公開中
AgelessLife 1話ー才能ー
人は誰でも、何かしらの才能を持っている。それは誰かの役に立てたり、人を楽しませたり・・・そして、世界を混沌で飲み込んだり・・・。
朝日が窓の隙間から差し込んでいる
先ほどまでは辺り真っ暗の夜だったのに
目を開けたらあっという間に明るくなっている
「今日も学校かぁ・・・」
自分はそう呟いた
いっそこのまま二度寝したいが、そんなことしたらきっと、兄が部屋に突撃してくるだろう
それはそれで面倒だ、やめておこう
まだだるくて重い体を起こして、自分はようやくベッドから離れた
自分の名前は『アルス』、あることを除けば、そこら中にいる学生だ
・・・・・・・・
そう、あることを除けば
それは、自分が『才能』を持っている、ということだ
『才能』を持っている人間のことを、大体の人は『異能者』と呼ぶ
異能者は人間の見た目をし、人間の言葉で話せるが、一般の人には使えない『能力』を持っている
例えば、自分は『ハッカー』の才能を持っている
その才能は、困難なプログラムを乗り越えてハッキングすることができる
ただ、ハッキングは表社会では普通はしてはいけないから、そんなにこの能力を使ったことはない
・・・表社会では
この世界には、2つの社会が存在している
1つ目はみんなが平和に暮らせる『表社会』
もう一つは、平和なんてものはかけらもないほど混沌に包まれた『裏社会』
つまり、みんなが幸せに暮らしている時に、真逆の世界では人が簡単に死傷したりするのだ
そんな裏社会では、法律なんて通用しないので、自分はたまに裏社会の組織のPCなんかにハッキングして、裏社会とはどういうものなのかを調べている
昨日の深夜も飽きずにハッキングして裏社会の様子を見ていた
まぁ、気づいたら寝てたケド
さて、それよりも早く着替えて学校に行く準備でもしないと
さっきからずっと兄が呼んでる
この時間だと、朝ごはんができたのだろう
自分は着替えた後、廊下から漂うバタートーストの匂いを楽しみながら、リビングへ向かった
朝ごはんを食べ終えた自分は、しばらく兄と会話を楽しんでから家をでた
学校は、ここから大体15分くらいでつく
そして通るのは、朝からざわつくビル通り
正直言って、自分は人が多いところはあまり好きではない
ただ、ここはほとんど毎日通っているから、もう慣れた
あ、あそこから焼きたてのクロワッサンの匂いがする
学校終わったら寄ってこうかな
そんな呑気なことを考えてたら、大きな手に腕を掴まれた
「!!」
急な出来事に、声も出なかった
自分の腕を掴んでいたのは、見た目からして一眼で不良だと察した高校生くらいの男子
後ろには、おそらく仲間であろうもう二人いた
「なあ、お前、今財布にいくら入ってるんだ?」
いや不良の定番の聞き方!!なんて思った
「そのロケット、高そうだな。金がねぇっていうんならそれでもいいぞ」
いやいや、自分に拒否権はないんですか?と思うくらい話がとんとん拍子で進んでる
でも拒否権があったところで殴られて終わりだろう
だからと言って、このロケットも、財布の中のお金も、渡すわけにはいかなかった
「どちらも渡しません」
自分は即答した
殴られる覚悟はある
そのくらい大事なものだから
「テメェ・・・痛い目みないとわかんねぇのか?」
関節を鳴らしながら不良はいった
本気で殴る気だ
そして勢いよく振りかぶった
どうせ痛みなんてすぐ終わる、そう思いながら目を閉じた
その瞬間、殴る寸前の不良が横へ吹っ飛んだ
「・・・は?」
仲間の不良と自分が同じタイミングでいった
自分は何もしていない、自分の才能では、不良は吹っ飛ばせない
おそるおそる不良が吹っ飛んだ方の反対を見た
そこには、1人の少女が立っていた
「お前さんら、何やってるんだ?」
狼のように鋭い目で不良2人を見ている
もしかして、彼女が不良をふっとばした・・・?
そんなことを考えていると、不良の1人が口を開いた
「なんだお前、喧嘩売ってるのか?」
いや先に売ってきたのあなたたちでしょ
けども、その子は表情筋をピクリとも動かさず、無言で立っていた
「誰だかはしらねぇがよォ、殴られる準備はできてるんだよなァ!?」
そう言うと、不良はかまえを取り、少女の突っ込んでいった
瞬間、その不良の体は宙にまった
投げ飛ばされたのだ
そして地面に叩きつけられる
一瞬のことではっきりとは見えなかった
けれど、少女は不良よりも強いことは、すぐにわかる
考えている間もなく、残っていた最後の不良を少女は距離を詰めてワンパンで仕留めた
強すぎる
3分も経っていないだろう、それでも不良三人は地べたで気絶している
無意識の間に、自分は口を開けて唖然としていた
少女は、自分が悪人側ではないと理解すると、その場を立ち去ろうとした
その後、自分はハッとなり、咄嗟にいった
「・・・あの、君、名前は?」
・・・ん?あれ?
いやいや、もっと他に言うことあるでしょ
名前よりも先にありがとうって言うでしょ
何やってんだ自分・・・
そんなことを思っていると、少女が口を開いた
「僕はフリス。異能者だ」
初めまして、そして初めまして。あさかさかといいます。2078文字もある話を読んでくださり、ありがとうございます。
1話にしてはなんとも言えない終わり方をしましたね。すいません。
2話はもっと力を入れますので、気長にお待ちください。
それではまた次回に。