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タイムラインスキッパー 第一話 短く長い日々の始まり
ある雪の夜、僕は山間の小さな温泉街へと来ていた。深々と降り積もりゆく雪の中、一日に数本しかない鉄道から降りる。今日は一泊二日でこの温泉へと旅行に来ていた。一人ではなく、友人の下松くんと一緒にだ。と、言っても僕はまだ高校一年生、こう言った友達との泊まりの旅行は短いものとはいえ初めてだ。なぜここにしたかって?ここは下松と仲良くなった思い出の場所だからさ。僕らはこの近く(まあ近くといっても田舎だから閑散としていて都会に住む人からすれば遠くかもしれないが)に住んでいて、ここが目的地の学校の校外学習で一緒の班になった時に出会ったのが下松くんというわけだ。改札を抜け、旅館に入る。その日は、暖かい温泉に入って美味しいご飯を食べて、二人でUNOなんかして時間を潰しながらもゆっくりと楽しんで寝た。
朝、アラームの音で目覚める。ミスって一時間早くアラームをセットしてしまったようで、下松のスマホはなっていない。幸いなことに下松は僕のスマホの音では起きなかった。温泉街だからといってやることはそう多くない。歯磨きをしたのちスマホを触って暇を潰す。今日は何をしようか、なんて考えながらいると、Googleマップに気になる場所を見つけた。どうやらこの温泉街から少し山を登ったところに、神社があるようだ。よし、行ってみよう。そんなことを考えていると、下松が起きる。
「おはよぉ〜...」
なんて寝癖がついたまま言うもんだから、ついちょっと笑ってしまった。朝ごはんを食べたのち、朝風呂に入り、神社へと向かう。次の列車が来るまではまだ長いから、どうせやることもない。あんまり有名なスポットじゃなさそうだけど、せっかくだし行こう。旅館の女将さんに見送られつつも、神社へと出発。軽く雪が積もった温泉街の景色を楽しみながら歩く。途中でかわいい猫ちゃんなんかに出会いながらも、神社に到着。予想以上に古かったが、それでも立派だ。
「むっちゃ地面滑る」
「やばっ」
なんて言いながら、鳥居をくぐる。一瞬鈴がなるような音がした。まあ気のせいか、とか考えながら、本殿へ向かう。二礼二拍手一礼、だったっけな。声には出さないながらも、「下松とこれからも幸せにいれますように。」なんてお願いしちゃったり。気づけばもう時間は電車の時刻ギリギリ、滑って転ばないように気をつけながらも駅へと急いだ。揺れる列車の中、楽しかったけど次はもうちょっと遠くがいいな、なんて思いながらも家へと帰った。こうして僕らの旅は終わった...かと、その時までは思っていた...