
「ただ、単に…女性が大変とか、そういう差別的なことじゃなくて…あの子達って、いつまで戦うんだろって、思って、それで…」
「そりゃあ、|サティロス《怪物》が皆死ぬまでだろ」
「…そのサティロスにも戦う理由があったら、どうするの?」
「はぁ?…売女なくせに、小難しいこと考えるんだな、お前」
「……アンタ、本当に…」
「ああ、悪かった、悪かったよ。その綺麗な顔、歪ませて怒らないでくれ」
首に手を回して抑えたつもりの腕が身体ごと突き飛ばされる。
どうやらダメらしい。気難しい女だと思うが、なんとなく加虐心に駆られた。
床に尻もちをついたまま、口を開く手前で激しい揺れと衝撃に襲われ、不意に上を向く。上に設置されたランプが外れて風を切るような音に思わず目を瞑る。
何か自分よりも小さい身体が入るような感覚と鈍い物音が瞼の奥で響いた。
やがて、うっすらと瞼を開き、腕の中で頭が切れた少女が目に入る。
先程の威勢はなく虚ろな瞳で身体も柔く愛しい唇も動こうとしない。
口の中で舌打ちが弾けた。急いで身体を起こして、腕の中の少女を丁寧に抱え込む。
荷物も置いて寝床とシャワーしかない部屋の扉を開けようとし、つんざくように耳に大きな爆発音が響いた。
その衝撃のせいか壊れた扉を蹴り破いて、部屋の外の惨状を目に映す。
遠くで古ぼけた軍服に身を包む狸のような化け物と、似たような軍服だが、真新しい深緑の短い髪をした少女が戦っている様子が見える。
|斗霧 芽衣《ミール・リーフェーズ》とかいう|正義のヒーロー様《魔法少女》に守ってもらえるなら、光栄なことだ。
運の良さにほくそ笑んで、滑るように建物から飛び出す。
周囲を見回して、少女の首筋に手を当てる。弱々しいが、確かに動いてはいる。
ズボンに手を突っ込んで携帯から言葉を向こうの相手にぶん殴った。
何も言わずに戦う目の前の魔法少女にこの時ばかりは感謝を述べようと考えた。
腕の中の少女や例の魔法少女然り、どちらもなんとなく、強い女性だという考えが現実的に冷えた脳の中で暖かく光のように駆け巡った。
Tough cookie = 強い女性
SFな幻影夢
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いつものように階段を駆けあがり、君の待つ自室へ僕は向かう。
そして、僕は君に泣きつくのだ。
青く空のような優しさに包まれながら、喉の奥に押し込んだ嗚咽を引っ張り出す。
それを君は花のように笑って頭を撫でながら僕に言葉を返す。
やがて、僕を宥めながらも白く常に膨らんだ腹部のポケットに手を突っ込んで、とても便利で空想的な夢のような道具を手渡してくる。
僕をその青い狸のような猫の君の話に首を縦に振りながら、道具を活用しようとする。
その話が終わった頃に僕は部屋を飛び出すように出ていく。
後ろで君の怒る声と、赤い首輪についた丸い鈴が響いた。
その変わり映えのない日常は僕に安楽をもたらし、幻想の渦へと呑み込まれてゆく。
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いつものように病室へ入り、貴方の待つ部屋へ私は向かう。
そして、私は起きない貴方に泣きつくのだ。
黄色い向日葵のような優しさに包まれながら、喉の奥に押し込んだ嗚咽を漏らす。
それを貴方は穏やかな寝顔で眠ったまま、決して私に言葉を返さない。
やがて、私を宥める医師が白く常に膨らんだ腰のポケットに手を突っ込んで、幾度となく言ってきたはずの言葉を伝えてくる。
私はその白い悪魔のような医師の話に首を横に振りながら、懸命に貴方へ言葉を投げ掛ける。
その言葉が薄く小さくなるにつれ、医師は逃げるように病室を出ていく。
正面に貴方の安らかな寝息と、隣に立ちっぱなしの機械が激しく鳴り響いた。
その変わり映えのない日常は私に苦痛をもたらし、現存の渦へと呑み込まれてゆく。
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⦅ 薫 陶 ⦆
※“ミルクティ 様”の〖マーダラたちのアセンブリー〗を元にした⦅ 堕 落 ⦆(二次創作)の続編に似た“マーファ・ルシファー 様”の視点になります。
(マーファ・ルシファー 様の設定等は改新版を元にしています)
本作品に置いての許可等は既に取得しております。
人気のない路地を一人の男がひどく怯えた表情で逃げるように走っていった。
深い霧のように惚けて動きの見えない頭の中は、悦楽を求めて自然と表情を歪ませる。
そんな頭の片隅で一つの|探し物《ルシィ》が顔を覗かせ、思い出したような焦燥感と不安感が襲い、呑まれてしまいそうになる。
早く見つけなければ、助けなければとそればかりの思考回路になりつつある頭についた瞳が獲物に目をつけた。
本能のまま衝動的に投げたナイフは男の足首を見事に掻っ切ったのか、上手いことに逃避手段を封じたようだった。
それにより増幅した喜びが獲物を追いながら路地の陰気臭い地面と、男の足首から漏れた真っ赤な血を踏みしめた。
倒れ込んだ獲物にたどり着いた瞬間に背中へナイフの刃を押し込んだと同時に顔へ血が飛び散った。
続けざまに腕や太腿へ刺さったナイフを頭の頂点へと突き刺した。
男の悲鳴により風船のように大きく膨れ上がった高ぶりを長く愉しむようにナイフを頭から背中を引き裂かんとばかりに力強く捌き、勢いよく抜いて男の身体を壁へと投げ飛ばす。
その瞬間に天にも昇る思いな程に弾けた感情の風船が悦楽を最大限に体現した。
それに釣られて、鼻歌を歌う俺に獲物が今にも途切れそうな声をゆっくりと絞り出した。
悦に浸っていた脳がゆっくりと本来の目的を思い出しては、|希望《ルシィ》を探そうと動き始めていた。
Hollow Bunny
草食動物達が平和に暮らす“アニマルタウン”。
過去に戦争してきた狐や熊、猫などの“捕食者”である肉食獣とは違い、草食動物ばかりが暮らす平和な街。
街の平和が保たれているのはアニマルタウン全域に通った下水道の深部に位置する“アニマルマザー”というコンピューターによってミネラル水が下水道から水道管に流れ、ミネラル水を飲むことが害になる肉食動物がアニマルタウンで過ごすのは難しいからだ。
よって、店頭に◯◯肉というものは存在せず、草花や野菜ばかりが立ち並ぶ街の中では水すらもまともに飲めない肉食動物にとって、この街に住む必要性がない。
あるとしても草食動物を襲って食べることぐらいだろうが、法律上に警察が常に監視していて簡単に余所者の肉食動物が襲うことはできない。
そんなアニマルタウンの中にも群は存在し、兎が住むエリア、キリンが住むエリア…と種類によって別けられている。
アニマルマザーは兎が住むエリアの地下に存在し、常にミネラル水を生成し続けている。
それがアニマルタウンであり、草食動物の楽園である。
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ぶかぶかのTシャツだけを着た真っ白で綺麗な兎が小さく寝息をたてて、ふわふわとしたものが敷かれた小さな寝床に転がっている。
その横の小さめの時計がゆっくりと時を刻み、ある一点に針が動いた直後、大きな音が兎の長い白耳へ飛び込んだ。
その瞬間、がばっと兎が起き上がり時計の音を止めた。
すぐさま、時計を放おって顔を洗った後、大好きな野菜を両手でしっかり掴み、満足げな表情でシャクシャクと音を立てて平らげた。
その後に『ラッツ』と名前が記載された黄色い鞄を引っ掴んで、二本の足となったもので駆け出していった。
錆びた煙突から白い煙が立ち昇り、扉からは硫黄の匂いがする。
”草湯物語“と名前の暖簾を潜り、番台の黄色い花をつけて新聞を開く白兎が挨拶をした。
新聞には『機械の中に紛れる過去の形跡』と見出しがされていた。
「おはよう、ラッツ…もう交代?」
「…おはよう」
「ラジオ、聞いた?」
「ラジオ?」
「ほら、下水道から“捕食者”か出たって話」
「…いや、全く」
ラッツ、及びぶかぶかのTシャツを着た白兎の返答に黄色い花をつけた白兎、ヴァニーが「相変わらずね」と呆れたように返答した。
そのまま、更に言葉を続けた。
「最近、お客さんに水質が悪いって言われるの」
「水質が悪い?銭湯なのに?」
「ええ…それも、どろりとしているって…ラッツ、そういう機械的な知識があるんだから、暇な時に見てくれない?」
「…キミがやったって良いんじゃないか?」
「私は、私なりにやることがあるもの。よろしくね、バイトさん」
「良い性格してるよね、本当に」
ヴァニーがラッツのその言葉に笑い、肩をぽんと叩いた。
ふわふわとした毛に覆われた白く小さな手が肩をなぞり、「お先に失礼します」とだけ言った。
まるで底の見えない泥沼に身体を浸けられるような面倒事を投げられた感覚がラッツの中で渦巻いていた。
ひどい硫化水素の匂いが鼻につく。
天井は土に覆われた下水道の中にはミネラル水や硫黄もあるはずであるというに、鼻へ届くのは摘みそうになるひどい下水の匂いしかなかった。
足裏にヒヤリとした感覚が伝わったと同時に下水道管の中は、光の届かない永遠の夜だった。
噎せ返るような下水の臭いが肺を満たし、思わずえずきそうになる。
足首まで浸かる茶色いヘドロを踏みしめるたび、ぶちゅぶちゅと不快な音が鳴り響く。壁際には苔やカビがびっしりと生え、その湿り気が皮膚にまとわりつくようだった。
時折、何かが水音を立てて逃げ去る気配が、この閉鎖空間にわずかな生命の兆候を示していた。
「…こりゃ酷いな……水質が悪いなんてもんじゃない、明らかな異変だ…」
上の銭湯から拝借した懐中電灯だけが地下の夜に光を差し、銭湯という小綺麗な空間の異様感を更に引き立てる。
ラッツはゆっくりと探索をしつつ、懐中電灯を回し始めた。
その先で、何やら小型の動物のような影が差した光に照らされ、逆光をつくる。
それを不審に思ったのか、彼は問いかけるように口を開いた。
「…なに、してるんだ?こんな真っ暗な下水道で…」
そのまま、白く毛に覆われた前足を動かしてそれに近づき、その姿を目視した。
まるでヘドロのような色合いにどろりとした液状の身体が狐のようなフォルムでこちらを見ている。
暗闇の中に佇むそれを認めた瞬間、ラッツの背筋を冷たい悪寒が駆け上がった。
足がすくみ、呼吸が止まる。その場に縫い付けられたような麻痺状態から、内なる恐怖心が彼を突き動かした。
今すぐ逃げなければならないと彼の頭の中で警鐘が鳴り響いた。
脳裏に響く警鐘に従い、彼は無我夢中で駆け出した。
背後から張り付いてくるような闇の気配に、心臓は肋骨を打ち破らんばかりに早鐘を打つ。
一歩、また一歩と地面を蹴るたび、追いつかれるかもしれないという圧倒的な焦燥と恐怖が、彼の意識を塗りつぶしていった。
脇目も振らずに駆けた先で、湯気の立つ草湯物語へ到着したラッツはひどい安堵感に包まれていた。
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家に帰ってからもラッツの気分は晴れなかった。
いやに奇妙で恐ろしいものを見た、という体験はそう忘れられるものではなかった。
黄色い鞄を椅子にかけ、手を洗いに行こうとした辺りで携帯が鳴った。
携帯にはヴァニーからの着信が表示されていた。
「…もしもし」
『もしもし、ラッツ?結局のところ、何か見つけた?』
「……いや…」
まさか、奇妙なものを見たなどと言えるだろうか。
彼は口をもごもごとさせ、何も言わずにヴァニーの返答を待った。
「何もなかったの?」
「…ああ」
「……そう。やっぱり、最近は捕食者を見たって噂があるみたい。
変よね、ミネラル水で肉食動物が生きれるはずがないのに…」
「…………」
「肉食動物が、水を取らないでも生きれるように進化したとか…ないわよね、流石に」
「…………」
「ラッツ?何か言ってよ、怖いじゃない」
「そう……だな…普通に考えて、あり得ない……」
「でしょう?それにそこまで進化してたら、地上侵略してそうだもの。ねぇ、ラッツ…明日もシフトに入ってくれる?」
「…いや、悪い…休みをもらっても?」
「どうして?」
「少し、匂いが…」
そのあまりにも適当な言い訳に言われた彼女は少し笑ったが、「ちゃんと洗ってよ」と笑って電話を切った。
匂いがとれない、というのも納得は多少できるだろう。
しかし、ラッツの目的は違い、自分が恐怖したものの真相を掴みたいことにあった。
存外、彼は図太く好奇心旺盛だった。
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夜のアニマルタウンは閑静な住宅街で昼の賑やかさを感じられない。
ラッツはタウンの中でも一番奥深くの深部へと繋がる下水道“地下迷宮”と異名のついた下水道の入口へ来ていた。
銭湯の下水道の匂い以上の臭さに顔をしかめるものの、嫌気よりも好奇心が勝っていた。
地下深くへと続く階段を下りる度、鼻をつく硫化水素の臭いが強くなった。
足を踏み入れると、ひんやりとした空気が肌を撫で、頭上からは汚水が壁を伝って流れ落ちる音が響く。
足元のコンクリートは常に湿り、苔はないものの、ところどころにヌメりを感じる。
懐中電灯の光が届く範囲は以前と同様に限られており、奥へと続く闇がすべてを覆い尽くしていた。
光を手繰り寄せるように進む中、機械的な音ばかりが大きな耳へ届いた。
光は辺りを右往左往をして、やがて、いやに巨大な筐体を差した。筐体は様々な部分が光り、上に細かなものが入り込めそうな管と配線が露出した非常に大きな機械だった。
その機械の足元にはまるでヘドロのような色合いにどろりとした液状の身体が狐や熊、犬のようなフォルムがある。明らかな異常だった。
直後に悪寒が全身に駆け巡り、足が濡れたコンクリートを蹴った。
排出しているものはミネラル水ではなく、奇妙な物体ではあるが、間違いなくこれは“アニマルマザー”だった。
小さな頭の中で妙な使命感を感じ、筐体の上に飛び乗った。
心地の良い金属音が足裏から鳴って、下の奇妙な物体がこちらを見た。それはアニマルマザーの中から出て、形作り捕食者を形成する。
だんだんと数が多くなったそれらが群になって、いやに粘ついた腕が伸びてくる。アニマルマザーから伸びた複雑な配線を掻い潜って伸びる細い腕の数々にひどい嫌悪感を覚えた。
瞳が必死になってアニマルマザーの停止システムを探そうとするも見つからず、宙を泳ぎ続きる視界がようやく頬に触れそうになった腕を視認した。
「…うわっ?!」
反射で蹴ったそれの足先にぐにゃりとした感覚が広がる。脇目も振らずに飛び出して、腕ばかりの包囲網を潜った先に赤く点滅したスイッチが目に入った。
そのまま足で押そうとして、その足が腕に絡み取られる。絡んだ腕を踏みつければ腕が千切れて、やっとスイッチが押しこまれた。
その途端、アニマルマザーから奇音が鳴り、赤い光が全身を包み込んだ。
捕食者達は流れていた水に溶けて、形を崩していくのにも関わらずアニマルマザーは何か、屈強に金属片を己に構成していった。
そうして、出来上がった金属片の鎧に覆われた機械のモードは“保守モード”。機械自らが己の停止を拒んでいた。
「冗談だろ…」
設計ミス、というものでもない。これが止まれば、全草食動物が困るのだから当たり前ではある。
そうであれば、破壊するのではなく修理が妥当だろう。
金属片の鎧の中で一部がマイナスネジで固定された隙間が上部に見えた。積み上がった金属を階段のように登りながら、鞄からマイナスドライバーを取り出して、ネジの一つに突き刺し回す。
それを数回繰り返して外れた守りに複雑な回路の中に住み着いた何かが露出した。
数cmほどの黒ずんで古びた小さな牙。明らかに肉食動物のものであると分かる鋭さ。歯は元々ミネラル質であるから、アニマルマザーには異物だと気づかれなかったのだろうか。
ゆっくりとそれを引き抜き、ネジをしっかりと止める。アニマルマザーがそれを知ってか知らずか、鎧を壊したのを見届けながら水の中に身体を預けていった。
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妙に聞き覚えのある声が聞こえる。
「…電話にも出ないし、水はやけに水質が良くなるから…警察が入ったら一人で誰かがアニマルマザーを直したって聞いたら…どんな顔をすると思う?」
白い天井、繋がれる管…ここが病院なのだと理解するのに、そう時間はかからなかった。
「…褒め称えるんじゃない?」
「そんなものより、怒られるに決まってるでしょ」
包帯の巻かれた頭を介抱していたヴァニーに軽く小突かれ、やや頭が傷んだ。
隅に置かれた新聞には『アニマルマザーに混入した小さな牙』と見出しが載り、ヴァニーもそれに気づいたのか新聞をとって事の顛末を零した。
「ラッツが直したアニマルマザーに牙が混入していたのは知ってるよね」
「ああ、でもここには草食動物しかいないだろ。それに、あのヘドロみたいな生物も不明だ」
「ええ、だから新聞には広報として全部調べたものが載ってるわ。
アニマルタウンは元々、肉食動物と草食動物が大規模な戦争をした結果、勝利した草食動物側が建国したもので、その時に肉食動物の死体を地下の奥深く、要は地面に埋め立てたらしいの。
そこから時が経って、アニマルマザーが開発されて地下に建設された。けれど、建設された場所の上部分、天井は元から硬かったせいか地面が露出したままだった」
「……つまり?」
「露出した地上へ降った雨で小さな粒と粒の隙間に水が流れ、地面の中に埋まった骨の死体と土をゆっくりと削って、緩くなった天井の一つ…牙がアニマルマザーの管の一つから入り、配線に混入した……っていうのが、見解ね」
「そんな馬鹿みたいな…」
「実際、水の流れで岩場が削れて巨大な空洞になった岩壁、ポットホールみたいなものがあるじゃない。それと同じよ」
「確かに、そういうものはあるが……だとしても、牙が配線に入り込むなんてことあるのか?それに、混入しただけであんな変なもの…」
「アニマルマザーには異物が入ると自ら揺れて排出しようとするシステムと、入っているものに伴ったものを生成するシステムがあるのよ。
現在のアニマルマザーにはミネラルと清潔な水が大量に入ってるわ」
「…じ、じゃあ、肉食動物の牙に反応して、あんな変なものが生成されたっていうのか?」
「システムが機能していたなら、ね」
頭の中がくらくらとして、理解不能な事象を噛み砕くことができなかった。
過去の遺物と、現代の科学的機械。それらが合わさって起こした奇妙な現象。
それでも今、水は美しく味わい深く流れ続け、平和が保たれている。事は、物語は終わったのだ。
平和はまだ続いていく。
アニマルタウンには、今も変わらず草食動物達が平和に暮らしている。
▶兎が人間として暮らす世界観(原案)
舞台は兎が人間として暮らすアニマルタウン。
誰も彼もが皆全て兎で“捕食者”もいない平和な街。
そんな街で 主人公:ラッツ が街の下水道で“捕食者”を見たと噂を聞き、街全てのどんなところも繋ぐ下水道の中で“捕食者”を探す物語。
▶原案・【ラッツ】キャラクターデザイン
雪狸⛄️
▶本文
ABC探偵
▶ラッツ(ABC探偵)
https://d.kuku.lu/274k78k46
✧ 百点満点 ✧
窓の向こうで、まるで空が涙雲を広げたように、花弁雪がぱらぱらと舞い落ちている。
冬の帳を降ろしたそれは、衾雪となって広がり、歩く人々にとって寒さも相まって辛さが伴うものだった。
そんな中、春のような暖かさに包まれながら数十名の生徒は一斉に前を向いて勤勉実直に教師へ視線を留まらせる。
教師はよく通る低い声で名前を呼び挙げ続け、やがて、「|月居《つきより》」と少年の名前を口にした。
後ろで椅子が引かれる音がして、色素の薄い白肌に翠髪と海のように深く青い瞳の少年が席を立った。
月居|藍生《あいき》、冷静で物静かな印象があるものの、虚弱体質で休みがちではある。
しかしながら、全人類が羨ましいとでも言えるのか、“見たものを完璧に覚える”といった特性の能力を有している。
それを本人が鼻にかけているのかは分からない。時折、そんなものがあるのならテストなど無意味ではないかと思うのは藪であろうか。
だが、そんな能力があったとしても、一度くらい満点でないところを見てみたい。
いや、正確には彼に小テストの点数で勝ってみたいのだ。
横で藍生が教師から回答用紙を受け取り、席に戻る瞬間に点数をちらりと見やった。
『月居 藍生 50点』
頭の中で「勝った!」と天にも昇る気持ちで勝利に酔いしれた。
普段、100点満点の藍生が50点なんて、珍しいこともあるものだ。
自分の名前、呼ばれるのを今か今かと待って、ついに呼ばれた。
威勢の良い声で反応し、嬉々として教師の手から回答用紙を手にとった。
少ししわくちゃになった薄い紙に描かれた数字は『26点』。
横に『ギリギリ合格』と文字が記載されている。
頭の中が急激に冷え、思考が何にも結びつかなくなる。
つまりは頭の中が完全に真っ白になった。
その理解の遅い頭の先で瞳は点数の横の満点の数字をようやく認識した。
『26/50』
枠:質問
内容:“八色星団”の由来は?
読んだ作者の小説:(シリーズ全体)
好きな作者の小説:『オリキャラ小説』(シリーズ)
推しキャラ:無し
その他:
一周年、おめでとうございます。花雨様の作品は、オリジナルキャラクターに対して深い愛情が感じられ、まるで実在する人物であるかのような親近感を覚えます。
これからの更なるご活躍を、心よりお祈り申し上げます。
良い子 悪い子
※本作品は下記のAsami126 様の作品のその後を描いた二次創作となります。
先にそちらを拝読することをお勧めします。
正体 / Asami126 様
https://tanpen.net/novel/2192225e-a4aa-4bdc-b28a-f7f18ed75969/
どこか重低音のある優雅な音が蓄音機から鳴っている。
紅茶の良い香りが鼻腔を擽る部屋の中で、古く焦げ茶色なチェック柄のチュニックを着た若い青年が指の先で顔ほどの新聞紙を捲った。
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【聖夜の戦慄】
サンタクロースの正体に関する考察と証拠開示
藤崎藍子氏が提示する複数の証言(『正体』)は、長年にわたり世界中で親しまれてきた「サンタクロース」という存在の実態に対し、衝撃的な疑義を投げかけるものである。
本稿は、提供された情報を基に、その正体が西洋の伝承に登場するような慈悲深い聖人ではなく、むしろ「悪魔的」と形容すべき異質な存在である可能性を指摘する。
【事例分析】
目撃証言と物質的証拠
証言①(田中氏・仮名)の事象は、最も具体的かつ視覚的な記録に基づいている。
同氏が自宅にて設置した監視カメラの映像には、従来のサンタクロース像とは完全に乖離した存在が記録されていた。
【存在の形態】
記録された侵入者は、黒と赤を基調とした色彩を持ち、非定形かつ流動的(アメーバ様)な物理的特徴を有していたという。
その挙動は不規則であり、小刻みな振動を伴っていたとされる。
【「贈与」のプロセス】
映像には、この存在が自らを分裂させ、不定形の「肉塊」を排出し、それを再形成して「贈り物」を生成するという、おぞましい一連の過程が捉えられていた。これは、贈り物が外部からもたらされるという通念を覆す、内的な生産プロセスを示唆している。
【悪魔の定義と存在の関連性】
情報提供(桜井氏)は、この存在の分類に重要な示唆を与える。「悪魔」の一般的なイメージ(角、尻尾)とは異なり、その実態は「赤黒く、ドロドロとして非定形」であるという。これは、証言①の目撃情報と完全に一致する。
さらに、「自分に都合が悪い人は“プレゼント”になっちゃう」という言及は、この存在の行動原理が、人間の規範とは異なる淘汰的なものである可能性を示唆する。サンタクロースが悪魔であるならば、その「贈与」の裏には、選別と捕食という冷酷な論理が隠されているのかもしれない。
【結論と未解決事件】
藤崎藍子記者が執筆中であった草稿には、「サンタの正体」「悪魔」「都合の悪い人を食べ」といった断片的な記述が残されていた。
これは、彼女が悪魔の定義(桜井氏)と目撃証言(田中氏)を結びつけ、サンタクロース=悪魔説という結論に至りつつあったことを示している。
しかし、その記事は未完のまま、記者は消息を絶った(情報提供:藤崎純平氏)。
残された血痕は、彼女自身がこの「悪魔的サンタクロース」にとって「都合の悪い人」と見なされ、その論理の犠牲となった可能性を強く示唆している。
本件は、毎年十二月二十五日に繰り返される現象に対する、早急な再検証を要する重大な警鐘である。
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その辺りで、青年は顔をあげ、日付を瞳に映した。
薄い紙っぺらには十二月二十五日と記されている。
その下には可愛らしく描かれた赤いサンタクロースがプレゼントを持っている絵が付されている。
横には『|A well-behaved child《躾のなった良い子》』と矢印のある緑の服を着た子供の絵。
更に横には『|Little rascal《躾のなっていない悪い子》』と矢印のある黒の服を着た子供の絵。
黒の子供にはプレゼントは渡されず、別のサンタクロースが横に立っている。
奇妙に思って紙へ近づき、指の腹で撫でた瞬間、サンタクロースの赤が更に強調されたような気がして瞬時に青年は目を瞑った。
次に青年が瞼を開いた時、そこに黒の子供は描かれず、横のサンタクロースの赤は更に濃くなっていた。
後ろで響くどこか重低音のある優雅な音の中に粘着質のある奇妙な音が混じったような気がした。
氷雪のチュニック
※本作品は下記のSui 様の作品のその後を描いた二次創作となります。
先にそちらを拝読することをお勧めします。
炎のドレス / Sui 様
https://tanpen.net/novel/15cee8d2-af7e-4ed4-9a2d-4a4efe0c9b2e/
小さな木組みの平屋の家の戸をそっと開き、黒く焦げた薪を恨めしげに分厚いコートを纏った口元に黒く若々しい髭を生やした大男を見つめていた。
記憶の奥底に焦げたようにこびりついた黒いドレスの|魔女《ブレンダ》が中々離れない。
小屋の中に籠もった冷気に反して、ベーレンの心は激しい憎悪のようなものに包まれていた。
誕生日の祝いだとわざわざ金をはたいて買ったパンは冷たい地面の中に落とされ、暖かさを二度と得ることはないだろう。
それと、同様に自分自身も二度と暖かみを得ることはない。
あの時、何も言わなければ良かった。あの時、彼女が何も言わなければ良かった。
せめてもの情けだと、声をかけてしまったことが全ての間違いだった。
黙って死んでくれたら良かったのに。
そうであるなら、あの場で|悪人《魔女》の公開処刑のように自分の悪事もバレることがなかったのだ。
あの時、始まったのは魔女の火刑だけではなかった。
己が撒いた火種が一斉に燃え上がり、ゆっくりと着実に近づいている。
まるで身体の自由を奪われて磔にでもされているようだった。
戸の隙間から吹雪が入り、微睡みつつあるベーレンに雪を飾っていった。
小屋の中は心さえも凍てつくような寒さに包まれ、悴んだ手はいやに青白く染まり、吐いた息は白く空を描いた。
虚像のホーム
※ペルソナ5ロイヤル 真エンド後
(練習として執筆したものです)
陽炎が差す新幹線の窓の向こうで、いやに見覚えのある姿を見た。
直後、大慌てで車内から駅のホームへ飛び出し、幾度となく力強く歩みを進ませた足で地を蹴って、追う姿に手を伸ばした。
律儀に手を包む真っ黒の手袋を掴んで、自分でも驚くほど大きな声を挙げた。
「明智!」
脇に抱えた青いバッグの中で|黒猫《モルガナ》が「おわっ」と小さく声を出すのも構わず、手を掴んで前を向かせたそれに子供のように大きく抱きついた。
抱きつかれたそれは、はにかんだ笑顔を見せたが、すぐに平然と余裕そうな顔で口を開いた。
「やぁ、元気だったかい?」
平然と探偵としての面を見せた明智に下唇を噛んだ。
強く握った拳を振ろうと考えた辺りで、再度ポケットに手を入れ直し、眼鏡の向こうで“生きていた”明智へ文句を零す。
「…連絡ぐらいしたって、良いんじゃないのか」
その文句に少し考え込んだ彼が軽く笑って、「今から、ここを離れる君にその必要をあるのか?」と言葉を返した。
それに続けて、
「待ってるから行ってこいよ、ジョーカー」
そう言い放ち、黒い手袋を外した手で停止したままの新幹線を指した。
今度はどこを探しても見つかるような、そんな気がした。
風変わりなシニカルジョーク
※雑
仄暗くも、どこか少年心を擽られるゲームセンター。
アニメチックな立て看板の脇に数台ながらも設置されたゲーム機。
奥には数名の高校生が見えるカウンター。銃声と酷似したゲーム音。楽しそうに笑う白衣を着た男。
男はゲームセンターの中で浮いているように白が基調された白衣を纏い、下に白のある黒髪に切れ長の赤茶色の瞳、瞳の下に泣き黒子をしているが、顔つきは端正で魅力を感じられた。
楽しんでいるのはシューティングゲームのようで、その整った顔つきからも楽しさは感じられる。
「フハハハ…!!どうした、この程度なのか?!」
そんな一言をかけては対戦相手の焦りや恐怖が見えるようだった。
上城渚はそんな男を一目見て、不思議そうに思った後、横にある別のシューティングゲームを見て、手を伸ばした。
後ろから男の熱中する声が続き、しばらくしてその声が止んでいく。
後ろであるというのにただならぬ雰囲気をひしひしと感じられ、ゲームへ手を伸ばすことがいやに怖気づいた。
聞こえる高笑い、対戦相手の悲鳴…やがて、それが誰かが逃げるような足音に変わり、玩具の銃声が鳴り止んだ。
男が渋々シューティングゲームをやめ、こちらを振り向く。
そのなんとも奇妙で綺麗な顔立ちに目を見張った。
そして、その男は開口一番、「今から俺と勝負しろ」と持ちかけてくる。
あまりにも身勝手なそれに開いた口が閉じず、そのまま男のペースに乗せられていく。
淡々と自己紹介をされ、北里基良と名乗る彼の顔と声が近くなる度に胸の鼓動が速くなり、耳まで赤く染め上げるような体温が上昇する感覚に包まれる。
そのまま会話が曲がりに曲がって、『連絡先』『交換』という単語が脳の中へ流れ込む。
うまくその言葉を理解するほど噛み砕けないまま、彼の手が携帯越しに触れ、口角が自然とあがる。
そうして、彼が口を開いた。
「お前が連絡を無視しても、地の果てまで追いかける」
その言葉に嫌な予感と、微かな嬉しさを感じた。
直後、同じような白衣の男が彼の名前を呼び、『研修医』と口にする。
彼がそれに反応して、去り際に「冗談だ、ではな」とだけ呟いた。
携帯に映る『北里基良』という名前と、触れた手に天にも昇るような幸福感を感じた。
それと同時に彼の終始、愛しいものでも見るような瞳が不思議に思った。
幸蜜パンケーキ
※ペルソナ5ロイヤル真エンド後の明主(明智五郎生存説)
「なぁ…パンケーキ、焼いてやろうか」
前髪に目がかかる程長く癖のある黒髪の下、眼鏡の奥の瞳が異様に抗えない魅力を感じる若い男性、雨宮蓮がそう呟いた。
蓮に言葉をかけられた薄い茶色の首下まである毛先が少しくせ毛な若い男性、明智五郎は外した黒い手袋を胸ポケットへしまいながら応えるように口を開いた。
「そりゃあ、何で急に?」
「俺が食べたいんだ」
そう答えて、純喫茶ルブランの中でエプロンを着けながら彼が奥へ行こうとこちらから離れていった。
「今から?」
「ああ」
レトロな雰囲気のある店内で、少しバタバタとした音がした後に何かが焼けるような音と、香ばしくも甘い匂いが鼻腔を擽った。
柔らかな生地にふんわりとした舌触りと蜂蜜の甘さが舌の上で踊っている。
正面でニヤニヤとした笑みを浮かべながら、パンケーキを食べ続けるのを見られていることが微かにきまりが悪かった。
「…君は食べないのか?」
言われた彼は少し面を喰らった表情を見せたが、すぐに微笑んで口を大きく開けた。
欲情を誘う真っ赤な舌と白く小さな歯が見える。
明智はため息をついてパンケーキを小さく切った一切れを刺して、蓮の口の中に放り込む。
それを咀嚼しながら、満足げな蓮の顔が蜜の甘さと一緒に溶けていくようだった。
井の中の蛙 大地を知らず されど空の深さを知る
東風谷早苗が幻想郷に足を踏み入れたのは、“東方風神録”での出来事、守矢神社が外の世界から丸ごと移転してきた時だった。
外の世界では廃れかけていた信仰心を取り戻すため、妖怪たちが跋扈するこの秘境へとやって来たのだ。
その中にある博麗神社と名のついた幻想郷の境に位置するその古びた場所は、彼女が最初に目指した場所の一つだった。
守矢の人間であり現人神でもある早苗にとって、この土地で唯一の《《博麗の巫女》》の存在は、信仰競合のライバルであると同時に、同じ《《人間》》としての共感を覚える対象でもあった。
初めて会った博麗霊夢は、想像していたよりもずっと気ままで、無愛想な少女だった。しかし、異変となれば誰よりも早く動き、その圧倒的な力で解決に導く。
幻想郷の住人たちは皆、程度の差こそあれ、この《《博麗霊夢》》という巫女を愛し、信頼していた。
ある日の午後、早苗は博麗神社を訪れた。彼女は縁側で退屈そうにお茶を啜っていた。
「霊夢さん、今日も平和ですね」
「……そうね。平和すぎて、退屈なくらいだわ」
早苗は霊夢の隣に腰を下ろし、神社の周りに広がる幻想郷の景色を眺めた。
「皆、霊夢さんのことが大好きですよね。
あなたが異変を解決してくれるから、この幻想郷は成り立っている」
「好きかどうかなんて知らないわ。ただの異変解決屋よ」
「そんなことないです。皆、心の底から霊夢さんを求めてる。あなたこそが幻想郷の希望だと思ってるんだと思います」
霊夢は少しだけ表情を和らげたように見えたが、すぐに元の無関心な顔に戻り、ぽつりと呟いた。
「希望、ねぇ……」
その呟きに、早苗は少し違和感を覚えていた。
霊夢の瞳の奥に、何か冷めた光を見たような気がしたのだ。
早苗は意を決して、ずっと心にあった疑問をぶつけた。
「あの……霊夢さんって、“第十三代”の巫女なんですよね」
「それがどうしたの?」
「つまり、その前にも博麗の巫女がいたわけで……」
早苗は言葉を選びながら続けた。
「……博麗の巫女という“役目”だけが重要で、“博麗霊夢”という個人の存在は、幻想郷にとって、もしかして……」
早苗の言葉に、霊夢は初めてはっきりと反応した。
表情は変わらないものの、その場の空気が張り詰めた。
「そこまでよ、早苗」
「…でも、皆が愛しているのは“博麗霊夢”という貴女自身じゃないんですか?
それとも、幻想郷のシステムを維持するための“使い捨て”の役割として、代々巫女がいるだけなんですか?」
早苗は、外の世界から来た自分だからこそ抱ける、人間としての純粋な疑問を抑えきれなかった。
霊夢は静かに立ち上がり、早苗に背を向けた。
「……使い捨て、ね。悪くない表現だわ」
風が吹き、霊夢の長く白い袖が揺れる。
「私は…博麗霊夢。今ここにいる、この私が博麗霊夢よ。
代々受け継がれてきた役目かもしれないけれど、この体、この能力は私のもの。
幻想郷の連中が私のことをどう思っていようと、私が私であることに変わりはないわ」
霊夢は振り返り、早苗の瞳を見た。
その瞳は、先ほどまでのような冷めたものではなく、強い意志を秘めていた。
「皆が愛してるのが役目でも、私自身でも、どっちでもいい。私はここで、私の好きに異変を解決して、私の好きに生きてる。それで十分」
早苗は、霊夢のその言葉に衝撃を受けた。
博麗霊夢は、自分が《《博麗の巫女》》という大きな《《役目》》の一部であることを理解した上で、それでも尚、《《自分自身》》であろうとしていたのだ。
その器の大きさ、覚悟に、早苗は畏敬の念すら覚えた。
「……霊夢さん」
「私個人を愛してる奴なんて、そうそういないわよ。みんな幻想郷が平和ならそれでいいのさ」
霊夢は再び縁側に座り、残ったお茶を飲み干し、言葉を続けた。
「ま、あんたがわざわざそんな心配してくれるなんて、面白い人間もいたものね」
「私は、人間であり現人神です!」
「はいはい」
霊夢はくすりと笑った。それは、早苗が初めて見た、心からの笑みのように思えた。
博麗霊夢は、確かに皆から愛されている。
それは《《博麗の巫女》》というシステムの側面もあるだろう。だが、そのシステムを動かしているのは、他ならぬ《《博麗霊夢》》という一人の人間なのだ。
早苗は、自分の疑問が的外れではなかったと感じつつも、霊夢の《《個》》としての強さに感銘を受けていた。
この幻想郷は、一筋縄ではいかない人間たちで成り立っている。
自分も負けていられない。
守矢神社の信仰を集めるという目的は変わらないが、早苗は博麗霊夢という存在に、新たなライバル意識と、奇妙な友情のようなものを感じ始めていた。
ハレの日
白さに包まれて蒼白く光る封魔管を撫で、|悪魔召喚師《デビルサマナー》としての実感を確かに噛み締めた。
電車の窓の向こうからは、移り変わる大正の時代に後光が差してみえる帝都が広がっていた。
その輝かしい地へ足を下ろし、筑土町の丑込め返り橋の赤い柱に手を添わせる。隣で柱に立つ|業斗童子《ゴウト》がその深緑の瞳と、しなやかな黒毛の姿で尻尾をピンと立たせながら諭すように言葉を紡いだ。
「ライドウ、帝都を護る者ならば、地形を把握することは何よりの肝要。足を使わずして街の機微は知れぬものだ。一度、見回っては如何かな」
その一言に誘われるまま、正面の大通りの建物を一軒一軒目を通していく。
筑土町平和会館、そば屋伊坂屋、稲垣氷店、富士子パーラー、渡邉豆腐店、石田硝子店、洋食屋多原屋、多聞天…どれもバターの匂いや甘く優しい匂いなどの新しい匂いを惹き、好奇心が高ぶる。しかし、十四代目葛󠄀葉ライドウとして、己の使命を忘れてはならないのだ。
やや残る期待と緊張を胸に神城坂を走り、狭い筑土町祝福小道を通り抜ける。相見えた甘味屋釘善と金王屋の柳が生える軽子川商店街の先に目指すべき場所が灰色の瞳に映った。
小道の奥に閑散とした様子で建つ鳴海探偵社。後ろの黒猫が急かすようにして、小さな肉球で先を歩く。
それに続いて歩みを進める中、初夏の燃え上がる緑葉が、静寂を焼き尽くす悪魔の焔に見え、胸の鼓動は更に高まり始めた。
おツケもの
暖かな陽射しが射す探偵社の中で、正面に立つ弓月の君高等師範学校の学生服と学帽を着用した眉目秀麗な少年がこちらを見下ろしていた。
手には料亭竜宮の請求書を持ち、固く結ばれた口からは頻繁に耳にする悪魔と違って、言葉が出ることはなかった。
どうにも居た堪れなくなって、渋々言葉を振るほか選択肢がなかった。
「……やあ、ライドウ。そんなに凄んだ顔をしてどうしたんだい? その手に持っている不穏な紙切れは…まさか、竜宮からの請求書…なんて野暮なものなんかじゃあないよな?」
その言葉に机の上で顔を洗う黒猫、|業斗童子《ゴウト》がさも当然だというように言い放った。
「往生際が悪いぞ、|鳴海《なるみ》。ライドウのその冷ややかな目が見えないのか?」
「ライドウ、この黒猫ちゃんは一体何を言ってるんだ?さっきから『にゃあにゃあ』しか聞こえやしないよ」
「……ふん、聞こえないのをいいことに。これだから俗物は困るな」
耳へ何かを叫ぶ猫の声が聞こえる。
ライドウは無言で、そっと請求書を机のど真ん中に置き直し、無言の圧力をかけ始めた。
「……参ったな。ライドウちゃん、そう無言で責めないでおくれよ。たまには景気良くパーッといかなきゃ、探偵としての“|格《かく》”ってやつが保てないと思ってさぁ……」
景気の良い言い訳を垂れるも、目の前の少年は眉一つ動かさない。
その姿に、やや感服しながら座っていた椅子を引いた。
そのまま請求書の紙を受け取った時、ようやく彼の瞳が優しくなったような気がした。
※鳴海さんには業斗童子の台詞は本当に「にゃあにゃあ」としか聞こえていません。
主人公(ライドウ)にのみ、人語として聞こえています(公式)