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固有スキル『翻訳』で魔物たちと、共存生活!! 「第四話」
俺___佐藤健太はタマの背中を追いかけて、森を歩くこと数十分。森の木々は相変わらず巨大で、紫色の空から光が差し込むのはどこか幻想的だが、今の俺にはそんな景色を楽しむ余裕はない。あと、もう俺おじさんだからこんなにずーっと歩いていると腰が痛くなるんだよ・・・・・。
佐藤「なぁタマ。この森静かじゃないか?さっきまではあんなに殺気立ってたのに」
タマは足を止めず、小さく唸る
タマ「グルルル(群れの気配が消えた。この先は『境界線』だ。縄張りの外に出る)」
境界線?そう思った時、木々の隙間から視界が開けた。そこには、森の緑とは対照的な、荒れ果てた岩場が広がっていた。そして、岩場の中心には不自然なほどに整った「石造の門」がポツンと立っている。
佐藤「あの門、でかいなぁ〜!」
俺が門に近づこうとした時、背後の茂みが激しく揺れた。ガサガサッ!という音と共に、草むらから飛び出してきたのは、タマよりも一回り小さいが、数は「5匹」もいる狼だった。
タマ「グルルル・・・・・(チッ。はぐれ狼どもか!俺の獲物を狙いにきたか!!)」
タマは低く唸り、毛を逆立てる。どうやら、さっきのサンドイッチを狙っているのか、それとも俺を狙っているのか。いずれにせよ、状況は「営業のクレーム客対応」並に大変なことになったな・・・・・。
佐藤「おいタマ!数が多いぞ?戦えるのか!?」
タマ「グル・・・・・(腹が減って力が出ない。さっきのサンドイッチをもっと寄越せ)」
佐藤「今更無理だよ!!くそっ、こうなったら!」
俺はカバンを漁り、中から「賞味期限ギリギリの会社で配るようだったチョコパイ」を取り出した。
佐藤「おいお前ら!これをやるから一旦落ち着け!」
俺はチョコパイを袋から出し、一番先頭にいた狼の足元に放り投げた。狼たちは一瞬、獲物を狙う動きをとめ、地面に落ちた「未知の物体」を凝視する。
狼A「グル?(何だ、この甘い匂いは?)」
佐藤「食ってみろ!疲れた体に染みるぞ、糖分は!!」
狼たちが恐る恐るチョコパイに鼻を近づける。その隙に、俺はタマの背中に飛び乗った。
佐藤「タマ、今だ!門の向こうに走れ!」
タマ「グル!!グルル(人間風情が俺に乗るな!!・・・・・だが、悪くない作戦だ)」
タマの自慢の足で地を蹴り、猛スピードで門へと駆け出す。髪が抜けるってぇぇ!!
佐藤「よ、よし・・・・・。チョコパイ様様だな!」
俺とタマが門を潜り抜けた瞬間、俺たちの視界が真っ白な光に包まれた。眩しっ!!
【クエスト:『森の出口を探せ』を達成しました】
【報酬:固有スキルの『翻訳』が強化されました】
光が収まり、目を開けると、そこには見たこともないような「街」が広がっていた。石畳の道、行き交う人々、そして空には二つの月が浮かんでいる。って、人から耳とか尻尾が生えているんですけどぉ!?まぁ異世界でよくある展開かな・・・・・。知らんけど。
佐藤「ここが異世界か・・・・・」
俺はタマの背から飛び降りると、街の入り口をじーっと見つめた。
タマ「グルル(おい、人間。腹が減ったから、次はもっと『美味いもの』を寄越せ)」
佐藤「俺、人間っていう名前じゃないから!俺、「佐藤健太」よろしくな!」
タマ「グル(サトウか・・・・・。甘い砂糖か!?)」
サトウ「ちげぇよ!!ちゃんとした名前だから!・・・・・まず仕事探しかなぁ」
俺の異世界生活は、ここからが本番だ!!