リレー開始者:月埜ゐゝ
最低100文字/最大3000文字
話数 4 / 14
【合作】
主人公はひとりの女の子(音波)と、大学生の頃に病気で亡くなって幽霊になった女の子。
音波は記憶がないにも関わらず、亡くなった親友との微かな思い出の場所を巡り、思い出を蘇らせる
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リレー参加者
1
|寝天《ねそら》 |莉生《りお》
音波の親友。
大学生の時に病気で亡くなった。
死んだその後もユーレイとなって音波のことを見守り続けている。
莉生自身は分かっていないが、ごくたまにしか音波に声が届かない。
2
氷空 音波
莉生が亡くなったショックによって莉生と過ごしていた記憶が無くなった。
現在は社会人で、小説家として働いている。
たまに夢で見るどこか懐かしい光景を見るために旅に出ることにした。
莉生の姿は見えるが声は聞こえない。また、誰かもわかっていない。
3
私が何度も思い出すのはあの日のこと。
急に体がクラついて、
次第に息が浅くなっていく
脈を測る機械音と心臓の音だけがやけにくっきりと聞こえていた。
あのね、音波。私はあのときのことを、今でも後悔しています。
何も言えずに死んでしまってごめんなさい。
いっぱい、いっぱい私を支えてくれたのに。
感謝すらできずにあっけなく逝ってしまうなんて。
本当にごめんね
ずっとずっと、彼女の目を見て、はっきりと話しかけ続けた。
話しかけ続けたけれどやっぱり私の声は彼女には聞こえていなくて。
たまに視線を感じていたような気がしていたけれど
結局彼女に私は見えない
...言葉は届かなかった。
音波だけじゃなく、誰も私を見ない。
その現実を見て、嫌でも自分が幽霊だってことを思い知らされる。
たとえ彼女に声が聞こえなかったとしても。それならせめて、私が音波を守る。
私と同じように、苦しんで死んでほしくない。
そう思って毎日見守っていると、ふっと音波がこっちを見た気がした。
その直後、音波がガタンと席を立った。
〔えぇっ、音羽、大丈夫?〕
届かないと、聞こえないとわかっているのに、つい声をかけてしまう。
けどやっぱり、聞こえていない。
彼女はひたすらに前をみて歩いていた。
すると__あの病院に着いた。
ここは
私が死んだところ。
「ねぇ...」
突然、音波が話し出した。
私のほうを向いて。
「私、いつもこの病院の近くの夢よく見るの。」
...音波が、私に、話しかけてくれている?
その事実に私はぼろぼろと泣きながら次の言葉を待った。
「あなたがいつもいる...ような気がするの。」
〔え?...記憶が、ない...?〕
「え?なんて?ごめん、もう一回言って」
あんまり言われて嬉しい言葉じゃないだろうから、ふるふると首を振ってなんともない、というアピールをしておく。
[...また今度...今度ね]
こくりと頷き、うるんだ瞳で私を見つめる彼女は覚悟の目をしていた。
彼女とのつながりができた。そのことにホッとしていたけれど、
音波は、私のことを忘れていた。
その事実が私の心をギリギリと締め上げる。
やっと、やっと音波が私を気づいてくれたのに。気づいてくれたことは嬉しいことなはずなのに、なぜか涙がこぼれてくる。
あぁ、嫌だ。
お願い、早く気付いてよ、音波。
4
音波side
ある朝、私は悪夢にうなされ、目が覚めた。
ふっと目を開けると、そこには見知らぬ誰かがいた。
その人は小柄で、三つ編みをしたかわいい子だった。
どこか見たことあるような、見たことないような。
知っていそうで、わからない。
そんな子だった。
名前がわからないので、謎の美少女と呼ぶことにした、勝手に。
その謎の美少女は必死になにか、伝えようとしていたみたいに見えたけれど、声が聞こえなかった。
いったんその子のことはほっておいて、準備をしよう。
考えても答えにはたどり着かない気がして、諦めることにした。
さっとご飯を食べて、洗面所に向かう。
お気に入りのピンを付けて、お気に入りの服に着替える。
そして仕事部屋に向かって、パソコンとご対面。
今日もひたすら、締め切りに向かって突き進んでいく、ただ、それだけ。
けど、謎の美少女がずっとこっちを見つめながら話しかけようとしていて、なんとなくそれが気になって、集中することができなかった。
そうだ、あの悪夢に出てきた、病院に行ってみよう。
夢に出てきた病院は、私の家の近くの病院によく似ていた。
とりあえず記憶のままに歩いてその病院に着いた。
やっぱり、ここだ。
なんとなく見覚えがある、この白いきれいな建物。
謎の美少女は、病衣だったから、もしかしたら病院の子じゃないか、と思った。
謎の美少女に問いかけるようにして向ける。
謎の美少女はその視線に気づいたようで何かを必死に伝えようとしていたが、それが私に伝わることはなかった___