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目次
オレンジ
<「美咲〜?一緒に帰ろ〜?」
私は、|黒谷美咲《くろやみさき》。
目の前にいるのは、|大石健太《おおいしけんた》。
健太は、本当によくモテる。
私は、好きじゃないけど。
気遣いができるし、スポーツ万能だけど。
私は、こいつを恋愛対象として見れない。
「今日は部活がないの?」>
こいつは、バスケ部に入っている。
・・・私は帰宅部だ。
だから、こいつの部活がある日は一緒に帰れない。
<「うん、だから一緒に帰ろ!」
「別にいいけど。」>
「あ、帰る前にバレー部を見てもいい?」>
<「いいけど、なんで?」
「・・・なんでもいいでしょ。」>
こいつのことは好きじゃないが、片思いの相手がいる。
バレー部の武藤翔くん。
「武藤くんってどんな人?」>
前にそう聞いたところ、
<「あいつだけはやめとけ」
健太に言われた。
人の好きな人に文句なんて言わないでよね。
---
[健太視点]
あいつにだけは、とられたくない。
俺は、美咲が好き。
でも、あいつも美咲が好き。
お互いにライバルだと思ってる。
だから、翔に言った。
「俺は本気であいつが好き。でも、お前もだろ?」>
だから、と俺は続ける。
「同時に告白しようぜ。」>
「そうすれば、公平だろ?」>
<「のった、明日の放課後な。」
もし、美咲がどっちを選んでも。
後悔はしない、それで美咲が幸せなら。
---
[告白当日]
[美咲視点]
「どうしたの?2人同時に呼び出して。」>
・・・何かしちゃったかな?
<「俺と付き合ってください。」
2人同時に・・?
しかも、相手は|健太《親友》と|翔くん《好きな人》。
「私は・・・」>
「選ぶことは出来ない・・・!」>
<「・・・そっか。」
残念そうな2人。
「強欲かもしれないけどさ。2人と付き合いたい、2人とも好きだから。」>
「私のこと、大切にしてくれる?」>
<「当然だろ!」
<「もちろん!」
---
その後、私達は学校でも有名なカップルになった。
最初は、隠していたんだけど。翔くんがバラしちゃった。
「今日、一緒に帰ろ〜?」>
<「翔、どっちが待たせないでこれるか勝負しようぜ!」
<「望むところだ!美咲ちゃん、すぐに行くからね!」
その日の夕方に、オレンジ色に染まる夕焼けと
手を繋いで帰る3人組の姿があったとか。
チョコレートはあなた
登場人物一覧!
美和→恋する☆乙女、洸のことが好き・・・?
洸→イケメン☆ 美和のことが好き。
楓→イケメンその2☆
三人とも仲がいいよ、いうならば親友!
[洸視点]
俺は、|洸《ひかる》。
美和、俺、楓で一緒に下校しているところだ。
単刀直入に言うと、俺は美和が好きだ。それは楓しか知らない。
今日は2月14日。
今日は・・・バレンタインデーだ。
今日チョコを貰えるかどうかで、俺の告白のタイミングが変わる。
成功するとは思っている。
だって、俺以外の男子と話しているのを見たことがないから。
楓はないだろう、俺が好きなのを知っているから。
<「なぁ、一緒に雪遊びしないか?」
美和だ、彼女は女子にしてはぶっきらぼうな話し方をする。
そんなところも可愛い。
いいね、と言おうとしたとき。
<「いいな、一緒にやろうぜ。洸もやるか?」
・・・まただ、また。
そうやって俺の邪魔をする。
・・・・・だめだ、親友を疑うなんて。
誘ってくれたんだ、感謝しないと。
「ああ、楽しそうだな!」>
---
<「ごめん、洸の家に来ちゃって。」
あのあと、遊ぶことが出来ないほどの大雪になってしまった。
楓は家が近いから、自宅に帰った。
美和はだいぶ家が遠いので、俺の家に避難してもらうことにした。
「大丈夫だよ、雪が降ったなら仕方ないし。」>
・・・チャンスだ。
俺は、ここで告白する。
今しないなら、いつするんだ。
俺、覚悟しろ!
<「あのさ。」
「あの。」>
おぉ、見事に被った。
「先にいいよ。」>
告白するかは、内容にもよるからな。
<「チョコ、今日バレンタインデーだから。ちゃんと甘さ控えめにしたんだ。」
そう、俺は甘いものが苦手。
美和は気を使ってくれる、そこも好きだ。
「ほかは誰に渡した?」>
これが重要だ。
<「洸と楓だけ。」
・・・勝った。
「ありがとう、俺も言いたいことがあるんだ。」>
やっぱり緊張する・・・けど。
「俺、美和のことずっと好きなんだ、付き合ってください。」>
大丈夫、失敗するはずない。
<「ごめん、付き合えない。」
・・・・・・・は?
<「好きな人がいるんだ、ごめん。」
誰だよっ!?・・・俺から美和を奪ったのは!
「そいつの名前は?」>
<「・・・楓。」
ごめん、と言いながら帰ってしまった。
俺は本命にはなれなかったってことかよ・・・!
その日に食べたチョコは、いつもより苦かった気がする。
ご閲覧ありがとうございました〜、リクエスト感謝です!
暗い館の中であなたは
―――薄暗い部屋の中で、私は目覚めた。
横で寝ているのは、私の友達である優花。こんな状況にもかかわらず、ぐっすり寝ている。
「優花・・・! 起きて、知らない場所にいるの!」
肩を揺さぶると、彼女は目をこすりながら顔を上げた。
「・・・え? ここ、どこ?」
私たちの目の前に広がっていたのは、古びた木の壁と重そうな扉、天井からぶら下がるランプ。
まるで何十年も前の客室のようだった。ドアノブを回そうとしても、びくともしない。
「・・・わからない、でもきっと危険だよ。急いで逃げ道を探そう。」
不安を押し殺して部屋を調べると、壁に一枚の絵がかかっていた。
――豪華客船が海を渡る光景。
私と優花が顔を見合わせたその瞬間、ギィィィと音をたててドアが開いた。
そこに立っていたのは、背筋の伸びた男だった。
無表情のまま私たちを見つめ、やがて口角をわずかに上げる。
「・・・こちらへ」
(―――逃げないと。)
本能的な何かがそう感じたにもかかわらず、私達の足を勝手に動く。
声に逆らえず、私たちは導かれるままに広間へと足を運んだ。
そこは天井が高く、まるで館のように立派な建物の内部だった。
でも、この建物だけが歴史から切り離されたような不気味な感覚がした。
ここにはすでに十数人の男女が集まっている。
やがて私達を案内した男は一歩前に出て、低い声で言った。
彼の後ろには船と陸が描かれた絵が飾ってある。
「私はここの長、須田と申します。」
それだけ言って、どこか別の部屋に行ってしまった。
静寂を破ったのは、若い男の人。
「みなさん! なんとかしてここから抜け出しましょう!」
誰もがそう思っていたらしく、首を縦に振った。
もちろん、私もそのうちの一人だ。
そうして、2グループに別れての探索が始まった。
「こっちに地図があるぞー!」
しばらく進むと、建物の地図を発見した。
建物は横長の造りをしていたが、端の一部がかすれていてよく読めなかった。
「ねぇ、この部分を見に行ってみない?」
恐怖を好奇心と勘違いしたのか、そんなことを口走った私。
気になって数人で実際にその場所へ行くと、瓦礫が散乱している。
――まるで衝突の跡のように。
「・・・戻りましょうか。」
不吉な予感を抱きながら中央へ戻ると、一人の姿が消えていた。
「・・・え? さっきまで、確かに一緒にいたよね?」
誰かの震える声。
そのとき、床の隅に転がる“それ”を、誰かが指差した。
そこにあったのは――人間の形をした人形だった。
服も髪も、その人物のものと同じ。だが、目はガラス玉のように冷たく、もう二度と瞬きはしない。
「・・・嘘だろ。」
「さっき瓦礫のほうに近づいてた人じゃ・・・・!?」
(私のせいだ・・・・!)
優花のほうをちらりと見ると、大丈夫だよとでもいうような目をしていた。
(私が人形にしたようなものなんだよ? なんでそんな目をしてるの。)
(本当にそれは優しさなの? もしかして・・・・・。)
―――優花は|あっち《館長》側?
場の空気が一気に凍りつく。胸の奥に張りつめた恐怖が、肌を這いまわるようだった。
そのとき、叫び声が響いた。
「館長が・・・館長が仲間を人形にしたんだ!」
誰もが須田さんを見た。彼はただ静かに、首をかしげる。
「館長・・・ですか。」
その声音は、まるで自分には関係のない言葉を聞いたかのように、淡々としていた。
否定でもなく、肯定でもない。ただ、ひたすら曖昧に。
それがかえって恐ろしく、私たちの心をかき乱した。
――それでもここから出るために探索は続く。
壁一面に仮面が飾られた部屋では、目の前の仮面がふと笑ったように見え、背筋が冷えた。
円形の部屋では、無数の椅子がこちらを取り囲むように並んでいた。まるで見えない観客に凝視されているようだった。
進めば進むほど、空間は人を嘲笑うように不気味さを増していく。
気づけば誰かがいなくなり、そのたびに人形が残される。
やがて残ったのは、たった五人。
「・・・・もう、やめよう。出ようよ・・・・!」
「でも諦めたら出られないでしょう!?」
「いっそのこと、このまま人形になったほうが・・・・。」
ほかの3人は言い争いをしている。私も恐怖と疲労で体が動かない。
「大丈夫・・・? きっと出られるよ、だから頑張ろ?」
(優花はなんで冷静なの? こんなに前を向いているの?)
(きっと、こいつは命の危険がないんだ。館長の仲間なんだ。)
「優花、もしかして―――」
恐怖と疑念が渦巻く中、ついに一人が須田さんを正面から問い詰める。
「あなたは一体、何者なんですか!」
須田は、静かに私たちを見渡した。
その目は底の見えない深海のように暗く、どこにも逃げ場を与えなかった。
そして、唇がわずかに動く。
「・・・あと三十分逃げ切れば、あなた方は解放されるでしょう」
告げられたその言葉は、不気味な約束であると同時に、冷酷な宣告でもあった。
残り五人になった私たちは、合図もなく一斉に駆け出した。
通路は枝分かれし、誰も振り返る余裕などない。
叫び声と靴音だけが重なり合い、やがてそれぞれの影は暗闇に吸い込まれていった。
「こっち!」
私は優花の手を握りしめ、瓦礫の方へ走った。背後で別の誰かが扉を乱暴に叩く音がする。
違う方向に逃げた二人の足音はすぐに遠ざかり、もう生きているのかどうかもわからない。
私と優花だけが、この通路に取り残された。
瓦礫の山は、鋭く崩れて刃のように突き出し、その奥は真っ暗な穴へと続いている。
まるで飲み込むために口を開けている怪物のようだった。
そのとき―――
「っ・・・・!」
優花が足をもつれさせ、崩れた石に膝をぶつけて倒れ込んだ。
私は振り返る。彼女の顔には、恐怖よりも「自分を置いていけ」という決意が強く浮かんでいた。
「行って! 私のことは――」
声は震えていたが、それでも私を突き放そうとする必死さがあった。
「バカ言わないで!」
私は叫び、彼女の腕を掴んで引き起こす。
埃が舞い、喉が焼ける。心臓が破裂しそうなくらい脈打っているのに、離すことなんてできなかった。
(私はなんでこの子を疑ったんだろう・・・!)
背後から足音が近づいてくる。重い、規則正しい足取り――須田だ。
「・・・友情などあっても、死の運命からは逃れられませんよ」
低い声が瓦礫の間に響き渡り、空気が凍りつく。
私は優花を抱き起こしながら、必死に耳を塞ぎたくなった。
(やめて・・・・、こないで・・・!!)
けれど、須田は歩みを止めず、さらに続ける。
「あなた方がどう足掻こうと、この場所は死の記憶でできている。救おうとしても、引きずり込まれるだけ。__私のようにね。__」
その言葉の最後は、かすれていて誰にも届かないほど小さかった。
けれど確かに、そこには人を呪う声ではなく、諦めと悔恨がにじんでいた。
須田の影が、私たちに覆いかぶさる。
やがて彼は口元を歪め、誰にともなく呟いた。
「死は救済なんていいますけど、私にとっては―――」
---
『続いてのニュースです。突如十四名の男女が行方不明となりました』
テレビの画面が変わり、スーツ姿のアナウンサーが続ける。
『今日は、あの大事故から十年が経ちました。船が陸に衝突したあの日――』
どこか須田に似た老人は涙ぐみながら、息子を返せと叫ぶ。
息子は悪くない、あいつらが悪いんだ、と言っている。
毎年九月一日、海には得体の知れない館が浮かぶという噂が、今も囁かれている。
ご閲覧感謝!
活動1周年記念小説となります!
色々伏線とか頑張って書いたので、
見てくれて嬉しいです!
愛の檻
暗めの話、グロくはない。
あいつが殺された。
それを聞いたときに、俺の何かが崩れ落ちていく音が聞こえた。
同居を始めてから3年、これからもっと幸せになれるはずだったのに。
電話の向こうで警察が何かを言っている。俺の脳はそれを|音《ノイズ》として捉える。
俺の生きがい、他の何にも代えられない存在が奪われた。
・・・・あいつは愛を売る仕事をしている、と言っていた。
飢えた獣に、餌という名の愛を。
あいつは何かに怯えていたようだった、きっとそれは偽物の愛だ。
その愛にあいつは殺された。
俺に無償で愛を売ってくれたあいつが。
昨夜の自分の判断を悔やむ。
やっぱり一人きりの外出は反対すればよかった。
俺以外に配っていた愛は、所詮偽物なんだから。
偽物は本物に敵わないのだ。
速報、と称されたニュースが流れる。
その事件での被害者はあいつだった。
容疑者はすでに逮捕されているらしい。
専門家は、懲役10年くらいだろうと推測している。
―――人殺しが、10年反省して許されるとでもいうのだろうか。
あいつは行方不明者だったとか、色々な情報が流れる。
逮捕されたそいつは、こう言う。
「あの化物から救うにはこれしかなかったんだ」
「申し訳ないとは思ってる、でもこれ以上汚れてほしくない」
俺は、あいつをほとんど家から出さない。
だから汚れるはずなんてない。
外に出したとき、他の誰かと出会っていたのか?
ふつふつと怒りが湧いてくる。そこで一つの疑念が生じた。
―――俺への愛も偽物だったのか?
いや、俺達は相思相愛だ。首を振って邪念を消す。
「僕の恋人が変わってしまったのを見たくなかった」
「次はきっと僕のところに―――」
容疑者は何か喚いている。
部屋が夜の海のように薄暗くなり、俺の思考が沈む。
そして、頭の中に一つの小さな光が生まれた。
俺のものを奪ったなら、次はそっちが奪われる番だ、と。
準備はすぐに終えた。
捕まっている場所も調べたし、心は落ち着けた。
あとは奪うだけだ。
本物の愛をもらった者として。あいつに選ばれた男として。
そいつは「奪う者」には見えなかった。
自分の中での何かを貫いているようだった。
無造作に置かれた本のそばで、そいつはずっと笑っている。
「お前が・・・、俺からあいつを奪ったのか。」
憎しみよりも驚きと落胆が勝った。
こんなやつに奪われてしまったのか、と。
「ふふ、はははっ。僕は自分の正義を信じただけですよ。」
「お前の正義は俺の悪だ、|戦士《ヒーロー》を気取るな。」
「・・・それは違う。」
犯罪者に否定されても痛くも痒くもない。
俺は鼻でせせら笑った。
だが、それは真剣な表情で透き通った瞳を向ける。
「お前が悪だ、僕達の悪がお前の正義なんだっ・・・・!」
迫力もなにもない。見る価値も聞く価値も、なにも。
「ここに来たのが間違いだった、もういい。」
「僕、あなたに一つだけ言いたいことがあります。」
俺は無視する、聞くに足らないセリフだろうから。
「ここに来てくれてありがとうございます、すべて―――」
「計画通りに進みましたから。」
そう言って胸元から警察手帳を取り出した。
「警察・・・・っ!? 俺は何もしていない!」
「監禁罪であなたを逮捕します。君たちも、ほら。」
先程のような弱々しい雰囲気は風とともに流れていく。
部下らしき人物に命令を下す姿は、どこか貫禄もあった。
そいつらの後ろには、愛してやまないあいつがいた。
「生きてたのかっ・・・・、よかった。ほら、こっちにこいよ。」
「ごめんなさい、あなたとはここでお別れなの。」
後頭部を殴られたような衝撃が走る。
あいつが俺を拒絶した?
そんなはずない。あいつは俺を愛しているのだから。
「本当に愛をもらっていたのは僕なんですよ、犯罪者さん。」
「ごめんね、でも私達は一緒にいちゃダメなの。」
「言わされてるんだろ? そうだ・・・、よな?」
あいつは何も言わない。ただ少し怯えたように見える。
「改めて言っておきますが、僕は本物の彼氏で本物の警察官です。」
死んだというのは嘘だったのか。そんなに俺を誑かしたいのか。
無機質な手錠が、俺を嘲笑うようにこちらを見ている。
「・・・・なんでだよ。俺は・・・・、俺は・・・・!」
首輪だってつけてあげたし、ご飯も与えた。
ほしいものは何でも買ってやった。
俺はかすれた声で呟く。
「なあ、俺の行動は『愛』だったよな? 鎖なんかじゃない・・・・、純粋な愛だよな?」
そう尋ねても、あいつはいつもの笑いを浮かべるだけだった。
いや、あれは・・・・。
笑っているのか?
私の勝ち
「あたし、未来がわかるの!」
きゅうしょくのカレーを食べながら、あおはちゃんがそう言った。
あおはちゃんはだいじなおともだち。
ずーっといっしょなんだよ。でも、やっぱりへんだな、ふしぎだなって思う!
"みらい"ってなんだろう?
「あおはちゃん、"みらい"ってなぁに?」
「ねえねえ、これからどうなるかおしえてあげよっか?」
ほら、あおはちゃんはこたえてくれないの!へんでしょ?
「わたしのばんごはんあててみてよ!」
あおはちゃんならわかるってことでしょ?
ママはハンバーグって言ってたんだ!わかるかな?
「ゆいちゃんはね、シチューがたべられるよ!」
やっぱりわかんないんだ! あおはちゃんうそついた!
おうちにかえってから、ママに聞いてみた。
「ママ、今日のごはんは?」
「あぁ結衣ちゃん。ごめんね、お肉がなくてシチューなんだけどいいかな?」
わたしはとてもびっくりした。
あおはちゃんの言ってたことは本当なんだ!
わたしはあおはちゃんに言ってみた。
「なんでわかったの!? おもしろいしすごい!」
あおはちゃんはニコニコしながら言った。
「あたしには未来がわかるんだ。」
「もっと聞いていい!?」
いっぱいみらいのこと、知りたいな!
でも、ただ聞くだけじゃつまんないや。
「じゃあさじゃあさ? あおはちゃんはたまーにうそついてよ!」
「嘘? どうして?」
「わたしがうそをあてるの!」
あおはちゃんはさっきよりもニコニコした。
「楽しそう! やろうやろう、しょうぶだ!」
こうして、わたしとあおはちゃんのしょうぶが始まった。
---
小学校4年生になって、私と蒼羽の関係は少し変わった。
親友ではなく、秘密の友達として話すようになった。
学校での友達も違うし、クラスも変わった。
そのせいか、私は学校ではなく家で予言を聞くようになる。
「蒼羽、今日の放課後に来て。」
「うん、わかったよ。結衣ちゃん。」
蒼羽は小1のころからずっと嘘をつかない。
もう|ゲーム《勝負》の意味がない。
そして、今日も私は「予言」を聞く。
宿題のことも、私の未来も、聞きまくって。
今の私なら、なんだってできる。
---
6年になると、蒼羽が私を避けるようになった。
新しい友達が増えたからだろうか。
その友達に「予言」をしている気配はない。
私だけの|予言者《あなた》だもん、当然か。
「蒼羽、今日ね。」
「ごめんなさい、今日は塾があって。」
そう言いながらも、蒼羽は笑みを崩さない。
「関係ないから。昇降口にいてよね。」
蒼羽の都合なんて関係ない、あいつは予言だけしてればいい。
放課後、蒼羽は昇降口付近には見当たらない。
探していると、校門近くを男と歩いている蒼羽を見つけた。
「ごめん、C。今日は蒼羽との用事があるんだ。」
そういって半ば強制的に蒼羽を引き剥がす。
Cは私が狙ってるのに、勝手に仲良くなってるなんて。
・・・それに、あんたは私のもののはずでしょ?
家に帰ると、私はランドセルを放り投げた。
「蒼羽、まずは宿題の答え。聞くから質問に答えて。」
「うん。問1は―――」
蒼羽はなぜか頭が良い、だから聞けばすぐ答える。
宿題が終わり、ジュースで唇を湿らせながら一番気になっていることを聞いた。
「Cは私のこと好き?」
Cのことは去年から気になっていた。
あわよくば付き合いたい、そう願っている。
「うん。」
その返事を聞いて、私は目を輝かせて食い気味に言った。
「本当? 本当だよね?」
「本当だよ、未来がそう告げてるの。」
ふん。告げてる、なんてカッコつけて。
まあいい、あとで告白しないと。
そう思いつつ、クッキーを口の中で砕いた。
その後とっておきの質問を、蒼羽にぶつけた。
「あなたは嘘をつかない?」
ずっと気になっていた。小1のころから、ずっと。
私が覚えている限りだと、一度も嘘をついていなかったはず。
蒼羽は戸惑いとも驚きともとれる表情を浮かべた。
私は蒼羽の笑っているとき以外の表情を初めてみた気がした。
「―――はい。」
そう答えて、蒼羽は静かに息を吐く。
私は笑いが止まらなかった。
やっぱりそうだ、蒼羽は嘘なんてついてない。
ずっと私のために尽くしてくれてたんだ。
---
小学校の卒業式で、私は見た。
隣の中学校の質素な制服の中に、かわいいリボンのついた制服を。
それは、蒼羽のものだった。
「蒼羽、受験したの? どこに行くの?」
蒼羽があげた名前の学校は、県内屈指の進学校。
・・・・・私のことを、置いていかないでよ。
胸の奥でもやもやと何かが広がる。
「あんたがどこにいくかなんて関係ない! また予言してもらうから!」
こいつの予言のおかげでCと付き合えた。
提出物もやれているし、怖いものなんてない。
・・・きっと、そのはず。
---
ただ、結衣は自分の甘い考えを悔やむことになる。
中学校に入学すると、結衣はすぐに不登校になったのだ。
知らず知らずのうちに、蒼羽に頼りすぎていたのだから。
当然だが勉強にはついていけず、友達もできない。
「・・・私はやれるわ、たとえ蒼羽がいなくても。」
独り言を何度も呟く。自分に言い聞かせるように、何度も。
だが、その言葉は虚しく散り、結衣が復帰することはなかった。
彼女は気づいていたが無視していたのだ。
蒼羽の予言がなくなったときから、胸に穴が空いたような感覚があることを。
こうして結衣と蒼羽は疎遠となって、別々の道を歩むことになったのだ。
---
その後、結衣と蒼羽が再会したのは同窓会だった。
同級生たちが酒を飲み、言葉をかわす中、結衣と蒼羽も昔話に花を咲かせていた。
「小さい時にはたくさん遊んだよね。」
「そうね、あの頃は楽しかったわ。今の仕事は―――」
結衣も蒼羽も「予言」のことは話さない。
2人とも大人になった、ということだろうか。
他愛もない雑談をしているうちに今回はお開きとなった。
帰り際、蒼羽はこう言い放った。
「私の勝ち、だね。」
結衣はきょとんとした顔で聞き返した。
「勝ち? 一体、何が勝ちなのよ?」
その問いには答えず、笑いながら去っていく蒼羽。
蒼羽がいなくなった後も、一人立ち尽くす結衣の姿があったそう。
---
私―――、蒼羽は笑いを堪えることができなかった。
だって、結衣ちゃんは知らないのだから。
私の「予言」には嘘が紛れ込んでいたことを。
本当は全部「いいえ」だったのにね。
C君のときも、すべて。
裏での細工、大変だったんだから。
まぁ、そのおかげで信じ込んでたのだけど。
ちょっと手間だったなぁ。
でも、思い通りに動く結衣を見るの、面白かったな。
それにあの子はもう1人じゃ生きられない。
私がいないと何もできないもんね、結衣ちゃん。
結衣ちゃんも、お馬鹿だよ。
私の「|予言《幻》」を全部真に受けてるんだから。
やっと言えた。「私の勝ち」って。
リクエストの作品です。
細かい部分まで書かれていてとっても書きやすかった。
リクありがとうございました!
前半読みにくくて申し訳ない、ひらがなばっかり。
消えた星、救う星
私には、7人の仲間がいる。
そいつらと一緒に暮らして、なんだかんだ幸せだ。
ただ、私達は過去の決断を悔やむことになる。
―――ここは、世界のどこかに佇む小さく立派な館。
私達にはかつて「星々の神格」と呼ばれていた祖先がいる。
その祖先から受け継いだ不思議な力で、世界を救ったこともある。
少しトラブルもあったけれど、幸せだ。
「スイ、そろそろ起きて。朝だよ。」
「んぁ・・・・? もう少し・・・・、寝る。」
「普段は|忙《せわ》しないのに、朝はのんびりよね。」
キンが呆れたように言う。
「私がスイの朝食を食べてしまおうか?」
テンが冗談交じりに告げた。
「起きる、起きるから・・・・! ご飯は食べたい!」
そういって目をこすりながら起き上がるスイ。
「キンが作るご飯は絶品だもんね。」
ここまでが毎日の日課みたいなもの。
本当に楽しくて、幸せ。
「ドー、また夜ふかししたのか?」
「また本を買ってきたからね、読み終わるまで寝れないさ。」
「ったく、しっかりしてくれ。最年長さん。」
ドーは29歳、この中では一番上だ。
ただ、本人はリーダータイプではない。
私達のリーダーは―――
「ドー、いい加減しまってこい。朝飯だぞ。」
モクだ。声と態度のでかさは一番。
「オレたちはお前らをずっと待ってるんだぞ!」
カーも声をあげる。
動きやすそうな服だけど、ナイフが隠してあるのは内緒。
「我も待ちくたびれた、すぐ食事にしよう。」
楽しい会話だけど、私の心には決して埋まらない隙間があった。
いつもの日常にもかかわらず、みんなも表情は暗い。
あの子がいなくなってから今日で一年になるから。
忘れたくても忘れられない、大事な仲間。
「もう一度、捜索してみないか? 希望がないわけでは・・・・」
モクは私達と目を合わせない。
視線の先には棚に残されたメイが使っていた小さいコップ。
「俺達は消える星も救わないとだろ? メイはきっと元気だよ。」
冷たいようだけど、彼はいつもこう。
「星座も被害を受けてるもの、私達も動かないと。」
私の祖先は、だいたい太陽系に対応する神だという。
だから、星と会話もできるし救うことも簡単なんだ。
そのとき、ポーンとこの場に合わない無機質な音がした。
「誰だ、こんなときに。」
それは来客時になるチャイムだった。
「私が出よう、君たちは待っていたまえ。」
カイが私達に言って、玄関へ向かう。
誰かの泣き叫ぶ声が聞こえ、カイの足音は戻ってきた。
「オリオンくんだ、オリオン座の星が消えかかっているらしい。」
・・・あの、オリオン座が?
オリオン君は私達と同じく星と繋がりをもつ人。
彼が知らせてくれた事実に、私達はすぐに動くことができない。
「急ごう、今なら助かるかもしれない。」
早く助けに行かないと、星々の秩序が乱れる前に。
---
急いで装備を整え、宇宙へ飛び出す。
「あぁ・・・、モクさんたち。俺はもうダメみたいです、ね。」
オリオン座の姿を見て、私達は絶句した。
光が少しずつ弱まっているのが明らかだから。
星の輪郭がうすれ、霧のようにぼんやりしている。
急いで太陽の光を渡すが、効果はないのがわかる。
「黒いドレスの女の子が、俺に近づいてきて・・・。そのときは特に何もなかったんすけど。今じゃこの有り様だ。」
キンが心当たりを聞くと、オリオン座は乾いた笑いを浮かべて答えた。
その唇は震えていて、焦りが滲み出るようだった。
「黒いドレス・・・、それは本当か?」
カイが拳を握りしめながら、小さく呟く。
「はい、間違いありません。」
その口調とは裏腹に、彼の姿は消えてしまいそうなほど弱々しい。
そして、私達にはオリオン座の言葉を聞いて思い当たる節があった。
「メイ・・・・・?」
キンがぼそっと呟いた。
黒いドレス、いつも身にまとっていたあの子の象徴。
「そいつは、何か言っていたか?」
「いえ、何も。ただ少し―――空気が重くて。」
彼の星が一つ、また一つと輝きを失っている。
もう、数分も持たないだろう。
「僕が時間を巻き戻して延命してみせる。チーの守護と余りの太陽光で復活できるか試してほしい。」
ドーは時間と土を司る、オリオン座の状態だけ巻き戻すこともきっとできるはず。
「『|逆再生《リワインド》』どうかな、オリオン座。」
空気が揺れた。でも、時間が動いた感じはない。
「・・・申し訳ないっす、効いてる感じがしない。」
「チー、お前も試せ。ここからは一刻を争うぞ。」
「わかった。『奇跡の星』『大地の恵み』」
守護技に集中して、ありったけの力を込める。
きらきらと星屑が舞い、技は成功していることがわかる。
ただ、オリオン座の消失は止まらない。
「このままじゃ、本当に・・・・・!」
誰もその先は言わない、とにかく星の光を繋ぎ止めないと。
技が効いている感触はないけれど、ひたすら打ち続ける。
最後の光が消える瞬間、ピタリと消失が止まった。
「俺、助かりました・・・・よね! やった・・・、よかった。」
オリオン座が人間なら膝から崩れ落ちているだろう。
その情景がありありと浮かんだ。
彼の安堵とは対照的に、私達には疑念が浮かんでいた。
誰の技も効いていなかったのに、どうして止まった?
みんなそう思っている、だから緊張を崩さない。
そのとき、声がした。
私達が全員知っている、でも知らない。そんな声が。
「ただいま、みんな。僕、メイだよ。」
黒いドレスの少女、メイ。
大事な仲間の帰還。もちろん、喜ぶべきなんだけど・・・。
空気が格段と重くなる。
息をするのもためらうような、そんな雰囲気を放っている。
返事をしようとしても、言葉が出ない。
「君は、本当に・・・・メイなのかい?」
「もちろん僕だよ。なんで、なんでそんなに疑っているの?」
目に光がない、それに私達とまったく目が合わない。
私達の不安を無視して、メイは続ける。
「僕ね、こんなに強くなったんだよ。みんなもわかったでしょ?」
「メイ、星を消して強くなった?本当に嬉しいのか?」
普段はおちゃらけているスイの瞳は真剣だ。
「だって僕、弱かったでしょ。だから足を引っ張ってたんだよね。」
理解しきれていない私達をよそに、メイは言葉を紡ぐ。
「だからこんなに強くなったのに、なんでそんな顔するの?」
その声と顔に憂いが帯びる。
「やっと役に立てるんだよ・・・、だから邪魔しないで。」
最後の一言には明らかに闇が潜んでいた。
「メイが強くなったのは喜ばしいことだ、だが他の星を巻き込むな。」
「星の光を吸って吸って吸い尽くすのに、苦労してきたんだよ。」
「君のエゴで、星が傷ついているんだぞ。」
メイの顔には、少しの敵意が滲む。
「僕が強くなっても、それでも必要とされないんだ。」
「オレ、お前が強くなったのは見ただけでわかるぜ。」
カーは普段通りの口調で呟く。
「ただ、お前は変わっちまった。周りを犠牲にするやつじゃなかった!」
メイは何も言わない、ただたくさんの感情が渦巻いているのはたしか。
そして大きく息を吸って、この言葉を吐いた。
「僕がどんな思いでここまで来たか知らないくせに!勝手なこと言わないでよ!」
「私達は、メイのこと役立たずなんて思ってなかった。」
少なくとも私は、メイのことを大事な仲間だと―――
「みんなが思ってなくても、それが事実なの!」
メイが怒鳴った瞬間、空気がびりっと震えた。
その背中で、何か黒いものがゆらりと揺れる。
最初は影かと思った。
でも違う。影じゃない。
生きている闇みたいに、メイの輪郭に絡みついていた。
カイが、震えた声で呟く。
「……メイの後ろのそれ、見えてるか?」
私たち全員、息を呑んだ。
闇の中から、細い何かが伸びて、メイの耳元に触れる。
まるで――囁きかけているみたいに。
メイの表情が一瞬だけ苦しそうに揺れた。
でも次の瞬間には、また冷たい瞳に戻る。
「僕がどれだけ必死だったかなんて――誰にも分かるわけないんだ!」
叫ぶメイの声に重なるように、
もう一つの声が確かに聞こえた。
メイの声と重なっている、宇宙よりも暗い声が。
――消してしまえ。
――お前は一人だ。
――誰も、お前を必要としていない。
ぞわっと背筋に寒気が走る。
「メイが言ってるんじゃない!」
スイが震える声で叫んだ。
「後ろの闇が、メイを縛ってるんだ!」
「なら・・・助けないと。」
テンが拳を握る。
「メイはこんなの望んでない。」
「そうだ。メイは仲間だ。」
カーも声を張る。
「闇なんかに、食わせてたまるかよ!」
闇の囁きに染まりかけているメイを前にして、
私たちの視線がひとつに重なる。
——助けるんだ。
どんなに歪んで見えても、あれは確かにメイだから。
「よし・・・全員で行くぞ。」
モクが静かに言い、それだけで空気が引き締まった。
私たちは一斉に構える。
闇に飲まれた仲間を、取り戻すために。
---
黒い闇が波のように動く。
それは瞬く間に私達を囲うように広がっていく。
「・・・・来るよ。」
私達は逃げない、立ち向かってみせる。
「『選ばれなかった惑星』 このまま消えてよ、みんな。」
これはメイの本心じゃない、そうわかっていてもやっぱりきつい。
「『燃えたぎる血』守ってちゃ勝てねぇ、火力全振りでいく!」
轟々と音を立てて、黒と赤のエネルギーがぶつかる。
「カー、我が援護するぞ!『海武』」
カイのトライデントが、メイの技を貫く。
「『存在しない星』」
たくさんの星が散りばめられる。
メイの糧となった星なのだろう。
光は発しているが、中から闇が溢れそうだ。
「奪われてしまったのかい、皆・・・・。」
「テン、そんなこと言ってる暇ないよ!『奇跡の星』」
「そう来ると思ったよ。『輝かない恒星』」
私の星は撃ち落とされてしまう。
「僕、強くなったでしょ。ほら、もっともっと!」
「『|逆再生《リワインド》』『加速』行っておいで、哀れな光。」
メイの技はメイのもとへ戻る。これもドーの力だ。
「俺達は、お前を救うと誓ったんだ!『木雷』」
雷が落ち、できたヒビから芽が生まれる。
それらは急速に成長し、木々が生い茂る。
「『伐採』メイでもこれは厳しいだろ!」
「『選ばれなかった惑星』僕のこと、舐めてるの?」
闇に木が呑まれていく。そこには何もなかったかのように闇が広がる。
「舐めてなどいないぞ、いつだって全力だ。」
モクは囮、私達の本命は―――
「『空と大地と春風と』 頼んだよ、カー。」
「『海の揺らぎ』お前に託す。」
『奇跡の星』、『愛の力』、『加速』。他にもたくさんの支援が、彼に。
「メイ、闇に囚われてねぇで戻ってこいよ。」
呼ばれた彼女は、今やっと気がついたかのように目を向ける。
「メイの後ろの闇。お前はあと30秒で消える。」
カーから考えられないような冷淡な声で告げられる。
「『血塗れた炎』」
宇宙に存在しないレベルの炎。
真紅に染まり、熱風が押し寄せる。
「そっか。やっぱり僕はこうなる運命なんだね。」
私達の全力を見ても、その目は至って冷静で。
私達はこの後起こる出来事を予感していた。
「『黒い闇』」
私達はここで吹くはずのない風に吸い寄せられる。
「僕、ブラックホールも作れるようになったんだよ?」
だからなんだ、と目で問いかける。
「僕と一緒に、逝こう?」
・・・・もう耐えられないかも。
引力がさらに強まった。急激に引き寄せられる。
「運命なんて、決めんなよ!」
カーが一歩踏み出す。
「お前が勝手に諦めても、俺たちは諦めねぇ!」
「『海鳴りの息吹』!」
光が一気に弾け、真紅の炎とぶつかり合った。
メイの後ろの闇がざわりと震えた。
『やめろ、見なくていい。君が誰かに必要とされるなんて——』
「黙れよ。」
カーの声は、氷みたいに鋭かった。
「メイが必要かどうかなんて、お前に決めさせねぇ。」
彼の言葉に応えるように、背後の支援がさらに輝く。
風が吹き、海が揺れ、星がきらめき、時間すら加速してカーへ集まる。
その光景に、メイの目がゆっくりと揺れた。
「・・・・僕なんかを、まだ?」
「まだ、じゃねぇよ。」
カーは炎を押し返しながら叫ぶ。
「最初っから俺らは、お前を仲間だと思ってんだ!」
その瞬間——
メイの周りの闇がビキッと音を立ててひび割れた。
---
このあと、彼女たちがどのような結末を辿ったのか。
それは君たちの考え次第。
ただ一つわかること。
彼女たちの絆はそう簡単に壊れるものではない。
リクエストの小説。
めっちゃ遅れて申し訳ない!
白い袋と黒い角
「良い子にはサンタがやってくる」
そんなもの、信じてはいけない。
ずっと悪い子でいた私にも、プレゼントは届くのだから。
「夜に爪を切ると―――」
「茶柱は幸運で―――」
大人たちのそんな|嘘《デマ》。
他のみんなは信じているけど、きっと迷信だ。
大人が絶対正しい、なんてあるわけない。
大人はそう言う私を見て、困ったように口を閉じる。
この瞬間が一番楽しい。
そんな私は、悪い子なんだって。
人が嫌がるするのは悪いこと?
でも、楽しいんだもん。しょうがないよね。
去年もその前も、ずっとサンタさんからのプレゼントをもらってきた。
ママとかパパに「これほしい」っていったら枕元に置いてある。
サンタさんが来るってことは私はいい子?本当は悪い子なの?
そして、今年もクリスマスがやってきた。
「今年もサンタさん来るかな?」
「いい子にしてたなら、きっと来てくれるわよ」
「でも、私は悪い子なんでしょ?」
私が聞くと、ママは小さく笑った。
「あら、そうなの? ならブラックサンタが来ちゃうかもね」
ブラック、は黒だよね。黒のサンタってこと?
「真っ黒のサンタさん? サンタさん来るの?」
「悪い子にお仕置きしちゃう、こわーいサンタさんよ。」
「そんなのいるわけないじゃん。見たことないもん」
パパはちょっと怖い顔で言った。
「お前もいい子にしてないと、食べられちゃうかもしれないぞ」
パパはそうやって私を脅かそうとする。
私が信じないからって、ちょっとずるい。
「今日は早く寝なさい。サンタさんが待っているよ。」
「はーい」
適当に返事をして、自分の部屋に戻る。
ドアを開けても、当然誰もいない。
黒い服のサンタもいないし、赤い服のサンタもいない。
カーテンをしめようとすると、視界の端で何かが横切った。
目で追うと角をはやした、悪魔のような何かがいる。
黒い霧をまとっていて、いかにも「悪い」やつ。
宙に浮かびながら、探し物をしているような仕草。
意味がわからない。
喉からヒュッとかすかに音が出る。
なんでこんなところに、化け物がいるの。
大きな音を立てて膝から崩れ落ちた。
この音のせいか、悪魔と目があう。
「あぁ、お前だ。やっと見つけた。」
私の本能が危険信号を鳴らし続ける。
目は潤み、体が震え――――
視界が暗転した。
---
目を開くと、私の目の前にはあの悪魔が。
「ねぇ、ここから出してよっ! 私、何もしてないから!」
椅子に縛り付けられ、動きを制限された私にできることはほぼない。
どうか命だけは、と懇願する。
「いやぁ? お前には用があってきたんだよ」
悪魔が指を鳴らす。
その瞬間、私の心のブレーキが壊れた音がする。
薄っぺらい理性が剥がれ落ち、全身の血が駆け巡り、疼く。
枷が外れて自由になった気もするけれど、よくわからない。
「ずぅっと、言われ続けてきただろ?」
**「いい子にしろって」**
間違いない、私にお仕置きしにきたんだ。
悪い子な私をいい子にするために。
心のどこかではそんな恐怖心を抱いている。
ただ、この気持ちは何?
悪魔が指を鳴らしてから止まらない、胸の高鳴りは何なの?
どこかで感じたことのあるような、そんな感覚に陥る。
――――あぁ、思い出した。
大人たちの困っている顔を見たときの、あのときの――――
「っはは、いいな。人間の、しかも小さな子どもの悪意は!」
悪魔が何か言っている。
こいつが、「|私の中の怪物《パンドラの箱》」を解放したことをなんとなく察した。
その証拠に、どろりとした欲望が溢れ出しているのを感じる。
心臓の鼓動が高まる。壊したい、悪いことをたくさんしたい。
うっすらと抱いていた恐怖心なんてどこかに吹き飛び、欲のままに叫ぶ。
「|大人《嘘つき》なんて、みぃんないなくなればいいんだ!」
「いいねぇ。こんな活気、久しぶりだぜ。最高の悪意だな」
悪魔が舌なめずりをする。
「改めて、頼みを言うぜ? 俺と一緒に世界を壊そう」
この問いに、何かを言う必要もない。
私は、差し出された手をしっかりと握り返した。
それは氷のように冷たく、それでいて私と同じ熱を持っていた。
ご閲覧ありがとうございましたー!
ちなみに、主人公が見た悪魔とはクランプスというもので
日本で言うなまはげみたいな存在らしいです。
興味がある方はぜひ調べてみてください。