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目次
苦
彼女が抱えていた苦しみを、私は知らない
––––––
彼女のことが好きだった
彼女が笑顔になると悩みも全部ふっとんだ
彼女は結局、一回しか笑ってくれなかったけど
彼女は苦しんでいた
私の知らないところで、ひとり苦しみと戦ってた
でも、負けた
こころが潰れてしまった
彼女から感情が消えた
ロボットみたいな
人間じゃない
私は意味がわからなくて
彼女にまた笑ってほしくて
話しかけたら返事をくれたけど
それは単なる文字の連なりだった
私じゃダメなんだ
彼女の感情を取り戻せないんだ
痛いほどわかった
でもじゃあ誰が、
誰が彼女を人間に戻せるの?
誰が彼女を
笑わせることができるの?
考えてもわかんなくて
私は何をするべきなのか____
考えてる間に
彼女は自殺した
ダメだった
彼女は
そこまで苦しんでいた
彼女にはまだ
感情があった
彼女は失ったものを取り戻したくて
屋上から飛び降りたんだと思う
私は
彼女が求めていたものになれなかった
こんなに好きなのに
こんなに好きだから
だから私も
同じ道を辿った
彼女が抱えていた苦しみを、私は知らない
逃
彼女は逃げた
苦しみから
そして私から
私は追いかけた
『もう、いいよ。だから戻ってきてよ。お願い』
何度も入力ミスをして
その度打ち消して
長い時間かけて打ったその文章を
彼女に送った
数日後にやっと既読がついて、返信が来て
『こんなわたしでごめんね』
だって
そんなふうに言わないで
自分自身を否定しないで
私の方が悲しくなる
私はそんなあなたが
心から好きなのに
『しにたいな』
死んじゃだめ。
『わたしがしんだら悲しんでくれる?』
当たり前じゃん
あなたが死んだら
私も後を追うよ
天国できっと会えるよ
ああ、地獄かもね
自ら命を絶ったのだから
地獄かもしれないね
『地獄でも、ふたりなら怖くないね』
そうだね
『しんでいい?』
いいよ
私も死ぬから
怖くないよ
『君が死ぬのは、いや』
『生きて』
『わたしのことなんて忘れて、楽しく生きて』
そんなことできない
『すきだよ』
私も
『ばいばい』
いやだ
ばいばいなんて言わないで
やめて
やめて
やめて
いくら送っても
既読はつかなくて
窓の外から
悲鳴が聞こえて
「もどって、きたの?」
窓の外には
赤に染まってる動かなくなった君がいた
私もすぐ、いくからね
最後にそう送って
私は家のドアを開ける
自
私は死にたいけど
君には死んでほしくない
でも君は
「優雨が死んだらおれも死ぬ」
だって
苦しいけど
生きるしかなくて
君のために
君はそれを喜んでるけど
私はただただ苦しいよ
「優雨が生きてて、嬉しい」
そう言ってくれて嬉しいけど
辛いな
逃げれない
逃げたいのに君が
君がダメって
「優雨のためだよ」
嘘つかないでよ
君は私のためだとおもっても
わたしは
にげたいんだよ
しにたいんだよ
くるしいんだよ
きみには
わかんないだろうけど
いきることはほんとに
しあわせなの?
勝
もう戻れないのに
もう彼女は私のそばにいないのに
なのに
消えない後悔
喪失感
遠くから彼女の笑顔を見て…「あのとき行動してたら何か変わったのかな」なんてね
私が臆病だから
だから
なんにも行動出来なかった
仕方ないよねだって
だって……
こんなに好きでも愛していても
結局勝利を手にするのは、行動した人だった
愛の大きさなんて
愛の量なんて
全然、関係ないみたい
それが嫌で
こんな現実見たくなくて
逃げたんだ
私が彼女から
逃げなかった人が勝利を掴むのは
当然だよね
ほんとはわかってる、全部
生
生きなくちゃ
死んだら悲しむ人がいるから
その人のために…
あなたのために……
生きてたらきっといいことがある
みんなそう言う
あなたもそう言う
だから信じたい
でも…
でも本当に?
私は今まで生きてきて
いいことなんてひとつしかなくて
あなたに出逢えたことが
たったひとつの幸運で
だけど今は、あなたが私を苦しめる
生きたくなくても
あなたのために
あなたに責任を押し付けて
私が死ぬ勇気がないだけなのに
こんな私が世界一嫌い
こんな私がこの世に生まれ落ちたことが
1番の不幸だ
負
僕はどうせ
人生の負け組
光に当たっている人の影の中で、ちびちび動いてそのまま死んでいくんだ
負けて負けて負けて負け続けて
負けることをなんとも思わなくなっていって
「ああ、やっぱりそうだよね。やっぱり負けるよね」
なんとも思って、ない
はずだよね?
知らないうちに心の傷が増えていって大きくなって
それはやがてヒビになって
心が割れる
「死のう」
そして
飛び降りた
これが僕が、僕の負け組人生の中でできる、いちばん大きな抵抗なんだ
恋
勝てるわけない
わかってるのに
あの子への気持ち
忘れられないの
あの子が好きなのは私じゃなくって
私がいくら足掻いても
手が届くわけなくて
ダメだダメだダメだダメだ
こんな気持ち
そう思えば思うほど気持ちは増す
自分があまりにも惨めで
あの子があまりにも輝いていて
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
あの子のこと
忘れたくない
あの子のこと
大好きで
あの子への気持ち
心の中で大切に
閉まっておくんだ
この気持ちを出すことは
きっとない
この気持ちを思い出すたび
苦しくなるだろうけど
でも
なかったことにはしたくない
願
「なっ……なんで!?」
絶句、した
「別れるなんて」
彼は何も言わなくて
「嘘だよね………」
泣きそうで顔を歪めたら
彼は「だいじょうぶ?」って背中をさすってくれて
そんな優しさいらないよ
そんな優しさいらないから
だから
「嘘って言ってよ……」
嘘
嘘の連続
バレないように細心の注意払って
嘘ついて
嘘つきだって言われても仕方ないけど
でもこの嘘は
嘘たちは
「最低だよ」
言おうとしたのにきみのその一言で、
「もう無理だ」ってそう思って
全部全部きみのための嘘だったんだよ
なのに言えなくて
きみの瞳を見てたら口から声が出てこなくて
苦しくて胸が潰れそうで
結局きみに嫌われたんだ
確かに嘘はダメだけど、でも、
………ああ
言い訳ばっかりだ
夜
「また、会えるよね?」
月は柔らかい光を発している
会えるはずだよね
前は毎日電話してたのにな…
いつからだろう?
会話が減って行ったのは
いまは電話しても出てくれなくて
スマホ握りしめて、きつくきつく
心がぎゅーって苦しくなった
もう会えないのかな?
君は会うつもりないのかな?
不安に蝕まれていく心を無視して
君に会いたいって言うワガママな感情を押し殺して
そうすることが出来たなら
私はどれほど幸せだったかな
「会いたいなぁ」
月は柔らかい光を発している
はるにさようなら
桜が舞う
風に短い髪が揺れて
髪を切ったことを思い出した
心が重い
髪切ったこと友達に指摘されるかな
なんて説明しようかな
失恋なんて
言えるわけないから
好きな人いないって散々言ってきてさ
「失恋したから髪切ったんだ」?
弱々しい風が吹いた
桜の花びらはもう舞わない
春にさようなら
幸
私の人生で
唯一の幸せ
それはあなたに出逢えたことだった
あなたにとって私は
「ただのクラスメイト」なんだろうけど
私にとってあなたは
「生きていくために必要不可欠なもの」で
あなたがいる限り私は死ななくて
死ねなくて
それは苦しいとかそういうんじゃない
ひたすらに幸せなだけ
でも
でもさ
あなたが死んで
私はどうしたらいいの?
ねえ
教えてよ
誰か
私の人生で
最も大きな不幸
それはあなたが私の目の前から、
この世から
永遠に消えてしまったことだった
夢
きっといつか叶えるんだ
大きな夢を抱いた
努力した
精一杯,頑張った
絶対,絶対大丈夫
今までの努力は実を結ぶはず
自信に満ちていた
なのに
あれ?
「なんで」
なんで私の番号がないの?
白い息を吐いて掲示板を隅々まで見回して
何回も何回も何回も
「あれ……」
なんで
ない
なんで
それからは何もする気が起きなくて
毎日が辛くて
死にたくて
死ねなくて
次こそは
とか
みんなの期待を裏切れなくて
それすら重荷になっていって
死にたくて
死ねなくて
それの繰り返しで
今も生きている
かげから
…あ
いた
みつけた
下駄箱で靴を履き替えてる彼
こっそり影で,それをみるわたし
胸が高鳴る
少し眠そうかな
眠れてないのかな
気になるなぁ
彼のこと
ぜんぶ知りたい
だから
これは愛だよ
スマホをかまえる
写真を撮る
また増えたね
写真アプリからアルバムを開く
今撮った写真を彼専用のアルバムに入れて
わたしはうっとりと微笑む
今まで撮った彼に関するものの写真
彼の背中
彼の横顔
彼と夕暮れ
彼と,彼の家
愛だからね
これは
とくとく高鳴ってる胸
スマホをぎゅっと握りしめた
これはネガティブなのか