全然怖くないスパイシリーズだよ。
5話程度で終わるよ
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スパイ課、三丁目 第1話:「眉毛に、異変あり」
都内某所にある、築60年の情報機関「スパイ課・三丁目」。 今日も、職員たちは誰にも見られていない…ようで、実はよく野良猫に見られている。
庁舎の給湯室。主人公・結城レン(方向音痴スパイ)は、紙コップ片手に麦茶を飲みながら、ぼーっと天井を見ていた。
ユカリ(副官):「仕事中に麦茶1杯はいいけど、3杯目からは勤務怠慢よ」
レン:「これは“任務前の精神統一”です」
すると、給湯器の横に置かれた段ボールから顔を出す、部長・松本。
松本:「眉毛だ」
ユカリ:「え?」
松本:「市長の眉毛が、昨日と比べて0.3度傾いているそうだ。これは国家レベルの異変とみなす」
ユカリ:「それ…誰の報告ですか?」
松本:「眉毛調査係の初音だ。彼女は世界で一番眉毛に詳しい」
任務名:「市長の眉毛、異常角度の原因を探れ」
ユカリは庁内の倉庫から、今日使うガジェットを取り出してくる。
本日の秘密道具(ガジェット)
眉エッセンス検査薬:見た目は香水。眉毛用アロマに反応して色が変わる
ゼロのスカーフ(犬用センサー):敵の動きや異常エネルギーに反応。今回の任務は「眉」に関連するため、黄色に点滅している
段ボール迷彩装備:部長愛用。庁舎のどこに置いても違和感がないため、隠密行動に最適。今回は使わないが、本人が着用中
レンは、担当エリアである「マユげ関係店舗」へ向かうが、当然のように迷子になり、 目的地の「眉Styleサロン」ではなく、隣の「マユげカフェ」に入ってしまう。
店員:「おすすめは“眉アロマティラミス”です!」
レン:「眉…食べちゃっていいの?」
レンは店員と話すうちに、奇妙な話を耳にする。
店員:「最近、眉サロンで使われてるこの香り、変わってきたんです。毛の流れが逆になるってウワサで」
レン:「逆って…右眉が左向く感じ?」
店員:「そうそう。しかも、この香り――ラベンダー強めで、なぜか眉毛が光る人もいたんですよ」
そこでゼロ(犬)が「ワンッ」と低く吠えた。スカーフが黄色から赤に点滅!
ユカリ(通信):「赤って…ウイルス反応!? もしかして、そのアロマ…!」
レン:「眉エッセンス検査薬、今使ってみる!」
検査薬を香りに近づけると――液体が紫色に変化。 MAYUGE-X(眉毛ウイルス)の改良版に反応あり。静かに事態は深刻になり始めていた。
市庁舎の個室。市長が眉毛メンテを受けようとしているそのとき、レンたちはサロンに到着。
ユカリ:「あのラベンダーアロマ、使われてませんか?」
サロン店員:「ええ、今日から新しく導入しまして…香りは、ちょっと…強いかも?」
レン:「それ、危険なんで一旦ストップで!」
ゼロが店内に入り、眉アロマの瓶を見つけると、静かに前足でタップ。スカーフが赤く光る。
ユカリ:「ウイルス反応確定。眉に使用すると、数秒で左右の非対称が限界値になる可能性が」
市長:「それは困るな…ポスター撮影、明日なんだ」
瓶は慎重に密封して回収。騒ぎはなく、誰にも気づかれないまま、眉毛は守られた。
庁舎に戻ったレンが言った。
レン:「任務としては地味だったけど、今までで一番眉毛を真剣に考えたかもしれない」
ユカリ:「そうね…私は正直、ティラミスの方が印象深かったけど」
松本部長(段ボールの中):「眉毛は、静かに世界を変える。わが国の“顔”だからな」
ゼロ(犬)は、スカーフをグレーに戻しながら、のんびり丸くなっていた。
またおかしなの始めちゃったけど今回は終わる見込みがあるから平気だよ
第2話:「冷蔵庫に潜入せよ」
三丁目庁舎・資料保管室の冷蔵庫から、「極秘文書らしきものが発見された」と報告が入る。 ただし、庫内はスパイ課とは無関係なジュースやチーズで満たされているはず。
部長:「この文書…“チーズの裏”に貼られていたらしい」
レン:「それ、ほんとに極秘ですか?」
ユカリ:「冷蔵庫内に入れるのは私。あのガジェットでいくよ」
縮小ガジェット:使用者をミニサイズにする装置。戻すには“解除薬”が必要
庫内マップ・チーズ専用版:冷蔵庫の中の食品配置を記録した手書き地図。けっこう雑
ゼロの鼻センサー:食品の匂いでルート判定。今日のターゲットはブルーチーズ
ユカリは縮小し、冷蔵庫内の「チーズゾーン」へ。 資料らしき紙がチーズ裏に貼られているも、近くには“笑いガス入りホイップ”も置かれていた。
ユカリ:「これ…たぶん隣部署のいたずらですね…」
しかし突然、ガスが漏れ、ユカリがツボに入り笑いが止まらなくなる。
ゼロ(外から見守る):「ワン!」→スカーフが黄色に変化=“笑いすぎ警戒”
レンは解除薬を持って冷蔵庫を開け、手を伸ばす。だが―― チーズの匂いに釣られて、一口かじってしまう。
ユカリ:「あの文書…食べた?」
レン:「……かも」
部長:「文書は食品ラベルの裏だった。“今月のおすすめチーズ”だったらしい」
ユカリ:「任務というより…食品業界のPRでしたね」
ゼロは、残ったチーズの匂いに満足げに鼻をならしていた。
あと3話!(なはず…)
第3話:「スパイ家族、団地でバレ合戦」
新任スパイがファミリーごと団地に潜伏することになり、スパイ課が監視任務を任される。 ただし、団地の隣人は超観察力を持つ“おばあちゃん”。
部長:「今回の任務は…煮物と団地トークに勝つことだ」
レン:「それ、スパイの任務…なのかな?」
スパイ家族(仮名:タカノ家):夫婦+小学生スパイ。変装技術は一級
おばあちゃん:成瀬としこ:団地界の目撃者。孫が毎週訪ねてくる
監視ガジェット:お茶うけ型カメラ:和菓子に見えるが映像記録可
団地内でおばあちゃんと遭遇したレンは、情報収集しようと“普通の会話”を試みるも、見抜かれる。
としこ:「あんた、昨日もこのスニーカーだったね。仕事着でしょ?」
レン:「こ、これはオシャレアイテム…です!」
ユカリは、おばあちゃんがタカノ家に“昆布入り煮物”を差し入れしていることを察知。 その煮物の具の並びが、暗号になっていることを解析。
「昆布→人参→ちくわ→里芋→人参」=任務コード“K-R-C-S-R”
部長:「…煮物で通信とは、敵ながらあっぱれ」
タカノ家は団地を去る直前、隣人たちに手製のおはぎを配布。
ゼロはそれを見守る。
レン:「スパイって、なんだろうね。ちょっと、いい人たちだったよ」
ユカリ:「でも、おばあちゃんは最後まで見抜いてた。“あの子、足音がスパイだった”って」
部長:「スパイは見えない。でも足音は残る。うむ」
第4話:「ゼロの過去と、段ボールの日」
ゼロの元上司から古い報告書が届く。「ゼロの感情センサーは、人間の不正を嗅ぎ分けていた」という噂が記されていた。
レン:「ゼロって…昔、感情も読めたの?」
ユカリ:「じゃあ私が怒ってるとき、知ってたんだ…!」
ゼロは静かに段ボールの上で伏せる。
その日は部長の誕生日だったが、プレゼントはすべて“段ボール箱”。 職員たちが手紙や小物を詰めて送るというルール。
ユカリは、ゼロの首輪を模した紙細工を入れた。レンは眉毛ブラシ。
部長:「ブラシか…私も眉毛、整えようかな」
過去の任務で、人質救出中に“匂いでウソ”を見抜いたゼロ。 だが、そのとき失敗したことで警察犬を退職した――という話が明かされる。
レン:「失敗…したことがあったんだね。でも、今は笑って任務してる」
ゼロは首をかしげ、スカーフを黄色に変える。 “仲間とのつながり”を感知した色だった。
部長は段ボールの奥で静かにつぶやく。
「ゼロは、段ボールよりも賢い。だから、ここにいる」
第5話:さよなら三丁目、こんにちは眉間
三丁目庁舎の給湯室。いつもと変わらぬ麦茶の香り。だが、その日届いた1通の通知が、静かに空気を揺らした。
「スパイ課・三丁目は今月末をもって解散。新部署『眉間対策室』へ統合予定」
ユカリ:「眉間…?今度は額の真ん中を守るってこと?」
レン:「顔のパーツ、移動してない?」
ゼロは黙って段ボールの上に座っていた。スカーフは灰色のまま、何も知らせていない。
庁舎内のデータをすべて封印し、段ボール1箱にまとめる任務を与えられた松本部長。だが――彼は静かにこう言った。
「我々の任務は、箱には収まらん。三丁目には、記憶がある」
ユカリ:「部長…なんか、詩人になってません?」
その日の午後、レンは段ボールの裏に小さな穴を見つけた。 そこには、かつてゼロが隠していた“鼻センサー付き眉毛パッチ”が入っていた。
レン:「この三丁目、あったかくて好きだったな…仕事も眉毛だけだし」
ユカリ:「それ、褒めてるの?けなしてるの?」
ゼロ:「ワン」
部長:「眉毛も眉間も、どこかの誰かが守っている。その“どこか”を、我々はずっと背負ってきたのだ」
窓の外には、秋風と、ひらひら落ちる書類。誰が落としたかはわからないが、内容は「三丁目秘密任務報告書」。
ユカリ:「この報告書…“眉毛と人類の関係史”になってる…」
ついに庁舎を出る日。 松本部長は自らの段ボールに入り、「移転開始」と書かれた札をぶらさげる。
ゼロは背中に小さな箱を乗せ、ゆっくり庁舎を後にした。 レンとユカリは、庁舎の壁に小さなメモを貼って去った。
「眉毛、異常なし。三丁目、異常なし」
新しい部署――『眉間対策室』。 そこには、なぜか「麦茶製造機」が標準装備されていた。
ユカリ:「…まさか三丁目から転送した?」
レン:「三丁目は消えてない。眉間に移っただけだよ」
部長:「段ボールは、形を変えて、記憶を運ぶのだ」
ゼロ:「ワンッ」
次の任務は――「怒った眉間をなだめる対話術の開発」。 世界は、まだ守るべき表情であふれている。
「スパイ課・三丁目」は終わっても、彼らの小さな任務は、誰かの笑いを守りつづける。 たとえそれが、眉毛ひとつでも。
このシリーズはこれで終わりです!
みてくださりありがとうございました