これは、似たようで似ていない
救われない子供たちの物語。
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目次
私はいらない子
今日こそは絶対に。
今日こそは絶対に死んでみせる。
今まで、何人もの人に止められてきた。
でも、そんな人たちも今日はいない。
皆修学旅行。
私は行かなかった。
この日を狙って決めたんだ。
今日ここですべてを終わらせるって。
今まで苦しんできたネットでの誹謗中傷や
家での虐待。
今ここで楽になる。
でも、ここの世界に私が確かに生きていた証を残したい。
なにがいいかな?
あ、屋上の壁に名前を刻んでおこう。
これで忘れられない。
この世界で、この時間まで、確かに生きていたことがわかるだろう。
ごめんね、皆、先生。
私はもう耐えられないからすべてを終わらせるね。
仲良くしてくれたのにごめんね。
でも、私にとって優しさは毒だから。
皆のやさしさに浸っていられない私は今ここで死ぬね。
最後までありがとう。
あ、下に先生がいる。
やめろって言ってる。
ごめんね。もう決めたことなんだ。
そういって私は空に飛んだ。
そっけない私の物語。
たとえ僕が無能でも
僕だって
テストの点数が悪ければ怒られる。
家事をしなければ怒られる。
友達を考えて作らないと怒られる。
なにもかも完壁ではないといけない。
姉さんは完璧だ。
だから僕も期待されていた。
でも、テストの点はよくないし、
友達だって好きなように作っている。
家事は一週間に三度だけ。
でもその分、人を褒められるし、
誰にでも優しくできる。
親が望んでいるのはそれではない。
完璧な人間なんだ。
そんな僕の人生にこれから幸せが訪れるのだろうか。
そんな日は来ないだろう。
だから、ここに来た。
どこかって?
最後に友達と遊んだ廃墟ビルにきている。
夏休みに肝試しに行ったの楽しかったな。
僕は深呼吸をした。
いまからここで死ぬんだ。
よし、逝こう。
少しは役に立ちたかったな。
疲れちゃった
もう、疲れちゃったなぁ(笑)
なんか疲れちゃった。
お父さんもお母さんも意地悪なわけじゃない。
私が疲れちゃっただけ。
親は優しくしてくれた。
でも、その優しさが私にとって辛かった。
心配させたらどうしよう。
迷惑かけたらどうしよう。
次第に私は私を追い詰めていた。
今は部屋にいる。
昔から体が弱くて、薬はたくさん持っている。
でも、ここ数か月薬は飲んでいない。
なぜならod|《オーバードーズ》するためだ。
これを一気に飲んだら死ねる?
嬉しいなぁ。
あの優しさから解放されるんだ。
お父さん、お母さんごめんなさい!
私、いい子はやめます!
これで、よかったんだよね。
私の屋上
何人も追い返してきた。
でも、今日は私の番。
私が屋上から飛び降りようと靴を脱ごうとしたときに、
三つ編みの女の子に声をかけてしまった。
ーねぇ、やめなよー
自分でもびっくりした。
だって、思ってもいない事を言っていたのだから。
女の子はどこかで聞いたようなことを語りだした。
ー運命の人だったの。どうしても、愛されたかったー
は?ふざけんな!そんなことだけで、
私よりも先に逝こうとするなんて。
欲しいものが手に入らないなんて、
自分から奪われたこともないくせに!
ー話したら楽になったよー
そう言い残すと三つ編みの子は帰ってった。
その次の日、また靴を脱ぎかけたら、
私より先に小柄な女の子が来ていた。
背の低い子はこう言った。
ークラスではずっと一人で、無視されたり奪われたり、居場所がないんだー
は?ふざけんな!
そんなことくらいで私よりも先に逝こうとしてたわけ⁉
学校ではそうかもしれないけど家ではすみやすい環境なんでしょ?
ーおなかがすいたー
女の子はそう言って泣きながら帰ってった。
私はあの日から何人かに声をかけて追い返した。
でも、私の悩みは誰にも話せないままでいた。
始めて見つけたんだ。私と似たような子。
黄色いカーディガンを着た女の子。
ー生きているとどんどん増えていく痣をけすためにここに来たんだー
と、泣きながら微笑んで言った。
口をついて出てしまっただけ。
本当はどうでもよかった。
なのに思ってもいないことが口からこぼれ出てしまう。
ーねぇ、やめてよー
どうしよう…この子は止められないかも
…私には止める資格がない気がする。
それでも、
ここからは消えてほしいっポロポロ
君を見ていると苦しくなるんだよっポロポロ
ーじゃあ、今日はやめておくよニコッー
そういってカーディガンを着た子は帰っていった。
よし!今日こそは誰もいない。
屋上には私だけ。
もう、誰も邪魔してこない。
…邪魔してはくれない。
私はカーディガンを脱いで三つ編みをほどいた。
ー皆さん!今から背の低いこの私がここから飛びますっ!ポロポロニコッー
邪魔してほしかった…
僕の居場所は何処だろう
僕に居場所なんてあるのかな。
学校でいじめられて、家でも虐待されて、
ネットでは誹謗中傷されて、僕の居場所なんてないよな。
いつか、僕を見てくれる。
そんな人が現れると思っていた。
でも、現実はそう甘くはなかった。
人間というものは他人を蹴落とし合って生きている。
世界というものは綺麗事と嘘でできている。
そう理解した。
何もしていないのにな。
今日、この後出かける予定だ。
僕の誕生日。
僕だけの誕生日パーティーに。
一人の誕生日パーティなんて寂しいけどな。
着いた。
来世では幸せになりますように。
僕は新しい世界に向かって逝った。
妹ばっかり
きっと今日も誰も私を見てはくれないから。
今日は三里香|《みりか》が百点を取って帰ってきた。
私は九十六点で学年一位だった。
なのにお母さんとお父さんは三里香ばっかり。
前だって、吹奏楽のコンクールで金賞をとっても、三里香。
絵のコンクールで最優秀賞をとっても三里香。
何があっても三里香。
ひどい。
私は今日OD|《オーバードーズ》をした。
眠気が強い薬を飲んだ。
そろそろ意識が途絶えてくるはず。
三里香が憎かった。
それを親に言いたかった。
お母さんともっと話したかった。
お父さんに褒めてもらいたかった。
三里香とも、遊んでいたかった。
家族で水族館にも行きたかったな。
なんかふわふわしてき
夢の中では幸せだったなぁ
人間不信
___毒親でも今日まで”は”頑張ってきたんだ。
僕は完璧な人間ではないといけない。
親が望む限り。
勝手な行動を起こしてはいけない。
総てが決められたこの世界でどう生きていけばいいのだろう。
昨日自殺未遂を起こした子がいた。
僕は毎日今日も生きるかと悩んでいるのに
よく何も考えないで死のうとできるなと思った。
今日は出かけてきた。
図書館に行ってくるという嘘で買い物に。
縄を買っている。太めの。
会計が終わったらすぐに家に帰ってきた。
そしたら買ってきた縄で首を____
これでやっと楽だね。