リレー開始者:むらさきざくら
#ありがとう
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話数 10 / 10
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合言葉は ありがとう
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1
もうすぐ死んでしまう身になり、わたしは遺言を考えた。手紙ではなく、直接家族らに言う遺言を。
ありきたりな言葉しか出てこない。何にしよう。
そういえば、わたしは何を伝えたいんだろう。
今まで一緒にいてくれた感謝?約束を果たせなかった謝罪?それとも___
---
余命はあと僅か、1日生きられるかどうかわからない。
だけど、わたしは伝えたかった。
ありきたりじゃない。
みんなが言われて、嬉しく思う言葉だから、みんなが使っているのだ。
「今まで、ありがとう」
合言葉は ありがとう です。
2
俺は、ビルの屋上に一人立っていた
夜を街が宝石を散りばめて彩っていく
「あーあ、疲れちゃったな」
勉強も習い事も、人生も
「もうこの世に未練は…あるか」
唯一の未練はあいつに本音を言えなかったことだろう
でも、俺はもうあいつに関わっちゃダメな人間だ
あいつに酷いことをした
自分の価値観しか押しつけなくて、突っぱねて
でも、それでも最後まで寄り添ってくれた
なんでなんだろな?
なんで寄り添ってくれたんだろ?
考えても意味ない
俺は人の、自分の感情を考え、言葉にするのがるのが苦手だ
そして俺は死ぬのだ
今更考えても答えなんか出ないし意味がない
感情を考え、言葉にするのが苦手な俺が
唯一あいつに伝えたかった言葉
生まれて初めて持った自分自身の気持ち
あいつの耳には届かないだろう
それでも伝えたかったこの言葉を夜の街に向かって吐きだした
「大好きだ、そしてありがとう」
もうこの世に未練はない
そして、俺は夜の街に向かって堕ちていくのだった
3
参加失礼しま〜す!
「ありがとう」
その言葉を僕は今までの人生で何回言えただろうか?
10回?
そんなに少なくない。
100回?
多分それぐらいだろう。
僕はいじめられていて、感謝を伝えることなんてない。
「なぜいじめられているのに感謝を伝えなきゃいけない。」
そう思ってしまうことは、きっと普通のことだと思う。
でも、僕は今日決心がついた。
自殺しようと思う。
だから、最後に「ありがとう」と伝えてみようと思う。
ただ、言葉で伝えるのはイラつくから、花で伝える。
ピンクのバラ。
これの花言葉は「ありがとう」だ。
ただいじめっ子たちを許す訳ではない。
クロユリとスノードロップを添えておく。
クロユリの花言葉は「呪い」「復讐」。
スノードロップの花言葉は「貴方の死を望みます」だ。
いじめっ子にはちょうどいい花言葉だろう。
あぁ、これでもう満足だ。
じゃあサヨナラ ハハッ
グシャッ
4
参加させていただきます。
今日は、おばあちゃんのお葬式。
お葬式って初めてだな。
おばあちゃんはたくさんの花に囲まれて、棺に入っていた。
寝てるみたい。
本当に死んでるのかな?
私は考える。
人はなぜ、どうせ死ぬのに生きるのだろうと。
こんなことを考える私は変かな?
もう、おばあちゃんの声も思い出せないや。
最後に、なんて言われたっけ?
私は記憶をたどる。
おばあちゃんは布団に横たわっていた。
それで、なんて言われたんだっけ?
「生まれてきてくれて、ありがとう。」
そうだ。
そう言われたんだ。
生まれるって何だろう?
生きるって何だろう?
死ぬって何だろう?
「ありがとう」ってなんだろう?
私はもう一度考えた。
だいぶ強引に「ありがとう」っていれたな……。「死ぬ」、「生きる」、「生まれる」、「ありがとう」。皆さんだったらどう考えますか?道徳っぽくなっちゃった…
5
いぇい。参加します。
ホラー注意。
私は`家族を失った。`
でもそれが`嬉しかった。`
家族は私をいじめる。
だから嬉しかった。
警察なんて頼れなかったから。
相談でもできなかったから。
学校のいじめっ子が`殺してくれた`んだっけな?
今でもいじめはあるけれど、
家族は全員いないのだから学校になんて行かなくて良い。
家族が消えたのだから私は`自由`。
「`ありがとう`、自由にしてくれて。」
--- `「 キミには、感謝してもしきれないよ。 」` ---
--- 「 カミサマ、ありがとう。この世界に生まれさせてくれて。 」 ---
--- 「 これからも`わたし`は 」 ---
--- `「 血だらけになった家族を見て微笑みます。 」` ---
--- `「ありがとう。自由にさせてくれて。幸せをくれて。」` ---
--- `「最高だったよ。」` ---
__さようなら。__
--- __..............ごめん。__ ---
謎……((
てか、主人公ちゃん怖い自分で書いたんだけどさ((
6
ありがとう日記
おかあさんがそうじしてたから、てつだったら
「ありがとう」っていってくれた。
おともだちがころんじゃってせんせいにいいにいったら、
「ありがとう」ってふたりからいわれた。
先生がぷりんとかえすのたいへんそうだったからおてつだいした。
「ありがとう」っていってもらえた。
近所のおばちゃんがにもつたくさんもってて、ドアをあけられてなかったからあけてあげた。
「ありがとう」って言われた。
委員会の仕事で、6年生が人足りなくてこまってたから手伝った。
「ありがとう」って言われた。
合唱コンの練習中、隣に立ってた子が貧血起こしたみたいで、咄嗟だったけど支えてあげられた。
「ありがとう」って言ってくれた。
入学式で困ってた新入生を体育館まで案内した。
「ありがとうございます」って言ってもらった。
---
成人式の日、この日記のことを話した。
これからは私もたくさん伝えたい。
お母さんとお父さんに「ありがとう」って言った。
7
参加させていただきます ᴗ ᴗ)
不快にさせてしまってたらすみません
私は、ケーキを作っていた。
大切な幼馴染の誕生日だからだ。
だから何回も作った。
台所は、ひっくり返されたクリームのドレスを身にまとった。
手を止めても、何回も作った。
昔から読んでいたレシピは、カラフルな線と踊っていた。
何回も作った。
|炉《オーブン》の中にいる意地悪な龍に、完成を左右させる要を捧げたようだ。
…作ろうとした。
見返りに、と|炉《オーブン》から出てきた黒い塊が、今までの努力を徒労に変えさせた。
昔はもっとうまく作れた。
とびっきりのケーキを出した時、「ありがとう」と、確かに笑顔になった幼馴染がいた。
気付けば涙が溢れてしまっていた。
しっかりしなくてはと、立ち上がった、とき、
『なにしてんの』
何度も聞いた幼馴染の声だ。
振り返った
期待を込めた
君が、居た
今のぐしゃぐしゃになった顔を悟らすわけにはいかず、目を逸らす。
『何も別に俺のためにそこまでして作らなくていいし』
状況を察したのか、柄にもなく慰めの言葉を掛けてくれた。
幼馴染は、家に来たら必ず勝手に座るソファに移動しながら言った。
『誕生日ぐらい祝わなかったからって、怒るわけないだろ』
わかってる。
自己満だってことも。
君が望んでない事も。
気を使わせてしまっていることも。
『本当にずっと、ずっとずっと怒ってない、ってば』
しばらく無言が続く。
何故君がつらそうな顔するの。
『……もう気にしなくていいよ』
突き放された気がした。
小さい頃から憧れた製菓を必死に勉強して、
その時「僕もお菓子すき!」と言ってくれた君と、オリジナルレシピをつくって、
それを色んな人に食べさせてみたら「ありがとう」をいただけて、
…君の家は一気に没落してしまって、
君が好きだったお菓子は食べられなくなって、
そこから|歪《ひず》んでしまった君と文通を送り合って、
何度も「また会いたい」と言い合って、
|蟋蟀《コオロギ》が鳴く夜に、共に踊った社交ダンスと君を何度も思い返して、
もらったはいからな髪飾りを破ってしまって、
ラジオでお菓子の情報が流れるたび苦しくなって、
ついに自分でオープンしたケーキ屋さんは廃業にして、
夏の花火と街灯が君を照らして、
綺麗な笑顔がキラキラと輝いていて、
いつみても、やっぱりどこか儚くて、
--- 君が突然アレルギーで死んでから ---
--- ずっと好きだったお菓子作りができなくなってしまって ---
…気がついたら眠ってしまっていたようだった。
ふと、懐かしい、いい香りがした。
目をやると、フルーツで色とりどりに飾られたレアチーズケーキが作られてあった。
それはやはり輝いて見えて、君が作ったとすぐにわかった。
ひらりと紙が舞った。
掠れた、弱々しい文字で、こう書かれていた
「* あ り が と う *」
レアチーズケーキは小麦粉を使用しない。
8
いじめの描写あり。
不快にさせたいわけじゃないけど不快になったなら消します!!!!!!!!!!!!!
斎藤メグミはうちのクラスのカースト上位の生徒だった。クラスの中心人物、気が強くまた端正な顔立ちをしており、人をたぶらかすのが上手いタイプの人間である。彼女の親は社長だとか、嘘か本当かよくわからない噂が大量に流れていて、だから彼女がなにをしてもそれに反対するような子はいなかった。
1月、安藤佳奈という女子生徒が転校してきた。ハキハキと喋ってよく笑う、しっかり者だがどこか抜けていて愛嬌がある、誰にでも分け隔てなく接する、そんな彼女はすぐにクラスの人気者になった。だがしかし、それまでクラスの中心人物だった斎藤メグミはそれが面白くなかったようだ。
安藤佳奈へのいじめが始まった。
1月下旬の授業中、前で発表をしていた斎藤メグミが自分の席に戻る時、安藤佳奈のペンケースと教科書を、偶然を装って落とした。なんと地味な嫌がらせなのだろうといっそ呆れつつ、安藤佳奈の隣の席である私はペンを拾うのを手伝う。どうぞと渡すと、安藤佳奈はぱちぱちと瞬きをした。「…ありがとう。」そんなに私が手伝ったことが意外だったのだろうか。心外だ。
同じ日の体育では、ドッジボールが行われた。斎藤メグミは異様なほどに安藤佳奈を狙い、はじめのうちは避けていた彼女も、それが続くと疲れてきたようで、斎藤メグミの投げたボールが思い切り顔に当たった。安藤佳奈はよろけ、床に手をつく。ボトボトと鼻血が落ちていた。体育教師が保健室に行くよう指示をし、「じゃあ付き添いで、えーとあなた、よろしくね。」と私を指名した。単純に近くにいたからだろう。安藤佳奈が鼻を抑えながら立ち上がる。悔しそうに眉を寄せている彼女を見て、強い人だと思いながら、私は彼女と共に保健室まで歩いた。「マジで斎藤メグミってやつムカつくー。」保健室に行く途中で、彼女が苛立ちのこもった声で言う。安藤佳奈は「誰にでも優しくて性格が良くてとにかく性格が良くてもう性格が良い」という印象だったので意外だった。冷静に考えてみれば、あんなことされりゃムカついて当然であるが。保健室で養護の先生に安藤佳奈を受け渡し、私は体育館に戻ろうと踵を返した。「ありがとう。」慌てたように安藤佳奈が私に向かって目を細めた。
2月。バレンタインデーの日、学校中が浮き足立っていた。斎藤メグミがクラス全員にチョコレートを配っているこの光景は去年も見た。彼女は特に、男子に愛想よく笑って渡している。「これ、水戸さんの分。」放り投げるように斎藤メグミに渡され、ありがとうと答えながらチョコレートに目をやる。なかなかに美味しそうなチョコレートと、おまけのように小さなクッキーが入っていた。正直食べたいが、学校で食べることは禁止されている。カバンにしまい、顔を上げると、安藤佳奈のなんとも言えない表情が目に入った。
「どうかしたの。」ボソリと聞けば、彼女はうーんと困ったような呆れたような笑顔を浮かべた。「私だけチョコもらえなかったよ。地味だね〜嫌がらせが。」ほんとに地味だけど、やられたらちゃんと傷つくやつである。うわぁと微妙な反応を返した。その時、思い出す。「これどうぞ。」カバンからチョコレートを取り出し、彼女に渡した。「手作りじゃないけど。」斎藤メグミの様子を伺いながら声をひそめた。もし斎藤メグミがこれを見ていたら、私までいじめられるか、安藤佳奈へのいじめがヒートアップするかの2択になってしまう。両方きつい。「えーっいいの。」安藤佳奈も声をひそめつつ、ぱあっと笑う。なんだか心がむずむずしたが、平静を装ってうんと頷く。「ありがとう。」彼女のお礼を聞くたびに、言いようのない何かを感じる。
3月。終業式の日。卒業式でもなんでもないので、みんなあっさりとしていた。
式が終わった後の、人のほとんどいない教室で、安藤佳奈は私に言った。
「今までありがとう。」違和感を覚えた。「なんで、『今まで』?」もう会うことができないみたいじゃないか。私たちはまだ2年生だ。3年生でも同じクラスになる可能性だってあるわけで、いや、たとえ違うクラスでも交流を続けることはできる。無論、彼女にその気がないのなら別だが。
「うん。私転校するから。」
さらりと告げられ、驚いた。今年の1月にこちらに転校してきたばかりなのに、また転校するんだと。いわゆる転勤族なのだろうか。私が訊くと、彼女は目を伏せた。口角は上がったままだった。
「転勤族ではないよ。頻繁に引越しとか転校とかするわけじゃないし。今年の1月に転校してきたのは、家族の転勤が理由じゃなくて、私が前の学校でいじめられてたから、お母さんとお父さんが気を遣ってくれた。」
反応に迷った。平気そうに言う安藤佳奈は、同情を求めているわけではなさそうに見えた。しかし私は、これをへーそうなんだーで流して良いと思えるほどのメンタルの持ち主でないのだ。「あぁ…そっか…。」結局、視線を泳がせながらそう答えるしかなかった。安藤佳奈はくすりと笑い、私の手を取って、ぎゅっと握った。思わず握り返す。
「ありがとう。ほんとに、ありがとう。」
その言葉に、今まで感じていた言いようのない何かはもうなかった。
これって不快な気持ちになる物語なのかよくわからないもしなったら消します前書きでも言ったけど!!!!!!!
9
私は一年生の時、部活動紹介の時の先輩のソロに心を打たれ、吹奏楽部への入部を決めた。
入部してトランペットパートになった私はあまりうまく吹けないままでいた。
先輩との会話は少なく、質問には答えてくれるしアドバイスももらえるけど、ほめられたことも怒られたこともなかった。
アドバイスといっても一言言われるだけ。
「…もっと音伸ばしな」
「ここずれてるよ」
そんなことばかりだけど、先輩の隣で吹いていられる時間が嬉しくて、私は人知れない努力を重ねてきた。
---
あれから一年が経った今年の夏。
先輩にとっては最後のコンクール。もちろん金賞を目指して練習を重ねている。
夏休みに入り、部内の緊張感も増した。
「もっと集中しな」
「ここ苦手っぽいから練習しときな」
もともとそっけなかった先輩の言葉も一層冷たくなった。
いや、私が勝手にそう思ってしまっていたのだろう。先輩は先輩の努力に加えて私にアドバイスをくれているのだから。そう思い込まないと私もつらくなるともうわかっていた。
そしてコンクール当日を迎え、吹奏楽部の部員の緊張感も絶頂を迎えていた。
ステージに立ち、先生の指揮が始まった。
トランペットパートの一員として出場した私は先輩にアドバイスされたことを意識して演奏することに集中していた。
しかし、緊張に耐えれず、音が少し外れてしまった。
私を置いて時は進み、コンクールは終わり、学校へ戻って楽器を片付ける。
(いつもの演奏できなかったなぁ)
そんなことを思いながら自分の楽器や打楽器を楽器庫へ運ぶ。
「「「お疲れさまでした!!」」」
私たち吹奏楽部の元気な声が他に誰もいるはずのない校舎へ響く。
その帰り道、先輩が私に声をかけてくれた。
慰めてくれるのだろうか、そう期待したけど、案の定いつも通りあっさりと一言放たれた。
「今日は、悪くなかった」
それでも、その夜静かに泣いた。
先輩に気にかけてもらえた、なんて幸せを脳裏に浮かべながら。
あれから半年が経ち、先輩の卒業式を迎えた。
式中は泣かなかった。なんとなく泣けなかった。
そして卒業式が終わり、部室に戻った。
なんとなく行った方がいいと感じたから。
部室には先輩の楽譜の入ったファイルがあった。
「先輩、こんな頑張ってたんだ...」
そう思ってファイルをめくると、一枚の紙を見つけた。
小さなメモに先輩の字でメッセージが書いてあった。
「あの苦手って言ってたところ、きれいだった」
「お前の音が好きだ」
「今までありがとう」
私は知らないうちにほほに流れていた涙を拭い、ファイルを楽器ケースにしまう。
そして、皆が集まっているであろう校門へ向かった。
先輩は私の方を少し振り返り、手を振るだけだった。
そうして先輩は帰ろうと前を向いてしまった。
「先輩!待って、ください!」
先輩が足を止める。
「…どうした?」
「あの、私、先輩の音がずっと好きで」
「知ってる。自己紹介の時言ってくれたじゃん」
「最初は、音だけだったんです」
「音だけってひどくない?」
「最初は先輩の事よく知りませんでしたから。でも、先輩のやさしさに触れて、先輩のことが好きなんだって」
「あ、ちょっと待って。人の少ないところで続き。」
「ごめんなさい、」
「全然大丈夫。俺が耐えられなさそうだと思っただけだから」
「はい」
「先輩の隣で吹けて嬉しかったし、楽しかったです。」
「…ありがとう」
「私、好きになってたんです。先輩の音も、先輩のことも」
春の風が沈黙を彩る。
「俺も、お前の音好きだった。」
先輩は少し顔を背けて呟いた。
「本当ですか?」
「今は、お前のことも」
先輩は私のことを抱きしめた。
「藍、大好き」
「私も、先輩の事大好きです」
「卒業しても会いに来るから」
「そっけないのが先輩なんじゃないんですか?」
「好きな人には甘くてもいいだろ」
「まぁ、うれしいですけど」
「あと、敬語は外せよ」
「いつか外します」
「まぁ、外してくれるなら」
笑い合う二人の声は、春の陽射しが照らしている
先輩が少し照れたようにつぶやいた
「来年のソロ、応援するから頑張れよ」
「ありがとう!頑張るね」
「藍うまいんだから、自信持て」
「トランペットパートのエースから言われたら自信つきますよ」
「よかった。演奏会見に行くな」
「ありがとうございます!」
二人の笑顔を優しく日差しが照らしていた。
10
アンカー失礼します!!
「ねぇねぇセツナ!一緒に遊ぼう!」
「セツナ、明日って月曜日だっけ?」
「あ、うん!そう!それだよ、セツナ!」
「セツナ…大丈夫?怪我してない?」
思い出が、蘇る。
ツイとの温かい、楽しい思い出が。
「セツナ、大変!怪我してる!」
「お母さん、せ、セツナが倒れた!」
ツイは心配ばっかり、ずっと心配ばっかり。
私が言うのもだけど、心配性だと思う。
私の体調ばっか気にして、セツナ、セツナって呼んでくれる。
目はうるうると、手は小さく触れてくれる暖かさ。
私は幸せだったよ、ツイ。
「…これ、こういうことなんだよね、セツナ…」
「…セツナ…!」
「お願い、目が、目が…っ、!」
「あなたが、代わりになってくれだなんて、言ってない…!」
どうして苦しいのだろう。
心臓がキュッと痛くなり、涙が止まらない。
あなたの隣、体が震える。
「ありがとう」の一言で、こんなに苦しいのは初めてだった。
目が見えなくなり、声が出なくなり、その後に儚く散っていく病。
「|…ぁ……ぃ、あ…とぉ…《 あ り が とう 》!!!」
手紙を読むことにした。
『セツナへ』
セツナ、体は大丈夫?
私はもう長くないって言った時、代わりになりたいって
そう言ったこと、今でも許してないよ。
でも、ありがとう。
目が見えなくても、セツナは見えた気がした。
私、今なら天国いけそう。
『ツイより』
遠い花は、華麗に散った。