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入学式編 3,クールなオーラ
kosui
翌日、圭は清水梨乃とまた顔を合わせることになった。昨日、少し話しただけの彼女が、どうしても気になっていた。あのクールで静かな佇まい、そしてどこか遠くを見つめているような表情。圭は、彼女がどんな人物なのかをもっと知りたくなった。しかし、どう接していいのか分からず、少しだけ自分に不安を感じていた。
清水梨乃が教室に入ると、周囲の男子たちが自然に目を向けるのが分かる。それは圭も例外ではなく、清水梨乃の一挙一動に引き込まれそうになる。しかし、彼女は誰の注目も気にせず、静かに座っているだけだった。まるで自分の世界に入っているようなその姿が、圭にはどこか神秘的に映った。
その昼休み、圭はいつものように友達と話していたが、どうしても清水梨乃のことが気になって仕方がなかった。圭がふと見ると、教室の隅で清水梨乃が本を読んでいるのが目に入った。その姿に圭は思わず目を奪われ、またしても自分が彼女をじっと見つめていることに気づいた。
「高橋、また清水さんを見てるのか?」と、隣の優太が小声で言った。
「え、いや、別に…」と圭は慌てて答える。
優太はにやりと笑った。「お前、あの子のこと気になってるんだろ?」
「そんなことないよ…ただ、ちょっと気になるだけだよ。」圭は気まずさを隠しきれず、少し焦って言い訳をした。
その時、清水梨乃が静かに席を立ち、教室を出るのを見かけた。圭は無意識にその後ろ姿を追ったが、すぐに自分がその姿に引き寄せられていることに気づき、驚いた。
放課後、圭は教室を出ようとしていると、ふとドアの前に清水梨乃が立っているのが見えた。彼女はまるで誰かを待っているかのように立ち尽くしていた。
圭は驚いて足を止めた。「あ、清水さん?」
清水梨乃は振り返り、少しだけ微笑んだ。「高橋君、ちょっと話してもいい?」
その笑顔を見て、圭はまた心臓が高鳴るのを感じた。どうしてこんなに緊張するんだろう。彼女と話すのは昨日も少しだけだったけど、今回はもっと落ち着いて話さなきゃと思った。
「もちろん。」圭は言葉を絞り出すように答えた。
二人は廊下を歩きながら、圭は何を話すべきか考えていた。しかし、清水梨乃が先に口を開いた。
「今日、部活どうするの?」と、あっさりとした質問が飛んできた。
その言葉に圭はちょっとだけ驚いたが、すぐに答えた。「僕、特に部活は決めてないんですけど、これからどうしようか考えてるんですよ。」
「そうなんだ。部活選びも大事だよね。」清水梨乃は何気なく言ったが、その口調にはどこか余裕が感じられた。
圭はその言葉を聞きながら、少しだけ気が楽になった。普段、クールで無口な彼女がこんな風に気さくに話してくれるなんて思わなかったからだ。
「でも、君が何か興味ある部活を始めるのを応援するよ。」清水梨乃は続けた。
「え? どうして?」圭は驚いて質問した。
「だって、どうせなら自分のやりたいことをやった方がいいでしょ? 無理して選んだ部活より、自分に合ったものを選んだ方が楽しいと思う。」清水梨乃は静かに言ったが、その言葉にはどこか深い意味が込められているような気がした。
「そうかもしれないですね。ありがとうございます。」圭は感謝の気持ちを込めて答えた。
その日の帰り道、二人は並んで歩くことになった。初めて清水梨乃と一緒に帰ることになったが、圭は不思議と落ち着いていた。最初は緊張していたものの、彼女が無理なく話をしてくれるので、会話が続きやすかった。
「高橋君、普段はどんなことをしてるの?」清水梨乃がふと質問した。
「えっと、家ではゲームしたり、本を読んだりしてますね。あんまり外に出ることはなくて…」圭は少し恥ずかしそうに答えた。
「ゲームか。面白いのあったら教えてね。」清水梨乃はそう言って、少しだけ微笑んだ。その笑顔が、圭の心に温かさを広げた。
「はい、今度おすすめのゲームを紹介しますね。」圭は言いながら、心の中で何度も「これが普通に話せるんだ」と驚いていた。
「楽しみにしてる。」清水梨乃はまた静かに言った。
二人の会話は、自然と心地よいリズムで続いていった。清水梨乃が話しかけてくれる度に、圭は少しずつ彼女に対する印象が変わっていった。彼女のクールなオーラは、圭には圧倒されることなく、むしろ心地よく感じられるようになった。
帰り道での会話が、圭にとっては特別な時間になったことに、彼は少し驚きつつも嬉しく思った。
「明日も一緒に帰ってもいいですか?」と、圭は少し勇気を出して尋ねてみた。
「うん、いいよ。」清水梨乃は、あっさりと答えた。
その言葉に圭は心の中で小さな喜びを感じながら、二人は静かに帰り道を歩き続けた。