9人の少年たちが集う、ひとつの場所。
冗談を言い合い、秘密を共有し、ただただ平凡な時間を過ごす——そんな日常のなかに、“それ”は確かにあった。
誰かひとりが、何かを隠している。
それは小さな違和感で、気づかない程度の異常。
でも、確かにその輪の中で、ひとつだけ静かに“欠けて”いた。
名前のない奇病。
見えない異常。
本人でさえ、自分が壊れていることに気づいていないのかもしれない。
仲間を信じたい気持ちと、見過ごせない不安の狭間で、9人の絆は少しずつ揺らいでいく。
「誰が病気を隠しているのか——」
読者すら知らされないまま、秘密は静かに輪を蝕んでいく。
最後に失われるのは、友情か、それとも命か。
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目次
欠けた輪。1話
こん〜! どもHaruです☆ リクエスト来てた〜! 結構アイデアが意外と思いついたので短編カフェの中では長い作品になると思いますが暖かく見守ってくれると嬉しいです! あとリクエストしてくれた方本当にありがとうございます!
あと、織りなす魔法。って作品結構自信作なので、ぜひ見てほしいな☆
それでファンレター1個につき1話投稿するよ☆ ぜひ応援してね! リクエストもしてほしいし、他の小説もファンレターしてほしい! わがままだけど、お願い☆ このタメ口とかが嫌。とかだったら別にミュートしても大丈夫。 名前書かないでもリクエスト、ファンレターしていいよ。
まだリクエスト応えれられてないやつが二個あるから少し投稿頻度下がるかもだけどそこはごめんね
**欠けた輪1話 静かな異常**
放課後の空は鈍色で、窓の外に広がる雲の群れは、何かを隠すように重く垂れ込めていた。
季節は冬。陽が落ちるのも早くなった。
男子校の裏庭にある古びた物置小屋。通称「ベース」。
誰が名付けたわけでもないのに、いつしか9人だけの居場所になっていた。
ギシ、と扉が開く音。順番に靴音が響く。
今日も9人、変わらずそこにいた。
「はい、ストーブ点火っと」
フィンがしゃがみ込んで、安物の灯油ストーブに火をつける。
その瞬間、温もりより先に、焼けた灯油の匂いが狭い空間に広がった。
「くっせぇな。毎回これ、身体に悪そうなんだけど」
レオンが鼻をつまむ。誰より体格がよく、声もでかい。けど、その割に意外と神経質なとこがある。
「お前の息のがやばいって」
アッシュが笑いながら突っ込む。軽口の多いやつだが、たまに急に黙ることがある。
そのタイミングはいつも、誰にも読めない。
「……てか、なんか空気重くね?今日」
ジェイが言った。今日もやかましい。みんなの太陽みたいな存在だけど、こういう鋭いことを不意に言うから油断ならない。
「うるさい。お前がうるさいからそう感じんだよ」
セスがフードをかぶったまま、目も合わせずにつぶやく。常に機嫌が悪そうに見えるが、誰よりも約束を守る。
「風、強いからだろ。気圧が低いと、こうなる」
ライルがポケットから取り出した小型の温度計をいじりながら言った。ガジェットオタク、静かな観察者。
彼の発言はいつも客観的。でも、ときどき“違う何か”が混じる。
「俺、寒さ感じないんだけど」
ノアが呟くように言う。上着も着ていない。誰もが一瞬だけその言葉に引っかかったが、突っ込む者はいなかった。
「嘘つけ」
レイヴがぼそっと返す。みんなのリーダー格。無駄な言葉を使わず、みんなの動きを自然とまとめる男。
でもその目は、どこか常に“誰か”を観察している。
「……」
そして最後のひとりは、特に何も言わず、ただストーブの火を見ていた。
名前を呼ばれることもなければ、誰かの目に映っているのかもわからない。
けれど、確かにそこにいる。
——9人は揃っていた。いつものように。
けれどその空間には、目に見えない何かが混ざっていた。
「なあ」
誰かがふいに言った。誰だったかは、誰もはっきり覚えていない。
「この中にさ。もし仮に“嘘ついてるやつ”がいるとしたら、気づけると思う?」
一瞬、沈黙が落ちた。
「あー……それ、ジェイの成績の話?」
レオンが笑って話をそらす。場がまた軽くなる。誰もそれ以上、その話題に触れなかった。
火がゆれる。
それぞれが笑い合う中で、誰かひとりだけが、ふと目を伏せた。
その仕草に、他の誰も気づかなかった。
どうですか? ちょい変かもだけど、こだわりました! それじゃ おつはる〜!
2話
こん〜!
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ぜひ応援よろしく!!
**2話 ひび割れの予感**
翌日の放課後。
いつもの「ベース」には、いつも通りの9人が集まっていた。
だが、昨日よりもどこか、空気が少しずつ重くなっているのを誰もが感じていた。
「今日も寒いな……」
レオンが肩をすくめながら呟く。
「まったく、風邪ひく奴が出そうだな」
「風邪じゃ済まねぇだろ」
アッシュが真剣な表情で言った。
彼の目はどこか鋭く、まるで誰かを見張っているようだった。
「おい、そんな殺気立つなよ」
ジェイが笑いながら、いつものムードメーカーの顔を作る。
「ま、みんな大丈夫だって。信じてるぜ」
フィンは黙って焚き火の火を見つめている。
彼の顔には疲れが滲んでいた。何かを抱えているのは明らかだったが、誰もそれを口に出せなかった。
「ライルは?」
ノアがふと、そっと尋ねる。
ライルは今日はいつもよりも静かで、周囲の様子を細かく観察しているようだった。
「……何でもない」
ライルはそう言って首を振ったが、その目は明らかに何かを訴えていた。
リクは今日も静かに端に座っている。
笑顔は見せるものの、時折眉間にわずかなシワが寄る瞬間がある。
それは彼の心の内を見透かすような一瞬のひび割れだった。
「なあ、みんな」
レイヴが言葉を切り出した。
「お前ら、最近何か変わったことはないか?」
みんなはそれぞれに首を振るが、心のどこかで、答えたくない答えがあることを知っていた。
「……何もないってのは、嘘だろ」
セスが冷たく言い放った。
「お前ら、誰かが何か隠してるの、感じてるだろ?」
「感じてる」
アッシュが短く答えた。
「誰かが嘘をついている。真実を隠している」
ジェイの声は少しだけ震えていた。
「……誰なんだ?」
レオンが声を低くして言う。
「わからない」
フィンが静かに答えた。
「でも、確かに“何か”はある」
ライルが頷いた。
リクは黙っていた。
その瞳は、まるで何かを隠すかのように、暗く深かった。
誰が真実を握っているのか。
誰が嘘をついているのか。
それはまだ、誰にもわからなかった。