リレー開始者:NASA
#合言葉123456
最低100文字/最大3000文字
話数 1 / 30
「ゲームの世界に行きたい」と呟いたら本当に飛ばされちゃった!?
高2のゲームオタク・カケル、ネカマのおっさん、クラスのギャルの3人が、知識を武器に無理ゲーからの脱出を目指すコメディリレー小説です!
★詳しいキャラ設定や状況は【第1話】の本文を読んでね!
★基本はラノベ風の明るいゲームコメディです。
みんなじゃんじゃん続きを書いて繋げてください!よろしくお願いします!
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カチ、カチ、カチ。
薄暗い部屋の中、秒針の音とPCのファンが回る音だけが響いている。
画面に映っているのは、王道オンラインRPG『インフィニット・ギルド・アドベンチャー』──通称『インギル』の画面だ。
高校二年生の俺、小鳥遊 駆(たかなし かける)は、ヘッドセットをつけたまま、ベッドの上に寝転がってため息をついた。
「はぁ……終わった。完全に終わった……」
手元のスマホを見れば、時刻は夜の二時を回っている。
そして明日の朝は、一発で留年が確定する期末テストの補習日だ。
今から寝ても間に合わない。
現実の勉強なんてこれっぽっちも頭に入っていないのに、ゲーム内の仕様や裏設定なら、初代開発者のインタビュー記事に至るまですべて脳内に叩き込まれている。
我ながら救いようのない廃人ゲーマーだった。
ふと、モニターの右下にある時計が目に留まる。
【10月2日 2:22:20】
あと二秒で、二が綺麗に並ぶ。
現実逃避を極めた駆は、マイクに向かって、心の底からポツリと呟いた。
「あーあ……俺もゲームの世界に行きたいなー……」
二十一秒、二十二秒。
時計の針がピッタリと重なった、まさにその瞬間だった。
『──音声コマンドを確認。真の冒険者を歓迎します』
ヘッドセットから、聞いたこともない不気味で、どこか優しいシステム音声が響いた。
直後、視界が猛烈な白い光に包まれる。
「うわっ!? なんだこれ、画面のバグ……っ!?」
叫んだ声は、光の渦の中に吸い込まれて消えた。
*
「……おい、起きろ。おいってば!」
顔に当たる妙にリアルな風と、草の匂い。
そして、鼓膜を震わせる野太い声。
駆がゆっくりと目を開けると、そこは木漏れ日の差し込む美しい森の中だった。
驚いて跳ね起きると、自分の服装が学生服ではなく、インギルの初期装備である「旅人の服」に変わっていることに気づく。
「な、なんだこれ……液晶が爆発して失明したのか!?」
「落ち着け少年。俺もパニックになりたいのを必死で堪えてるんだ」
声をかけてきたのは、信じられないほどの美少女だった。
黄金の髪に、聖職者の法衣を着たヒーラー。
インギルでもトップクラスに人気の可愛いアバターだ。
だが、その口から出ているのは、完全に「三十過ぎのくたびれたおっさん」の声だった。
「えっ……その声、まさかネフレの『アリス』さん!?」
「そうだ。ネカマで悪かったな! って、それどころじゃない。メニュー画面を開いてみろ。ログアウトボタンがグレーアウトしてやがる。それにここ、普通の『始まりの森』じゃないぞ」
駆が慌てて空間をスワイプすると、半透明のウィンドウが現れた。
確かに「ログアウト」の文字は暗く沈んでいる。
代わりに、奇妙なメッセージが浮かび上がっていた。
『初代開発者からの挑戦:グランドフィナーレへ到達せよ』
「初代開発者……!? 今の運営じゃなくて?」
駆の脳裏に、かつてネットの海で読んだ都市伝説がよぎる。
このゲームの基礎を作った伝説の初代プログラマーは、会社を去る直前、誰にも知られていない隔離サーバーと隠しクリア条件をシステムに仕込んだという噂。
「ちょ、ちょっとあんたたち! サボってないで助けなさいよぉおお!」
突然、茂みの奥から甲高くて派手な悲鳴が響いた。
現れたのは、身の丈ほどもある大剣を背負った、露出度の高い重戦士の美少女アバターだ。
しかし、その顔を見た瞬間、駆は息を呑んだ。
アバターの顔が、現実のクラスメイトであるド派手なギャル・獅子堂 葵にそっくりだったからだ。
「げっ、小鳥遊!? なんであんたがここにいんのよ!?」
「獅子堂!? お前、インギルやってたのかよ!」
「うるさい! あーあ、ゲームの世界に行きたいなーって呟いたら急に飛ばされたの! それより後ろ! 後ろ見て!!」
葵が指差す先、森の木々をなぎ倒して、一匹の巨大な怪物が姿を現した。
漆黒の毛並みに、血走った三つの目を持つ巨大な狼。
「おいおい、嘘だろ……」とおっさん声のアリスが顔を青くする。
「始まりの森のボスは『ゴブリンキング』のはずだ。あんなの、現在の公式データには存在しないぞ!」
「いや……存在する」
駆のオタク脳が、凄まじい速度で過去の記憶を検索し、一つの答えを導き出した。
「あれは、現在の運営が『強すぎてプレイヤーが勝てないから』ってデータ上だけで没にした、初期設定版の裏ボス【レイジウルフ】だ!」
「勝てないって、じゃあ詰みじゃん! 私、初期武器の鉄の大剣しか持ってないんだけど!」
葵が泣きそうになりながら大剣を構える。
レイジウルフが鋭い牙を剥き、三人を目がけて突進してきた。
「アリスさんは獅子堂に防御バフを! 獅子堂は奴が飛びかかってくる瞬間、大剣を横になぎ払って!」
駆は叫びながら、初期装備の錆びたナイフを抜いた。
「そんなの効くわけないじゃん!」
「いいからやれ! 初代開発者の作った初期データには、絶対に『設定の穴』がある!」
駆の脳内には、初代開発者の古いインタビューの文言が完璧に再生されていた。
──『私は理不尽な強敵が好きですが、必ず一筋の攻略の光を残します。例えば、突進中の狼の右前脚の付け根。そこだけはグラフィックの判定が1フレームだけ消える仕様にしています。いわゆる、カウンター専用の急所ですね』
「今だ、獅子堂! 右前脚を狙え!」
「うおおおお,やけくそーーー!!」
葵が悲鳴を上げながら、大剣を全力で横一文字に振る。
突進するレイジウルフの右前脚の付け根に、大剣の刃が吸い込まれるように激突した。
ズドォオオオオン!!
凄まじい衝撃波とともに、あれほど巨大だった裏ボスが、一撃で光の粒子となって爆散した。
大量の経験値のログが、カケルたちの視界に流れ込んでいく。
「え……? 一撃……?」
大剣を構えたまま、葵が呆然と呟く。
アリスも開いた口が塞がらないようだ。
「よし、読み通りだ。初代の隠し設定が生きてる」
駆はナイフを鞘に戻し、ぐっと拳を握りしめた。
現在の運営すら知らない、この世界の全ての裏設定と仕様が、自分の頭の中にある。
これなら、この終わりのないはずのゲームの、最深部にある出口を見つけ出せるかもしれない。
「アリスさん、獅子堂。俺の言う通りに動いてくれ。このゲーム、俺の知識(廃人仕様)なら絶対に全面クリアして、現実に帰れる」
駆は二人に笑みを向け、それから、ふと最悪の現実に気づいて顔をひきつらせた。
「……あ、でも、現実の明日の朝までにクリアしないと、俺、留年確定なんだけどね」
「そこは早く言いなさいよ!!」
ギャルの怒号が、美しい森に響き渡った。
高校生ゲーマー・小鳥遊駆の、人生を懸けた「出口探し」の冒険が、今ここに幕を開けた。
※この作品は、主人公カケルの異常な「ゲームの裏設定・没データ・仕様の知識(メタ知識)」を使って無理ゲーを強引に突破していく、ラノベ風の明るいゲームコメディリレーです。
※カケルの知識(没ボスの弱点、バグの法則、開発者のクセなど)を自由に捏造して、独自の攻略法で話を次のエリアへ進めていってください!