ある程度書いて気が向いたら投稿します
よろしくね(^.^)
初めて書くので、大目に見て読んでもらえたら嬉しいです!
第二期の小学六年生も書こうと思ってます!
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目次
episode.1 始業式
区立ひばりヶ丘小学校小学五年生に進級した黒木蓮斗は、転校や交際、失恋などを、人よりいち早く経験していた。小学五年生になり、新たな恋の予感が!?
蓮斗を待ち受ける波乱とは…?
--- 美理、今何してんだろ。 ---
周りが、先生誰になるんだろうねー、とざわつく中、区立ひばりヶ丘小五年の黒木蓮斗は、ふと思った。
美理は、当時市立小池小学校二年生だった蓮斗と付き合っていたが、蓮斗が転校することになり、名残惜しく別れた蓮斗の元カノだった。
なぜ、今頃美理のことを思い出したのか、蓮斗には分からなかった。
なぜなら、蓮斗自身が気づいていなかったからだ。
あの頃と同じくらい、今後好きになる人が隣に立っていたことに。
---
--- **甘いだけじゃない、青春のすべて。** ---
--- *episode.1 始業式* ---
---
校長が、朝礼台に登る。「これから、ひばりヶ丘小学校令和6年度始業式を始めます。一同、礼」
全員の頭が下がる。
「まずは、校長先生のお話です。」
「えー、皆さん、春休みは有意義に過ごせましたか?今日からは別の学校に行ったり、逆に今日からこの学校でお勉強していく人もいます。人生に出会いと別れはつきものです。〜〜〜」
もう話し始めている生徒がいる。
「次に、担任の先生の発表です。」
校庭の空気が一気に張り詰めた。先生によって、これからの一年が左右されると言っても過言ではないのだから、当然だろう。
「一年一組 宮下先生、一年二組 安藤先生、〜〜、、次に、五年生です。五年一組 武田先生 五年二組 土山先生、五年三組 金子先生、五年四組 木村先生。最後に、六年生です。六年一組〜〜」
蓮斗は五年四組だと、事前に配られた学年名簿に載っていた。
──木村先生?
この学校に来てまだ三年目の蓮斗は、まだ知らない先生だった。
五年一組の武田紗希先生は、蓮斗が四年三組のときに担任だった、とても大好きな先生だった。
圧倒的な生徒からの人気から、二年連続で受け持つことになったのだろうか。
蓮斗は再び学年名簿に目を通す。
五年四組で目に付く生徒と言えば、
学年一モテる女子と評される岩井友香とその親友で学年No.2の石橋かなえ、ひばりヶ丘小バスケ部キャプテンの山本華、副キャプテンの早川秋、問題児で有名な仁杉央、三年生から蓮斗とずっと同じクラスだった住田凛々花、凛々花と友達の星名瞳くらいだろうか。
30人強クラスメイトがいるのに、少なくね?
と蓮斗は自分の交友関係の狭さを意識した。
司会役の先生が話を続ける。
「最後に、校歌斉唱です。音楽の清水桃子先生、お願いします。」
この高学年の音楽の担当、清水先生も、蓮斗は大好きだった。
---
校歌の斉唱が終わると、呆気なく始業式は終了し、各学年ごとに集まる指示が出された。
途中で凛々花と合流し、五年の集合場所に向かう。
「今年は荒れそうだねーー」凛々花が唐突に言った。
なんで?と聞き返すと、いやいや、当たり前でしょ、と言われた。
「クラスカースト上位の、友香とかなえと瞳、華、秋だよ?女子ですらこんなにやばいのに男子はあの仁杉もいるんだよ?木村先生?だっけ。あの人病んじゃうんじゃない?女子の仲が私含めて全体的に良いのが救いだね」
凛々花はそうまくし立てると、「まあ楽しそうで何よりじゃん」と言い放った。
まあ、楽しけりゃ良っか。そう思い込む事にした。
集合場所に着くと、学年主任が二組の土山将暉先生だと知らされた。武田先生が良かったのに。
そこから、さらにクラスごとに集まるようまた指示された。
四組の集合場所には、凛々花が言っていた女子が固まって話している。
しばらくして、担任の木村智樹先生でやってきた。ニキビだらけの顔になんか臭い、見るからにモテなさそうだ。
「こんにちは。初めまして。五年四組担任の、木村智樹です。突然ですが問題です!」
先生が、智樹 と書かれた紙を掲げた。
「先生の下の名前はこう書きます。さて、なんと読むでしょうか?」
女子軍団の中から一人がはいっ、と手を挙げる。「ちき!」
「違います!ですが、二文字目の「き」は合ってます!」
そこまで言う必要ある?
まさかとは思うが──ロリコンじゃないだろうな。
「この問題を考えるのが今日の宿題です。明日、答えが分かった人は先生に教えて下さいね。それでは、明日も元気に登校しましょう!さようなら。」
もう下校して良いようだ。今日も凛々花たちと帰ることにしよう。
「凛々花ー」
なにー?と返ってくる。
「今日、帰って良いー?」
「良きー」
凛々花はまだ女子たちと話しているようなので、蓮斗はしばらく校門の前で待つことにした。
すると、校門から岩井友香と石橋かなえが出てきた。
──学年一モテる女子と、二番目にモテる女子。
蓮斗の記憶が蘇る。
「あれ?黒木くん…?これからよろしくね!」
え?
名前覚えられてる??
蓮斗が一人で混乱している間に、二人は帰って行った。
やがて、凛々花と瞳がやって来た。
「待たせちゃったー、ごめんね」
大丈夫大丈夫、と返すと、てかさ、と話が始まった。
「担任の先生、ブスくね?」
それな!わかる、と瞳が言った。
このことは、蓮斗も感じていたことだった。
「それなー、てかめっちゃ臭くね?」
蓮斗の発言に反応が返ってくる。
「絶対に彼女いないでしょー」
「いやいたら彼氏いないうちらのプライド崩壊するって」
瞳が笑った。
「でもさー、お隣の黒木とかいう人は前まで彼女サンいたんですよねー」
凛々花が笑いながら言う。
瞳が、「リア充死ねぇ!!」と人工減少中の現代社会において不適切な発言をして、三人で笑い合った。
「いやー、でも、今年はこの三人とも同じクラスで良かったねー」
と蓮斗が話を逸らすように言うと、二人とも、ねーと返してきた。
去年までは、凛々花と蓮斗は同じクラスだったが、瞳だけ四年一組で別のクラスだったのだ。
そう話しているうちに、蓮斗の家に着いてしまった。
「じゃあねー」
「バイバーイ、また明日!」
二人は、そういえばBTSが、と話しながら歩いていった。
結構良さそうなクラスじゃん。
蓮斗はそう思いながら、家に入っていった。
友香とかなえの件は、もう忘れていた。
これからの一年が、蓮斗を大きく変えることは知るよしもなく──。
---
一方そのころ、家に帰った岩井友香は、新たな恋心を抱いていた。
じっとしていられず、二軒となりのかなえに電話をかける。
「もしもし、かなえ?あの人見た?良さそうじゃない?」
〔あの人って?〕
「黒木蓮斗って人」
友香は、美しい声で、曇りなくはっきりとそう言ったのであった。
最後まで読んでくれてありがとうございました!!
第二話からも頑張っていこうと思います!
応援、ファンレター、コメント等お待ちしております!
Bieber.h
episode.2 親友
区立ひばりヶ丘小学校小学五年生に進級した黒木蓮斗は、転校や交際、失恋などを、人よりいち早く経験していた。
一方、学年のマドンナ、岩井友香も新たな恋心を抱いているようで…!?
--- **甘いだけじゃない、青春のすべて。** ---
--- *episode.2 小学五年生二日目* ---
---
「もしもし、かなえ?あの人見た?良さそうじゃない?」
〔あの人って?〕
「黒木蓮斗って人」
〔黒木蓮斗…?ああ、あの“隠れ陽キャ"的な人?〕
「隠れ陽キャとか言うなし!!」
〔はいはいごめんね?でもさ友香、君、六日前に彩人と別れたばっかじゃないの?〕
「それは…」
〔いくら彩人が五年一組になってクラスが離れたからと言っても、彩人に申し訳ないとか後ろめたいとかそういう気持ちは一ミリもないわけ?〕
「、、、無い」
〔うわー親友になる人間違えちゃったかも〕
「そんなこと言わないでよ!!好きになっちゃったんだもん!」
〔私が斗真と付き合ったら一生“浮気"しないって誓うけどなーー〕
「浮気じゃない!!」
〔あれー?私、友香が浮気したなんて金輪際言ったつもり無いんだけど??〕
「くっ…」
〔自覚合っちゃったりする感じすか?〕
「まぁ、無いわけじゃないけど」
〔やっぱりあるんじゃん!!私前聞いたよね!?彩人に対してしたことは浮気じゃないんですか、って!!〕
「んー、あー、、」
〔まあいいや、結局、黒木くんのどこを好きになったんだい?〕
「んーと、イケメンすぎない顔と、運動神経悪くないとこと、頭いいとこと、気が利くとこと、家族の仲が悪いことかなー」
〔うん、最後の以外は理解できるわ〕
「お母さんのことクソババアって呼んでるの、ちょっと可愛くない?」
〔いやどこが?〕
「その…なんというか、家族にもそんなに素直になれないなら、私ともし付き合ったらめっちゃツンデレになっちゃいそうじじゃない!?」
〔想像の度が過ぎる…〕
「いや、それを現実にしていくのが岩井友香なんですよねー」
〔えっじゃあ付き合う気があるってことかー〕
「どうせ黒木くん付き合ったこと無いだろうからいけるはず!」
〔あーそれね、瞳が言ってたんだけど、黒木くん、前の学校で彼女いたらしいよ〕
「えっ??」
〔要は先越されてるってこと〕
「え?この私が、、」
〔まあまあ、言っても三年ぐらい前だし!〕
「先を、、越された…?」
〔聞いてます?〕
「ま…まあ、それだけ女性慣れしてるってことでしょ!上等上等!」
〔女性慣れって言うより女子慣れだけどね〕
「でも、恋愛経験は私の方が上!…だと思う」
〔そう?友香が初めて付き合ったのが彩人じゃん?そしたら一日で別れたじゃん?友香の恋愛経験ってそんなもんでしょ?〕
「そんなもんって!!!」
〔事実じゃん〕
「、、そうだけど」
〔まあ友香は見た目は良いからねー、前、原田に、友香の好きなところは?って聞いたら即答で顔って答えてたよ〕
「あ!そういえば、原田って好きな人ランキング作ってるらしいよ」
〔キモっ〕
「確か、一位が私で二位がかなえ、三位が瞳だった気がする!二位おめでとう!!」
〔はい???原田見る目無さすぎ〕
「いやー私には勝てないですねー、永遠の二番手さん?」
〔私も斗真にに好かれれば人数で学年一位になるし!!〕
「あー白木ねー、あいつ今、華のこと好きだから厳しいんじゃない?やっぱりバスケ部の仲は良いねー」
〔華なら許す〕
「逆に許さない人いるの?」
〔んーいるな、お前〕
「え!悲しいーどうせ私は白木好きになんないだろうけど」
〔あ!斗真、男子バスケ部のキャプテンになったんだった!プレゼント渡さないと!〕
「じゃあ今から買いに行く?」
〔え、良いの!?じゃあ三分後に玄関前ね!〕
「オッケー」
---
友香とかなえがショッピングモールを歩いている頃、一人の男子が女子に告白していた。
「好きです。俺と付き合ってください!」
頭を上げたのは──白木斗真だった。
第二話も呼んでくれてありがとうございます!
今回はギャグ漫画みたいになってしまいました💦
文字数少ないですごめんなさい!
第三話もよろしくお願いします!
応援コメント、ファンレター等お待ちしています!
Bieber.h
episode.3 小学五年生二日目
始業式を終えた蓮斗たち。
それぞれの学校生活が始まっていた。
もちろん恋も動き出しており……!?
「好きです。俺と付き合ってください!」
そう言って頭を上げた白木斗真は──山本華からの返事を待っていた。
一瞬、沈黙が流れ、春なのにも関わらず冷えた風が吹いた。
山本華はその刹那、思考を巡らせていた。
──私も斗真のこと好きだよ!
いや、かなえも好きでしょ。昨日相談受けたじゃん。
──女子キャプテンと男子キャプテンが付き合うって、ロマンチック!
どこが?秋に妬まれてキャプテンの座から引きずり降ろされるよ?
ていうか、付き合ってもバスケ部のみんなから冷やかされてすぐ別れるんじゃないの?
一つの疑問が華の頭をよぎったが、華は自分の想いに抗うことができなかった。
沈黙を破り、口を開いた。
「喜んで!」
斗真の顔がぱぁっと明るくなる。
これで良いんだ。私は、斗真のことが好きなのだから。
---
--- **甘いだけじゃない、青春のすべて。** ---
--- *episode.3 小学五年生二日目* ---
---
五年四組への階段を登る。なぜ三階なのだろうか。
黒木蓮斗が疑問に思っていると、下からにぎやかな声が聞こえてきた。
「昨日撮ったプリ、ちょー盛れたよね!」
「それなわかるぅー」
「明日も遊べる?」
「あーごめん私サッカーだわ」
「えー残念!また別の日に遊ぼー」
かなえ、友香、瞳、凛々花たちのグループだ。
瞳たちとは下校は一緒にしているが、家がやや離れているため、登校は一緒にしていない。
すると、別の声が耳に入って来た。問題児、仁杉央の声だ。
「女子うるせーな!」
そう言いながら女子グループ、特に岩井友香の方をしきりに振り返っている。
──女好き。
蓮斗が仁杉の格付けを完了していると、またもや別の声が聞こえた。
「おはようございます。」
五年四組の担任、木村智樹だ。
近づいてくる。その瞬間、鼻を覆いたくなるような臭いに包まれた。
臭っ!!えっ??これ先生の臭い!?
周りの生徒も気づいているようで、みんな顔をしかめている。
臭いから逃げるように教室に入ると、それぞれの机の上に出席番号が書かれた紙が置かれていた。
28番を探して歩いて行くと、窓際から二番目、後ろから二番目という絶好の位置に机があった。
隣の席は──山本華だった。確か、バスケットボール部の女子キャプテンだ。
そうこう考えているうちに、女子グループが教室に入って来ていた。
「あれーうちの席どこだろー」
「秋、29番でしょー!あそこだよー!」
「ありがとんー」
「あ、友香と近くだ!やったー!!」
「えっマジ?やったー!あ!あの人と近くだ!」
どんどんクラスの色がピンク色に染まってゆく。
そのうち、左隣に山本華が、通路を挟んだ右隣に岩井友香が、後ろに早川秋が座った。
何この席?仲良い女子三角形の真ん中にポツンと居座ってる男子みたいな席なんだけど??
「華ー、鉛筆削り貸してー」
「いいよー…あ!壊れてる!」
「マジ!?」
「ごめんーー」
女子の会話が途切れたところで、ホームルーム開始のチャイムが鳴った。
「皆さん、おはようございます。一年間よろしくお願いします。ところで皆さん、昨日の宿題はわかりましたか?わかった人は手を挙げてみてください!」
手を挙げてみる。すると、蓮斗以外にも手を挙げている人が何人かいた。
「えーと、そこの席は…黒木蓮斗さん!」
「はい、『ともき』です」
「正解です。よくわかりましたね!さて、先生は、基本的には怒ることはあまりしません。ですが、先生が絶対に怒ることがひとつだけあります。それは、他人に迷惑をかけることです。もしそのようなことをしたら、先生は躊躇なく怒るので、絶対にしないようにしましょう。」
毎年このように担任の先生から教育方針(?)が伝えられるが、どの先生も同じ事を言っている。
隣の華はもう本を読んでいる。飽きっぽい性格なのだろうか。蓮斗には、それよりも、ザ・陽キャの華が本を読んでいることの方に驚いていた。
本って陰キャの武器じゃないの?
どんどん蓮斗の常識が覆されていくうちに、先生の話は終わっていた。
「次の一時間目は国語です。五分後から始めるので、準備をしておいてくださいねー」
教室のみんなが席を立ちだす。
華の席に、女子グループが集まってきた。
「先生臭すぎ!アリーナ席まじだるぅ」
「マジ!?どんまーい」
「そういえば、ご報告があるんでしょ?華ちゃん♪」
早川秋がニヤニヤしながら言う。
「えっなになに!?」
「聞きたいー!」
「えっとね……私、斗真と付き合ったの」
「えっ?」
蓮斗も思わず耳を疑った。
「えーー!!?」
「マジで!!!??」
「キャーーー!!」
「良かったじゃないですかーー女バスキャプテンさん!」
「じゃあ今日お祝いパーティーする?今日ならみんな空いてるっしょ?」
「いいねー!カラオケで良き?」
「良き良き〜!」
そのとき、一時間目の始まりを告げるチャイムが鳴った。
「はーい、席着いてください。」先生の声だ。
「あっチャイム鳴っちゃった!」
「とりま今日帰ったらカラオケ前集合ね!」
「うぃー」
これは、、、聞いてはいけないことを聞いてしまった。。。
この男子は、意図的でなくとも、女子の会話を盗み聞きしてしまったことに罪悪感と背徳感を感じていた。
自分が予想以上に悩んでいたのに気づいたのは、岩井友香に「消しゴム、落ちてるよ」と言われた時だった。
---
無事…とは言えない二日目を終えて疲れていたのか、蓮斗は家に帰るなりすぐ寝てしまった。その時に見た夢は、「白木斗真と山本華が付き合ったが、バスケ部のみんなにバレて冷やかされ、悲惨にも別れてしまう」という内容だった。
そんなこと有り得ない、と蓮斗は信じていた。
翌日までは。
第三話も読んでくれてありがとうございます!
ちょっと次回の最初の方は暗くなるかもです…
第四話からもお願いします!
コメント、ファンレター、アドバイス等お待ちしています!
Bieber.h
episode.4 放課後の悪夢
蓮斗が見た、華と斗真が別れるという衝撃的な夢。
さて、「正夢」とは何なのだろうか。
人を悲しみに陥れる残酷なものか、はたまた喜びに満ちるよう仕向ける驚異的なものなのか。
真相は果たしてどちらなのだろうか。
ひばりヶ丘のバスケ部、ひばりヶ丘ドルフィンズは、区大会二連覇に向け、始業式の翌日から動き出していた。
また、女子バスケ部キャプテンと男子バスケ部キャプテンが付き合ったという噂が流れ始めたのはその頃であった。
---
--- **甘いだけじゃない、青春のすべて。** ---
--- *episode.4 放課後の悪夢* ---
---
授業が終わるなり、山本華は体育館へと歩いて行った。
ひばりヶ丘ドルフィンズ、通称「ひばドル」は、放課後に練習があるのだ。
体育館に足を踏み入れる。だが、いつもと雰囲気が違うことにすぐ気づいた。
四、五年生がこちらを見てヒソヒソと何かささやいている。
そのうち、五年生の星羅が華のそばに寄ってきた。
「ねぇ、華。白木と付き合ったってホント?」
「えっ!なんで知ってるの!?」
「やっぱりそうなんだー。秋が言ってたよ!」
秋…?
「秋から聞いたってこと?秋は、他のみんなにも言いふらしてるの?」
「うん。沙耶ちゃんとかにも言ってたよー」
「あーー…」
「あ、練習始まるって。行こ!」
「うん…」
胸の内で渦巻く、灰色の気持ちを抱えながら華は練習に臨んだ。
---
練習が終わり、帰宅の準備をしていると、右に斗真が立っていることに気づいた。
「ねぇ、斗真」
「なに?」
「秋が言いふらしてるっぽい」
「俺も思った。男子の中でも広まってるよ」
「やっぱりそうなんだ…秋に言った方がいいのかな?」
「うーん…すぐ噂消えるだろうし、とりあえず放置すれば?」
「そっか。ありがとうー」
秋が斗真に駆け寄って来たのは、その時だった。
「斗真ー!LINEのアカウント変えたからもう一回交換しよ!」
「いいよー」
「QR見せてー!」
「これかな?」
「ん、ありがとう!いつも思うけど、斗真のプロフィール写真て可愛いよね!」
「そうー?」
「可愛いよー!あ、とりあえずスタンプ送ってみるね!」
「よろしくね♡ってなんだよー!」
「まあまあ、あ!私、沙耶と一緒に帰るんだった!バイバイー」
「じゃあねー」
もう一回?いつも思う?可愛い?♡?
頭おかしいのコイツ!?
人の彼女の前でその彼氏横取りするつもりなの!?
華の胸の中は、灰色なんかではなく、どす黒くなっていた。
──あ、私、付き合うなんて向いてないんだ。
華の心は限界に達していた。
「斗真」
「ん?あ、さっきはごめ…」
「別れよ」
いつの間にか誰もいなくなった体育館の中で、冷たい声が凛と響いた。
「ごめんね、私、昨日、喜んでとか言ったくせに。私の心が弱いから、狭いから、こんなことになっちゃって。」
「俺の方こそごめんね。別れよう」
斗真は、あっさり別れを認めた。
そうだ。どうせ私への想いなんてそんなもんなんだ。
斗真はただの女垂らし。秋はただの男好き。私の中の二人はそれでいい。
私も、あんな斗真と付き合った時点で馬鹿だった。
あんな奴と付き合わなければよか…
いつの間にか涙が溢れていた。元彼の視線なんて気にせず、“想い“のまま走る。
どれだけ雨が強くても、激しい雷が鳴っていても、足を擦りむいても、憎しい友を追い越しても、華は走った。
息を切らし、家に着くと、玄関前に──岩井友香が立っていた。
玄関の光が涙で滲む。
「予想通り。話さない?」
この子と友達になって良かった。
「…良いよ」
やったー!と友香が手を上げる。
人が目の前で泣いているのにな。そう思うと、自然に笑みが出てきた。
「今日、泊まってく?明日土曜日だし」
「いいの!?ママに電話しよー!」
携帯を取り出す友香の隣で、華は思った。
いい友達持ったな、私。
今回も字数少なくなってしまいました…
第五話からも読んでくれたら嬉しいです!
応援よろしくお願いします!
Bieber.h
episode.5 この気持ちは?
華を襲ったのは、秋でもなく斗真でもなく、ただの残酷な現実だった。
さて、華がとる行動とは…!?
心なしか気分が重い。
それは、今日が月曜日の朝だからなのだろうか。
それだけ?
隣の席の黒木蓮斗に声をかける。蓮斗とは、話すうちにいつの間にか仲が良くなっていた。
「黒木ぃー」
「なに?」
「この漢字なんて読むの?」
「えーとそれは ドイツ って読むんだと思う。てか、華どんな本読んでるの!?」
「え?これ?世界の生ごみの捨て方辞典だけど」
「それ読んでどうかなるの?」
蓮斗はいつもこんな感じだ。
気さくで話しやすく、結構面白い。
まあ、何と言うか、友香は見る目あるな。
華が感心していると、悪魔──早川秋が話しかけてきた。
斗真と別れたことは、秋を除く女子グループのみんなに伝えた。しっかり口止めもしたので、秋にはバレて無いはず…
「華…斗真と別れたの?」
え?
---
--- **甘いだけじゃない、青春のすべて。** ---
--- *episode.5 この気持ちは?* ---
---
「斗真が言ってたよ。何で別れちゃったの?」
なんで人が悲しんでいる目の前でニヤニヤしながら喋れるの?
なんで斗真は秋に言ったの?
また、どんどん心が黒くなっていく。
その中で、華は「最も自分がスッキリする言葉」を見つけた。
「なんで別れたかって?お前のせいだよ。お前が、お前が、お前が、お前が!!」
お前?全部私のせいじゃないの?
──違う。こいつが悪い。ただの横取り女が。
目を見開く秋を見て、華は気づいてしまった。
秋は、自分のせいで華のカップルが別れたことを理解していないことを。
そのことに無性に腹が立った。
追撃しようと口を開けた瞬間、最悪のタイミングでチャイムが鳴った。
秋は逃げるように自分の席へ戻って行った。
担任の木村先生が何か言っているが、詳しくは聞き取れない。
蓮斗も話しかけてきているが、何を言っているのかはわからない。
あーあ。最低だな、私。
華はどんどんネガっていった。
その時、廊下を歩く白いパーカーの男子が目に入った。
──あ、斗真。
話したいのに、話せない。
近づきたいのに、近づけない。
友達として上手くやりたいのに、出来ない。
まだあの気持ちは消えてないのに──。
いやいや何言ってんだよ、私。
このままだったら「男好きの友達のせいで別れて清々しいふりしてるくせに本当は元彼のこと想い続けてるただの未練タラタラなゴミカス女」みたいじゃん!!
華は誠に謎な対抗心を覚えていた。
「かなえー!校庭いこ!」
「いいよー!友香も行こー」
「あっ…私、教室でしなきゃいけないことが…」
「あっそうだったね!じゃ、頑張って!」
「友香の、教室でしなきゃいけないことって?」
華が尋ねる。
すると、かなえが小さい声で教えてくれた。
「友香ね、今から蓮斗とババ抜きするんだって!こっそり見る?」
「見ちゃお見ちゃお!」
しばらくすると、友香が蓮斗に話しかけた。
「ねぇ、一緒にババ抜きしない?」
なぜババ抜きなのだろう?スピードとか七並べでも良いだろうに。
まさか、「おばあさんになるまで一緒にいよう」的な友香なりの気持ちだったりして…!?
すると、かなえがつぶやいた。
「いやいや、それは無いでしょー」
え、嘘!心読まれた!?
「その展開でババ引くのは、流石に無いって。華もそう思わない?」
あ、そっちね…
「た、確かに。そうだね…」
たとえ好きな人と別れても、友達だと思ってた人に酷い仕打ちをされても、この人達がいる。
それは、華にしばらく彼氏が出来なくなったこのと一つの理由となった。
---
一年後。蓮斗たちが小学六年生に進級した頃のこと。
華は、告白された。
──白木斗真に。
あいにく、秋とはクラスが離れた。私は、斗真のことが好き。そんなの、もう一択しかない。
「喜んで!」
投稿が遅くなってしまいました💦ごめんなさいm(_ _)m
第五話も読んでくれてありがとうございました!
応援・ファンレター等お待ちしております!
Bieber.h
番外編I 原田尚樹の妄想劇場
※「原田尚樹」については、 episode.2 親友 で一回チラッと登場してます。(会話文の中です。見つけられるかな?)気になる方はそちらもぜひ。
ちなみに()の中は作者の声です。
僕の名前は原田尚樹だよ🌟かっこいい名前でしょー😎
僕は今友香ちゃんのことが好きなんだー
バレンタインももらったし、キスとかハグもしたんだ!(夢の中でね!)
すごいでしょ!他の男子はしたこともないことをしてるんだよ!(そりゃお前みたいな変態がお前以外いないからねぇ)
これはもう僕の誇りだね!(知らねーよ)
でもまだ好きバレしてないから楽しいんだよねー!(とっくにしてる。てか学年中知れ渡ってる)
「恋愛は頭脳戦!付き合うまでが楽しい」ってね!僕は良い言葉思いつくなぁー
(それかぐや様は告◯せたいの受け売りだろ)
でもねぇー僕、多様性を重視する現代社会に適した人間だから、友香ちゃん以外の人も好きなんだよねー!
(それ多様性じゃなくてただの変態。誰にも必要とされない哀れな人間の間違いでは?)
好きな人ランキングも作ったんだよー!五位が真彩ちゃんで、四位が琴絵ちゃんで、三位が凛々花ちゃんで、二位が瞳ちゃんで、一位が友香ちゃん!
(誰もお前の好きな人とか興味ない。てかお前は好きな人のランキングを作れるほどの立場じゃない)
あ、そろそろ寝ないと。
(とっとと寝てろ)
思い出した!友香ちゃんのXアカウント、フォローしないと!本当は13歳以下はアカウント作っちゃいけないのに〜!そういうところが可愛いんだよねー!
(キモい◯ね)
マジのマジでふざけです。結構楽しかったな((
これからも暇な時に番外編書くかもです。
本編の方もよろしくお願いします!
応援・ファンレター等よろしくお願いします!
Bieber.h
episode.6 花火大会
「付き合ってください!」
私が告白されたのは、この時が初めてだった。
---
--- **甘いだけじゃない、青春のすべて。** ---
--- *episode.6 花火大会* ---
---
ある日、凛々花が4人で下校していると、急に尋ねられた。
「ねえ凛々花ー」
「?」
「有本の話してよー」
「また!?」
「いいから早く!!」
この人達は、いつまで私の元彼の話が聞きたいのだろうか。もう六年生なのに。
ていうか、あの人──もいるのに。
そんなことを考えながら、凛々花は渋々ながらも話し出した。
---
時は2023年、蓮斗たちが小学四年生の頃のお話。
有本大輝がひばりヶ丘小にいることを知ったのは、福永に教えてもらったからだった。
習い事が同じで、元々知った顔ではあったが、同じ学校だとは気づかなかった。
問題児の福永と一緒にいるんだから、さぞかしヤバイ人間なんだろうなー。
四年生になると、四年三組で同じクラスになった。
関わってみると意外と良いやつで、どんどん仲が良くなっていき、いつの間にか、一緒に登下校したり、お互いの家で遊んだりするようになっていった。
そんな日々の中で、私自身は、確かに、大輝に惹かれていった。
だが、どんな人間にも悲劇は起こる。
五年生でクラスが離れてしまったのだ。
少しだけ、ほんの少しだけ、悲しいような気がした。
だからなのか、近くのイルミネーションイベントに誘われた時は、私にしては珍しく舞い上がってしまった。
そのイルミネーションイベントの帰り道、「四年生の時に気になってた人を紙に書こう!」ということになった。
お互い紙に書き、文字を見た時──
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「えっ!?私!?」
「えっ!?俺!?」
二人の声が重なった二秒後、笑いが込み上げてきた。
まあ、大輝が私のこと好きだったのは四年の時だから…
一年前だから…
複雑な思いを胸に抱えたまま、私は花火大会の会場に向かっていた。
花火大会には、いつも一緒に登下校しているメンバーを呼んだ。
大輝、金シウ、森田和志、加藤光生、小川亮也だ。
花火大会の始まりがアナウンスされる。
その直後、ドドーンと鼓膜が破れる程大きい音がした。
夜空に光が交差する。
その時、大輝がかけていたブランケットを、私の肩にかけてきた。
暖かい。これは大輝の体温…?
どんどん心臓の鼓動が速くなっていく。
「さ、寒いでしょ。掛けなよ」
「良いの?」
良いよ、と大輝がぶっきらぼうに答える。
よほど緊張しているようだ。
なんとも言えないムードの中、案の定、恋バナに花が咲いた。
しばらく経った後、急に大輝が聞いてきた。
「好きな人誰?」
「えっ!何で!」
「いいから、誰!」
「教えなーい」
「…じゃあ、この中で誰かが告ってきたら?」
「さあ?OKするかもね?」
我ながらいい切り返しだ。
すると、野次馬が飛び込んできた。
「そこでいちゃついてる奴がいるぞ!」
「告れ!告れ!」
えっ!?これって“そういう"雰囲気なの!?
大輝は頭抱えてなんか考えてるし、何なのこれ!
私がテンパってると、大輝は決意を固めたように立ち上がった。
え?まさか──
「好きだよ」
私の思考回路がショートする。
「え?聞こえてない?」
…
「好きだよ、って言ってるじゃん」
…!!
「俺と付き合ってほしい」
「いいよ!」
なぜか、気づいた時には即答していた。
大輝の顔にはにかんだ笑みが広がる。
周りの野次馬たちが、「2023年10月21日19時59分!」と叫び出した。
その瞬間は、良くも悪くも私の思い出となった。
その後四ヶ月間ほど付き合った。
その間、せいぜい手を繋ぐほどで、恋人らしいことはあまりできなかったが、とても楽しく充実した時間だった。
別れを切り出したのは、大輝の方だった。
「一回とりあえず別れて、どっちかにカレカノできたら正式に別れよ」
「一回」、「とりあえず」、「正式に」…
思うことは多少あったが、それよりも
──私、振られたんだ。
悲しみの方が私の心の中では強かった。
しばらく経ち、ふと大輝の言葉を思い出した。
── 一回とりあえず別れて、どっちかにカレカノできたら正式に別れよ。
いや待って!まだ“正式“に別れてはいないのだから、私はもちろん、大輝にもまだ彼氏彼女はできていない!
なら、あいつよりも早く付き合ってやろう!!
凛々花は、謎の競争心に火がついたのであった。
---
「──で現在に至るって感じかな」
「なるほどねぇー」
「そんで、付き合った人がー?」
「言わなくてもわかるでしょ!」
私の隣には、何とも言えない気持ちなのが見て分かるあの人──寺田勇太が立っている。
気まずそうな、でも少し照れくさそうなこの人が、私は好きだ。
前の方では、大輝がはしゃいでいる。
別れてからもう口を聞いておらず、実質、絶交状態となっている大輝だが、果たしてあちらには彼女ができるのだろうか…
謎の心配をする凛々花であった。
投稿遅くなってすみませんm(_ _)m
第六話も読んでくれてありがとうございました!
応援・ファンレター等お待ちしております!
Bieber.h
episode.7 新たな彼氏
大輝への想いを消し去り、新たな恋へと踏み出した凛々花。
だが、またも波乱が…!?
--- **甘いだけじゃない、青春のすべて。** ---
--- episode.7 新たな彼氏 ---
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凛々花と寺田が初めて会ったのは六年生だった。
初めての席替えで、関口かいじと隣になった。
関口とは二年からの付き合いで、「仲が良い人と隣になれて良かった〜!」と凛々花は勝手に喜んでいた。
また、後ろの方には寺田勇太と木村結衣子の元カップルが隣になっていた。
さぞ気まずいんだろうな〜。
私が呑気に考えていると、予想外の出来事が起きた。
「先生。黒板が見えませーん」
それは、寺田勇太の破壊的な言葉だった。
担任の石原先生が少し考えた後、言葉を発した。
「んー、じゃあ、関口さん視力良いから寺田さんと変わってもらえる?」
「はーい」
待って!!そんな!!私の楽しい学校生活を壊さないで!!
なんでだよぉぉぉぉぉー!!
あぁ…行っちゃった…
さよなら私のハッピーライフ…
凛々花が絶望していると、寺田が話しかけた。
「なんかごめんね、気まずくて…」
「大丈夫。よろしく」
だが、数日一緒に過ごすと、寺田なんか気が合って面白い人間だと凛々花は思うようになっていた。
「元彼の大輝と仲が良い」という謎の警戒心を解き始めたのは、その頃だった。
---
凛々花と寺田はどんどん仲が良くなっていき、ついに「好きな人クイズ」までするようになっていた。
今回は、凛々花が寺田の好きな人を当てる番だった。
「好きなところは?」
「優しいけど怒ると怖くて、後、顔も結構タイプかな
「えー…まさか結衣子?未練あったりする感じ?」
「違う違う!」
「えっじゃあ明日香?」
「違うよーあんなオバサン誰が好きになるの」
「まあねー…えっもしかして…」
「もしかして…?」
「本当の本当にもしかしてだけど、私?」
「え、大正解」
「えっ…」
その後、数十秒間二人は呆気に取られていたが、やがて事態を理解し始めた。
えっ!?俺凛々花に告白した!?
えっ!?私寺田に告白された!?
寺田が尋ねる。
「どうする?」
「どうするって…じゃあお互いのことまだあんまり知らないけど付き合う?」
「え!?い、一回保留にしない?」
「いいね、そ、それにしよう」
その日の昼休み、校庭でバスケをする寺田のおぼつかない姿に凛々花がトキメキを覚えたのは、初めてだった。
---
放課後、寺田は掃除をサボった罰として、居残り掃除をやらされていた。
忘れ物を取りに、教室へ来た凛々花に、寺田は言った。
「居残り掃除ダルい…」
「罰じゃん。お疲れー」
「一生恨むよ」
それは、他愛のない話を交わした数秒後だった。
「付き合って欲しい」
「…うん。」
カーテンで光は遮られ、寺田の顔はよく見えない。
喜んでるかな。照れてるかな。
いや照れてろよ。
「ねぇ」
「何?」
「私、来週の土曜日に従兄弟の誕プレ買いに行くんだけど、付き合ってくれない?」
「んー、良いよ…ちょっと待って!誰が来るの?」
「ん?二人だけど」
「え…!」
「何?照れてんの?」
「照れてない!」
「ふーん、そうなんだ」
「そっちこそ照れてんの?」
「照れてなんかいませーん」
「そうですかそうですか!」
「じゃあまた明日」
「ふん!また明日!」
足早に階段を降りる凛々花。
その顔はピンク色に染まっていた。
「本当は一緒に帰る約束もするはずだったんだけどなぁ…」
誰にも聞かれないよう、そっと凛々花はつぶやいた。
---
そしてある土曜日の朝。
近くのショッピングモールに集合した二人の足は、なぜかプリクラコーナーへと動いていた。
「凛々花、従兄弟の誕プレ買うんじゃないの?」
「ん?あーそれね、嘘だけど」
「えっ!?」
「やっぱデートはまずプリだよねー」
「デートっ!?」
「おやおや?もしや今回が初デート?」
「そうだけど…」
顔を赤らめる寺田の横で、凛々花は途方に暮れていた。
“カップルが撮るのにおすすめのプリクラ”はどれ…!?
IDOLY?MY PALETTE?EVERFILM?
ここはやっぱり…
「IDOLYで撮ろう!」
「どっちが300円出す?」
「私出すよ」
「良い?ありがとー」
撮影準備が始まり、音声が流れ始める。
「何人でプリを撮る?」
二人とあるところをタッチする。
「撮るポーズを決めてね」
第二の壁だ。
Aセットはギャルピースやノーマルピースなど、普通な感じ。
Bセットは恋人繋ぎや両思いハートなど、比較的軽めの恋人用と言える。
Cセットは…ハグ!?キス!!??レベルが違う。
いや、ここは…
「Bセットにしよ!」
Cを押そうとした時に、寺田が言った。
まあ、さすがにBにするか。
「左側の撮影ブースに移動してね」
撮影ブースは狭い。
その分…
良からぬことを考えてしまったようだ。
気持ちを切り替え、撮影画面を見る。
「最初は恋人繋ぎだよ!」
その時、スッと寺田がハートの形を差し出してきた。
んー、やるじゃん。
「3」
「2」
「1」
カシャっと音がする。
「次は片思いハートだよ!」
今度は私がハートを差し出す。
「3」
「2」
「1」
「カシャ」
「次は…」
---
プリを撮り終え、買い物をすると、もう12時だった。
「じゃ、また月曜日」
「楽しかったよ!じゃあね」
ただの「楽しかったよ」に何かを感じてる自分が恥ずかしく、頬を叩いた。
あ、メッセージ来てる。報告しなきゃ。
〈友香〉
初デートどうだった? 12:01
[右寄せ]まじ最高!12:03[/右寄せ]
打ち終え、凛々花は近くのベンチに座った。
雲ひとつない青空を見上げる。
「最高」
第六話も最後まで読んでくれてありがとうございます!
これからも頑張ります!
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Bieber.h