無人島であるはずの場所に家出した私の物語。
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目次
私の家出先は無人島のはずでした 1
結構初期に書いたやつ掘り起こしてきましたー!だから下手だがまあいいだろう。全十六話を削除するのは心が痛い
ではどぞっ
「………ハァハァハァハァ…」
「りんか!そんなんじゃインターハイ行けんぞ!」
「………………はい分かってます」
これでも頑張ってるんだけどな…
「分かってるなら休憩してねぇで早く動け!」
「はい」
ハァハァ………なんでこんなに必死でやってるのに認めてくれないの………?休ませてくれないの………?
---
「ありがとうございました!」
体育館に挨拶をしてミーティングをして帰路に着く……
私は高校三年生のりんか。
所属している部活はバドミントン部。
さっきのうるさい人は私の父親。
インターハイに行きたいなんて一言も言ってないのに勝手に決められた。
私の目標は楽しんで高校の部活を引退することなのに………勝手に決められちゃ困る
本当の目標じゃないことに向かって一生懸命になんてなれない。
私の父親は高校教師。
私は父親のいる高校に入学なんてしたくなかった。でも無理矢理、志望校にさせられた。
いまどきこんなのおかしい。それを母親も止めようとしないし。
自分の人生は自分の物でしかないのに、他人にすべて決められていい気分になるひとなんてそうそういないだろう。
---
ガチャ
「あら、りんかおかえりなさい」
「ご飯できてるから手洗ってきてね」
何もかもがめちゃくちゃ。親のせいで私の夢が書き消される。
こんな人生いやだ。
『………次のニュースです。あの死傷者を多くだした放火事件から今日で16年。犯人はまだ捕まっておらず、主犯と思われる|鎧塚勇《よろいづかいさむ》容疑者がいまだ指名手配となっています………』
「あら、もう16年も経ったのね……りんかが一歳の時にこの事件起きたのよ。しかもご近所で起きた事件なのよ」
母が呟く。
「…………この事件であなたのおじいちゃんが亡くなったのよ」
ご飯を食べ終った私は階段を駆け上がり自室にこもる。
お父さんなんか…お母さんなんか…どうせ私の人生を自分の人生だと思い込んでる
……私、決めた。
もうこんなの終わりにしたい
家出する。
《家出します。戻ってくる予定はありません。お願いだからまじで探さないでください。りんか》
机の上に、書き置きのメモを置いて、荷造りを始める。
実は行く場所は決めている。前から家出のことを考えていた。
本格的に家出がしたい私が選んだのは無人島。
誰にも会わない。誰にも迷惑をかけない。誰にも指図されない。それが出来るのは無人島だけだと思う。
私が行きたい無人島は、蛍島というところだ。
広さもちょうど良さそうだし、距離的にも悪くない。
どんな島か、どんなに調べても出てこなかった。写真すらない。きっと、人間が誰も行ったことのない場所なのだろう。
実に楽しみだ。
次回お楽しみに
私の家出先は無人島のはずでした 2
ザバンザバン
ここは海の上
自作の船に乗って蛍島に向かっている
船が壊れないことを切に願っている
腕時計をみる…午前9時
朝イチで家をでて、船に乗ってから3時間くらい。まだ影すら見えない。
だんだん腕が疲れてきた
天気は晴れ。まるで私の家出を応援してくれているような気持ちのいい快晴だった。
---
島に着いたのは午後2時。
「……つかれた…」
砂浜に寝転ぶ
気持ちいい
太陽の光が眩しい
この島にきて正解だった……
私が持ってきたものは、服、懐中電灯、ナイフ、水、ご飯くらいだ。
限界を超える生活をしてみたい
服も少し濡れたので冷える前に着替えよう。
でもその前にテントを立てようかな
服はリュックの底の方にあるから上の方にあるテントを先に、なくしちゃいたい。
とにかく、テントを立てられそうな場所を探そう。
そして、木の生い茂る森の中へ足を踏み入れる。
獣道なのか、歩きやすい道を見つけた。
猛獣に会わないことを願う。
少し広めのスペースを見つけた。
ここならよさそうだ。
すると突然、ガサッカサカサッ という音が聞こえた。
「………なに?なにかいるの?」
ふいに背後に気配を感じた。
恐る恐る振り返る。
そこにいたの上半身裸の男の人だった
「あっえーと…どうも」
言葉しゃべった?!………あ、いや、当たり前か
「どうも………」
ここに住んでる人なのか?ここは有人島?!
「ここに住んでる人ですか?」
「そうだけど………」
よし、帰ろう
「すみませんお邪魔しました。さようなら」
「…えっちょっとまってよ!」
「無人島だと思ってきたんですけど、有人島だったので帰ります」
「帰るの?やだ。もうちょっといてよ」
「じゃあ私に近づかないでください」
「え………」
「それが無理だと言うのなら帰ります」
「分かった………」
なんなのこの人。初対面なのに…
少し移動して、そこにテントを立てた
人がいるんじゃ意味ないじゃん
蛍島、いいと思ったんだけどな…さっきまであんなに幸せだったのに………
「テントで寝るの?」
「うぎゃっ!」
いきなり声をかけられてびっくりして変な声を出してしまった
「え、あ、はい。テントで寝ます」
「ふぅん寝心地いいのかな」
「あの。黙ってください。向こうに行ってください。」
「えぇつまんないの」
「早くあっち行ってください。」
「いやだ」
「はあ……では帰ります。さようなら」
「えっ今から帰るの?!暗くなっちゃうよ!夜の海は危ないよ!」
「知ってます。でもあなたといる方が危険と判断しましたので。」
「俺危険じゃないのに…」
「そんなの口だけかもしれないので信用できません」
「俺そんなに悪いやつに見える?」
「いいえ。人は外見だけで決めるものではありません。」
「何言ってるかよく分かんないよ。難しい言葉使わないで」
「ええ………難しくないと思いますが」
「で、あなたはここにいてくれるんですか?!」
相変わらず下手だーーわーーー過去の俺よもっと上手くかけなかっのか?
普通に考えてただの高校生が船つくって海を渡るって不可能に近いのでは?まあいいや
じゃ、次回お楽しみにー!
私の家出先は無人島のはずでした 3
「で、あなたはここにいてくれるの?!」
「とりあえず夜はここで過ごします」
すると、彼はぱあっと目を輝かせた。
なんだか愛着がわく。子犬みたいな雰囲気だ。
「俺もここにいていい?」
「だめです」
何回言えば分かるんだろ
「とにかく黙っててください」
「分かった………」
あぁ眠い…ご飯は………めんどくさいからいいや
そして私は横になるなり目を閉じた
---
明るい
どうやら朝になったらしい
周りを見渡してぎょっとする。
あの男がすぐ隣で寝ていたのだ。
この人、なんで私にまとわりつくんだろ。
そしてなんでここに住んでるんだろ
家族とかはこの島にはいないのかな…
ずっと寂しかったのかな
もしそうだとしたら私、申し訳ないことしたな
あとで謝ろう
すると、隣で寝ていた人がむくっと起きた
挨拶くらい、してあげようかな…
「おはようございます」
彼はこっちを見て目を輝かせた
「おはよ!」
そういえばこの人の名前なんだっけ…
いや、聞かなくていい。どうせ私は今日この島から出ていくんだから。
ぐ~
突然そんな音を出したのは私のお腹だ。
やだ恥ずかしい…
「お腹空いてるの?」
「まぁ………はい」
ああ……昨日ご飯食べておくんだった
「俺が作ってあげるよ」
「え、いやご飯持ってきてるから…」
「ううん。俺が特製の料理作ったる」
どうしよう。こいつの手料理なんて食べたくない
でも昨日持ってきたご飯も腐ってるかもしれないし………お願い、しちゃおうかな
「じゃ、じゃあお願いします」
「うん!まかせて!………ちょっと待ってて!」
そういって、彼は去っていった
と思ったらすぐ帰ってきた
彼の腕にはでっかい魚とでっかい果物が抱えられていた
「えっそれどこから持ってきたんですか…?」
「あっこれ?今釣ってきたやつと採ってきたやつ!」
「今?!早くないですか?!」
「そう?待ってて今作るから」
すると彼は手際よく調理を始めた
あっという間によく分からないものが出来た
「あのー何ですか……これ…」
「ん~よく分かんない!でもうまいと思うよ!」
恐る恐る口に入れてみる……
「なにこれ………すごく美味しいです…」
「でしょでしょ!」
予想以上に美味しくて、驚いた
終わり方悪くてごめんなさい!
二話にファンレターくださった方ありがとう!無人島系いいですよね!わかりみが深いです!
では、次回お楽しみに
私の家出先は無人島のはずでした 4
「休みたいんであっち行ってもらえませんか」
「いやだいやだ!案内するの!」
子供のように駄々をこねる
私は昨日の疲れもあって早く休みたいのに、この人はこの島を案内したいらしい
そんな元気ないって……
「いやです。私休んだら帰ります。なので必要ありません」
彼の顔をチラッと見る
その目は意外にも真剣な目だった
バッ
「えっ?!」
突然手をにぎられたかと思えば、強い力で引っ張られる
このままどこかに連れていくらしい
彼の足が早いので途中転びそうになったが、なんとかこらえる。
彼の手は大きくて、温かくて、なんだか安心した
すると突然立ち止まる
「いいこと思い付いた!ねぇ、目つむって!」
「え、いやです。怖いです」
「早く目閉じて」
少し脅された感じがして怖かったので素直に目を閉じた
手を繋がれたまま連れていかれる
今度はさっきと違ってゆっくりと私のスピードにあわせてくれて、とても歩きやすかった
「目開けていいよ」
ゆっくりと目を開ける
眩しい………
そして、
私を待っていたのは絶景だった
「……なにこれ…すごい………」
お互いに何も言葉を発しなかったので沈黙が続いた
「疲れ、とれた?」
この人、もしかして私の疲れをとるためにここに連れてきてくれたの?
もしそうだとしたら、この人いい人なのでは?
「はい。少しだけ」
「よかったぁ」
謝った方がいいよね………
「あの…昨日はすみませんでした」
彼がはてなを張り付けた顔でこっちを見てきたのでちょっと面白い
「私……散々あなたのことをひどく言ったのに、あなたはご飯を作ってくれたりここに連れてきてくれたりしてくれて……すみませんでした」
なぜか彼が黙っているので、私が付け加えた。
「本当に、感謝です」
もう一度彼の顔を見ると、なぜか赤くなっていた
「あっ…えっと……俺の方こそごめん!…ちゃんと休みたかったよね。それなのに話しかけちゃって……」
ちゃんと反省しているらしい
………やっぱりいい人だ
「……私、もう少しこの島にいることにします」
「ほんと?!」
「はい。なので少しの間ですが、よろしくお願いします」
「うん!よろしく!」
明るい太陽みたいな顔でそんなことを言う
私が彼の顔から目をそらしたのは、ぎらぎらしすぎていて、彼と私の差を大きく感じてしまったから
私もあなたみたいな明るい人間になれるかな
読んでくれてありがとうございます!
またまたファンレターくださった方ありがとうございます!
にやけながら読ませてもらいましたwむふ
次回、お楽しみに!
私の家出先は無人島のはずでした 5
「あのさ、名前教えてくれる?」
名前くらいなら…いいか
「りんかです」
「りんか………りんかりんかりんかりんかりんかりんかりんかりんか………」
彼が私の名前を連呼する
「あの。なにしてるんですか?」
「え?なにって名前を忘れないようにするために覚えてるの」
「はあ……」
ちゃんと覚えててくれるんだ
「じゃあこちらからも名前聞いていいですか」
「うん!俺、みずき!」
「みずきさんですね、了解です」
「あの…本当に失礼なんだけど年齢聞いていい?」
うんまじで失礼だな
「17です」
「おお!年上だ!俺15歳!えーと……だから…」
この人15歳なんだ……
いやいや!それよりも今、指使って計算してるの?!
「……うーん……あ!2歳差ですね!」
え?待て待て待て!!17-15も暗算でできないの?!
「……はい…そうですねぇ……」
すると突然後ろから唸り声のようなものが聞こえた
振り向くとそこには大きな熊がいた
あれ、えっとこういうときはどうすればいいんだっけ……?
怖い
足が震える…
「目閉じて。耳ふさいで。動かないで。」
彼が静かに言う
なんでそうしなきゃいけないのかは分からなかったけど、彼の言う通りにすればなんとかなる気がしたのですぐに目を閉じた
何が起こってるんだろうか………
「もとにもどっていいよ!」
そんな声が聞こえた気がしたので目を開けると、
「もう大丈夫だよ、怖かったね」
さきほどの熊を背負った彼が立っていた
「え?熊は………?」
「あ、こいつ俺がやっつけた!」
「え……つよ……」
「えへへ、怖いことあったら俺に任せて!」
「わかりました」
「今日の昼ごはんが増えたな!」
「熊って美味しいんですか?」
「あれ、もしかして食べたことない?」
「はい、食べたことないです」
「ふぅん、そうか。じゃあ食べてからのお楽しみ!」
「え、ひどい!教えてくださいよ!」
「答えを人に聞く前に自分で試すべし」
「へ?」
「じいちゃんから教わった人生の極意だ!」
じいちゃんいたんだ
「分かりました!食べてみますね!」
そう言うと、嬉しそうな顔で頷いてくれた
読んでくれてありがとうございます!!!
ファンレター神すぎて泣きました!!まじでありがとうございます!!!
次回、お楽しみに!
私の家出先は無人島のはずでした 6
「…いただきます」
彼が調理してくれた熊肉をおずおずと口に運ぶ
ん?あら?意外と美味しい?
もっと臭みがあると思ってた
「どう?」
「うん、意外と美味しい!」
「よかったぁ」
この人ってサバイバルの天才?!
「ねえねえ!魚釣り行こ!」
「え……もうちょっと休憩させてください」
「じゃあ俺がおぶってってやる!」
「え、やだ」
「えっ!なんで?!」
失礼だけどこの人、不潔そうだし…
でも、魚釣り楽しそう……
「しょうがない、自分で歩きます」
「そう?疲れたらすぐ言ってね」
「うん、ありがとう」
「着いたね!早速釣りまくろうぜ!」
「……そんな元気どこにもないです…」
いったん来てみたはいいものの体が重い
「そっか!じゃあ俺やってるから出来そうだたら言ってね!」
そういう気遣い、ちゃんとできるんだ
「わかりました」
彼は手際よく釣竿をつくり、エサを取り付けて海に放り投げる
いやぁそれにしても…
透き通るような海と空、今にも降ってきそうな太陽、美味しそうな雲、きらきら輝く砂浜……
よくできた世界だ
「釣れた釣れた!りんか!釣れたよ!」
「すごいじゃないですか、なんの魚ですか?」
「わかんない!」
分からないんかい!
「私もやります」
楽しそうな彼を見てやりたくなってきた
「お!やる?準備するね!」
「ありがとうございます」
さっきと同じように手際よく準備を進めてくれる
「はい!できた!」
「ありがとう」
実は釣りはやったことない
彼の見よう見まねでやってみる
しかし1時間経っても私の竿に魚がかかることはなかった
その間に彼は30匹くらい釣ってる
「りんか全然釣ってないじゃん!」
そう言って大爆笑する
「だって釣りやったことないんだもん!」
「あははっ!そうなの?!」
「そうだけどなにか!?」
「あははっ!りんかってかわいいね」
「えっ?///」
いきなりそんなこと言われるのでびっくりだ
男の人にそんなこと言われるのはじめて…
私は照れ隠しにひとつ提案した
「釣りはやめましょう!」
「いいよ!じゃあ次は果物集めよ!」
「よし!今度こそ…」
読んでくれてありがとうございます!!!
魚釣りって意外と楽しいですよね~
次回、楽しみにしててください!!!
私の家出先は無人島のはずでした 7
「こういうのは美味しいんだよ」
彼が手の親指の爪くらいのピンクの果実を渡してくる
うん、甘くて美味しい
「それで、とにかく食べてみる!美味しかったら同じのをいっぱい集めるんだよ!」
「おっけー」
私が返事したときには彼は大きい木に登って木の実を採っていた
いや、プロすぎでしょ
まぁ食べられそうなもの探せばいいんでしょ
少し歩くと実のなっている植物がたくさんあった
そのなかで美味しそうな真っ赤な果実を採って食べてみる
「……すっぱ!!!!!!!!」
「あははっ!それはずれだよ!」
いつの間にか後ろに立っていた彼がいきなり大声で言うからびっくりした
「これ、はずれなの………………?」
「うん!そうだよ!」
悔しい!
「んーじゃあこれは?!」
近くにあった別の果実を見せる
「食べてみればいいじゃん!」
「ええ…怖いよ……」
思いきって口に放り込む
「………にっが!!!!!!!!!!」
「あははっ!それもはずれ!」
「………なんで…?!」
「やっぱりんかには無理か!ははっ!」
さては馬鹿にしてるな?許さん!
「む~果物採るのもやめよ!やめよ!」
「いいよ(笑)今度は虫とりする?」
「します!」
「はい、虫取り網とかご!」
「ありがとう」
「じゃあ太陽が半分しかなくなった時ここに集合ね!」
「分かった」
つまり夕焼けの時ってことね、あと2時間といったところかな
時間が分からないこの島でのお互いの時間のあわせ方だ
よし、虫を探そう…
下手すぎて恥ずい
過去の自分恨めます
私の家出先は無人島のはずでした 8
太陽が半分沈んだ頃…
「あははっ!それまじで言ってる?!」
「だって虫みるとつい逃げちゃうんだもん」
「え~何それ馬鹿じゃん」(笑)
「あ!ひどい!悪口言った!」
結局私は一匹も捕まえることができなかった
私がイメージしてたのは蝶々とかトンボとかだったのに…大量の蜂とか、どでかい蛙とかしかいないから…
彼はというと首に蛇ぶらさげてかごの中にはでかい蜂の巣入ってるし…
怖いものなしかよ
「りんかって何やってもダメダメだね!」
そんなの自分が一番分かってる
親が嫌なんじゃない。親に逆らえない自分が一番嫌なんだ。
「………どうせ私は何やってもダメダメですよ」
「落ち込まないで!りんかにはりんかしか出来ないこともあるんだから!」
落ち込まないでって…落ち込ませたの誰だよ(笑)
「……例えば?」
「う~ん………」
沈黙かよ(笑)
「ないんじゃん!」
「よし、ご飯作ろう!」
「あ!逃げたな?!」
「あはは!まだ会ってから少ししか経ってないから分からないだけだよ!」
「ふぅん……でもまだ会ってから少ししか経ってないけどみずきにしか出来ないこと分かるよ」
「え………………りんかが名前言ってくれた!」
いや、そこ?!
「で、俺にしか出来ないことってなに?」
あ、ちゃんと聞くんだ(笑)
「素手で熊を倒すこと、美味しいご飯作れること、かな」
「お~!俺ってすごい?!」
「うん、すごいと思うよ」
「やったぁ!」
「ご飯作ろうか」
「うん!」
「夜ごはんはなに作るの?」
「釣った魚と採った果物と蜂の巣のはちみつ使ってなんか作る!」
なんかって……まあ任せますか
「いただきます」
結局、はちみつの匂いの香るものが出来上がった
「うん、美味しい!」
「お~よかったぁ俺も食べよ!」
なんだかんだで今日もこの島にとどまったな
帰るつもりだったのに…
でもすごく楽しかった
まさに、非日常
もし1人だったら今生きてないと思う
彼がいてくれたおかげで生きてるし、楽しい
「みずき、ありがとう」
「え?なになにいきなり」
彼の顔を見るとまた赤くなっている
そういえば今日の朝もそうだったな
「みずきのおかげで楽しかったし、来てよかったって思った」
わぁい以上八話でしたー
全十六話なんでちょうど半分ですねー
では
私の家出先は無人島のはずでした 9
「あ、暑いね…」
「そう?」
涼しい風が吹いているというのに彼は暑いらしい
「汗が………」
確かに、昨日からずっと動き回ってるのにお風呂入ってないな……
「ねえねえ、この島にお風呂ってあるの?」
「ん?ないけど」
「え?!ないの?!」
「うん、1週間に1回作って入ってる」
「え………きたな………」
「まあ確かに汚いかも?」(笑)
なんで疑問形なんだよ……
「よし!じゃあ作ろっか!」
「え、これから作るの?」
「うん!この時間だと星もきれいに見えて癒されるんだよ!」
そうなんだ…それは楽しみだ……
カンコンカンコンドンドンッコンコンバチバチ
「完成したよ!」
「え、はや!まだ食べ終わってないんだけど?!てかそのお風呂温かいの?!」
「じゃあ俺がさきに入るね!」
そう言うと同時にお湯に飛び込む
いやいやいやついてけないって…
「あがったよ!りんか入っていいよ!」
早い早い早い
「はぁい」
この島には2人しかいないんだから
ゆっくりと足をお風呂に入れていく
「あっつ!!おいみずき!!あつすぎ!!」
「ええ…そんなにあつくないってばぁ」
「うそでしょ…もう頑張って入るわ」
「やけどしないように気を付けてね~」
「気を付けるもなにも入れないって…」
「しょうがないなぁ冷ましてあげるよ…」
「いや!頑張るから大丈夫!」
熱さに慣れると、とても気持ちよかった
ふと空を見上げると、満点の星空が広がっていた
「……………きれい…」
ああ…やっぱりこの島に来てよかった
せわしなく変化していく社会とは違って、ここではゆっくりと自分のペースに合わせて生活できる
そして、雄大な自然に囲まれて癒されて最高に幸せだ
はーい読んでくださってありがとうございます!
次回、お楽しみに~
私の家出先は無人島のはずでした 10
~次の日~
「…………か……んか………りんか!」
ハッ
「あっ!起きた!おはよ!」
「ん~…おはよ……今何時?」
「え?時間?分かんない」
「あっそっか……学校行かなくていいんだった」
「学校?」
「いや、なんでもない。」
もうすでに太陽は高く昇っている
「はい、ご飯」
「ありがとう」
「今日はゆっくりする?」
「え、どうでもいいけど」
「俺もなんか疲れたからさ、休もうかなって」
「うん、いいと思うよ」
「砂浜で待ってるからさ、ご飯食べ終ったら来て」
「…おっけー」
なんで行かなきゃいけないのさあ…
まあいっか
いやぁそれにしても気持ちいい
暖かい日光、涼しい風……こんなの無人島じゃなきゃこんなに気持ちよくない…
「ごちそうさまでした」
しょうがない、砂浜へ行こう
ここからはそんなに遠くないからすぐ着くはず
だけど彼がどこの砂浜にいるのかが分からない
とりあえず行くしかない
~砂浜着~
あっいた
見つけるのに苦労すると思ったがすぐ見つけることができた
どうやらぼーっと海を見ているようだ
「みずき」
「ん?あっ!りんか!」
彼の隣に座る
「……ねえりんか。この海の向こうはどんな世界なの?」
いきなり何を言うのかと思えば…
「人がたくさんいて、建物とか物とか、いろんな物が溢れかえってる場所だよ」
「人がいっぱいいるの?それってどんな感じ?」
「んー…家族とか友達とか先輩後輩とか恋人とか、いろんな関係をもった人がいる。正直めんどくさいって、思うけどね」
「面倒くさいの?」
「うん、家族だから何をしてもいいって訳じゃない。友達だからって何を言っていいわけでもない。人間関係って難しいんだよ」
「そうなんだ……それが嫌になってりんかはこの島に来たの?」
「そういうこと。家族が……私だけの人生を変えようとしてくる……私だけの人生なのに、口出しされて、勝手に決められて………もう最悪…」
「………そっか…」
「みずきはどうしてこの島にいるの?」
ずっと気になってたことを聞いてみる
「俺、生まれてすぐ海に捨てられて、奇跡的にこの島についた。で、たまたまこの島に来たじいちゃんが俺のこと育ててくれたんだ。」
「捨てられた………?」
「うん、きっと親は俺が必要なかったんだろうね」
「たまたまじいちゃんが来たの?」
「うん、あ、実の祖父って訳じゃないからね。」
「そのじいちゃんはどこにいるの?」
「何年か前に死んだよ。もう埋めてある」
ちゃんと埋めたんだ
「そうだったんだ」
「じいちゃんにさ、この島から出るなって言われてたんだ………出てもいいかな」
「え、出るなって言われたの?」
「うん、あとは…わしが死んだら誰にも見つからない場所に埋めてくれ、とか、船とかヘリコプターとか近づいて来たらすぐ隠れろ、とか」
「待って、そのひと何者?」
「え~ちょっと怖い普通のじいちゃんで、名前は確か……よろいづかいさむ、だった気がする」
「え、まって!その人ってまさか放火の人?!」
「え?」
読んでいただいてありがとうございます!
また次回!
私の家出先は無人島のはずでした 11
「|鎧塚勇《よろいづかいさむ》って言った?」
「うん、それがどうかしたの?」
間違いないよね……放火事件の人だ
この前ニュースで見たやつ(一話参照)
指名手配されてた人は、この島に逃げてきたのか…
「すごい………こういうのを奇跡って言うんだね」
「さっきからなに言ってるの?」
「ううん、こっちのはなし。何でもない」
彼に、じいちゃんが放火犯だなんて言わない方がいいよね
「え~なになに?!気になるってばあ!」
「………だめ。教えない。みずきのためだから」
「え?俺のため?!」
「そうだけどなにか?」
「りんかが俺のこと考えてくれた!やったあ!」
いやいやいや、あんたのこと会ったときからずっと考えてるし
「りんかさ、さっき学校って言ってたよね」
「うん、言ったけど?」
「学校って…なに?」
まさか、学校を知らなかったとは……
「主に子供が勉強するために行くところ」
「勉強って…なに?」
勉強とはなにか…?むず!哲学の領域じゃね?!
「ま、まあ……将来のために色々なことを身に付けるの」
「色々なことってなに?」
めんど、
「計算とか漢字とか美術とか実験とか…色々」
「ふぅん…それって俺も行けるの?」
え、あんた小学校も行ってないわけでしょ
「難しいと思うよ、今さらついて行けないと思う」
「そっか、教えてくれてありがとう。」
「いいえ~」
「なんかして遊ぼ!」
「なんかってなに?」
「ん~りんかってなんか遊びしらないの?」
遊びねぇ………う~ん…
「遊びというかスポーツなら」
「スポーツ?!俺やってみたかったんだ!」
「じゃあ、やりますか」
「どんなスポーツ知ってるの?」
「バドミントンっていうやつ」
「なにそれどういうやつ?!」
「ん~ラケットでシャトル打つやつ」
「ロケットでシャベル打つやつ?!」
「………全然違うわ」
「りんか、一緒にロケットとシャベル作ろ!」
……はは、ロケットねぇ
「いいよ」
2人で作業を進めること60分
「はい、完成」
「わーい!できたできた!」
ルールややり方を教えるのには苦労した
何だかんだで上手だし、悔しくなっちゃう
多分今、人生で一番バドミントンが楽しいって思えてる。
お父さん、私の夢、叶っちゃったよ
私の家出先は無人島のはずでした 12
気づくと日が沈んでいた。
ドサッ
疲れてその場に寝転ぶ
「えっりんか?!大丈夫?!」
みずきが飛ぶようにに駆け寄ってくる
「うん、へーきへーき、ちょっと疲れただけ」
「確かに!結構遊んだもんね!」
ほんと、5時間くらい付き合わされたんだからね
ん?鼻がかゆい…
「りんか、鼻になんかついてる」
「え?何が……」
「ほたるだ!!」
みずきが遮るように大声を出す
「え、蛍?」
「ほら」
みずきがそっと私の鼻についた蛍を捕まえる
「……ありがと」
「あははっりんかの鼻が光ってたよさっき!」
光ってたのは私も知ってる
視界の下の方が光ってたから
「ねえ!蛍がいっぱいいる場所知ってる!」
「えっ……ちょっと……!」
強引に私の手を引っ張る
「ちょっと!走るの早いって…………きゃっ…」
「……あ…」
私がみずきに覆い被さる形で倒れていく
くちびるに柔らかいものが触れる
恐る恐る目を開いてみる
目が暗闇に慣れると、だんだんと見えてきた
みずきの顔がすぐ目の前にあるから驚いた
しばらくの間、膠着状態が続く
からだが動かない
どうしよう……
私の家出先は無人島のはずでした 13
ドクドクドクドク
鼓動がはやい
心臓がうるさい
なんで……どうしてこんなにもドキドキするの
「……………り……りんか……?」
やっとのことで彼から離れることができた
「……………ご……ごめん……!/////」
いま彼は何を思っているのだろうか
「いっいやっ……俺の方こそごめん!」
………………気まずい。超絶気まずい…
どうしよう………
「あっ!ほっ、ほたる!み、見に行くか!」
みずきが気を利かしてくれた。
「そ、そうだったね!」
…はあ…何とか切り抜けた………
「りんか………見て……」
「……………え?」
彼が指差した先をたどる
「………あ……きれい………」
視界が無数の蛍の光の線でうめつくされる
すごい………言葉がでない……
人工物にまみれて毎日、目まぐるしく変わっていく社会についていけず、悩むことしかできない。
そんな暮らしとはかけはなれた大自然での暮らし。
今この島にある人工物は私の荷物だけだと思う。
自然と向き合い、命を繋ぐ。
みずきは簡単そうにやっているけど、私1人だったら熊一匹倒せないし、料理だってまともにできるのかすら分からない……どうしてできると思っちゃったんだろう。
なんで…無人島に来ようと思ったんだろう……この前まで悩んでたのが嘘みたいだ。
大自然を相手にしていると全部どうでもよくなってくる。
親が私の目標を勝手に決めるのは、つい目標を低く設定しがちな私がもっともっと成長してほしい、そんな思いがあるんじゃないか。
そう思えた。
もしそうだとしたら…悪いことしちゃったな……
「りんか……すごいね…こんなにいっぱいいるの俺も見たことない……きっとりんかをお出迎えしてくれてるんだ…」
「……そうかな」
思わず声が震えてしまう。
「ってりんか?泣いてるの?」
「……うん……ちょっとね…」
「えっえっ、どうしたの?!どこか痛い?!」
「ううん……そういうんじゃないんだ……」
「えっじゃあ…………」
「感動してるだけだよ」
彼の言葉を遮るように呟く
「そっか……ならよかった……」
本当に……ここにきてよかった
みずきに出会えてよかった
間違ってなかった
でもお父さんとお母さんのために、早く帰った方がいい
警察とかに捜されたら嫌だ
もう手遅れかもしれないけど
私の家出先は無人島のはずでした 14
「私、明日帰るね」
336度蛍に囲まれて、決意した
「え‥もう帰っちゃうの…?」
すぐ隣に座っている彼の顔は暗闇で見えないがきっと目をぱちくりさせていることだろう
「うん…」
「…そっか。じゃあ準備しなきゃだね」
出会った当初のように引き留められるかと思いきや、理由すらも聞かれない…
なんでだろ。引き止められた時はその時でうざかったけど、引き止められないと悲しい
まあ…いいけど…
そして私たちは、ほたる版のプラネタリウムを目の前にいつの間にか眠りの世界に飛び込んだ
次に起きた時はすでに明るくなっていた。
昨日見た蛍たちは本当は夢だったんじゃないかと思えてきた
「いてて…」
下半身に重みがあると思ったら、みずきが私の足を枕にして寝ていた
寝顔を覗き込む…。なんだか子供みたいだ。
「………これからどうしよ」
とりあえずみずきを足からおろし、海辺の方に歩く。
確か来たときに乗ってた船がこっちにあったはず…
しばらく海岸沿いを歩いていると、海からはみ出ている岩々につっかえているボロボロの物体を見つけた
一瞬、海の向こうからプカプカ漂流してきたでかいゴミだと思ったが、どうやら私がのってきた船らしい…いや、もはや船と言えるものなのだろうか
はあ、とため息をつきつつ船と思われる物のそばに近寄り、砂浜へ引き上げた
大量の海水を吸ったそれは想像以上に重く、体力を削られた
修理して帰れるかと思ったがどうやら無理そうだ
イチからつくるしかない
少々手間だがこの際仕方ない
とりあえず、腹が減っては戦はできんと言うし、朝食としよう