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目次
№1 孤独な残業と、黄金の「パラパラ」
時計の針は深夜一点を指していた。 システムエンジニアの良一は、
ようやく自宅の玄関を開けた。胃袋は空っぽで、喉の奥がヒリつくほど腹が減っている。
今さら出前を取るのも時間がかかるし、コンビニの弁当では味気ない。
良一「……やるか」
独りごちて、キッチンに立つ。狙いは「極上炒飯」だ。
まず、冷蔵庫から冷やご飯を取り出し、ボウルに入れる。そこに生卵を一個割り入れ、
あらかじめ米に卵液を纏わせておく。これが、家庭の火力でも「黄金色」に仕上げるコツだ。
コンロに火をつけ、中華鍋を熱する。煙がうっすら立ち上がった瞬間、
ラードを落とした。
チリッ、チリチリッ
ラードが溶ける音を合図に、卵を纏った米を投入する。
ッシャアアア!
激しく爆ぜる音が狭いキッチンに響く。良一は重い鍋を力強く煽った。
一振りするごとに、米が宙を舞い、水分が飛んで一粒一粒が独立していく。
具材はシンプルに、刻んだ叉焼と長ネギだけ。 仕上げに、鍋の肌から醤油をほんの一垂らし。
ジューッ!
という快音と共に、焦がし醤油の香ばしさが爆発し、
空腹の限界を超えた嗅覚を直撃した。
皿に盛り、湯気が立ち昇る山にレンゲを突き立てる。
一口目。熱々の米が口の中でパラリと解け、ラードのコクと卵の優しさが舌を包む。
噛みしめるたびに、叉焼の凝縮された肉の旨味が溢れ出した。
良一「あっぢっっ!!なんだよこれえ」
火傷しそうな熱さを楽しみながら、一心不乱に掻き込む。
最後の一粒までレンゲで追いかけ、皿がピカピカになるまで完食した。
麦茶を一杯飲み干し、良一は大きく息を吐いた。
良一 「……明日も、頑張れるな」
空腹は最高の調味料だが、自分で作った熱いメシは、何よりの報酬だった。
ここでも飯テロ小説を書いてみました!よろしくおねがいしゃあす
路地裏の中華ガチャ
金曜日の夜、俺の胃袋は「反抗期」を迎えていた。 健康診断の結果? 知るかそんなもん。今の俺が求めているのは、サラダチキンでもスムージーでもない。「茶色い暴力」だ。
ふらふらと吸い込まれたのは、看板のネオンが半分死にかけている町中華『昇龍』。店主は、首に巻いたタオルが油の粒子でコーティングされたような、頑固そうな親父だ。
俺「……親父、レバニラ炒めと、餃子。あと、瓶ビール。それと――」
俺は品書きの隅、手書きで「中毒性あり」と殴り書きされたメニューを見つける。
俺 「この『悪魔のスタミナ炒飯』ってのもくれ」
親父はニヤリと不敵に笑った。
親父「兄ちゃん、明日の仕事は? 匂うぜぇ、これ」
俺 「明日なんて来なきゃいいと思ってますよ」
親父「合格だ。待ってな」
まず運ばれてきたのは瓶ビールと、主役を食う勢いの餃子だ。 表面は
パリッ
なんて可愛いもんじゃない。
バリッ!
と、まるで薄氷を砕くような快音が響く。中からは、ニラとニンニクの香りをこれでもかと詰め込んだ肉汁の弾丸が飛び出してきた。
俺「熱っ……! ふ、ふはっ、旨めぇ……」
冷えたビールで、火傷しそうな口内を強引に冷やす。喉越しという名の快楽が、仕事のストレスをまとめて胃袋へ流し込んでいく。
そこへ、親父がフライパンを爆破させるような勢いで煽り倒したレバニラが登場する。
親父「はいよ、鉄分補給だ」
レバーは一切の臭みがなく、表面はプリッと、中はレバー特有の濃厚なコクがとろけ出す。シャキシャキのモヤシには、オイスターソースベースの濃い目のタレがドロリと絡み、俺の理性という名の防波堤を粉砕した。
そして、真打ち。**『悪魔のスタミナ炒飯』**が机に置かれた。 見た瞬間、俺は確信した。これは「食い物」の顔をした「燃料」だ。 黄金色の炒飯の上には、これでもかと刻まれたニンニクの醤油漬けと、カリカリに焼かれた豚バラ肉。頂上には生卵の黄身が、今にも決壊しそうに鎮座している。
俺「おいおい……これ、致死量のニンニクだろ……」
親父「死なねぇよ。元気になるだけだ」
俺は震える手で蓮華を突き立てた。 黄身を崩すと、熱々の米に黄金の川が流れる。それを一気に口へ放り込む。
ッ……!!!
暴力だ。味の、暴力。 醤油の焦げた香ばしさと、ラードの甘み、そしてニンニクのパンチが、三位一体となって脳の報酬系をフルボッコにしてくる。
俺「……親父、これ、合法かよ」
親父 「うちの店じゃな」
俺は無言で、ただひたすらに蓮華を動かし続けた。 一粒残さず平らげ、皿にこびりついた脂すら愛おしくなった時、俺の腹はパンパンに膨れ上がり、呼吸すら少し苦しくなっていた。
俺「……ごちそうさま。最高だった」
親父 「おう。明日、誰かに殺されそうな匂いさせて帰んなよ」
店を出ると、冷たい夜風が火照った顔を撫でる。 だが不思議と寒くない。
俺の胃の中には、明日を生き抜くための「汚くて最高のエネルギー」が、パンパンに詰まっているからだ。
2連続のチャーハンでしたねー。食後に書いたらダメですねー
午前一時の背徳
深夜一時。理性はもう寝てる。 だけど、俺の胃袋だけが「おい、脂を入れろ」って騒ぎ立ててやがる。 気づいたら、黄色い看板が眩しい家系ラーメン屋の前に立ってた。
定員「いらっしゃい!」
店内に充満する、豚骨をこれでもかってくらい煮込んだ、あの独特の野性味あふれる匂い。 券売機で迷わず「中盛・海苔増し・ライス」のボタンを叩く。 好み? 決まってんだろ。「硬め、濃いめ、多め」。寿命を削って味を濃くする、これが俺のジャスティスだ。
カウンターに座って、戦いを待つ。 目の前では親父が、巨大な平ザルで麺を叩きつけてる。あの
ペシッ!
って音が、俺の空腹をさらに煽る。
定員「お待たせ!」
目の前に置かれたのは、もはやスープというより「濃厚なソース」みたいな色をした液体。 まずは、その表面に浮いた黄金色のチー油(鶏油)をレンゲですくい取る。 一口。
俺「……あ、あぶねぇ。これ、脳が溶ける」
塩分の塊だ。だけど、暴力的なまでの豚骨の旨味が、その後から追いかけてくる。
よし、次は麺だ。 短い、ワシワシとした極太麺を啜り上げる。
ズズッ、ズズズッ!
口の中で暴れる麺。スープがこれでもかってくらい絡みつく。 間髪入れずに、無料のニンニクをドカッと投入。さらにおろし生姜をひと匙。 これで準備は整った。
ここからは、米の時間だ。 スープにひたひたに浸した海苔を、箸で慎重に救い出す。 それを、ほかほかのライスの上に広げる。 さらに豆板醤を少しだけ乗せて、ぐるっと巻く。 口に放り込む。
俺「……っし!!」
海苔の磯の香りと、スープの脂、そして米の甘み。 正直、ラーメン本体よりこの「海苔巻きライス」の方が本体なんじゃないかと思う。
チャーシューは、箸で持つと崩れる。 これをライスの上で崩して、スープを少しかけて、かっこむ。 もはや、行儀なんて言葉は俺の辞書から消えた。
ズズッ、ハフッ、ゴクッ
ただ、食う。 自分の息がニンニク臭くなってるのがわかる。だけど、それがどうした。 今、この瞬間、俺は世界で一番「生きてる」実感がある。
気づけば、丼は空っぽだった。 最後の一滴までスープを飲み干した時、俺は丼の底に書かれた「完捲」の文字と対面する。
店を出ると、冷たい夜風が首筋を通り抜ける。 喉は渇いてるし、明日の朝は間違いなく胃もたれする。 だけど、心の底から
いいんだ、これで
って思えた。