編集者:たなか37
すべてが少しのつながりがあるとかないとか、みたいな。
毎日更新します。多分
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目次
今日もここから 第ゼロ章:みんな
「今日もここから」
第ゼロ章:みんな
「日本人の2人に一人は"死にたい"と思ったことがある。」って知っていましたか?
さらに5人に一人が自殺未遂となる行為をしているのです。
それを踏まえあなたが思っている自分だけが不幸、劣っている、傷ついている、憎い、苦しいなどなど。
上記が事実だとすれば"みんな"が思っていることなのです。
そしてこれはその"みんな"の中のある者たちを主としたお話なのです。
今日もここから 第一章:ある者は学校から
第一章:ある者は学校から
"朝のアラームが憎い"なんて誰でも思っていることだ。
私、|陽菜野菊《 ひなの きく》は人一倍…いや100倍はそう思っている。
朝目を開けると頭がだるく体に力が入らない、が無理やり起こし毎日のルーティーンを過ごす。
「いってきまーす!」
緩いローファーを引きずって私は日の下に影を落とす。
教室に行く途中、いつものところで鼻を突く嫌な臭いがした。
横目で半開きの女子トイレを除くと女子たちの背中と床に落とされた液状のものが見えた。
これが見て見ぬふりというやつなのはわかっている、が私だってつらいのだ。
先生が動いてくれたら私だって証言はする
ていうかいじめられっぱなしで何も言わないあいつも悪いだろ、私だったら…
そんなこんなでいじめを救うヒーローになる、なんて妄想をしながら席に座る。
朝の教室はいわゆる陰と陽があからさまになる。
無論陰側の私は今日もあの電波塔を窓から眺めるのです。
今日もここから 第二章:ある者は家から
第二章:ある者は家から
夢を見ていた。
大嫌いな人たちが僕の居場所を奪いに来る、そんな夢。
…目が覚めるとそこは自室の天井だった。
「おなかがすいた」そんなことを口にしながら手元のスマホをいじる。
僕の一日のスマホ使用時間は12時間を余裕で上回るだろう。
だってスマホをやっている時間だけが今の現実を忘れられる時間なのだから。
そんな言い訳臭い|事実《ことば》を心にしまうまでどれほどかかっただろうか。
時計の針はもう5時を回っている。
やっと僕は布団から出て自室のドアを開けた。
体に触れる冷たい空気を我慢しながらリビングに向かう。
机には昨日と同じ冷えた焼きそばが置いてあった。
父は仕事が忙しいのにもかかわらず健康のためと僕に自分の手で料理を作ってくれる。
そのくせ自分の食べ物はインスタント食品ばっかり。
そんな頑張ってくれている父をバカにする大嫌いなやつら。
ぐるぐると嫌なことがばかりが僕の頭を回りながら僕の体は|二階《じしつ》へ戻る。
僕の部屋からは座ると窓の外に塔が見える。
僕はその塔を眺めるのがスマホの次くらいには好きなのだろう。
あの塔を眺めながら毎回同じことを考える。
あれはなんのための塔なのだろうか。
今日もここから 第三章:ある者は未来から
第三章:ある者は未来から
あの塔が取り壊されてから何年たっただろうか。
今の私がいるのはすべてあの塔のおかげだと思っている。
だって"あの人"との出会いはあの塔のおかげだったから。
今から10年以上前。
中学卒業と同時に上京してやっとの思いで受かった職場の窓からあの塔は見えた。
私はあの塔が好きで毎日のように窓際を陣取り塔を見つめていた。
そんな毎日の繰り返しが半年続いた時の事、|あの人《きみ》がやってきた。
上司から君の世話係を頼まれたときは気が引けたよ。
だってコミュ障の私がまぁまぁいい大学卒のイケメンで年上、そして金髪。
こんな人と仲良くなれるわけがない。
そんな予感しかなかった、いやちょっとは期待していたけれど。
だが私のそんな予感は外れるわけがなかったんだ。
世話係となったものの頼ってもらえたのは一度だけ。顔は合わせても挨拶だけ、そんな毎日だった。
私はそんな毎日が苦しかった。
いっそ|あの塔《あそこ》から飛んでしまおうかと思ったの、だってこんな日々に幸せを感じられないのだから。
「今日飛んでやる」そう決めた日の事だった。
私はいつものように窓際に行き最期の記憶となる塔を眺めていた。
そしたら君がいつの間にか隣にいて、「おはようございます」ってね。
どうやら私は塔に集中しすぎて周りが聞こえてなかったみたい、それで「やっと聞こえましたね」って笑って言ってくれたの。
追い詰められた私の心にはそれが響いちゃって、それがとっても嬉しかったの。
今日もここから 第四章:ある者は塔から
第四章:ある者は塔から
俺の趣味は不法侵入だ。と言ったら君たちは気味悪がるだろうね。
実際、何十回と聞いた言葉だし。
でも俺はやめられない、だってこの電波塔の景色はずっと見ていられるから。
しばらく景色を眺めた後、俺は時間をつぶしてから家に帰った。
玄関には姉ちゃんの靴があった、帰ってきているらしい。
俺は姉ちゃんの姿を軽く探しながら部屋へ直行した。
「わっ!」
ドアを開けた瞬間聞き覚えのある声が聞こえた。
「えへ、びっくりしたでしょ!」と「いひ」という変な笑い声をあげながらふらふらとしている。
そのまま僕のベットに勢いよく座って、「最近元気してるー?」
俺も姉ちゃんとの距離を気にしつつ隣に座り、
「うん」
「うそつけ!」
こんなすこしの会話が暖かかった。
だって、家にいても両親とは目も合わせない日々。
人とこうやって喋れるのは姉ちゃんがいる時か警察か。
少しの談笑のあと急に姉ちゃんが暗い顔をして「ねぇ|尚《なお》、まだやってるの電波塔」。
俺は小さく頷く。
すると姉ちゃんが何か言った気がした、でもすぐに「ごめんね急に暗い顔して!あ、最近高校どうなの?・・・・・・
次の日起きると姉ちゃんはいなかった。
きっと家に帰ったのだろう。
今日も時計の針が7と12を刺す時間に家を出る。
俺は何をしているのだろうか。そういつも思う。
姉ちゃんは就職をしているのに俺はろくに高校も行かずに外で時間をつぶして暗くなったころに帰る。
一応出席日数はギリギリ大丈夫だが単位が危うい。
俺も、姉ちゃんと一緒にここから逃げて、働いて、また一緒に生きていきたかったんだけどな。