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嘘吐きの遺却
リクエストのものです
バッドエンドの星のカービィ小説とのことですが、カービィが可哀想(個人の意見)なのでバッドエンド気味(モヤモヤ)です
星のカービィwiiデラックスのネタバレを含みます
時間軸はアナザーディメンションのエンド後
詳細は全キャラクターがアナザーディメンション後→マホロアエピローグ後→(カービィハンターズ後)→マホロアランド(今ここ)
つまり、マホロアが消滅?直後のマホロアエピローグからカービィハンターズの店主から何らかの方法でマホロアランドにてプププランドへ戻ってきたということです(星のカービィWiiリメイクのマホロアランドをどうにか本編のマホロアと同一にしたいだけ)
永遠にカービィ視点。カービィの一人称等を『自分』
特徴的な青と白のファンシーな洋服、茶黒い肌に細く丸い黄色の瞳、小さいが空中に浮いている身体。それが背後のお城の大きさと相まって、酷く小さく見える。
この|彼《マホロア》は、誰なのだろう。そればかりカービィはとても大きなロリポップを持ちながら考えていた。
自分がスフィアを集めていても、自分がマスタークラウンによって|彼《マホロア》と闘っていてもここにいた。まるで、始めからそこにいたような雰囲気を纏っているが、そんなわけがないのだ。
しかし、カービィは一つ気づいたことがある。
この|彼《マホロア》は自分が以前、闘った|彼《マホロア》であって、別れた後の|彼《マホロア》なのではないか、と。
バンダナワドルディやデデデ大王、メタナイトは自分たちも闘ったくせに何も疑問に思わない。
それどころか、|彼《マホロア》が用意したアトラクションを楽しんでいる。
それがとても、悲しくて、切なくて、心苦しい。
始めて会った時、この倒したはずの|彼《マホロア》は平然とした顔で自分へ近づいて、挨拶をした。マホロアランドの支配人としての挨拶だとしても、それが「はじめまして」や「久しぶり」で片づいて良いはずがない。
それなのに、|彼《マホロア》は「はじめまして」と言った。
同じ旅人だった。友達だった。そして何より、|助けるべき存在《仲間》だった。
今の今まで積み上げてきた石が崩されていくような感じがした。
「はじめまして」ではなくて、恨み言や怒りの一つでも言ってくれれば良かった。
でも、何も言わなかった。言えなかったのかもしれない。
仮に彼が|彼《マホロア》なら、あの時のことを覚えているなら、きっと素直に謝らないだろう。
でも、それでも良かった。良かったはずなのに今の|彼《マホロア》が何も言わないということが分かるのが辛かった。
それでも、あの時の苦しそうな瞳と疲れが出ている自分が貰ったリンゴの味が忘れられない。
どうか、あの時の|彼《マホロア》に戻ってほしいと願わずにはいられない。
また友達になりたいと思う。けれど、きっと|彼《マホロア》は|彼《マホロア》ではないから難しいだろう。
それがとても、悲しくて、切なくて、心苦しい。
ロリポップを一口、齧る。そして、口の中に転がす。
あの時のリンゴと同じ甘さが、口の中に広がり続けた。